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環境問題の深刻化が国家間紛争をも招くのか。日本に波及するグローバルリスクの中で最も注目される水問題への取組は、エネルギーや食料の安全保障、気候変動への適応策を達成する鍵である。「ウォーターフットプリント」「仮想水」を手がかりに問題を明らかにし、悲観論に陥ることなく、持続可能な未来を構築する道を探る。


≪目次: ≫
はじめに
 悲観と楽観/環境至上主義と弱い持続性

第1章 地球の水の何が問題か
 ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず (鴨長明 『方丈記』)
1 なぜ、どのように、水危機がグローバルリスクなのか
 世界規模の影響をもたらす水関連災害/重大なローカルリスクがグローバル化
2 「水が足りない」とは
 飲み水が足りなくなるのは一番後/水汲み労働による機会損失/健康リスク/ミレニアム開発目標/最低限必要な水
3 使うと汚れる水
 水の利用は質の利用/水質の回復と滞留時間/再生水を飲む
4 世界の川、地下水、湖をめぐる問題
 国際河川と国際帯水層/地下水位の低下と化石水/先細る川と干上がる湖
5 水は無くならない
 水は希少か/水資源はストックではなくフロー/水資源は偏在している/水は単価が安い/水に国際価格は存在しない/適切なガバナンスが足りないので水が足りない/100億人の水需要をまかなえるのか?

第2章 グローバル水リスクに備える――ウォーターフットプリントとは何か
 人々は自分たちがしていることがしていることを知らない  (ミシェル・フーコー 『狂気の歴史』)
1 災害リスクをどうとらえるか
 タイ大水害の世界的な影響/災害リスクと企業立地/リスク、ハザード、脆弱性、曝露/沙漠にも洪水リスクが/普段の雨の降り方を前提として水資源は手当てされている/未曽有の災害への備え
2 世界の水リスク管理の動き
 企業による環境問題への積極的な取り組みの推進/なぜグローバルな優良企業は環境情報を積極的に開示するのか/高くなる将来価格、低くなる割引率/フットプリントは環境指標/空気の次は水か/標準化には真偽はない
3 国際標準ウォーターフットプリント
 ライフサイクルアセスメントに基づく/加算可能である/水に関連する潜在的な環境影響を特定する/地理的および時間的特質を適切に考慮する/水の使用量と水の質の変化を対象とする/水文学を利用する/水質による違いの考慮/ウォーターフットプリント環境影響評価の意義/大気への汚染物質放出も含む/ウォーターフットプリントの単位/ウォーターフットプリントの成分表示/ダンボールのウォーターフットプリント/ライフサイクルアセスメントとしてのウォーターフットプリントの限界
4 ウォーターフットプリントをどう使うか
 元祖ウォーターフットプリント/グレイウォーター/ウォーターフットプリントへの誤解と反発/ウォーターフットプリントで課税/ウォーターフットプリントは普及するのか/企業によるウォーターフットプリントの積極的な利用/外部コストを内生化せざるをえないグローバル大企業/ウォーターフットプリントの今後

第3章 仮想水貿易から見た食料安全保障
 われわれが食事を期待するのは、肉屋や酒屋やパン屋の慈善心からではなく、彼ら自身の利害関心からである (アダム・スミス 『国富論』 水田洋 監訳)
1 世界の水に頼る日本の暮らし――仮想水貿易とは
 水をめぐる紛争が頻発しないのはなぜか/仮想水か仮想貿易か/食料生産に必要な水量の推計/水消費原単位の違い/工業製品の水消費原単位/日本への仮想水総輸入量/バーチャルウォーターの父/仮想水計算機/最近の仮想水総輸入量/世界の仮想水貿易/世界の水に頼る日本の暮らし
2 水から見た食料問題
 世界の食料生産と水の持続可能性/20世紀の世界の食料生産/マルサスの予言は外れたのか/気候変動と食料生産/水不足は飢饉をもたらすのか/食料自給率は高い方が良いのか
3 水だけが問題ではない
 仮想水が多い製品は環境負荷が大きいのか/水(Water)・エネルギー(Energy)・食料(Food)の連関/不可欠のコスト負担/水ビジネスと持続可能性/日本の水供給サービスの維持/仮想水の輸入は悪いのか/一国だけの幸福はありえない

第4章 気候変動と水
石の不足によって石器時代が終わったわけではない (アハマド・ザキ・ヤマニ)
1 気候変動問題とは何か
 温室効果研究の黎明/気候変動に関する政府間パネル(IPCC)/評価報告書/気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)/京都議定書/気候変動の顕在化/二次目標とは何か/自然科学では答えが出ない問題/パリ協定/エネルギー問題としての気候変動/冷戦終結と気候変動と予防原則
2 気候変動のリスクをどう捉えるか
 観測された気候変動/極端現象の見方/気温の高い日ほど豪雨強度は強くなる/観測された気候変動の影響/代表的濃度経路/予測される気候変動/水分野への気候変動の主な影響/気候変動のリスク/ティッピングエレメント
3 適応策とグローバルリスクマネジメント
 適応策の登場/気候変動リスク概念の導入/統合的水資源管理とは/世界の主要な気候変動リスクと適応策/アジアと北米/日本における水分野の適応策/順応的方法/水災害への適応策としての街づくり/緩和策と適応策とのバランス/ベストミックスを求めて/一挙両得になるか/不確実性の問題/なぜ適応策も推進されようとしているのか/世界各国の国家適応策に遅れた日本
4 気候変動問題のこれから
 なぜ気候変動が地球環境問題の中心課題になったのか/水問題と気候変動問題の違い/気候変動問題の今後/さまざまなグローバルリスクの中で

終章 未来可能性の構築へ向けて
 水と空気は将来世代からの借り物である (マハトマ・ガンジー)
 惑星の限界と人口ピーク/現在の価値、未来の価値/持続可能な開発目標(SDGs)/持続可能性の構築(sustainability development)/生態系サービス/悲観論の弊害/環境は悪化し世間はどんどん悪くなっているのか/どういう世界に住みたいか

参考文献
あとがき (二〇一六年二月 光の春の候に 著者)


≪著者: ≫ 沖 大幹 (おき・たいかん) 1964年生まれ、東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。博士(工学)、気象予報士。東京大学生産技術研究所教授。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書統括執筆責任者、国土審議会委員などを務める。日本学士院学術奨励賞、日経地球環境技術賞、生態学琵琶湖賞など表彰多数。水文学分野で日本人初のアメリカ地球物理学連合フェロー。専攻、水文学、河川・水資源学、土木工学。著書、『水危機 ほんとうの話』(新潮選書)、『東大教授』(新潮新書)。




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