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〈ぼく〉の思索の一回性の偶然性の実験場。

*さ 行の作家

本「小僧の神様 他十篇 (ワイド版岩波文庫310)」志賀直哉5

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小僧の神様 他十篇 (ワイド版岩波文庫)
小僧の神様 他十篇 (ワイド版岩波文庫310)

○著者: 志賀直哉
○出版: 岩波書店 (2009/6, 単行本 238ページ)
○定価: 1,050円
○ISBN: 978-4000073103
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どうなんだろう、いろいろなことのことごとく、とてもとてもウマく(滞りやら障碍やなんかのさまざまがなにもなく円滑に)いっているとは思えないのだが、いまにはじまったことではない、子どものころからず〜っとずっとそうだった、かわらない、わからない


志賀直哉(1883-1971)は、他人の文章を褒める時「目に見えるようだ」と評したという。作者が見た、屋台のすし屋に小僧が入って来て一度持ったすしを価(ね)を言われて置いて出て行った、という情景から生まれた表題作のほか、「城の崎にて」「赤西蠣太」など我孫子時代の作品を中心に11篇を収めた、作者自選の短篇集。(解説 紅野敏郎


≪目次: ≫
小僧の神様  『白樺』 1920年(大正9)1月
正義派  『朱欒』 1912年(大正元)9月
赤西蠣太(あかにしかきた) (原題「赤西蠣太の恋」)  『新小説』 1917年(大正6)9月
母の死と新しい母  『朱欒』 1912年(明治45)2月
清兵衛(せいべえ)と瓢箪(ひょうたん)  『読売新聞』 1913年(大正2)1月1日
(はん)の犯罪  『白樺』 1913年(大正2)10月
城の崎(きのさき)にて  『白樺』 1917年(大正6)5月
好人物の夫婦  『新潮』 1917年(大正6)8月
流行感冒 (原題「流行感冒と石」)  『白樺』(十周年記念号) 1919年(大正8)4月
焚火(たきび) (原題「山の生活にて」)  『改造』 1920年(大正9)4月
真鶴(まなづる)  『中央公論』 1920年(大正9)9月

あとがき
解説(紅野敏郎
志賀直哉略年譜(1883・明治16年〜1971・昭和46年)


志賀直哉 『小僧の神様 他十篇』(岩波文庫、改版 2002年) '08/01/04


小僧の神様―他十篇 (岩波文庫)小僧の神様 他十篇 (岩波文庫)
○著者: 志賀直哉
○出版: 岩波書店 (改版 2002/10, 文庫 238ページ)
○定価: 609円
○ISBN: 978-4003104620
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本「もう、さよならは言わない」榊邦彦5


もう、さよならは言わない

●著者: 榊邦彦
●出版: 新潮社 (2008/05,単行本 269ページ)
●価格: 1,470円
≫Amazon


閉鎖的なぼくの書き記し(本ブログ)に、およそ2か月ぶりのコメントをいただいたのは「あ」さんで、ありがたく思いつつ(やっぱり素直に嬉しい♪)も返答に困り、なにをどう解釈しようかと考えているうちに、ふと思い立って検索してみたところ、新人賞受賞作家“榊邦彦”の第二作小説が刊行されていることを知り、コメントへの謝意を表して、早速に手配して読了!
デビュー作「100万分の1の恋人 (新潮社,2007.1)」には、とにかく泣けた記憶が鮮明で、ちょうどその当時、ぼく自身の大きな環境の変化に、どうしていいかわからず(いまだにわからないままだけど!?)、我慢することも人目を気にすることもせずに、泣いて泣いて泣いていた時期がしばらくあった。泣ける小説を好んで手にしていた。とにもかくにも泣かずにはいられないような心境だった(その意義や善悪を問わず!?)との記憶がある。
そんな恥ずかしくもある時期を経て、最近では日本の小説家の感動物語を読まなくなって久しい。あえてここでは、「他に読みたい著作がたくさんあるから」とだけ書き記すに止める。

といいつつも本書に、あふれそうになる涙や込み上げる嗚咽を堪えるのが困難なほどに、これがもし読書をしていた場所が公共交通機関内でなく夜のひとりの自室だったら、間違いなく嗚咽をあげて号泣していた!?、そういえば最近まったく泣いていない。泣くことだって膨大なエネルギーを要する。哀しいことに、今はそのエネルギーすら湧き起こらない。
そんなぼくには、恋愛小説を語る資格はないと言わざるをえない。
巧すぎるほどに上手い、派手さはないけど、あえてその静かに落ち着いた展開を好ましく感じて、そこに軽薄感の排除を感じつつも、恋愛物語である以上、軽薄感がない重苦しいだけでは物語が成立しないのであり、移り気で揺れ動く感情、自然な純真無垢ゆえの残酷さが物語の華♪


≪目次: ≫
第1章 Re:
第2章 User Unknown
第3章 Scroll
第4章 History
第5章 Password
第6章 Re:Re:

≪著者: ≫ 榊邦彦 1963年、埼玉県生まれ。2006年、「100万分の1の恋人」で第二回新潮エンターテインメント新人賞を受賞しデビュー。ハンチントン病の患者である父を持つ女性と「僕」との恋愛の行方を描いた同書は、読者の圧倒的支持を得て台湾、韓国でも翻訳出版されている。現在、都内の私立高校教諭。
ウェブサイト『榊 邦彦’s OFFICIAL WEBSITE』、ブログ『榊邦彦's Official Blog/ウェブリブログ』を運営。



丸の内
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本「青い鳥」重松清5


青い鳥
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書評/国内純文学



泣きましょ、泣きましょ、大泣きしちゃいましょ。
ぼくのツボにヒットして、じわじわっときちゃう。上手いね、巧いね。
そう、無理をすることない、泣いちゃおう、泣いて泣いて、心から愉しんじゃおう♪

初の“重松清”は、かつて新潮社より“本が好き!PJ”経由の献本を逃し、自腹で参画。

ちょうど併読していた本が、「14歳からの哲学 考えるための教科書 (池田晶子,トランスビュー,2003.3)」で、舞台の設定というか、対象とされる部分(中学生!?)が近くって、どちらも深く沁み込みすぎちゃって、正直なところ、思考能力を失うほどにダメージ受けて、あぁ〜。
簡単に、キレイに纏めて、分かったフリをして書き記してしまうことを、誰よりもぼく自身が拒んでいる。

じっくりじっくり、慌てることなどない、時間を費やして考えて考えて、理解を深めて自らのものにしよう。
My Teacher cannot speak well.
So when he speaks,
he says something important.


≪目次: ≫
 ハンカチ      「小説新潮」2006年4月号
 ひむりーる独唱   「小説新潮」2006年7月号
 おまもり      「小説新潮」2006年11月号
 青い鳥       「小説新潮」2006年12月号
 静かな楽隊     「小説新潮」2007年1月号
 拝啓ねずみ大王さま 「小説新潮」2007年2月号
 進路は北へ     「小説新潮」2007年3月号
 カッコウの卵    「小説新潮」2007年4月号








本「小僧の神様 他十篇」志賀直哉5


小僧の神様 他十篇 (岩波文庫)
著者: 志賀直哉
文庫: 238ページ
出版社: 岩波書店; 改版版 (2002/10)




大正時代の文学の中心”白樺派”を代表する小説家のひとり、”志賀 直哉(1883.2.20-1971.10.21)”の短篇小説集。
会社の気の好い仲間”こんちゃん”から今回貸借した四冊、これにて完読、御礼!、と、そういえば思い出したぞ、こんちゃんからは、永井荷風「濹東(ぼくとう)綺譚」(2007.10.31読了)を貸借していたので、そう、第六弾。
予期せぬ所、と言ったら失礼かもしれないけれど、ホントに不思議な縁に導かれて、思わぬ素晴らしい出会いがあり、感謝感謝!!

考えてみたら、僕はホントに本を読んでこなかったので、志賀直哉を初めて読んだ。なるほど同じ白樺派の”武者小路実篤(1885.5.12-1976.4.9)”であり、有島武郎(1878.3.4-1923.6.9)を思い起こさせる、簡潔な無駄のない文章。死であり、男と女、家族、親兄弟、生きることの苦しみ。一方では、斬り殺されたり、電車に轢かれたりして、呆気無く閉ざされる生命。

物語の終わり方の呆気無いほどの潔さ。
散々問題を投げ掛けて、辛く苦しい心の内を吐露して、不安を曝け出して、それでも決して簡単に結論に導くことをしない。


≪目次: ≫
 『小僧の神様』  1920年(大正9年)1月「白樺
 『正義派』  1912年(大正元年)9月「朱欒」
 『赤西蠣太』(原題「赤西蠣太の恋」)
       1917年(大正6年)9月「新小説」
 『母の死と新しい母』  1912年(明治45年)12月「朱欒」
 『清兵衛と瓢箪』  1913年(大正2年)1月1日「読売新聞」 
 『范の犯罪』  1913年(大正2年)10月「白樺
 『城ノ崎にて』  1917年(大正6年)5月「白樺
 『好人物の夫婦』  1917年(大正6年)8月「新潮
 『流行感冒』(原題「流行感冒と石」)
       1919年(大正8年)4月「白樺」十周年記念号
 『焚火』(原題「山の生活にて」)
       1920年(大正9年)4月「改造
 『真鶴』  1920年(大正9年)9月「中央公論








本「なんにもないところから芸術がはじまる」椹木野衣5


なんにもないところから芸術がはじまる
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書評/芸術・美術



にやにや。
言葉にできない面白さ。
新たなジャンルが切り拓かれた歓び。

実は、参画させていただいている”本が好き!PJ”の献本を受けるか迷った末に、自腹(といっても、図書館ですが・・・)を選択した。書評を書ける自信がなかった。
結果的に、献本を受けなかったことに、ある部分では、ホッと胸をなでおろしている。言葉に表せない。

最近になって、好んで絵画など芸術作品に触れるようになった。
企画展に展示されている絵画作品の良し悪し、上手い下手は分からない。それでも、その展示会が企画されるだけの意義と価値があろう。そう期待して、一方では多くを望まず、先入観なく自然体で挑む。なるほど、長い年月を経てもなお多くの人々を魅了し支持を得る”何か”がある。何があるのかは分からない。展示され、公開されている限りの情報から、想像力を働かせる。生い立ち、家庭環境、時代背景。秀作が描かれた必然の妙。

あ〜、根底から覆される。
著者 椹木野衣(さわらぎ のい)は、1962年秩父市生まれの美術評論家多摩美術大学美術学部准教授

飴屋法水(あめや のりみず)が24日間籠った”暗室”。
会田誠の”ヘタうま”。
オーストリアウィーンの街のど真ん中、突き刺さる六基のコンクリートの塊”フラクトゥルム”。アドルフ・ヒトラー
三松正夫郵便局長、日本画家火山研究家、”昭和新山”、昭和新山の持ち主三松正夫さんの物語
榎忠(えのき ちゅう)、”ハンガリー国にハンガリ(半刈)で行く”。
大竹伸朗(おおたけ しんろう)、”既にそこにあるもの”。
「文化の震度」。深さ、断裂、蠢き、揺さぶり。
赤瀬川源平
ゴミ。

そう、なんにもないところからはじまる。









本「星新一 一〇〇一話をつくった人」最相葉月5


星新一 一〇〇一話をつくった人
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書評/ルポルタージュ



この抜け殻を見よ。私から目を逸らすな ― と。
  〜「第十二章 東京に原爆を!」より
SF(サイエンス・フィクション)作家の第一人者、ショートショート(掌編小説)の神様、”星 新一”(本名:星 親一、1926年9月6日-1997年12月30日)を、ノンフィクションライター”最相葉月”が書き記す。

SF小説の普及に心血を注ぎ、「ショートショート 一〇〇一篇をつくった」、歴史が生み出した偉大な日本を代表する小説家。その存在が、あまりにも威厳に満ち、背負うべき宿命が重大であり過ぎたが故に、昭和58年に前述の偉業を達成し、57歳にして第一線を退いた後、そして1997年の没後に積み重ねられ流れ往く歳月に、人々の記憶から徐々に姿が消え去ろうとしている現実に、”星親一”という男の生き様に、どうしても黙っていられなかった。後世に語り継ぐべき責務がある。と、最相葉月はその意義に駆り立てられて、過去の作品や遺品、関係者らの取材を重ねて書き上げた超大作。
”関係者百三十四人への取材と膨大な遺品から謎に満ちた実像に迫る決定版評伝”は、第29回講談社ノンフィクション賞を受賞。

背負うべき責務の大きさに、それでも黙って全てを受け容れて、ひとり耐え忍び続けた男”星親一”の71年の人生。どんなに辛いことだって、黙っていては誰にも伝わらなくって、誰も理解することができなくって、本人が辛いだけなんだけれども、辛いことを口にすることによって、その辛さの一片でも負担(辛さや苦しみ)が軽減されれば、本人だっても、どんなに気が楽になったでろう。辛さや痛みを分け合って、支え合って、協力して共に生きていく。そうして辛さや苦しみの淵から救われる、ごくごく当然の自然な在り方。それでも、その背負うべき責務の重大さが想像を絶するものであり、それが与えられた宿命であり、そのことを万一口にしてしまった相手への負担が甚大である場合、どうするべきであろうか。

星薬科大学の創立者で、星製薬(現 五反田TOC)の創業者”星 一”を父に、母方の祖父母は帝国大学医科大学長で解剖学者の小金井良精森鴎外の妹・小金井喜美子、そして自らは、東京大学農学部農芸学科を卒業、高級官吏採用試験である高等文官試験(現在の国家公務員I種試験)に合格するも、東大の大学院に進学し農芸化学を研究、ところが1951年(昭和26年)、24歳にして、父が急逝したため、父の会社を継ぐ。(〜Wikipediaより) と、まさにエリートと呼ぶに相応しい、厳しい選抜と高度な専門教育を受け、ある特定の方面に於ける役に立つよう、充分に訓練されている人間。

父親から帝王学を享受された記録が残っていなくても、宿された血であり、後ろ姿や立ち居振る舞いから、そして周囲の目が、星親一を”宿命”付ける。星親一の存在は、世の中のために、大きな何かを成し遂げるために宿された。本人の意識の有無にかかわらず、そんな宿命を背負った男の人生。
過去の出来事に”もしも”は有り得ないけれども、それでも、父星一の結婚がもっと順調に早く決まっていたならば、母靖との互いの諸事情が緊迫することなく見合い結婚をしていなかったならば、親一が長男として生まれ出でていなかったならば、星製薬が役人から不条理な扱いを受け業績が悪化することが無かったならば、戦争が無かったならば、高級官僚となっていたならば、父星一が急逝して会社を継ぐことが無かったならば、会社の業績悪化によって経営者としての地位を追われることが無かったならば、それでも遺されていた星薬科大学評議員という肩書き(収入)が無かったならば、文明が発達しきった現代に生まれ出でていたならば、SF小説が確立されていた時代に生まれ出でていたならば、、、ひとつでも、要件が欠けていたならば、全く異なる道での人生が歩まれていたであろう。
それでも、背負わされた宿命が故に、如何なる業界にあっても、第一人者としての働きが期待される。大成するか、重圧に耐え切れずに失脚するか、二者択一の烈しい人生、それも宿命。

運に恵まれ、時代の後押しがあったことも事実であろうが、それでも、唯一自らを絶対的に信じて、自らの道を突き進む。その頑ななまでの姿勢によって、結果的に切り拓かれた”道”。SFであり、ショートショートの作家としての地位、業界としての確立。道なき道を切り拓いて突き進む作業は、ひたすら自らとの闘い。誰も前を行く者の無い、まっさらな道。進むべき方向さえ、誰にも分からない。何処に向かって進んでいるのか、待ち受けているものが何であるのか、全く先が見えない状況において、信じられるのは自分自身のみ。決めた自分自身のみを信じて突き進む作業。万人に可能な作業ではない。エリートといわれる一握りの人間が、偶然であり、必然に導かれて、運命的に行われる作業。
小説家として身を立てる前の”親一”、小説家としての”新一”。偉業を成し遂げた後に、第一線を退き、家族らと余生を過ごす”親一”、極度にすり減らされた心身は病魔(癌)に蝕まれ、、、

凡人の私は、偉人の労苦を知る由も無く、ただただその恩恵に与る。


偉大な祖父、強い父と向き合い「過去の呪縛から解き放たれ、乗り越え、自由が生まれた」、伝記を書き記す作業。「明治・父・アメリカ」、『人民は弱し 官吏は強し』。

母”靖”の逝去。
かつて新一は、自死した友人への追悼文でこう書いていた。
「私は人生について深く考へる事は余り好きでない。 ・・・ 深く考へることに自分の性格が堪えられるかどうかが恐ろしいのである。」”

親一が、背中で感じ、心の拠り所とした絶大な存在。


 〜要素分解共鳴結合〜








何と、ブログ開設から丸一年。
明日が一歳の誕生日、「自分に、、、 オメデトウ♪」

「紙の空から -柴田元幸 訳」読みました。5


紙の空から
翻訳: 柴田 元幸
単行本: 334ページ
出版社: 晶文社 (2006/12)



”「わかってます、もちろんわかってます、夢によって不死身になれるわけじゃありません ― でも人生を、経験を倍にすることはできるんじゃないでしょうか ― 三倍、四倍、無限大にできるのでは?」
・・・
何と彼らしいことか、私の運命に及ぼした彼の最後の影響が、間違った道路に私を据えることだったとは。あるいは、道路は合っていたが方向が間違っていたとは。と、私は思いあたった。考えてみれば、行き先に関して私は彼に何も言わなかったのだ。たまたま最初にやって来たバスに、愚かにも何も考えずに乗ったのだ。”

 〜「夢博物館」より抜粋〜

”「だがもう許すべき時だ」と彼は言った。「君はそんなに心配しなくていい。君にもわかっている通り、過去のある種の物事は、結局は自分自身にはね返ってくる。とはいえ、すごく若かったころにやったことの責任を負わされるわけにはいかないさ。」”
 〜「日の暮れた村」より抜粋〜

”― わからない、とカフカは言った。わからないよ。”
 〜「ブレンシアの飛行機」より抜粋〜

”「自分の素性を忘れるなよ、小僧」と彼らは何度も僕に思い出させた。
僕がどういう人間なのか、彼らはすっかり見抜いていた。僕はろくに考えもせず、ニセモノになりたいと思ったわけだが、彼らのおかげでその願望は挫折したのである。”

 〜「恐ろしい楽園」より抜粋〜

”世界は自分のような人間のいる場所ではないと。
・・・
「ここならとにかく、誰とも争わずに済む」
・・・
「強い者が正義の名のもとに、弱い者を邪(よこしま)に抑えつける国に生きるよりはいいね」”

 〜「ヨナ」より抜粋〜

”・・・ これは安息日をきちんと守ったご褒美にもらった神の食物(マンマ)なのだと空想したことをメアリは思い出した。”
  〜「パラツキーマン」より抜粋〜

”・・・ 僕が生まれたことには、こんな放課後の茶番に呼び出されるよりもっと壮大な目的があるはずだ!
・・・
だが、そうはならない。架空の存在ビルをめぐる物語は、最後もまた、ロクな終わり方をしない。みんなあくびをしたり、配られたコピーをなくしてしまったり、わかんねえとぉという声を上げたりするばかり。
だから、ま、話題を変えて、ほかのことを話しましょう。”

 〜「僕の友達ビル」より抜粋〜

”― 富を、近代的な家を、大きな車を。・・・” 〜「アメリカン・ドリーム」より抜粋〜


何らかの意味での”旅”の物語たちは、海外で活躍されている作家ら14名により紡ぎ出され、翻訳家 柴田元幸が選んだ14篇の短篇小説。
季刊の旅行雑誌「PAPER SKY」なる媒体に連載されていたものが、一冊の本に纏められた、まさに選ばれし物語たち。

確か、この本を知ったのも、新潮社の月刊誌「旅 2007年03月号」であり、その中の企画「旅に持っていく本!」に紹介されていて、もしかしたら、違う月の号だったかもしれないのではあるが、その企画から手にした本っていうのが、私の中では結構ヒット作品ばかりだったりもして、流石に侮れないなと、ニタニタしてしまう。
アリス・マンロー「林檎の木の下で」茨木のり子「歳月」であり、野中柊「このベッドのうえ」であり、特に野中柊は、読了四作品、積読二作品…なのである。

そうそう、「道順」を書いているジュディ・バトニッツは、短篇小説集「空中スキップ」と、長編小説「イースターエッグに降る雪」を読了しているのではあるが、、、相変わらずの難解さに、正直、よくわからない、、、だったりしちゃう。


物語に描かれる世界は、当然に著者が全て異なるために様々ではあるのだけれども、それでも、社会の矛盾であったり、移民問題や、労働者階級、貧困や貧富の格差、高度資本主義経済社会が発展する過程において、失われたもの、生じた歪みであり、一方では日常的な、宗教や政治であり、家族であり、子供だったり、友人知人、ご近所さんだったりする。
時折顔をのぞかせる、アメリカンジョークというのか、ピリリとスパイスの効いたキツイ表現に、思わず失笑してしまう。それも文化なのであろう。


そして、「翻訳者あとがき」に書き記してある通り、
”物語を読むという営み自体、どんな物語であれ、一種旅に出るようなものだと言うことができるだろう。”
であり、
”刺激的な「未知との遭遇」を体験”
できる。


それはまた、この本の装丁にも篭められていて、ひとつひとつの物語ごとに、ひとり一人のイラストレーターが挿絵を織り込んでいる。物語を読み進める途中に、ふと目の前に現れる素敵なイラストは、妄想の世界に彩を加え、愉しい気分を加速させる。いずれのイラストも、とっても素敵ではあるのだが、特に私は、表表紙にも描かれている「はしもとようこ」が好き。シンプルな線のみで、単色の淡い色付けのみで描かれるイラストは、とことんシンプルなだけに、深みや味わいが浮かび上がる。


素敵な夢の世界・・・


【掲載作品リスト】
「プレシアの飛行機 - THE AEROPLANES AT BRESCIA」
   ガイ・ダヴェンポート - Guy Davenport
「道順 - DIRECTIONS」
   ジュディ・バトニッツ - Judy Budnitz
「すすり泣く子供 - THE WEEPING CHILD」
   ジェーン・ガーダム - Jane Gardam
「空飛ぶ絨毯 - FLYING CARPETS」
   スティーヴン・ミルハウザー - Steven Millhauser
「がっかりする人は多い - MANY ARE DISAPPOINTED」
   V.S.プリチェット - V.S.Pritchett
「恐ろしい楽園 - FEARFUL PARADISE」
   チャールズ・シミック - Chales Simic
「ヨナ - JONAH」
   ロジャー・パルバース - Roger Pulvers
「パラツキーマン - THE PALATSKI MAN」
   スチュアート・ダイベック - Stuart Dybek
「ツリーハウス+僕の友だちビル - TREE HOUSE and MY FRIEND BILL」
   バリー・ユアグロー - Barry Yourgrau
「夜走る人々 - THEY DRIVE BY NIGHT」
   マグナス・ミルズ - Magnus Mills
「アメリカン・ドリームズ - AMERICAN DREAM」
   ピーター・ケアリー - Peter Carey
「グランド・ホテル夜の旅+グランドホテル・ペニーアーケード - THE GRAND HOTEL NIGHT VOYAGE and THE GRAND HOTEL PENNY ARCADE」
   ロバート・クーヴァー - Robert Coover
「夢博物館 - A COMMODITY OF DREAMS」
   ハワード・ネメロフ - Howard Nemerrov Reader
「日の暮れた村 - A VILLAGE AFTER DARK」
   カズオ・イシグロ - Kazuo Ishiguro









「100万分の1の恋人 -榊邦彦」読みました。5


100万分の1の恋人
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書評/国内純文学



泣けて泣けて仕方がなかった。
辛くて痛くて、花粉症対策のマスクをしていることをいいことに、電車の中でも溢れる涙を堪え切れず、そして、昼間の住宅街を歩きながら嗚咽をあげて泣いた。
圧倒的に自己嫌悪に陥り、生きていることすら恥ずかしく思えて、込み上げる激しい感情を我慢することができなかった。

第二回 新潮エンターテイメント新人賞受賞作品。
”今すぐ大好きな人に会いに行きたくなる、極純のラブストーリー”
深い感動を覚えた。

死と病気(ハンチントン病)と恋愛と結婚と家族の愛と。


思うに、著者の私小説的部分が多分に含まれているのかしら?!
小説の中に表される生い立ちと家族との確執。
大学院まで”文学”を究め、現役の高校の国語の教員。
著者の深い深い想いに、私の心の震えが止まらない。

人間って残酷な生き物で、知らず知らずのうちに相手を深く傷付けていることが往々にしてある。 しかもそれが無意識のうちに行われて、相手が傷付いていることすら気が付かないことが多い。 無責任で本当にどうしようもない存在。
人間って必ず誰もが何かを抱えて生きていて、それが大きいか小さいかだけの違いしかない。 ある時、ふとそんなことに気が付いて、それから度々いたたまれない気持ちに苛まれる。 もう圧倒的に、自分自身の存在すら否定したくなる。 それでも、そんな思いをしてもなお、生きていかなければならないし、そんな思いをしているからこそ生きていかなければならない、とすら感じる。

”僕たちの時間を積み上げる”そんな努力が必要だ!
色々考えさせられる。
それでも最後には爽やかな心地好さが駆け抜けた。







「生きる意味 -椎名麟三」読みました。5

生きる意味

生きる意味 (1964年)
著者: 椎名 麟三
文庫: 206ページ
出版社: 社会思想社 (1964)



分かりやすくて、面白い!
衝撃を受けました。

図書館で、何気なく目にして、何となく手にして、どっぷりはまりました!

椎名 麟三 (1911-1973)、最近何かで目にして気になっていたんです。

ほんとうのほんとうの、ほんとうに深いところまで、突き詰めていく考え方、その思考方法について語っているところ、とっても抵抗無く、すっと沁み込んできました。

激しい痛みを、その心の内に抱き続け、それでもなお、懸命に生きた。

時代を超えて、人間の不変の原理原則を見た気がする。
不思議な出会いに感謝したい。



「バーボン・ストリート -沢木耕太郎」読みました。4


バーボン・ストリート
著者: 沢木耕太郎
文庫: 264ページ
出版社: 新潮社 (1989/05)



沢木 耕太郎、昭和59年10月刊行の作品です。
今から22年前、私は田舎の坊主頭の中学生でした(笑)。
当時、父親の仕事(転勤族だった)の関係で、静岡県に住んでいました。 中学生の頃の思い出というと・・・ あまりいい思いではないです・・・

ちょうど、自宅の「村上 春樹」の文庫本が一段落して、ふと手にしたのが、何年か前に「深夜特急」をワクワクしながら読み耽った、この「沢木 耕太郎」でした。
その後、図書館から借りてきた「村上 春樹」と併読しても、どちらも違和感無く読み進めることができました。

とにかく今は、色々な本を読んで、色々な人の経験、考え方に触れていきたい衝動に駆られています!
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