○定価: 本体760円+税
○ISBN: 978-4022737458
――北朝鮮の核保有容認にしろ、先制攻撃にしろ、「日米べったり」にこそ 真の危険が潜んでいる!――
トランプの「忠実なお供」と見られている日本。安全保障の根幹に触れる国家の危機が迫る今、日本人の基礎体力と感性の低下が、より深刻な事態を招いている。大国に割って入る知恵と戦略を持つにはどうすべきか。6者協議をはじめ、北朝鮮、中国と激しい外交交渉を行った元外務事務次官と人気作家が緊急ガチンコ対談!
≪目次: ≫
はじめに――日米一体路線への不安 (2017年11月14日 薮中三十二)
第1章 北朝鮮とアメリカ――今そこにある戦争の危機
日米「べったり」がはらむリスクとは?
●同じスクール同士のつき合い
●Shinzo, Let’s go together! の恐怖
●100万単位の死者が出るシミュレーション
●日本で国連軍会議が開かれている?
アメリカに日本はどう向き合うか?
●アメリカでは「部族間対立」が起きている
●日米の立場は同じではない
●CIAと「ロケットマン」の真意
国際情勢が緊迫する中、リーダーの役割は何か?
●「扱い」をめぐる日本とドイツの差
●首脳同士の「親密さ頼み」は危険
●首脳の役割が高まる時代
第2章 日本の上空を北朝鮮のミサイルが飛んだ日
あの日、政府はなぜ浮足立ったのか?
●国家存亡の危機?――日本政府の過剰反応
●だれも国際法を知らなかった?
●「戦闘行為」という言葉の意味
●本当の危機意識を持つとき
「なんとなく」ではなく、ハードエビデンスで分析する
●制裁効果が表れている証拠はあるか?
●北朝鮮が本当に破れかぶれになるとき
第3章 北朝鮮の核容認論と日本の核武装論
アメリカの論調「核保有やむなし」への異論
●恫喝外交がまかり通る危険
●自民党が封印したあの議論
●「北朝鮮のパキスタン化」の危機
●危機意識の持ち方、考え方
核をめぐる日本のシナリオとは何か?
●閣議決定された「核保有も核使用も憲法は禁止せず」
●ウラン濃縮とプルトニウム抽出が認められる国
●原発と核開発の基礎能力
●日本が核武装できない理由
●「非核1・5原則」で内閣総理大臣が核のボタンを押す?
第4章 小泉訪朝と6者協議――あのとき何が起きていたのか
2005年の非核化合意はなぜ破られたのか?
●外交交渉における戦略とは
●金正日が大嫌いだったプーチン
●小泉訪朝で示した金正日の本音
●北朝鮮をめぐる二つのパイプライン
●見逃された心理面からのアプローチ
●当事者なのに交渉には入れない
●最後は決裂してもいい
拉致問題でなぜ読み違えたのか?
●北朝鮮が初めて謝罪した日
●個人主義と合理主義
第5章 北朝鮮の真相――リーダーの頭の中、民衆の本音
金正恩の革命観の根底にあるものは何か?
●金正恩はロシア語にも通じている
●レーニンの革命モデルにもとづく
●初めて現れた「クーデター」という言葉
●朝鮮半島統一のその先
●ロシアが警戒する朝鮮ナショナリズム
北朝鮮の国民は現状をどう認識しているか?
●北朝鮮の民衆と終戦間際の日本
●大量消費社会の到来が体制崩壊につながる
●政権がはらむ自爆の可能性
経済発展と管理システムは両立できるのか?
●北朝鮮はなぜ潰れないのか
●クリスチャンとしての金日成
●中国で目の当たりにした経済発展
●北朝鮮崩壊、三つのシナリオ
第6章 変貌する中国とのつき合い方
肥大化する中国の自己イメージにどう向き合うか?
●中国が抱く「新秩序」のイメージ
●ナショナリズムが作る「敵のイメージ」
●中国の海洋進出が終わる日
日本から提案できることは何か?
●次官級協議でわかったこと
●南北でつけられた30分の時差
●「顔が見えたら撃てない」――国境警備隊司令官の言葉
第7章 海洋をめぐる戦い――尖閣問題と東シナ海
「尖閣問題」の本質とは何か?
●墓穴を掘った「係争のある島」
●猪瀬直樹副知事の「金集め」
●見たこともない人が習近平の隣に
●立ち消えになった清国との割譲案
●地理的関係がすぐに頭に浮かぶ
東シナ海での日中共同開発合意のメッセージ
●中間線での線引き
●取れるときに取らないと、一生取れない
●漁船衝突事件の真相
●日中の合意に慌てた韓国
●日本はもっと警護を固めた方がいい
第8章 二つの顔を使い分けるしたたかさ
「大義」とタテマエを使って優位に立てるか?
●「平和」を大義に中国を追い込める
●したたかにやればいい
●中国と東南アジア、二つの顔を使い分ける
●「テロとの戦い」と Win-Win ゲーム
中国にどこまで迫れるか?
●メンツ丸つぶれの中国
●「中国の核心」習近平の腹の中
●ユニラテラル会合? アメリカ一人ぼっち
アメリカにとって日本とは何か?
●アメリカは国内しか見えないのか?
●70年間の平和の重み
●何が本当にヤバいのか――交渉のツボを見抜く力
トランプの対北朝鮮問題への本気度は?
●トランプ大統領のアジア訪問、裏オモテ
●強いリーダーが好き――トランプ・習近平関係
おわりに――歴史的大転換を読み解く力 (2017年11月19日、曙橋(東京都新宿区)の自宅にて 佐藤 優)
≪著者: ≫ 藪中三十二 (やぶなか・みとじ) 1948年、大阪府生まれ。元外務事務次官、立命館大学特別招聘教授。大阪大学法学部中退。69年、外務省入省。73年、コーネル大学卒業。北米局第二課長、ジュネーブ国際機関日本政府代表部公使、在シカゴ日本領事、アジア大洋州局長、外務審議官(経済・政治担当)、外務事務次官などを歴任。2010年退官後、外務省顧問、大阪大学特任教授、グローバル人材を育成するための私塾「薮中塾グローバル寺子屋」主宰など多方面で活躍。著書に『国家の命運』(新潮新書)、『世界に負けない日本』『トランプ時代の日米新ルール』(共にPHP新書)など。
≪著者: ≫ 佐藤 優 (さとう・まさる) 1960年、東京都生まれ。作家、元外務省主任分析官、同志社大学神学部客員教授。同志社大学神学部卒業。同大大学院神学研究科修了。85年、外務省入省。在英日本国大使館、在ソ連邦日本国大使館などを経て、95年から外務省国際情報局分析第一課に勤務。北方領土交渉などで活躍。2002年、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕。09年、最高裁上告棄却。13年、執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失う。著書に『創価学会と平和主義』『超したたか勉強術』『使える地政学』『悪の正体』(いずれも朝日新書)など多数。