Gori ≒ ppdwy632

〈ぼく〉の思索の一回性の偶然性の実験場。

長谷川宏

本「幸福とは何か ソクラテスからアラン、ラッセルまで (中公新書2495)」長谷川宏5

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幸福とは何か――。この問いに哲学者たちはどう向き合ってきたのか。共同体の秩序と個人の衝突に直面した古代ギリシャのソクラテス、アリストテレスに始まり、道徳と幸福の対立を見据えたイギリス経験論のヒューム、アダム・スミス。さらに人類が世界大戦へと行きついた二〇世紀のアラン、ラッセルまで。ヘーゲル研究で知られる在野の哲学者が、日常の地平から西洋哲学史を捉えなおし、幸福のかたちを描き出す。


≪目次: ≫
まえがき

序章 幸福への問い
 「夜色楼台図」の情景/三好達治「雪」の祈り/静けさと平穏さ/身近さ/永田弘の「友人」/一人から一人への伝言/佐野洋子『一〇〇万回生きたねこ』の物語/最終の一行が語るもの

第一章 古代ギリシャ・ローマの幸福観――共同体と個人の分裂
 賢者ソロンの教え
1 ソクラテスの生きかた
 死刑執行の日/哲学者としてのふるまい/共同体の意思との対立/国法遵守の主張/市民との隔たり/新しい共同体/知への信頼
2 最高善――アリストテレス
 徳と幸福の関係/幸福は行動の目的か/幸福な子どもはいない/ソロンの幸福観を継ぐ/共同体の綻び/幸福は最上位のものか/テオーリア(観想)/「ゆるやかさ」の対極
3 エピクロスとセネカ
 アレクサンドロス大王の死/都市国家の衰退期/エピクロスの愛用語/人間における自然への着目/「快」の行きつくところ/ストア派とエピクロス派の近さ/セネカのにがい自省/類を異にする正義・善/徳・善の対極にある快楽

第二章 西洋近代の幸福論――道徳と幸福の対立
 なぜ中世を問わないのか
1 経験への執着――ヒューム
 ベーコンに始まる/人間の本性を問う/「印象」と「観念」/印象から経験の総体へ/革命的な思考の転換/道徳にまつわる経験/必然性と経験/自己のとらえかた/抽象的・一般的な思考への批判/幸福論への困難な道筋
2 共感と道徳秩序――アダム・スミス
 『道徳感情論』/共感とはなにか/道徳と日常の暮らし/幸福と日常の暮らし/『国富論』/分業というもの/都市と農村の商取引/社会の進歩/社会的存在としての人間
3 カントとベンサム
 『実践理性批判』の課題/道徳法則はどんな形か/自由・道徳と幸福のあいだ/道徳論に幸福論はない/「最大多数の最大幸福」へ/快楽と苦痛/拡大する経済活動のなかで/功利性とは/快楽・善・幸福の三位一体/『自由論』登場の背景

第三章 二〇世紀の幸福論――大戦の時代に
 世界大戦の時代
1 青い鳥の象徴するもの――メーテルリンク
 「思い出の国」/「夜の御殿」/何億羽ものにせの青い鳥/時代状況の軽薄さと残酷さ/幸福の存在への疑い/幸福を求めつづけること
2 健全なる精神――アラン
 心身の安定と祈り/観念過剰、感情過多への戒め/タイタニック号沈没事故/悲劇のイメージを超えて/困難な状況下での生きる力/小屋を作る石工のすがた/健全な精神/確固たる楽天主義/幸福になる義務/「プロポ」というスタイル/日常茶飯の出来事からの出発
3 常識の立場――ラッセル
 楽天的な世界観を後盾に/熱意というもの/外へと向かう興味/二〇世紀の現実観/回復すべき心の平衡/大地との触れ合い/退屈のなかに身を置く

終章 幸福論の現在
 室生犀星の郷愁/「人生相談」が映し出す現在/思考と論理の先にあるもの/近代世界と個人/質的変化をもたらすもの/幸福論の守備範囲

あとがき (二〇一八年二月二二日  長谷川 宏)


≪著者: ≫ 長谷川 宏 (はせがわ・ひろし) 1940年島根県生まれ。68年東京大学文学部哲学科博士課程単位取得退学。哲学者。自宅で学習塾を開くかたわら、原書でヘーゲルを読む会を主宰。一連のヘーゲルの翻訳に対し、ドイツ政府よりレッシング翻訳賞を受賞。著書、『日本精神史』(講談社、2015)、『新しいヘーゲル』(講談社現代新書、1997)、『高校生のための哲学入門』(ちくま新書、2007)、『生活を哲学する』(岩波書店、2008)ほか。訳書、『精神現象学』(ヘーゲル著、作品社、1998)、『歴史哲学講義』(ヘーゲル著、岩波文庫、1994)、『芸術の体系』(アラン著、光文社古典新訳文庫、2008)、『美術の物語』(ゴンブリッジ著、共訳、ファイドン、2007)ほか。


G.W.F.ヘーゲル 『法哲学講義  Vorlesungen uber Rechtsphilosophie 』(長谷川宏 訳、作品社、2000年) '13/11/29
ヘーゲル 『歴史哲学講義 〈下〉  Vorlesungen uber die Philosophie der Geschichte 』(長谷川宏 訳、岩波文庫、1994年) '12/11/09 , '08/12/20
ヘーゲル 『歴史哲学講義 〈上〉』(長谷川宏 訳、岩波文庫、1994年) '12/10/29 , '08/12/12
カール・マルクス 『経済学・哲学草稿  Ökonomisch-philosophisch Manuskripte, 1844 』(長谷川宏 訳、光文社古典新訳文庫、2010年) '10/07/24
ユルゲン・ハーバマス 『イデオロギーとしての技術と科学  Technik und Wissenschaft als Ideologie, 1968 』(長谷川宏 訳、平凡社ライブラリー、2000年) '09/02/20
アラン 『芸術の体系  le Systeme des beaux-arts, 1920 』(長谷川宏 訳、光文社古典新訳文庫、2008年) '08/09/17

長谷川宏 『ヘーゲルの歴史意識』(講談社学術文庫、1998年) '12/11/06
長谷川宏 『初期マルクスを読む』(岩波書店、2011年) '12/10/26
長谷川宏 『ことばへの道 言語意識の存在論』(講談社学術文庫、2012年) '12/09/18
長谷川宏 『同時代人サルトル』(講談社学術文庫、2001年) '09/03/09
長谷川宏 『丸山眞男をどう読むか』(講談社現代新書、2001年) '09/02/08
長谷川宏 『新しいヘーゲル』(講談社現代新書、1997年) '09/02/02
長谷川宏 『いまこそ読みたい哲学の名著 自分を変える思索のたのしみ』(光文社文庫、2007年) '09/01/31
長谷川宏 『ヘーゲル『精神現象学』入門』(講談社選書メチエ、1999年) '09/01/29
長谷川宏 『格闘する理性 ヘーゲル・ニーチェ・キルケゴール』(洋泉社MC新書、2008年) '09/01/27
長谷川宏 『生活を哲学する』(双書哲学塾、岩波書店、2008年) '09/01/20
長谷川宏 『高校生のための哲学入門』(ちくま新書、2007年) '09/01/12




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本「法哲学講義  Vorlesungen uber Rechtsphilosophie 」ヘーゲル、長谷川宏 訳5

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ヘーゲルGeorg Wilhelm Friedrich Hegel, 1770-1831)は1817・8年のハイデルベルグ大学に始まり1824・5年のベルリン大学に至るまで、都合5回の「法哲学講義」を行っているが、本書はそのベルリン大学での2年間にわたる最終講義をそのまま復元したもの。ヘーゲルはこれらの講義の教材として1820年に『法哲学要綱』を出版しており、講義はこれを参照しながら解説をする形で進められた。
これまで刊行された『法哲学』のテキストは、基礎文献たる『法哲学要綱』に各編者が様々な講義録から解説部分を要約して引用し、「補遺」として挿入したもの。そのため普通に通読するためには困難な、資料集のような形態であった。
講義をそのまま復元する本書はヘーゲル自身の生きた論理による『法哲学』の解説であり、国家ならびに法(正義)にかんするヘーゲルの最終到達点を示して従来のヘーゲル解釈の変更を迫る画期的な仕事である。


≪目次: ≫
『法哲学講義』 G. W. F. Hegel, Philosophie des Rechts nach der Vorlesungsnachschrift K.G.v. Griesheims 1824/25, herausge. v. K. -H. Ilting

 はじめに
  一、自然法と法学
  二、法哲学と実定法の理論
  三、歴史的な定義(法)論

序論 法(正義)の概念
  意思の概念
  章立て

第一部 抽象的な正義(法)
 第一章 財産
   A.所有
   B.物の使用
   C.財産の譲渡
 第二章 契約
 第三章 不法
   A.無邪気な不法
   B.詐欺
   C.強制と犯罪

第二部 道徳
 第一章 企てと責任
 第二章 意図としあわせ
 第三章 善と良心

第三部 共同体の論理
 第一章 家族
   A.結婚
   B.家族の財産
   C.子供の教育と家族の解体
 第二章 市民社会
   A.欲求の体系
     (a)欲求と満足のありかた
     (b)労働のありかた
     (c)財産
   B.司法活動
     (a)法律となった法(正義)
     (b)法律の現実性
     (c)裁判
   C.社会政策と職能集団
     (a)社会政策
     (b)職能集団
 第三章 国家
   A.国内法
    I.国内体制
       (a)君主制
       (b)統治権
       (c)立法権
    II.対外主権
   B.国際法
   C.世界史



『法哲学要綱』(主文) Grundlinien der Philosophie des Rechts
 まえがき
 序論 法(正義)の概念
 第一部 抽象的な正義(法)
 第二部 道徳
 第三部 共同体の論理



 人名索引
 訳者あとがき


[訳者: ] 長谷川宏 (はせがわ・ひろし) 1940年、島根県生まれ。1968年、東京大学文学部哲学科博士科修了。主要著書=『ヘーゲルの歴史意識』(紀伊國屋書店)、『格闘する理性』『同時代人サルトル』(河出書房新社)、『新しいヘーゲル』(講談社現代新書)。主要訳書=フッサール『経験と判断』、ヘーゲル『哲学史講義』(河出書房新社)、ヘーゲル『歴史哲学講義』(岩波文庫)。


ヘーゲル 『法の哲学 自然法と国家学の要綱 下巻 〈ヘーゲル全集9b〉』(上妻精/佐藤康邦/山田忠彰 訳、岩波書店、2001年) '13/08/24 , '12/09/26
ヘーゲル 『法の哲学 自然法と国家学の要綱 上巻    Grundlinien der Philosophie des Rechts, 1821 〈ヘーゲル全集9a〉』(上妻精/佐藤康邦/山田忠彰 訳、岩波書店、2000年) '13/08/20 , '12/09/23
ヘーゲル 『歴史哲学講義 〈下〉  Vorlesungen uber die Philosophie der Geschichte 』(長谷川宏 訳、岩波文庫、1994年) '12/11/09 , '08/12/20
ヘーゲル 『歴史哲学講義 〈上〉』(長谷川宏 訳、岩波文庫、1994年) '12/10/29 , '08/12/12

久保陽一 『ドイツ観念論とは何か カント、フィヒテ、ヘルダーリンを中心として』(ちくま学芸文庫、2012年) '13/03/05
岩崎武雄 『カントからヘーゲルへ』(UP選書、東京大学出版会、1997年) '12/12/31
長谷川宏 『ヘーゲルの歴史意識』(講談社学術文庫、1998年) '12/11/06
村岡晋一 『ドイツ観念論 カント・フィヒテ・シェリング・ヘーゲル』(講談社選書メチエ、2012年) '12/09/06
加藤尚武 編著 『ヘーゲル 「精神現象学」入門』(原崎道彦/伊坂青司/栗原隆/松山壽一/座小田豊/滝口清栄/山純 著、講談社学術文庫、2012年) '12/06/11
熊野純彦 『ヘーゲル 〈他なるもの〉をめぐる思考』(筑摩書房、2002年) '09/12/30
長谷川宏 『新しいヘーゲル』(講談社現代新書、1997年) '09/02/02
長谷川宏 『ヘーゲル『精神現象学』入門』(講談社選書メチエ、1999年) '09/01/29
長谷川宏 『格闘する理性 ヘーゲル・ニーチェ・キルケゴール』(洋泉社MC新書、2008年) '09/01/27

長谷川宏 『初期マルクスを読む』(岩波書店、2011年) '12/10/26
長谷川宏 『ことばへの道 言語意識の存在論』(講談社学術文庫、2012年) '12/09/18
カール・マルクス 『経済学・哲学草稿  Ökonomisch-philosophisch Manuskripte, 1844 』(長谷川宏 訳、光文社古典新訳文庫、2010年) '10/07/24
長谷川宏 『同時代人サルトル』(講談社学術文庫、2001年) '09/03/09
ユルゲン・ハーバマス 『イデオロギーとしての技術と科学  Technik und Wissenschaft als Ideologie, 1968 』(長谷川宏 訳、平凡社ライブラリー、2000年) '09/02/20
長谷川宏 『丸山眞男をどう読むか』(講談社現代新書、2001年) '09/02/08
長谷川宏 『いまこそ読みたい哲学の名著 自分を変える思索のたのしみ』(光文社文庫、2007年) '09/01/31
長谷川宏 『生活を哲学する』(双書哲学塾、岩波書店、2008年) '09/01/20
長谷川宏 『高校生のための哲学入門』(ちくま新書、2007年) '09/01/12
アラン 『芸術の体系  le Systeme des beaux-arts, 1920 』(長谷川宏 訳、光文社古典新訳文庫、2008年) '08/09/17



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本「歴史哲学講義 〈下〉  Vorlesungen uber die Philosophie der Geschichte (岩波文庫)」ヘーゲル、長谷川宏 訳5

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歴史哲学講義〈下〉 (岩波文庫)
歴史哲学講義 〈下〉  G. W. F. Hegel: “Vorlesungen über die Philosophie der Geschichte” (岩波文庫)

○著者: ヘーゲル長谷川宏
○出版: 岩波書店 (1994/8, 文庫 381ページ)
○定価: 903円
○ISBN: 978-4003363003
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世界史を哲学的に考察する
世界史を理性のあゆみとしてあきらかにする、世界史を自由の発展の過程として描きだす
ヨーロッパ近代という同時代の社会の動向、その近代を代表する大事件として、宗教改革と啓蒙思想とフランス革命の三つ、そうした事件に底流する自由と理性の胎動、、、個人の自由と人権を確立し、理想的な国家を建設することがヨーロッパ近代の歴史的課題であり、その課題をゆるぎなく実現して見せるのが、ヘーゲル自身もそのなかに生きる、ヨーロッパ近代の歴史、であった、、、とは、おおむね巻末の「解説」より

ギリシャ、古代ギリシャ、あぁギリシャ


世界史の青年期として、その明るく新鮮な精神のもと、「個人」が形成されるギリシャ。「自由」という一般原理が姿を現すものの、精神の内実は貧しいローマ。そしてキリスト教の原理を体現すべく独特の発展を遂げるゲルマン世界。自由の理念の発展過程を追い、歴史のなかに神の存在を見いだすヘーゲルの弁神論は、ここに一応の完結をみる。


≪目次: ≫
第二部 ギリシャ世界
  第一篇 ギリシャ精神の諸要素
  第二篇 美しき個人の形成
    第一章 主観的芸術作品
    第二章 客観的芸術作品
    第三章 政治的芸術作品
  第三篇 外交の時代
    第一章 ペルシャ戦争
    第二章 アテネ
    第三章 スパルタ
    第四章 ペロポネソス戦争
    第五章 マケドニア王国
  第四篇 ギリシャ精神の没落

第三部 ローマ世界
  第一篇 第二回ポエニ戦争以前のローマ
    第一章 ローマ精神の諸要素
    第二章 第二回ポエニ戦争以前のローマ史
  第二篇 第二回ポエニ戦争から帝制成立までのローマ
  第三篇 帝制の時代
    第一章 帝制期のローマ
    第二章 キリスト教
    第三章 東ローマ帝国

第四部 ゲルマン世界
  第一篇 キリスト教=ゲルマン世界諸要素
    第一章 民族大移動
    第二章 イスラム教
    第三章 カール大帝のフランク王朝
  第二篇 中世
    第一章 封建制と位階組織
    第二章 十字軍の遠征
    第三章 封建制から君主制へ
    第四章 中世のおわりを告げる芸術と学問
  第三篇 近代
    第一章 宗教改革
    第二章 宗教改革が国家形成におよぼした影響
    第三章 啓蒙思想とフランス革命


解説 (一九九四年六月十三日  長谷川 宏)

「理性が世界を支配し、したがって世界の歴史も理性的に進行する」との確信にもとづき、世界精神の理性的かつ必然的なあゆみとしての世界史をヘーゲルは構想する。一八二二〜三一年に五回にわたって行われた講義を彼の死後に編集・整理したのが本書である。「語られたことば」であることを配慮した明快な訳文でおくる。


ヘーゲル 『歴史哲学講義 〈上〉  Vorlesungen uber die Philosophie der Geschichte 』(長谷川宏 訳、岩波文庫、1994年) '12/10/29
ヘーゲル 『法の哲学 自然法と国家学の要綱 下巻  Grundlinien der Philosophie des Rechts, 1821 〈ヘーゲル全集9b〉』(上妻精/佐藤康邦/山田忠彰 訳、岩波書店、2001年) '12/09/26
ヘーゲル 『法の哲学 自然法と国家学の要綱 上巻  Grundlinien der Philosophie des Rechts, 1821 〈ヘーゲル全集9a〉』(上妻精/佐藤康邦/山田忠彰 訳、岩波書店、2000年) '12/09/23
ヘーゲル 『歴史哲学講義 〈下〉  Vorlesungen uber die Philosophie der Geschichte 』(長谷川宏 訳、ワイド版岩波文庫、2003年) '08/12/20
ヘーゲル 『歴史哲学講義 〈上〉  Vorlesungen uber die Philosophie der Geschichte 』(長谷川宏 訳、ワイド版岩波文庫、2003年) '08/12/12

長谷川宏 『ヘーゲルの歴史意識』(講談社学術文庫、1998年) '12/11/06
長谷川宏 『新しいヘーゲル』(講談社現代新書、1997年) '09/02/02
長谷川宏 『ヘーゲル『精神現象学』入門』(講談社選書メチエ、1999年) '09/01/29
長谷川宏 『格闘する理性 ヘーゲル・ニーチェ・キルケゴール』(洋泉社MC新書、2008年) '09/01/27

村岡晋一 『ドイツ観念論 カント・フィヒテ・シェリング・ヘーゲル』(講談社選書メチエ、2012年) '12/09/06
加藤尚武 編著 『ヘーゲル 「精神現象学」入門』(原崎道彦/伊坂青司/栗原隆/松山壽一/座小田豊/滝口清栄/山純 著、講談社学術文庫、2012年) '12/06/11
熊野純彦 『ヘーゲル 〈他なるもの〉をめぐる思考』(筑摩書房、2002年) '09/12/30






 意識はここまでやってきました。のべてきたのは、自由の原理を実現していく主要な精神の形態です。世界史とは自由の概念の発展にほかならないのですから。が、客観的な自由の表現たる実在の法律は、形式的なものにすぎぬ偶然の意思の抑制を要求します。客観的な法そのものが理性的であれば、人びとの認識も理性にふさわしいものとなり、主観的な自由も社会に不可欠な要素となります。わたしたちは自由の概念の進展だけを追いかけ、幸不幸、民族の全盛期、個人の美しさと偉大さ、個人の喜怒哀楽こもごもの運命については、くわしくのべてみたい気持ちをしりぞけねばなりませんでした。哲学は、世界史にうつしだされた理念のかがやきしか相手としないもので、現実世界のうんざりするようなむきだしの情熱的行動については、考察の外におくほかはない。哲学の関心は、実現されてゆく理念の発展過程を、それも、自由の意識としてあらわれるほかない自由の理念の発達過程を、認識することにあるのです。
 歴史に登場する民族がつぎつぎと交替するなかで、世界史がそうした発展過程をたどり、そこで精神が現実に生成されていくこと――それこそが正真正銘の弁神論であり、歴史のなかに神の存在することを証明する事実です。理性的な洞察力だけが、聖霊と世界史の現実とを和解させうるし、日々の歴史的事実が神なしにはおこりえないということ、のみならず、歴史的事実がその本質からして神みずからの作品であることを認識するのです。  (p373-374、第四部 ゲルマン民族、第三篇 近代)

 ギリシャにやってくると、ただちに故郷にいるような気分になる。そこに精神の土台がしっかりあるからです。民族の起源や言語の派生のさまを追ってインドにまでさかのぼることは可能だが、精神の本格的な登場と真の再生は、ギリシャとともにはじまるといわねばなりません。わたしは以前にギリシャ世界を世界史の青年期になぞらえたことがありますが、といっても、それは、青年には将来にむけてのまじめな使命があり、いまだ未完成で未熟な身として、はるかな目的にむかって研鑽を積む必要がある、という意味でいったのではない。完成にはほど遠いまちがいだらけの青年期、、という意味ではなく、窮屈な分別くさい目的のための労働や労苦をに身をいれる必要がいまだなく、具体的で新鮮な精神生活を謳歌できるという意味での青年期、いいかえれば、肉体化された精神、ないし、精神化された感性として、精神的な統一のもとに感覚的な現在を生きるという意味での青年期になぞらえたかったのです。ギリシャに見られるのは、青年期の精神生活の新鮮にして明朗な情景です。ギリシャにいたってはじめて、精神は水からを意思と知の内容とするまでに成熟し、しかも、国家、家族、法、宗教が同時に個人の目的となり、個人はそれらにかかわることで個人としてみとめられる、という関係が成立しています。壮年期になると、ときには個人とての自分を犠牲にしてまでも、客観的な目的のために持続的にはたらかねばならないのですが。  (p8-9、第二部 ギリシャ世界)



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本「ヘーゲルの歴史意識 (講談社学術文庫1351)」長谷川宏5

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ヘーゲルの歴史意識 (講談社学術文庫)
ヘーゲルの歴史意識 (講談社学術文庫1351)

○著者: 長谷川 宏
○出版: 講談社 (1998/11, 文庫 217ページ)
○定価: 840円
○ISBN: 978-4061593510
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れしきいきし
ぼかぁさらいねん(らいねんがまにあわなかった、ぼんやりしていたから)そつぎょけんきゅでへーげるとかんとをじくとしたろんぶんをかく(こだいぎりしゃといぎりすけいけん、ろんこうりしゅぎとかからめたい)、よていでいるんだけれども、じぶんじしんできめた(きょうじゅにがくしゅそうだんした)、ただただとにもかくにもとりあえずのところきめた、きめたのだけれどもきまった(さだまった)ものなのかどうかは、じぶんじしんでもよくわからない、じぶんじしんでよくわからない(などと言ってしまう)のは、そりゃ未知のことにチャレンジするのだから、むしろ分かる方がオカシイようなモノなんだろうけれども、まぁやれるところまでぼくとしてはおこたりなくチャレンジする(いどみつづける)だけのことであって、おおむねぼくじしん(だから他人様にしてみるならばもっともっとフツーに)、どうせ大したことなどなにができようか??!、とは、期待もなにもしちゃいないのだから、そもそも気ラクなモノで(あってしかるべき)、、、うしなうものなどなにもない、おそれることなどなにもない(アァキガオモイ……♪)


ルネサンス以来の西欧近代思想を論理学、自然哲学、精神哲学からなる体系に構築して、現代哲学の母胎となったヘーゲル哲学。本書はその形成と思想的遍歴を大著『精神現象学』や『民族宗教とキリスト教』などから探りつつ、筆者自らの思想を、啓蒙思想批判から古代ギリシアへの讃美に至る歴史意識の帰趨の中でとらえ直す。大学紛争の経験を通して「国家」と「自由」の問題を真撃に追求した意欲作。


≪目次: ≫
学術文庫版への序 (一九九八年八月二十二日)
新装版への序 (一九八一年十二月)

一 啓蒙的理性の克服
二 主観道徳から運命の必然へ
三 国家の現実性
四 フランス革命と自由
五 古代ギリシャ共和国――憧憬から歴史的把握へ――
六 歴史意識の帰趨


あとがき (一九七四年七月)
引用註

解説 滝口清栄 (一九九八年八月、法政大学講師)


≪著者: ≫ 長谷川 宏 (はせがわ ひろし) 1940年島根県生まれ。東京大学文学部哲学科博士課程修了。主著に『ことばへの道』『同時代人サルトル』『新しいヘーゲル』、訳書にフッサール『経験と判断』、ヘーゲル『哲学史講義』『歴史哲学講義』『美学講義』『精神現象学』等。

ヘーゲル 『歴史哲学講義 〈上〉  Vorlesungen uber die Philosophie der Geschichte 』(長谷川宏 訳、岩波文庫、1994年) '12/10/29
ヘーゲル 『法の哲学 自然法と国家学の要綱 下巻  Grundlinien der Philosophie des Rechts, 1821 〈ヘーゲル全集9b〉』(上妻精/佐藤康邦/山田忠彰 訳、岩波書店、2001年) '12/09/26
ヘーゲル 『法の哲学 自然法と国家学の要綱 上巻  Grundlinien der Philosophie des Rechts, 1821 〈ヘーゲル全集9a〉』(上妻精/佐藤康邦/山田忠彰 訳、岩波書店、2000年) '12/09/23
ヘーゲル 『歴史哲学講義 〈下〉  Vorlesungen uber die Philosophie der Geschichte 』(長谷川宏 訳、ワイド版岩波文庫、2003年) '08/12/20
ヘーゲル 『歴史哲学講義 〈上〉  Vorlesungen uber die Philosophie der Geschichte 』(長谷川宏 訳、ワイド版岩波文庫、2003年) '08/12/12

長谷川宏 『新しいヘーゲル』(講談社現代新書、1997年) '09/02/02
長谷川宏 『ヘーゲル『精神現象学』入門』(講談社選書メチエ、1999年) '09/01/29
長谷川宏 『格闘する理性 ヘーゲル・ニーチェ・キルケゴール』(洋泉社MC新書、2008年) '09/01/27

村岡晋一 『ドイツ観念論 カント・フィヒテ・シェリング・ヘーゲル』(講談社選書メチエ、2012年) '12/09/06
加藤尚武 編著 『ヘーゲル 「精神現象学」入門』(原崎道彦/伊坂青司/栗原隆/松山壽一/座小田豊/滝口清栄/山純 著、講談社学術文庫、2012年) '12/06/11
熊野純彦 『ヘーゲル 〈他なるもの〉をめぐる思考』(筑摩書房、2002年) '09/12/30





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本「歴史哲学講義 〈上〉 (岩波文庫)」ヘーゲル、長谷川宏 訳5

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歴史哲学講義 (上) (岩波文庫)
歴史哲学講義 〈上〉  G. W. F. Hegel: “Vorlesungen über die Philosophie der Geschichte” (岩波文庫)

○著者: ヘーゲル長谷川宏
○出版: 岩波書店 (1994/6, 文庫 363ページ)
○定価: 945円
○ISBN: 978-4003362990
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ぼくが手にしている(読んだ)のは、第21刷 2008年4月 発行版(もちろん図書館で借りた)
Vorlesungen über die Philosophie der Geschichte

まるい月が空に照る夜、満月の前夜、月齢13.6


ヘーゲルGeorg Wilhelm Friedrich Hegel, 1770-1831)は歴史Geschichte)を通して歴史哲学Geschichtsphilosophie)に関心を持ち続けてきた。彼が構想したのは個別的な歴史記述ではなく、世界精神の自己発展としての哲学的な歴史であった。上巻には、そうして世界史のとらえかたの原理を説いた「序論」と、第一段階をなす東洋世界を考察する第一部を収録する。古典を今によみがえらせる達意の新訳。(全2冊)


≪目次: ≫
凡例

序論
 A 歴史のとらえ方
   (a) 事実そのままの歴史
   (b) 反省をくわえた歴史
   (c) 哲学的な歴史
 B 歴史における理性とはなにか
   (a) 精神の抽象的定義
   (b) 自由を実現する手段
   (c) 自由の実現体たる国家
 C 世界史のあゆみ
   (a) 発展の原理
   (b) 歴史のはじまり
   (c) 世界史のすすみかた
 D 世界史の地理的基礎
   (a) 新世界
   (b) 地理的条件
   (c) 旧世界
 E 世界史の時代区分

第一部 東洋世界
 第一篇 中国
 第二篇 インド
     (付録)仏教について
 第三篇 ペルシャ
   第一章 ゼンド民族
   第二章 アッシリア、バビロニア、メディア、ペルシャ
   第三章 ペルシャ帝国と帝国内の各地域
     一 ペルシャ
     二 シリアとセム族の住む小アジア
     三 ユダヤ
   第四章 エジプト
   第五章 ギリシャ世界への移行

「理性が世界を支配し、したがって世界の歴史も理性的に進行する」との確信にもとづき、世界精神の理性的かつ必然的なあゆみとしての世界史をヘーゲルは構想する。一八二二〜三一年に五回にわたって行われた講義を彼の死後に編集・整理したのが本書である。「語られたことば」であることを配慮した明快な訳文でおくる。


ヘーゲル 『歴史哲学講義 〈下〉  Vorlesungen uber die Philosophie der Geschichte 』(長谷川宏 訳、ワイド版岩波文庫、2003年) '08/12/20
ヘーゲル 『歴史哲学講義 〈上〉  Vorlesungen uber die Philosophie der Geschichte 』(長谷川宏 訳、ワイド版岩波文庫、2003年) '08/12/12
ヘーゲル 『法の哲学 自然法と国家学の要綱 下巻  Grundlinien der Philosophie des Rechts, 1821 〈ヘーゲル全集9b〉』(上妻精/佐藤康邦/山田忠彰 訳、岩波書店、2001年) '12/09/26
ヘーゲル 『法の哲学 自然法と国家学の要綱 上巻  Grundlinien der Philosophie des Rechts, 1821 〈ヘーゲル全集9a〉』(上妻精/佐藤康邦/山田忠彰 訳、岩波書店、2000年) '12/09/23

長谷川宏 『新しいヘーゲル』(講談社現代新書、1997年) '09/02/02
長谷川宏 『ヘーゲル『精神現象学』入門』(講談社選書メチエ、1999年) '09/01/29
長谷川宏 『格闘する理性 ヘーゲル・ニーチェ・キルケゴール』(洋泉社MC新書、2008年) '09/01/27

村岡晋一 『ドイツ観念論 カント・フィヒテ・シェリング・ヘーゲル』(講談社選書メチエ、2012年) '12/09/06
加藤尚武 編著 『ヘーゲル 「精神現象学」入門』(原崎道彦/伊坂青司/栗原隆/松山壽一/座小田豊/滝口清栄/山純 著、講談社学術文庫、2012年) '12/06/11
熊野純彦 『ヘーゲル 〈他なるもの〉をめぐる思考』(筑摩書房、2002年) '09/12/30





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本「初期マルクスを読む」長谷川宏5

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初期マルクスを読む
初期マルクスを読む

○著者: 長谷川 宏
○出版: 岩波書店 (2011/2, 単行本 216ページ)
○定価: 2,415
○ISBN: 978-4000234863
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なかなかどうにも、ぼくにはいまだによく分からないのだけれども(はたしていつか分かるようなときがくるのか、はたまたこないのか)、ドイツのいわゆるドイツ観念論といわれる哲学とかって


マルクスKarl Marx, 1818-1883)、その可能性と限界―― 六〇年代、政治の季節の、こわばり青ざめた顔に血を通わせる、人間マルクスへの接近。著者自身の翻訳によって、死、性愛、感覚、音楽などをめぐる、初期マルクス・アンソロジーを編む。疎外のむこうにマルクスが見て取った全人的人間像を探り、その人間観・自然観の変奏のプロセスを追う。人間解放のヴィジョンの再生のために。


≪目次: ≫
序章 マルクスとわたし

第一章 ヘーゲルからマルクスへ――マルクスのヘーゲル批判
大いなる転換期
現実への肯定感と体系的なるもの
ヘーゲル哲学の四つの基本的性格
近代の肯定と否定――マルクスのヘーゲル批判
初期マルクスの人間観・自然観
『ヘーゲル国法論の批判』
市民社会と政治的国家の非連続性
マルクスのユダヤ人問題
共産主義社会の原イメージ
人間の解放
【対話】

第二章 対自然・対人間――『経済学・哲学草稿』を読む1
『経済学・哲学草稿』の位置
疎外(Entfremdung)とはなにか
労働の価値と意味
労働の疎外と労働の人間性
自然と労働
自由な意識的活動としての労働
類的存在(Gattungswesen)、類的生活(Gattungsleben)
【対話】

第三章 全人的人間像――『経済学・哲学草稿』を読む2
青年マルクスの疎外論
私有財産と共産主義
社会的存在としての人間
男と女の関係
全面的な解放
社会性の交響
死と人間
全体性と多様性
感覚と社会性
音楽とマルクス
【対話】

第四章 社会変革に向かって――マルクスの人間観
その後のマルクス
人間と社会の土台としての自然
感覚の歴史性
社会性の構造
ことばと意識
関係の構造
土台と上部構造
社会変革のほうへ

終章 労働概念の変容
使用価値と交換価値
疎外の克服
【対話】


※本書は、岩波市民セミナーにおいて、「初期マルクスを読む」と題されて行われた四回にわたる連続講義を基礎に、大幅な加筆・改稿を経て成った。第一回、二〇〇九年五月一九日、第二回、五月二六日、第三回、六月二日、第四回、六月九日。


≪著者: ≫ 長谷川 宏 (はせがわ ひろし) 1940年生まれ。専攻は哲学。東京大学大学院博士課程単位取得退学後、大学アカデミズムを離れ、在野の哲学者として、多くの読書会・研究会を主宰する。また、41年間続く私塾・赤門塾は、ユニークな活動をもって知られる。主著、『ヘーゲルの歴史意識』(紀伊國屋書店、のち講談社学術文庫)、『ことばへの道――言語意識の存在論』(勁草書房)、『赤門塾通信きのふ・けふ・あす』(現代書館)、『黒田喜夫――村と革命のゆくえ』(未來社)、『同時代人サルトル』(河出書房新社、のち講談社学術文庫)、『ヘーゲルを読む』(河出書房新社)、『丸山眞男をどう読むか』(講談社現代新書)、『日常の地平から』(作品社)、『高校生のための哲学入門』(ちくま新書)、『生活を哲学する』(岩波書店)、『ちいさな哲学』(春風社)ほか。訳書、フッサール『経験と判断』(河出書房新社)、ヘーゲル『精神現象学』(作品社)、『哲学史講義』全3巻(河出書房新社)、『美学講義』全3巻(作品社)、『歴史哲学講義』全2巻(岩波文庫)、マルクス『経済学・哲学草稿』(光文社古典新訳文庫)など。


長谷川宏 『ことばへの道 言語意識の存在論』(講談社学術文庫、2012年) '12/09/18
カール・マルクス 『経済学・哲学草稿  Ökonomisch-philosophisch Manuskripte, 1844 』(長谷川宏 訳、光文社古典新訳文庫、2010年) '10/07/24
長谷川宏 『同時代人サルトル』(講談社学術文庫、2001年) '09/03/09
ユルゲン・ハーバマス 『イデオロギーとしての技術と科学  Technik und Wissenschaft als Ideologie, 1968 』(長谷川宏 訳、平凡社ライブラリー、2000年) '09/02/20
長谷川宏 『丸山眞男をどう読むか』(講談社現代新書、2001年) '09/02/08
長谷川宏 『新しいヘーゲル』(講談社現代新書、1997年) '09/02/02
長谷川宏 『いまこそ読みたい哲学の名著 自分を変える思索のたのしみ』(光文社文庫、2007年) '09/01/31
長谷川宏 『ヘーゲル『精神現象学』入門』(講談社選書メチエ、1999年) '09/01/29
長谷川宏 『格闘する理性 ヘーゲル・ニーチェ・キルケゴール』(洋泉社MC新書、2008年) '09/01/27
長谷川宏 『生活を哲学する』(双書哲学塾、岩波書店、2008年) '09/01/20
長谷川宏 『高校生のための哲学入門』(ちくま新書、2007年) '09/01/12
ヘーゲル 『歴史哲学講義 〈下〉  Vorlesungen uber die Philosophie der Geschichte 』(長谷川宏 訳、ワイド版岩波文庫、2003年) '08/12/20
ヘーゲル 『歴史哲学講義 〈上〉  Vorlesungen uber die Philosophie der Geschichte 』(長谷川宏 訳、ワイド版岩波文庫、2003年) '08/12/12
アラン 『芸術の体系  le Systeme des beaux-arts, 1920 』(長谷川宏 訳、光文社古典新訳文庫、2008年) '08/09/17






大豆を、水に浸すこと3時間、煮立ててアクとって、干し椎茸、昆布、ニンジン、レンコン、醤油とみりんを加えて、圧力鍋で煮込む、、、ほっぺたが落っこちるほど飛び抜けて美味しいモノでもないのだけれども、なによりコストパフォーマンスに優れ(冷蔵庫にタッパに入れて保存する)、ジッサイ食べてウレシイ(まいにち食べても飽きることがない)、なんなんだろう
半分に切って茹でたサツマイモとジャガイモと、カボチャの煮付け、それから、鳥の手羽元500g(7〜9本)を長ネギと生姜とニンニクと醤油とみりんで煮たモノ、適宜まとめてつくっておいて、ちょこちょことレンジでチンして、とか、食欲の秋


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本「ことばへの道 言語意識の存在論 (講談社学術文庫2127)」長谷川 宏5

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ことばへの道 言語意識の存在論 (講談社学術文庫)
ことばへの道 言語意識の存在論 (講談社学術文庫2127)

○著者: 長谷川 宏
○出版: 講談社 (2012/8, 文庫 384ページ)
○定価: 1,208円
○ISBN: 978-4062921275
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ことば、ことばへの道


共同性、宗教性、芸術性、規範性…… ことばと人間の本質を問い、哲学と詩を往還する、根源的な思索の書!
ことばを通して現実があらわれ、人間があらわれ、共同社会があらわれ、宗教があらわれ、芸術があらわれるという展望がなかったら、ことばを論ずる魅力はおそらく半減することだろう。――著者は「あとがき」でそう断じる。人として存在すること、社会のなかに在ることと、否応なくむすびついた「ことば」とはなにか。繊細でしなやかな哲学的洞察。


≪目次: ≫
学術文庫版へのまえがき (二〇一二年七月一日  長谷川 宏)
新装版への序 (一九九七年一月二十七日  長谷川 宏)

第一章 言語場の成立
 一 共同存在としての人間
 二 言語の普遍性
 三 言語の象徴性
 四 共同の場としての言語

第二章 表現の構成
 一 言語の宗教性
 二 話し手の位置
 三 言語の芸術性
 四 表現と沈黙

第三章 伝達の構成
 一 意味の実相
 二 音声と文字
 三 言語の規範性


あとがき (一九七八年八月)
人名索引


※本書の原本『ことばへの道』は一九七八年、勁草書房より刊行されました。文庫化にあたっては、新装版(一九九七年刊)を底本としました。


≪著者: ≫ 長谷川 宏 (はせがわ ひろし) 1940年生まれ。東京大学大学院博士課程(哲学)満期退学。在野で活動する哲学者。ヘーゲル『哲学史講義』『歴史哲学講義』『美学講義』などの、明解な新訳で注目される。主な著書に、『ヘーゲルの歴史意識』『同時代人サルトル』『哲学者の休日』など多数。

カール・マルクス 『経済学・哲学草稿  Ökonomisch-philosophisch Manuskripte, 1844 』(長谷川宏 訳、光文社古典新訳文庫、2010年) '10/07/24
長谷川宏 『同時代人サルトル』(講談社学術文庫、2001年) '09/03/09
ユルゲン・ハーバマス 『イデオロギーとしての技術と科学  Technik und Wissenschaft als Ideologie, 1968 』(長谷川宏 訳、平凡社ライブラリー、2000年) '09/02/20
長谷川宏 『丸山眞男をどう読むか』(講談社現代新書、2001年) '09/02/08
長谷川宏 『新しいヘーゲル』(講談社現代新書、1997年) '09/02/02
長谷川宏 『いまこそ読みたい哲学の名著 自分を変える思索のたのしみ』(光文社文庫、2007年) '09/01/31
長谷川宏 『ヘーゲル『精神現象学』入門』(講談社選書メチエ、1999年) '09/01/29
長谷川宏 『格闘する理性 ヘーゲル・ニーチェ・キルケゴール』(洋泉社MC新書、2008年) '09/01/27
長谷川宏 『生活を哲学する』(双書哲学塾、岩波書店、2008年) '09/01/20
長谷川宏 『高校生のための哲学入門』(ちくま新書、2007年) '09/01/12
ヘーゲル 『歴史哲学講義 〈下〉  Vorlesungen uber die Philosophie der Geschichte 』(長谷川宏 訳、ワイド版岩波文庫、2003年) '08/12/20
ヘーゲル 『歴史哲学講義 〈上〉  Vorlesungen uber die Philosophie der Geschichte 』(長谷川宏 訳、ワイド版岩波文庫、2003年) '08/12/12
アラン 『芸術の体系  le Systeme des beaux-arts, 1920 』(長谷川宏 訳、光文社古典新訳文庫、2008年) '08/09/17





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 ことばへの道にもまたことばが敷きつめられ、そしてわたしたちはことばによってその道をたどらなければならない。道は一本道ではない。いくつもの道が縦横に走り、そここで交叉する。交叉点に立って、さてどちらに行こうかと迷うこともしばしばで、迷いかたのうちにすでに言語の思想がのぞいている。どの道にいても、ことばにかかわっているという実感がしかと存在するが、同時に、無数の道がほかに引かれていることも強く意識される。こういう気分は、ことばにかかわる思索にとって、もっとも基本的な自己意識であるように思われる。
 さて、網の目のようなことばへの道をできるだけ系統的にたどろうというのが、この本のめざすところであった。それは、いいかえれば、いまいう自己意識にひとつの秩序をあたえる試みにほかならなかった。…… (「あとがき」、p374)




本「経済学・哲学草稿  Karl Marx: “Ökonomisch-philosophisch Manuskripte”1844. (光文社古典新訳文庫105)」カール・マルクス、長谷川宏 訳5

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経済学・哲学草稿 (光文社古典新訳文庫)
経済学・哲学草稿  Karl Marx: “Ökonomisch-philosophisch Manuskripte”1844. (光文社古典新訳文庫105)

○著者: カール・マルクス長谷川宏
○出版: 光文社 (2010/6, 文庫 295ページ)
○価格: 680円
○ISBN: 978-4334752064
おすすめ度: 4.5
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♪よぉ〜くかんがえてぇ〜おかねはだいじだよぉ〜♪
ぶっちゃけ、ぼくはお金儲けが下手くそで、大きなお金を手にする(身につく)ことはないみたい、もっとも、お金に困ることも、贅沢をしないで身の丈を考えた生活を営む分には、どうやらなんとかなるみたい。あればあったで使ってしまうのだけれども、果たしてホントに必要なのか?などと突き詰めて考えるには、たしかに消費は気持ち好い、快い、のだけれども、なければないで仕方がないから無理をして借金してまで消費する気はないのだけれども、、、ん〜、誘惑(欲)に克てる自信はないなぁ



勃興する資本主義を鋭く分析・批判し、のちに『資本論』に結実する経済学的思考。そしてヘーゲル批判から発し、労働の意味を肯定的に捉え直そうとする哲学的思考。この二つの思考が交わるところで、青年マルクスは革新的な思想を打ち立てた。


≪目次: ≫
まえがき
第一草稿   一、賃金/二、資本の利潤(1.資本/2.資本の利益/3.労働にたいする資本の支配と資本家の動機/4.資本の蓄積と資本家のあいだの競争)/三、地代/四、疎外された労働
第二草稿   一、私有財産の支配力
第三草稿   一、私有財産と労働/二、社会的存在としての人間/三、ヘーゲルの弁証法と哲学一般の批判/四、欲求と窮乏/五、分業/六、お金
付録 『精神現象学』の最終章「絶対知」からの抜き書き

解説 長谷川宏
マルクス年譜
訳者あとがき (二〇一〇年三月三日 長谷川宏)


≪著者: ≫ カール・マルクス Karl Marx [1818-1883] ドイツ(プロイセン)の哲学者・経済学者・革命家。思想家として現代にもっとも深い影響を与えた。「独仏年報」誌に「ヘーゲル法哲学批判・序説」「ユダヤ人問題のために」を発表。本書で私有財産の哲学的解明と労働疎外の問題に取り組んだのち、『経済学批判』『資本論』で資本主義の矛盾を鋭く分析、批判。20世紀の社会主義革命の思想的な礎を築いた。私生活ではつねに窮乏にあえぎ、相次いで幼い娘・息子を亡くすなど不遇をかこったが、親友エンゲルスの経済的援助を受けながら意欲的な執筆活動を続けた。1883年3月没。のちにエンゲルスが『資本論』第2、3巻を編集・刊行した。

[訳者] 長谷川宏 Hasegawa Hiroshi 1940年島根県生まれ。東京大学文学部哲学科博士課程単位取得退学。哲学者。著書に『高校生のための哲学入門』『新しいヘーゲル』『丸山眞男をどう読むか』『いまこそ読みたい哲学の名著』『生活を哲学する』『ことばをめぐる哲学の冒険』など。主な訳書に『精神現象学』『歴史哲学講義』『法哲学講義』『美学講義』(以上、ヘーゲル)、『経験と判断』(フッサール)、『芸術の体系』(アラン)などがある。

マルクス/エンゲルス 『新編輯版 ドイツ・イデオロギー』(廣松渉編訳、小林昌之補訳、ワイド版岩波文庫、2005年) '09/0713
マルクス/エンゲルス 『共産党宣言』(大内兵衛/向坂逸郎訳、岩波文庫、1971年) '08/08/17

廣松渉 『マルクス主義の理路 ヘーゲルからマルクスへ』(勁草書房、改装版2009年, 1974年) '09/08/07
フランシス・ウィーン 『マルクスの『資本論』』(中山元訳、名著誕生シリーズ、ポプラ社、2007年) '08/04/21
宇野弘蔵 『『資本論』と私』(櫻井毅解説、御茶の水書房、2008年) '08/03/30





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本「同時代人サルトル (講談社学術文庫)」長谷川 宏5

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同時代人サルトル (講談社学術文庫)
同時代人サルトル (講談社学術文庫)

○著者: 長谷川 宏
○出版: 講談社 (2001/8,文庫 364ページ)
○価格: 1,155円(品切重版未定)
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Jean-Paul Sartre, 1905-1980

仲たがいすることが「いっしょに生きていくためのもうひとつの生きかた」だといえるとすれば、逆に、仲よくすることはべつべつに生きるためのもうひとつの生きかただといえるかもしれない。すくなくともサルトルはさまざまな人びとと出会い、またわかれながら、そのように自分の孤独を生きていたように思われる。もっとも親しかったボーヴォワールとの関係においても、孤独の意識がもたらす距離は保たれていたのではなかろうか。『別れの儀式』で、ボーヴォワールを相手に自分の女性関係や性欲についてあけすけにかたるサルトルに、わたしはそのような距離を見てとれるように思う。  (P.43-P.44、1 サルトルの若さ、時代の若さ)

・・・知の普遍性に生きることが生活の安定をゆるがしかねない、という漠然たる恐怖感が広がっている。普遍的な知の分泌する批判の毒は、ゆとりと享楽の社会には、にがすぎるのだ。
そうした生活感覚が行きわたるなかで、知の普遍性をどうつらぬくか。おそらくそこに知識人たるもののもっとも現代的な課題がある。
課題の追求が知識人をさらに孤独に追いやるかもしれないが、それはさしたる問題ではない。問題は、孤独のなかで、なお社会とのあいだに現実に接点をもちうるかいなかにある。不用意に社会に身を投じれば、知識の普遍性は享楽の一種にすぎなくなるし、逆に身をかたくすれば、高踏の自己満足となる。
サルトルは多分に悲壮な思いをこめて知識人の孤独について語ったが、いま知の普遍性に生きようとするものに要求されるのは、現実との距離を測りつつ、孤独をさりげなく自然に生きることであるように思われる。  (P.125-P.126、)

(追記)書名『嘔吐』は、フランス語“La Nausée”の日本語訳として適切ではない。「嘔吐」の二字は第一義として「へどを吐くこと」を意味するが、ロカンタンはいちどもへどを吐いたりはしないし、サルトルもそんな意味で La Nausée といっているのではない。ここでの La Nausée は、存在の不条理がよびおこす不快感をいうもので、当然、「嘔気」とか「むかつき」といった訳語があてられるべきである。わたしは文中で、書名以外は「嘔気」をあてたが、書名だけは『嘔吐』がすっかり定着しているのであえて変更しなかった。以上、執筆中たえず気にかかっていたことを追記しておく。  (P.163-P.164、4 処女作『嘔吐』)

ひとりの人間がほかならぬその人間としてこの世に生きているという、その生きかたの根はどこにあるか。いいかえれば、ひとりの人間の人生の軌跡を根本的に左右するものはなにか。
先天的な資質ではない、環境でもない、才能でも良心でも愛でも努力でもない、とサルトルは考える。ひとりの人間をまさしくその人間たらしめる真価は、その人間の根源的選択にある。そうサルトルは考える。
根源的選択とはなにか。
ひとりの人間が社会の総体をむこうにまわして、それとどうかかわって生きていくか、その生きかたをみずから主体的にえらびとること――それが根源的選択である。たいせつなのは、そこにいたる過程がどれほど外的に強制されたように見えても、選択そのものがあくまで主体的になされるという点だ。ひとりの人間がある選択へと追いこまれること、その選択をあえておこなうこととのあいだには、因果の鎖によってはどうしても橋わたしできない深淵が横たわっていて、それは主体の決意によって飛び越えるほかはない。外界からの強制や拘束をおおいに受けつつも、選択はそのぎりぎりの極点で、強制や拘束をふりきるようにしてなされる。
こういう選択がひとりの人間の生涯を根本的に左右すると考えるのは、思えば、きわめてあやうい人生観だといわねばならない。因果の鎖といい、外界からの強制や拘束といい、それらは一面で生活上の確たるリアリティを構成するものにほかならず、それをふりきることは、人を空虚な地点に立たせずにはおかないのだから。そのとき人は否応なく不安や孤独に見まわれる。そして不安や孤独をのがれようとして、世間の常識や社会通念にたちもどろうとする。
それはそれでやむをえぬ処世術ともいえようが、サルトルにはそれがゆるせない。それがいかにも没主体的な自己欺瞞に見えるのだ。主体的に生きるべき人間が、われわれから主体性をふうじこめるように見えるのだ。
サルトルの人生観にしたがえば、人は不安や孤独に見まわれたとき、みずからそれに耐えなければならない。そして、まさしく不安と孤独のただなかで、選択し決意しなければならない。それがおこないえたときはじめて、人間は意識主体として生きているといえる。  (P.276-P.278、8 悪の弁証法)


本書は、雑誌『文藝』(一九八八年夏季号から一九九〇年冬季号まで)の九回にわたる連載評論に、加筆し、修正をほどこしたものである。
標題に「同時代人」という形容語を付したのは、サルトルの身近さをあらわすとともに、サルトルを論じつつ日本の戦後という自分の生きた時代をふりかえってみたい、という思いがあったからである。・・・  (P.356、あとがき)



≪目次: ≫
学術文庫版へのまえがき(二〇〇一年六月十日 長谷川 宏)
1 サルトルの若さ、時代の若さ
2 政治思想の視座
3 知識人の孤独
4 処女作『嘔吐』
5 混沌のなかの主体性
6 ヨーロッパ二十世紀のサルトル
7 歴史にむかって
8 悪の弁証法
9 戯曲のおもしろさ

あとがき(一九九四年五月十三日)
解説(桑田禮彰 駒澤大学教授)

*本書は、河出書房新社刊『同時代人サルトル』(一九九四年八月)を底本とした。


≪著者: ≫ 長谷川 宏 (はせがわ ひろし) 1940年、島根県生まれ。東京大学文学部卒業後,同大学大学院博士課程修了。専攻は哲学。ヘーゲルの斬新な翻訳により,ドイツ政府よりレッシング翻訳賞を受賞。著書に『ことばへの道』『新しいヘーゲル』『丸山眞男をどう読むか』など,訳書に『精神現象学』『歴史哲学講義』など,学術文庫にも『ヘーゲルの歴史認識』がある。


ワル




本「思索の淵にて 詩と哲学のデュオ」茨木のり子/長谷川 宏5

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思索の淵にて―詩と哲学のデュオ
思索の淵にて 詩と哲学のデュオ

○著者: 茨木のり子長谷川 宏
○出版: 近代出版 (2006/4,単行本 207ページ)
○価格: 1,890円
○ISBN: 978-4874021200
おすすめ度: 4.0
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はじめに、にあって、詩人 茨木のり子
「今までに読んできた詩のなかで、一番好きな詩を一篇、挙げるとすれば何になりますか?」
という質問を受けることがよくある。そんなとき、ふっと浮かんでくるのは、

   年をとる それは青春を
   歳月のなかで組織することだ

       ポール・エリュアール大岡信

という詩である。・・・  (P.2-P.3)


『落ちこぼれ』

落ちこぼれ
  和菓子の名につけたいようなやさしさ
落ちこぼれ
  いまは自嘲や出来そこないの謂(いい)
落ちこぼれないための
  ばかばかしくも切ない修業
落ちこぼれにこそ
  魅力も風合いも薫るのに
落ちこぼれの実
  いっぱい包容できるのが豊かな大地
それならお前が落ちこぼれろ
  はい 女としてはとっくに落ちこぼれ
落ちこぼれずに旨げに成って
  むざむざ食われてなるものか
落ちこぼれ
  結果ではなく
落ちこぼれ
  華々しい意志であれ  (P.70-P.71)

そう、「落ちこぼれ」


≪目次: ≫
はじめに――茨木のり子

〈茨木 詩・・・長谷川 散文〉
幾千年・・・ミイラ
鍵・・・天国の鍵
青年・・・孤独の顔
女の子のマーチ・・・子どものエネルギー
ある一行・・・絶望と希望
六月・・・季節感
行きずりの黒いエトランゼに・・・異文化体験
顔・・・他人の目
吹抜保・・・名前をつける
さくら・・・桜三題
落ちこぼれ・・・劣等感
わたしの叔父さん・・・ぼくの叔父さん
端午・・・子どもの生意気
大男のための子守唄・・・眠り
夏の声・・・いくじなしのミーちゃん
根府川の海・・・川下の海
スペイン・・・わがスペイン
寒雀・・・子どもの憎たらしさ
廃屋・・・過疎地の廃居
最上川岸・・・世襲
居酒屋にて・・・庶民の哀歓 
鄙ぶりの唄・・・歌って踊って
さゆ・・・湯と白湯
あのひとの棲む国・・・隣の国
四海波静・・・公式発言
わたしが一番きれいだったとき・・・戦争に抵抗する美意識
問い・・・人類の死滅
準備する・・・戦後の青春

おわりに――長谷川 宏(二〇〇五年十一月十七日)

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≪著者: ≫ 茨木のり子 1926年大阪府に生まれる。東邦大学薬学部卒業。1950年頃、少女時代からの文学への夢にむかい、詩作をはじめる。1953年、川崎洋氏とともに詩誌『櫂』を創刊。新たな同人とともに現在に至る。主な詩集に、『対話』『見えない配達夫』『鎮魂歌』『茨木のり子詩集』『人名詩集』『自分の感受性くらい』『寸志』『倚りかからず』他。主なエッセイ集に、『言の葉さやげ』『誌のこころを読む』『一本の茎の上に』他。

≪著者: ≫ 長谷川 宏 1940年、島根県平田市に生まれる。東京大学文学部哲学科博士課程修了。1970年、埼玉県所沢市に私塾「赤門塾」を開く。以後、塾で子供たちに勉強を教えながら、哲学研究に従事。主な著書に、『新しいヘーゲル』『丸山眞男をどう読むか』(講談社現代新書)、『ヘーゲルの歴史意識』『同時代人サルトル』(講談社学術文庫)、『ことばへの道』(頸草書房)他。主な翻訳書に、ヘーゲル『精神現象学』『美学講義』『法哲学講義』『論理学』(作品社)、『歴史哲学講義』(岩波文庫)他。


Daphne odora




本「イデオロギーとしての技術と科学  J&uuml;rgen Habermas, TECHNIK UND WISSENSCHAFT ALS >IDEOLOGIE< , edition suhrkamp, Frankfurt am Main 1968 (平凡社ライブラリー364)」ユルゲン・ハーバマス、長谷川宏 訳5

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イデオロギーとしての技術と科学 (平凡社ライブラリー)
イデオロギーとしての技術と科学  Jürgen Habermas, TECHNIK UND WISSENSCHAFT ALS >IDEOLOGIE< , edition suhrkamp, Frankfurt am Main 1968 (平凡社ライブラリー364)

○著者: ユルゲン・ハーバマス長谷川宏
○出版: 平凡社
○価格: 924円(品切)
○ISBN: 978-4582763645
おすすめ度: 4.5
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まえがきに、
「イデオロギーとしての技術と科学」という論文は、ヘルベルト・マルクーゼの展開したテーゼ、「工業技術の開放的な力――物を道具としてあつかう力――は開放をさまたげる桎梏に転化し、人間を道具としてあつかう力になっている」というテーゼに対決する意味をふくんでいる。  (P.7)
とあって、訳者あとがきに、
「まえがき」にものべられているように、本書はそれぞれ独立に書かれた五つの論文によって構成されるが、それらに一貫して底流するハーバマスの問題意識は、後期資本主義社会において生産機構にしっかりとはめこまれた技術と学問(科学)のイデオロギー性の告発にあるといえるだろう。
だが、技術や学問(科学)は、支配体制を理論的・観念的に正当化するという古典的な意味でのイデオロギーとただちに同一視はできない。現代における科学技術の異常な発展は、むしろそうした古典的イデオロギーの終焉を、あるいは社会全体の脱イデオロギー化を促進しているかに見える。熱っぽい空疎なイデオロギー闘争にかわって、冷たいが効果的な技術的合理性が、社会の、人間生活の、すみずみにまでその支配の手をのばしている。技術的合理性の拡大・深化というかたちをとるこうした脱イデオロギー現象こそ、もっとも現代的なイデオロギー現象なのだ、というのが著者ハーバマスの基本的な視点であり、標題でイデオロギーということばにつけられた括弧は、そうした逆説的な事態を表現するものにほかならない。  (P.207-P.208)
と説かれる。そして、岩崎稔による解説にあって、
それから三〇余年を経て、批判的に《いま》をとらえようというそうした試みは、どこまで有効なのだろうか。わたしたちはこの本をどのように読み直すことができるのだろう。  (P.213)



≪目次: ≫
まえがき (一九六八年八月、フランクフルト・アム・マイン ユルゲン・ハーバマス)
機]働と相互行為――ヘーゲルの「イエナ精神哲学」への註 一九六七年
供 劵ぅ妊ロギー〉としての技術と科学ヘルベルト・マルクーゼの古稀のために 一九六七年七月一九日)
掘ゝ蚕僂凌癖發伴匆馘生活世界 一九六五年
検\治の科学化と世論 一九六三年
后’Ъ韻抜愎 一九六五年
原註
訳者あとがき (一九七五年一一月)
平凡社ライブラリー版 訳者あとがき (二〇〇〇年七月三〇日 長谷川 宏)
解説――「相互行為」という問いを拓く/岩崎 稔(いわさき みのる、政治思想)
主要人名索引

*一九七〇年に初版が、一九七五年に改訳再版が、いずれも紀伊国屋書店から出たこの本が、こんどは平凡社ライブラリー版として世に出ることになった。 (P.211)


≪著者: ≫ ユルゲン・ハーバマス (Jürgen Habermas, 1929- ) M.ホルクハイマーT.W.アドルノに次ぐフランクフルト学派第2世代を代表する,ドイツの社会哲学者.『公共性の構造転換』(1962)によってハイデルベルク大学教授となり,まもなくフランクフルト大学教授として哲学と社会学を講じた.きわめて多産な著作活動のほかに,常に現役の社会哲学者として,歴史修正主義,ドイツ統一,湾岸戦争などの問題に積極的な発言を続け,ドイツのみならずヨーロッパの言論界に大きな影響力をもっている.その他の著書に,『認識と関心』(1968),『史的唯物論の再構築に向けて』(1976),『コミュニケーション行為の理論』(1981)などがある.


日本電波塔




本「しあわせのヒント」長谷川宏+摂子5

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しあわせのヒント
しあわせのヒント

○著者: 長谷川 宏摂子
○出版: 河出書房新社 (1997/8,単行本 188ページ)
○価格: 1,260円(品切・重版未定)
○ISBN: 978-4309241913
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幸福論♪、対談。
あぁ〜んもう(怒)!、せめて『幸福論』を読んだ後くらいは、不幸な心持ちになりたくないよぉ、と思わなくはないのだけれども、やっぱり腹立たしいことに腹立てずにいることができない。予定通りにことが進むことなんて、そうそうあるものではないことくらい、わかっていないわけではないんだけれども、冷静になって考えてみれば大したことではないことくらいは判断がつかないわけではないんだけれども、インターネット接続の不調が続いて、何度対応してもらっても改善されなくて、洗濯機の脱水が不調で、さらには図書館で場をわきまえない若いバカップルが、どう考えてもぼくのヤキモチ焼きや羨望や嫉妬でしかないんだけれども、ぺちゃくちゃいちゃいちゃとしゃべっているのが気になって気になって、そこはなんとかぼくが場所を移して怒りの爆発を回避したんだけれども、せっかくの休みは朝からどんより曇り空でうすら寒くてカメラもクロスバイクも出番がない。書きたいことは思うように書けない。これでは誰とも良好な人間関係を築くことはできない。ますますひとりになっていく。対話をするのはもっぱら自分自身とだけ。はぁ〜


≪目次: ≫
はじめに
1 しあわせな子どもはどこにいるか  「勉強せざる子どもは食うべからず」/「普通」がいちばんむずかしい/すべておとなが先取りしてる/現代の不幸/僕の前には道はある/僕の後ろには道は出来ない/ぼーっとしていられる時間がある子はしあわせ/おとなも子どもも、みんな不幸せで不健康/おたがいの呼吸をやわらげる/子どもはありがたい/いちばん大切なのは、楽しい時間をつくること/子どもがホッとできる場をつくりたい/居心地がいい場所だから塾は続く
2 赤門塾の二十五年をふりかえる  赤門塾ことはじめ/最初の子どもたち/はじまりのエネルギー/いまの子どもと昔の子ども/合宿を楽しむ/おとなも子どもものんびりできるものは続く/塾の行事について/演劇祭のエピソードから/子どもたちの力関係/勉強とは日常的なものだし、持続的なもの/勉強を要求する「かわいそうな世界」をつくらないこと/無理はしない、強制しない、でもつながりを確かめる/秩序づくりについて/しかりかたのテクニック/みんな、生真面目すぎる/身体的な距離って問題/秩序はあっても、窮屈にはしない/雰囲気づくりは大切/余裕があるのは、人数が少ないから
3 自分たちの体験から  子供のいる暮らしのなかで/町の学者から町のお父さんへ/男女の生活感覚の違い/母親の位置はむずかしい/町のお父さんは、快感だった/家族のしあわせとは/家の中のおきて/家族が距離をとりはじめるとき/家族が社会の単体として力をもっていない/人と人が近づく力のよりどころ/家族を育てるしあわせ/多角的に人間を融合する
4 地域とのかかわりかた  地域に向かってひらいていること/本格的だということは重要な要素/積極的に外の人も受けいれる/たわいのない文化は大切/子どもの環境を変えるために/読書会について/自分が思っていることを素直に出し合うよろこび/肩書ではない、人間のおもしろさ/いろんなタイプの人間がぶつかりあえばいい/対等なおもしろさを追求する
対談を終えて……長谷川 宏、長谷川摂子

*対談は、一九九六年冬から九七年春にかけて行われたものです。


≪著者: ≫
長谷川 宏 (はせがわ ひろし) 1940年、島根県生まれ。62年、東京大学文学部卒業。68年、東京大学大学院哲学科博士課程単位取得。70年、摂子と結婚。同年、埼玉県所沢市に赤門塾を開設。主要著書、『ヘーゲルの歴史意識』(紀伊国屋書店)、『ことばへの道』(勁草書房)、『赤門塾通信きのふ・けふ・あす』(現代書館)、『黒田嘉夫』(未来社)、『おとなと子どもの知的空間づくり』(明治図書)、『同時代人サルトル』『ヘーゲルを読む』(河出書房新社)など。主要訳書、フッサール『経験と判断』(河出書房新社)、ハーバマス『イデオロギーとしての技術と化学』(紀伊国屋書店)、ヘーゲル『哲学史講義』(河出書房新社)、『歴史哲学講義』(岩波文庫)、『美学講義』(作品社)

長谷川摂子 (はせがわ せつこ) 1944年、島根県生まれ。66年、東京外語大学フランス語学科卒業。69年、東京大学大学院哲学科中退。71〜77年、公立保育園で保母として勤務。78年、赤門こども文庫開設。主要著書、絵本『みず』『めっきらもっきらどおんどん』『きょだいなきょだいな』『ふしぎなやどや』(福音館書店)。評論、『こどもたちと絵本』(福音館書店)


Dianthus superbus var. longicalycinus




本「魂のみなもとへ 詩と哲学のデュオ (朝日文庫)」谷川俊太郎・長谷川 宏5

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魂のみなもとへ―詩と哲学のデュオ (朝日文庫 た 46-1) (朝日文庫)
魂のみなもとへ 詩と哲学のデュオ (朝日文庫)

○著者: 谷川俊太郎長谷川 宏
○出版: 朝日新聞社 (2007/5,文庫 205ページ)
○価格: 483円
○ISBN: 978-4022615343
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哲学者も詩人も、言葉を使って書いたり喋ったりするのが商売だが、哲学者が論理を武器とするのに対して、詩人は論理によっては、少なくとも通常の意味での論理によっては到達出来ないところに行こうとする。それがときに人を惑わすことになるのは、プラトンの昔も二一世紀の今も変わりないと思う。
(中略)
哲学者も詩人も、その考えや表現の根っこを毎日の生活に下ろしているのである。プラトンの言うイデアという考えだって、いきなり空中に出現したのではないだろう。日常のうちに生きながら、日常を超えたなにものかに向かおうとするところに、哲学者と詩人の接点がある。それを他者に伝えるのに、難解な哲学用語や詩語は必ずしも必要ではないと私は思う。魂のみなもとを探ろうとする心はどんな人間にもあるのだから。  (P.9-P.10、はじめに――谷川俊太郎)

とくに表記することをしていないんだけど、ぼくはこのブログでAmazonのアフィリエイト・プログラムをやっていて、たしか“本が好き!PJ”に参画したときからだから、記録をたどると2006年12月から約2年3ヵ月間。ところが埋め込まなくちゃいけないデータをキチンと反映させたのは、うっかりしていて、よくわからなくて、しばらく経った後のことで、それでもみすみす他人に組織に報酬を収奪(?!)されてしまうのであれば、ぼくがその与えられる報酬を得ることは正当なことであろうから、ぼくの労力にたいする対価というとちょっとニュアンスが違うんだけど、その報酬を第三者が得るものではないであろうという認識をもっている。積極的に公開して報酬を目的とする気もないので、わざわざ表記することもなく、むしろ表記することのわざとらしさというのか、ぼくを窓口として買って!、というのも違う気がするし、窓口になっているから買わないで!、というのはもっと違うような気がしている、というのが正直なところ。で、27ヵ月の成果として、ここまで書いちゃったら、ぼくとしては正直に公開しないと気が済まないんだけど、きっと誰もそんなことに興味がないことを少なからず承知していながらも続けると、2008年2月10日現在の売上が、45点、金45,867円で、紹介料 金1,446円が計上されている。ぼくが、ちゃんと数えていないけれど、多分1,000冊近く(投稿件数1,177件)の本を読んでなんらかの書くことを27ヵ月間継続してきたことの一つの結果として、どう判断するか?!、ぼくには正直なところ興味はない(報酬は書籍購入資金としたい)、とだけ言っておこう。しかし、45点もの商品が、本だけでなくCDなども、ぼくのこのブログを窓口として購入という商行為が生じたこと、取次することができたことに、その購入者が誰であるのかをぼくは知ることができない(はず?!)のではあるが、そのお礼を表したい対象の不明確さに戸惑いつつ、それでも見えないあなたに向かって、ありがとうございました♪、と本書にまったく無関連と思われる出来事を書き連ねたのは、昨日の売上商品が、詩人 茨木のり子「歳月 (花神社、2007/2)」で、レポートに表記されるのがタイトルだけなので、「歳月」とだけ短く記録された文字を見て連想されたのが、本書の共著者のひとりであり、最近好んで読んでいる“長谷川 宏”との共著書があったことで、それまでは働くことがなかった食指が起動して、早速図書館のweb検索サービスでチェックしたところ最寄りの図書館では貸し出し中だったので別の図書館で予約、そんなつながりから手にした一冊。「ことばあそび」と言うとちょっと違うのではあろうけれども、あそびが日常のハレの祝祭の特別な催しとしての側面もあったりして、短いことばに想いを詰めこむことによって拡がりをもって相手に伝える手法(?!)もあって、ことばを尽くして尽くして伝える手法があって、手法の違いこそあれ、コミュニティのコミュニケートする相手があってはじめてなされる。


≪目次: ≫
はじめに――谷川俊太郎
 〈谷川 詩/長谷川 散文〉
世界が愛してくれるので/世界とわたし
朝/1日はじまり
丁度その時/時の不思議さ
今日/好きと嫌いと
未来/竹竿
うつむく青年/青春
ひとりぼっち/男の一人ぼっち
忘れること/忘却と記憶
過ぎゆくもの/蒸気機関車
飛行機雲/青空の大きさ
ワクワク/ドキドキ
泣く/笑う
子どもは駈ける/駈ける子ども
家族の肖像/家庭
《希望に満ちた天使》1939/天使
ピアノ/黒塗りの家具
《選ばれた場所》1927/《選ばれた場所》1927
にわ/だれもいない
鳥羽 1/旅
ネロ――愛された小さな犬に/動物の死
じゃあね/別れ
川/流れる
がいこつ/骸骨
春/春うらら
森へ/森のなか
しぬまえにおじいさんのいったこと/結構な死にかた
ありんこ/虫とこども
心について/心に疲れる
《黄色い鳥のいる風景》1923/もののつながり
生きる/生かされてあること

おわりに――長谷川 宏
初出一覧

*本書は二〇〇一年九月、近代出版より発行されました。


≪著者: ≫
谷川俊太郎 (たにかわ しゅんたろう) 1931年、東京生まれ。1952年、第一詩集『二十億光年の孤独』を刊行。以来、現在まで数多くの詩集、エッセイ集、絵本、童話、翻訳書など幅広く作品を発表。2000年には『CD-ROM谷川俊太郎詩集』を刊行。主な詩集に『六十二のソネット』『ことばあそびうた』『空に小鳥がいなくなった日』他。主な翻訳に『マザー・グースのうた』『スヌーピー・ブック』他。エッセイ集に『風穴をあける』他。

長谷川 宏 (はせがわ ひろし) 1940年、島根県平田市生まれ。東京大学文学部哲学科博士課程修了。1970年、埼玉県所沢市に私塾「赤門塾」を開く。以後、子どもたちに勉強を教えながら、哲学研究に従事。主な著書に、『新しいヘーゲル』『丸山眞男をどう読むか』『同時代人サルトル』『哲学者の休日』『いまこそ読みたい哲学の名著』『日常の地平から』他。主な翻訳書にヘーゲルの『精神現象学』『美学講義』『法哲学講義』『歴史哲学講義』他。


蝋梅(ろうばい)の・・・




本「ことばをめぐる哲学の冒険」長谷川 宏5

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ことばをめぐる哲学の冒険
ことばをめぐる哲学の冒険

○著者: 長谷川 宏
○出版: 毎日新聞社 (2008/6,単行本 288ページ)
○価格: 1,890円
○ISBN: 978-4620318851
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思うに、「愛」に始まり「旅」に終わるこの本の執筆に当たって、わたしには古今東西のすぐれた表現のあいだを旅していくという思いがあった。足を使って歩く旅ではないが、多彩な表現をたずね歩く観念の旅にも希望の喜びのあることを願う気持ちはあって、『イタリア紀行』をもって全体を締めくくろうとは思っていた。筆を執りながらの旅は、当然にも、希望や喜びよりも苦労のほうがずっと大きかったが、なんとか終点にたどり着くことができた。 (P.286)

ぼくには哲学がなにであるのか、まだよくわからない、説明をすることができないのではあるけれども、どうやらその側面のひとつには、ことばあそび、というのか、ことばをなくしてなせない、ことばをつくしてなしえるいとなみ、との印象をいだいている。ぼくたちが日々なにげなく無意識のうちに使っていることばが、もしもなかったら?、なんて想像は、とても想像しえないんだけれども、そうしたらそうなったで本能的な適応性を発揮して、絵を描いたり、顔の表情やボディランゲージやらで、他者との意志の疎通を図るのであろうが、、、どんなに素晴らしい考えも、誰かに伝えることなくしては、少なからぬ他者の賛同を得て、広く世間に認知され、なんらかのかたちで後世にまで伝え遺されなければ、自己満足の域を超えない。

引用文献
第一章  「古事記」『日本古典文学大系新装版』岩波書店、一九九三年・「万葉集」『日本古典文学大系第四−第七』岩波書店、一九五七−一九六二年・木下順二「山の背くらべ」『木下順二作品集 第三巻』未来社、一九六三年・スタンダール/生島遼一、鈴木昭一郎 訳「恋愛論」『世界文学大系 二二巻』筑摩書房、一九六〇年・Alain, Definitions,Bibiothèque de la Pléiade, 1958 *森有正による邦訳がある。アラン『定義集』みすず書房、一九八八年
第二章  久保栄『火山灰地』新宿書房、二〇〇四年・深沢七郎『笛吹川』新潮文庫、一九六六年・「ルカによる福音書」『新共同訳新約聖書』日本聖書協会、一九八九年・吉野弘「I was born」『吉野弘詩集』思潮社現代詩文庫、一九六八年・三島由紀夫『仮面の告白』新潮文庫、一九五〇年・Hannah Arendt, The Origins of Totalitarianism, Harcourt Brace, 1979 *大久保和郎による邦訳がある。ハナ・アーレント『全体主義の起源1〜3 新装版』みすず書房、一九八一年・Hannnah Arendt, The Human Condition, The University of Chicago Press, 1958 *志水速雄による邦訳がある。ハンナ・アレント『人間の条件』ちくま学芸文庫、一九九四年
第三章  鶴屋南北『新潮日本古典集成 東海道四谷怪談』新潮社、一九八一年・柳田国男「妖怪談義」『定本 柳田国男集 第四巻』筑摩書房、一九六三年・「北野天神縁起」『日本思想大系20 寺社縁起』岩波書店、一九七五年・シェイクスピア/小田島雄志 訳『白水Uブックス シェイクスピア全集 ハムレット』白水社、一九八三年
第四章  ヘロドトス/平松千秋 訳『世界古典文学全集第10巻 歴史』筑摩書房、一九六七年・ホメーロス/呉茂一 訳「イーリアス」『世界古典文学全集第1巻 ホメーロス』筑摩書房、一九六四年・アリストパネス/高橋春繁 訳「平和」『世界古典文学全集第12巻 アリストパネス』筑摩書房、一九六四年・アリストパネス/高橋春繁 訳「女の平和」『世界古典文学全集第12巻 アリストパネス』筑摩書房、一九六四年・Immanuel Kant, Zum ewigen Frieden, Felix Meiner Verlag, 1992 *池内紀などによる邦訳がある。池内訳は、カント『永遠平和のために』集英社、二〇〇七年・小田実「「難死」の思想」『小田実評論撰 1』筑摩書房、二〇〇〇年・リゴーニ・ステルン/大久保昭男 訳『雪の中の軍曹』草思社、一九九四年・小川環樹 訳『老子』中公文庫、一九九七年
第五章  「伊勢物語」『日本古典文学大系 竹取物語 伊勢物語』岩波書店、一九九七年・菅江真澄/内田武志、宮本常一 編訳『菅江真澄遊覧記2』東洋文庫、一九六六年・Johann Wolfgang von Goethe, Italienische Reise, Karl Hanser Verlag, 1992 *相良守峯などによる邦訳がある。相良訳は、ゲーテ『イタリア紀行 上中下』岩波文庫、一九六〇年  (P.290-P.291)



≪目次: ≫
第一章 愛
第二章 誕生
第三章 亡霊
第四章 平和
第五章 旅
あとがき(二〇〇八年五月八日 長谷川 宏)
引用文献
人名索引


≪著者: ≫ 長谷川 宏 (はせがわ・ひろし) 哲学者。1940年、島根県生まれ。1968年、東京大学大学院哲学科博士課程単位取得退学。在野の哲学者として、小・中学生対象の学習塾「赤門塾」を開く傍ら、原書でヘーゲルを読む会を主宰。哲学書をはじめとする翻訳の仕事も多く、その平易な訳文に定評がある。1998年、ヘーゲルの『精神現象学』の翻訳により、ドイツ政府よりレッシング翻訳賞を受賞。ほか、主な訳書にヘーゲル『法哲学講座』『美学講座』。アラン『芸術の体系』など。近刊書に『格闘する理性 ヘーゲル・ニーチェ・キルケゴール』『高校生のための哲学入門』『いまこそ読みたい哲学の名著』『思索の淵にて 詩と哲学のデュオ』(共著)などがある。


カウントダウン!





人間の誕生は、生物学的な過程として見れば、哺乳類の雄と雌が交合し、精子と卵が合体して受精卵となり、その受精卵が雌の子宮内で成長し、月満ちて新生児として母胎の外へと出てくるということだ。また、社会的な過程として見れば、一組の男女がたがいに相手に惹かれるものを感じ、精神的・肉体的に交流を深め、自分たちの子どもをもち、育てることを決意し、出産へと至るということだ。・・・  (P.111、第二章 誕生)

本「丸山眞男をどう読むか (講談社現代新書1554)」長谷川 宏5

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丸山真男をどう読むか (講談社現代新書)
丸山眞男をどう読むか (講談社現代新書1554)

○著者: 長谷川 宏
○出版: 講談社 (2001/5,新書 235ページ)
○価格: 756円
ISBN: 978-4061495548
おすすめ度: 3.0
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丸山眞男 (1914-1996)がなに者であろうとも、ぼくがその名を知らなくても、、、長谷川 宏 (1940- )は一〇冊目(九作目)。
長谷川宏にして、「ずっと気にかかる存在」で、「何か割り切れぬものが残る」「座りのわるい存在」とは!?

そう、知らないから読む!、知りたいから!、ちゃんと理解したいから、本一冊読んだくらいではわかった気がしない、、、(しまった、思考停止……?!)


≪目次: ≫
第一章 知的社会と民衆の生活   戦中・戦後をつらぬくリベラリズム/知的社会の住人として/さわやかな応待/日常の場に働く知性/軍隊と高等学校/軍隊への嫌悪感/民衆の社会との切断/血の通わない兵隊像/知の開かれかた/エリート社会と民衆の生活/民衆への違和感
第二章 日本ファシズム論   行動する大学教授/「超国家主義の論理と心理」/天皇制国家の構造分析/権力者の矮小さ/異端の排除/自由な主体/西洋の概念との比較/「無規定的な個人」とは/自立した個人のたたかい/自由なる主体となった日本国民/インテリはなぜ自立できないか/日本のエリートの体制順応性
第三章 福沢諭吉と日本の近代化   福沢諭吉への評価/『文明論之概略』の哲学/「自由の弁証法」/「多事争論」/権力の偏重がもたらすもの/日本の近代化のイメージ/明六社の失敗/板垣退助の変節/「党勢拡大」が自由民権をつぶす/近代という時代と思想のあいだ/なぜ近代思想は根づかなかったか/文学の非政治性
第四章 日本政治思想史   政治思想史の「原型」/儒教のオプティミズム/秩序の制作者としての聖人/庶民と聖人のあいだを見ずに/本居宣長の方法意識/性急な町人文化批判/三つの「原型」論/「なりゆき」の歴史意識/思考様式に「原型」はあるか/政治意識の「原型」/まつる神、まつられる神/王法と仏法/鎌倉新仏教のダイナミズム/武士のエートス/武士団の個人主義
第五章 思想の流儀について   わからせようとする意志のない本/安保闘争と民衆の意識/学問のありかた/日常生活との緊張感/暮らしの側からの視点/知的社会と民衆の生活
あとがき(二〇〇一年四月十六日 長谷川 宏)


≪著者: ≫ 長谷川 宏 (はせがわ・ひろし) 一九四〇年、島根県生まれ。東京大学文学部哲学科博士課程修了。平明な日本語によるヘーゲルの翻訳で注目を集める。ヘーゲルの翻訳に『哲学史講義』(河出書房新社)、『美学講義』(作品社)など。著書に『ことばへの道』(勁草書房)、『哲学者の休日』(作品社)、『新しいヘーゲル』(講談社現代新書)などがある。


紫陽花の新芽



本「新しいヘーゲル (講談社現代新書1357)」長谷川宏5

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新しいヘーゲル (講談社現代新書)
新しいヘーゲル (講談社現代新書1357)

○著者: 長谷川 宏
○出版: 講談社 (1997/5,新書 201ページ)
○価格: 735円
○ISBN: 978-4061493575
おすすめ度: 4.0
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ヘーゲルは一八三一年十一月十四日、劇症コレラのために死去した。うまれたのが一七七〇年八月二十七日だから、六十一年と二ヵ月あまりの生涯だった。 (P.174)
Georg Wilhelm Friedrich Hegel


≪目次: ≫
第一章 ヘーゲルはむずかしいか?――弁証法入門
哲学が難解になる理由/難解な哲学用語/異物感を楽しむ/ひまわりの弁証法/社会の弁証法/自立した個人と共同体/対話の流儀の違い
第二章 『精神現象学』――魂の遍歴
文学的な、あまりに文学的な哲学書/『ヴィルヘルム・マイスター』との相似/「意識」は悪戦苦闘する/精神の表現としての学問/現実とわたりあう知/裸の「わたし」と裸の「もの」/非理性とのたたかいのなかで
第三章 世界の全体像――論理・自然・精神
世界の全体にむきあう姿勢/理性への信頼/「現実が理性的だ」/「倫理の学」の体系/必然性をめぐる空まわり/自然は精神より劣る/近代科学と自然観をつなぐ/網羅的であること
第四章 人類の叡知――芸術と宗教と学問と
芸術はなぜ人間活動の最高位か/古代ギリシャの美の理想/公共的な芸術、公共的な宗教/古典芸術からロマン芸術へ/芸術の王国の上に立つ宗教/強く大きな精神たれ
第五章 近代とはどういう時代か――日本と西洋
お手本のない近代化/「宗教改革」を支えた思考の力/一人で神とむきあう人間/啓蒙思想家たちの近代精神/「教養」と「教育」と「自己形成」/哲学が支配したフランス革命
第六章 ヘーゲル以後
キルケゴールの反発/個の出発点とキリスト者の最終到達点/若きマルクスのヘーゲル批判/二十世紀の思想とヘーゲル哲学/ナチズムの嘲笑に抗して

引用注
あとがき(一九九七年四月七日 長谷川 宏)


≪著者: ≫ 長谷川 宏 (はせがわ・ひろし) 一九四〇年、島根県県生まれ。六八年、東京大学文学部哲学科博士課程修了。主な著書は『ヘーゲルの歴史意識』(紀伊国屋書店)、『ことばへの道』(勁草書房)、『同時代人サルトル』(河出書房新社)など。また『哲学史講義』(河出書房新社)、『歴史哲学講義』(岩波文庫)、『美学講義』(作品社)は、画期的なヘーゲルの翻訳と評される。


オレンジの花




本「いまこそ読みたい哲学の名著 自分を変える思索のたのしみ (光文社文庫)」長谷川 宏5

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いまこそ読みたい哲学の名著  自分を変える思索のたのしみ (光文社文庫)
いまこそ読みたい哲学の名著 自分を変える思索のたのしみ
 (光文社文庫)

○著者: 長谷川 宏
○出版: 光文社 (2007/4,文庫 255ページ)
○価格: 520円
○ISBN: 978-4334742409
おすすめ度: 5.0
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自由な社会とは、矛盾に満ちた社会のことだ。
わたしがヘーゲル哲学から学んだ重要なものの見方の一つがそれだ。矛盾を突きつけられれば、人びとはそれを解決しようと努力を重ねる。その努力があらたな矛盾をうみだす。そのようにして前へとすすんでいくのが自由な社会だ。ヘーゲルはそう考えた。  (P.121、「自由な社会のむずかしさ」)

ドストエフスキーは「永久に」「孤独な存在であることを意識しなければならない」のだったが、孤独のなかで、まわりの世界への理解が深まり、とともに、下層の人びとへの信頼感が深まっていった。  (P.142、「小説家の獄中生活」)

愛は対等な関係のもとになりたつもの、信仰は下位のものが上位のものにたいしていだくもの、と二つを区別した上で、フォイエルバッハは愛こそが類としての人間を結ぶにふさわしい心性だと考える。そして、愛の深まりと広がりが、おのずと信仰を無用の心性として破棄するに至ると考える。類的な人間の無限の全体世界に神がとりこまれるということは、心性に即していえば、愛のうちに信仰が溶解していくことにほかならない。  (P.192、「無限なる人間存在」)



≪目次: ≫
機/祐
『幸福論』アラン――健全なる精神
リア王W・シェイクスピア――愚かさの魅力
方法序説デカルト――世間という大きな書物
供〇弸
饗宴プラトン――古代ギリシャのエロス
論語』――序列意識の根深さ
プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神マックス・ヴェーバー――歴史の奥を見る目
掘ー匆
社会契約論ルソー――人間への限りない信頼
自由論J・S・ミル――自由な社会のむずかしさ
死の家の記録ドストエフスキー――小説家の獄中生活
検/仰
告白アウグスティヌス――聖なるドラマ
パンセパスカル――隠れた神
『キリスト教の本質』フォイエルバッハ――無限なる人間存在
后“
悪の華ボードレール――美の王国
『色彩について』ウィトゲンシュタイン――色の現象学
『眼と精神』M・メルロ=ポンティ――世界の誕生

あとがき(二〇〇四年五月三十一日 長谷川 宏)
光文社文庫版へのあとがき(二〇〇七年二月十四日 長谷川 宏)
出典一覧
本書のおもなキーワード〈索引〉

*二〇〇四年七月 光文社刊


≪著者: ≫ 長谷川 宏 (はせがわ ひろし) 1940年島根県生まれ。東京大学文学部哲学科卒業、同大学大学院博士課程修了。哲学者。1974年『ヘーゲルの歴史意識』刊行。その後ヘーゲル主著作の翻訳活動に入る。主な訳書に『ヘーゲル哲学史講義』(上中下)、『精神現象学』ほか多数。主な著書に『哲学者の休日』『丸山眞男をどう読むか』などがある。


ネギとキャベツと・・・





本「ヘーゲル『精神現象学』入門 (講談社選書メチエ153)」長谷川宏5

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ヘーゲル『精神現象学』入門 (講談社選書メチエ)
ヘーゲル『精神現象学』入門 (講談社選書メチエ153)

○著者: 長谷川 宏
○出版: 講談社 (1999/3,単行本 238ページ)
○価格: 1,680円
○ISBN: 978-4062581530
おすすめ度: 4.0
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ヘーゲル(Georg Wilhelm Friedrich Hegel、1770-1831) 精神現象学』(Phänomenologie des Geistes、1807)

≪目次: ≫
第一章 『精神現象学』のむずかしさ  若いヘーゲルの気迫と気負い/「誕生の時代」のなかで/時代の総体と思想的に対決する/ヘーゲルの矛盾/ロマン主義批判と異端の覚悟/スピノザへの牽引と反発/否定・分裂・対立の重要性/安定した円に近いスピノザの世界/主体こそが真理である――ヘーゲルの世界観の核心/分裂は忌むべきことではない/ヘーゲルとアドルノの弁証法/はげしく動く現実、はげしく動く哲学
第二章 意識の根本性格  ヘーゲルの主体の思想/手さぐりの旅/意識の強靭な否定力/宿命としての不安/絶えず自己と世界を超えて/意識は外からながめられない/意識は運動しつづける/徹底した現実化ヘーゲル/絶対の真理はどこにあるか/意識の経験は後もどりできない/古い経験をふくみつつ、新しい経験は進行する
第三章 地図のない知の旅  絶望の道/『精神現象学』という旅/ヴィルヘルム・マイスターの旅/意識のなかを経験が通過する/万人がわたしであり、わたしが万人なのだ/古代ギリシャのポリスが意味するもの/ファウストとグレートヒェンの恋/引き裂かれたヘーゲルの思考/『群盗』の世界/心の掟が現実の掟となるとき/万人の万人にたいする闘い/ドン・キホーテの人物像/地図のない旅/逆流する歴史/歴史の森に足を踏み入れて
第四章 知の旅程  意識の経験の旅をたどる  1 意識・自己意識・理性  【1 感覚】 裸の意識と裸の対象がむきあう/ただあるということ/「このもの」から一般論経験へ/【2 知覚】 「このもの」から物へ/物の外へ/【3 科学的思考】 力のたわむれ/カントと物自体の世界/現象界と内面世界/数理を嫌ったヘーゲル/【4 生命】 運動体としての生命/根本衝動としての欲望/人と人との関係のありようを問う/【5 自己と他者】 二つの自己意識がむきあう/生死を賭けた闘争/主人と奴隷の弁証法/不幸な意識における内部分裂/【6 理性という境地】 幸福な理性/理性は自在に世界と交流する/2 精神の種々相  【1 理性から精神へ】 観察する理性/共同体にやすらう意識/共同体に亀裂が生じるとき/【2 古代ギリシャの共同体】 精神は共同体から生まれる/精神は意識化される/ヘーゲルがあこがれた古代ギリシャ/人間の掟と神の掟/【3 古代ローマの反共同】 ローマ――精神なき共同体/人間の自然なすがたとは/権力が諸個人を統合する/【4 疎外と教養】 二重の対立・矛盾/教養が個人に社会性を与える/高貴な意識と下賤な意識/社会批判の目/教養の深まり/【5 啓蒙思想とフランス革命】 啓蒙と信仰の対立/フランス革命とキリスト教をともに肯定する/教養の俗臭と血なまぐささを越えて/【6 道徳】 自由な内面をいかに確保するか/堂々めぐりをおわらせる/カントをさらに越えて/美しい魂の弁証法/3 宗教から哲学へ  主人公は集団の意識/【1 自然宗】 古代オリエントの宗教/ピラミッドとオベリスク/【2 芸術宗教】 芸術と宗教の一体性/芸術作品の三種類/ギリシャの神々/【3 啓示宗教】 新しい思想としてのキリスト教/キリスト教思想の独自性/無垢であっても善ではない/原罪神話を読みかえる/神と人の本性は同じ/イエスの脱神格化/【4 絶対知】 知の光がすべてをおおう/永遠の運動としての学問
第五章 思考の奇怪さについて  足元をゆさぶられる問い/老いを知らぬ新鮮な思考/ドイツ観念論をつきぬけるヘーゲル/ヘーゲルの戦闘宣言/同時代人の無理解/驚くべき巨大な知的好奇心

注・ブックガイド・あとがき(一九九九年一月八日 長谷川 宏)・索引


≪著者: ≫ 長谷川 宏 (はせがわ・ひろし) 一九四〇年、島根県生まれ。東京大学文学部卒業後、同大学大学院博士課程修了。専攻は、哲学。現在、「ヘーゲル翻訳革命」と評される斬新な翻訳に取り組み、ドイツ政府よりレッシング翻訳賞を受賞。著書に、『ヘーゲルの歴史意識』(講談社学術文庫)、『ことばへの道』(勁草書房)、『同時代人サルトル』(河出書房新書)、『新しいヘーゲル』(講談社現代新書)など、翻訳書に、『精神現象学』『美学講義』(ともに作品社)、『哲学史講義』(河出書房新書)、『歴史哲学講義』(岩波文庫)ほかがある。


ツブツブの実!?





*2009/2/4 追記(引用)
意識が個としての自分や、個としての「いま」、個としての「ここ」にこだわり、そこに最大限の価値を認めようとするとき、唯一無二の体験、とか、一回かぎりの経験、とか、後にも先にもない自分、といったものいいがなされる。
ヘーゲルは、意識の経験の一つの極限のかたちとして、「いま」と「ここ」の尖端でなりたつ経験を想定しながら、それを他の経験から切り離された唯一無二の経験とはとらえない。抽象化の極限にある無内容な経験であるがゆえに、かえって、どんな内容をもそこに盛りこむことのできる経験――そういう意味で一般的な経験――なのだというのが、「いま」と「ここ」からヘーゲルの導きだす論理である。その経験は「この人」の経験であるだけでなく、「どんな人」が、どんな場合にも経験できる経験だという意味でも、一般的な経験だということができる。  (P.103-P.104)

そもそも、ものを書くということが思考の暴走に歯どめをかけることなのだ。どんなによく知っていること、よく考えぬいたことでも、さてそれを文章に書きしるすとなると、あらためてどう書いたものかと構想を練る必要があるのは、思考することとものを書くこととのあいだに、容易に超えがたいへだたりがあるからである。
思考は自分だけを相手に展開することが可能で、自分さえ納得すればどんな逸脱も暴走もゆるされるが、文章に表現するとなるとそうはいかない。ことばというものは、一定の社会に共有される表現にないし伝達の規範であって、思考をことばで書きしるそうとすれば、そこにどうしても、自分の思考を他人の目で見るという過程が入ってこざるをえないのである。
思ったままを書く、などということはもともと不可能なことで、そんなつもりでペンを握っては、なにも書けはしない。書くことと思考することとの落差にさまざまな角度から光をあてたフランスのモラリスト、アランは、もの書きの心得は、思うように書くのではなく、書くように思うことだ、との至言を残している。  (P.220)

本「格闘する理性 ヘーゲル・ニーチェ・キルケゴール (洋泉社MC新書027)」長谷川 宏5

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格闘する理性―ヘーゲル・ニーチェ・キルケゴール (洋泉社MC新書)
格闘する理性 ヘーゲル・ニーチェ・キルケゴール (洋泉社MC新書027)

○著者: 長谷川 宏
○出版: 洋泉社 (2008/4,新書 236ページ)
○価格: 1,785円
○ISBN: 978-4862482488
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雑誌「文藝」に発表した三本の論文をまとめ、『格闘する理性――ヘーゲル、ニーチェ、キルケゴール』と題する単行本として世に出したのが一九八七年。それから二十一年の歳月を経て、同じ本があらたに新書版として世に出ることになった。感慨なきをえない。・・・  (P.226)

ヘーゲル(1770-1831)サルトル(1905-1980)のあいだ、ニーチェ(1844-1900)キルケゴール(1813-1855)マルクス(1818-1883)


≪目次: ≫
格闘する理性――ヘーゲル精神現象学』を読む
はじめに/1 悲劇の弁証法/2 クレオンとアンティゴネー/3 歴史における断絶と連続/4 キリスト教徒の対決/5 イエスの生と死/6 理性の格闘
反近代はいかにして可能か――ニーチェを読む
1 悪意の由来/2 アポロン対ディオニソス/3 反近代・反歴史/4 デカダンスへの目/5 道徳の奴隷性/6 美における救済
単独者の内面と外界――キルケゴール『死に至る病』
はじめに/1 単独者/2 絶望/3 死/4 信仰/5 書くこと

あとがき(一九八七年六月十日)
ヨーロッパ十九世紀をどう見るか――新書版へのやや長いあとがき(二〇〇八年二月二十二日  長谷川 宏)

*本書の原本は一九八七年八月、河出書房新社から刊行されました。


≪著者: ≫ 長谷川 宏 (はせがわ・ひろし) 1940年島根県生まれ。哲学者。東京大学文学部哲学科博士課程単位取得後退学。1970年、大学の研究室を離れ赤門塾を開き、小・中学生に勉強を教えながら、哲学研究に従事している。「ヘーゲル翻訳革命」と評される斬新な翻訳に取り組む。『精神現象学』の翻訳により1998年ドイツ政府よりレッシング翻訳賞を受賞。著書、『ヘーゲルの歴史意識』(講談社学術文庫)、『ことばへの道』(勁草書房)、『同時代人サルトル』(講談社学術文庫)、『丸山眞男をどう読むか』(講談社現代新書)、『いまこそ読みたい哲学の名著』(光文社文庫)。訳書、ヘーゲル『精神現象学』『法哲学講義』『美学講義』(以上、作品社)、ヘーゲル『歴史哲学講義』(岩波文庫)、フッサール『経験と判断』(河出書房新社)、アラン『芸術の体系』(光文社古典新訳文庫)など。







本「生活を哲学する (双書哲学塾15)」長谷川宏5

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生活を哲学する (双書哲学塾)
生活を哲学する (双書哲学塾15)

○著者: 長谷川宏
○出版: 岩波書店 (2008/9,単行本 159ページ)
○価格: 1,365円
○ISBN: 978-4000281591
おすすめ度: 4.0
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個人は自由になった分だけ孤独になったのです。自由と孤独とが表と裏になっているのが近代社会における個人のありのままのすがたです。  (P.137、「第6日 個人、家族、地域」)

ふと、あのとき(子供の頃であったり、最近であったり)に感じていた違和感というのか座りの悪さというか言いえぬ思いの、原因と言えるのかどうなのか断定はできないけれども、もしかしたら、そういうことだったのかなぁ、、、、などとボンヤリと思い浮かんできて考えたりすることがときどきあって、本を読んでいて集中力が途切れたとき、PCに向かっているとき、なんにも考えないときはないから、あのときのあれ(違和感や座りの悪さ)は自然な異常ではない正常な感情だったんだろうなぁ、などと考えてみて、それでもどうしても哀しい気分を拭い去ることはできない。あのとき苦しかった思いが消失することはないからね。さらには、日常生活において違和感を感じることが、最近ますます増えている、というか、明確に違和感を感じていながらも、その違和感や居場所のなさを不快に感じなくなってきているんだろうな、とも思っていて、だから違和感をそのまんま受け容れちゃっている。違和感を忌避して排除しようとして、どんなに抗ってみたところで、ぼくの能力なんてたかが知れているから、排除できない不甲斐ない自分にも苛立つ結果は火を見るより明らかで、そんな蟻地獄的な愚行をぼくは何度何度も繰り返し経験し続けてきた気がしている。


≪目次: ≫
講義の六日間 生活を哲学する
第1日 生活と哲学とのあいだ  日常と非日常/戦争とファンタジー――日常からの飛躍 その一/聖なるもの――日常からの飛躍 その二/イデアと「われ思う、ゆえにわれ在り」――日常からの飛躍 その三/日常への帰還
第2日 子育ての経験  孤独と自由――高校・大学・大学院の時代/塾と子育て――共に生きる時間へ/松田道雄の思想
第3日 大衆の原像とは  「知識人/大衆」という図式の転倒――吉本隆明/「生活の幅」と「工作者」――埴谷雄高谷川雁/原像へと還っていく/日々の暮らしこそ価値の源泉
第4日 晴れと褻(け)  日常の時と非日常の時/共同体の結びつきをたしかめる/個人が演出するイベントとなった「晴れ」/未知の共同体へ
第5日 夏合宿という生活経験  十泊十一日の褻/晴れの行事/信頼する・信頼される/自然体の生活/褻への執着
第6日 個人、家族、地域  近代の孤独と自由/「いじめ」の基本型/つながりを求めて、孤独をおそれず/情感の共有/さまざまな関係の網の目のなかで/自由と孤独と共同性を生きる


≪著者: ≫ 長谷川宏 1940年生まれ.専攻,哲学.東京大学大学院博士課程単位取得後,大学アカデミズムを離れ,在野の哲学者として,多くの読書会・研究会を主宰する.また,38年にわたって続いている私塾・赤門塾は,ユニークな活動をもって知られる.著書:『ヘーゲルの歴史意識』(講談社学術文庫),『ことばへの道――言語意識の存在論』(勁草書房),『赤門塾通信きのふ・けふ・あす』(現代書館),『黒田喜夫――村と革命のゆくえ』(未来社),『同時代人サルトル』(講談社学術文庫),『ヘーゲルを読む』(河出書房新社),『丸山眞男をどう読むか』(講談社現代新書),『日常の地平から』(作品社),『高校生のための哲学入門』(ちくま新書)ほか.


Larus




本「高校生のための哲学入門 (ちくま新書666)」長谷川 宏5

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高校生のための哲学入門 (ちくま新書)
高校生のための哲学入門 (ちくま新書666)

○著者: 長谷川 宏
○出版: 筑摩書房 (2007/7,新書 212ページ)
○価格: 735円
○ISBN: 978-4480063601
おすすめ度: 5.0
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ぼくが〈思索(論理的に筋道を立てて考えること)〉したことを、書き記しを試みるんだけど、〈教養(ヽ慳筺幅広い知識、精神の修養などを通して得られる創造的活力や心の豊かさ、物事に対する理解力。また、その手段としての学問・芸術・宗教などの精神活動。⊆匆饑験茲魃弔狆紊派要な文化に関する広い知識)〉が不足しているからであろう、まずは言葉の定義・意味で行き詰まることが少なくない、というか、ほとんど先に進まない、理論的に筋道を立てることができない。
数日前に三九歳の誕生日を迎えて(翌日に仕事で不動産売買の重要事項説明をした顧客に宅地建物取引主任者証記載の生年月日を見られて「おめでとう」と祝われ、恥ずかしかったけど正直に嬉しかった♪、のはそれが今年唯一の祝福だった。いまさら誕生日という年齢でもないのであろうが、それでもやっぱり、、、だったら普段からもう少し素直に可愛く生きたら?、できるものならそうしたい!?)、だからというわけでもないが、ブログのタイトルを変えた。「ふどうさんやさん」を掲げる必要性は、昨年の一〇月第三日曜日に宅地建物取引主任者資格試験が終了して(会社で講師をしたときに作成した全一五回の解説レジュメも)、すでに失していた。ぼくのことを日常生活で「Gori」と呼称する者は現在同僚に一人いる(写真の先輩)だけで、これまでにそう呼ばれた(あだ名された)ことがないわけでもないが明確な記憶にはない。だから、むしろWeb上で通用(ぼくを識別)する〈記号〉と言っていいのであろう。ぼくのブログのアドレス(http://blog.livedoor.jp/ppdwy632/)は、たしか自宅のインターネット環境を整備した時に提供されたと記憶しているのだが、語呂が悪くないと感じた!?ので、そのままときどき採用している〈記号〉。そもそも、ぼくが住民票や戸籍という制度上で使用(ぼくを識別)している〈名前〉だって、ある側面においては〈記号〉。それぞれの〈記号〉はすべて、〈ぼく〉という存在を表していて、そういう意味では同じようなものであり、しかしまったく異なる性質をも持ち合わせている。(どこかで読んだ受け売りである、きっと)
そんなことばかり考えて、本来思索を重ねて自らの言葉にしたいと考えていることが、ちっとも進まないぼくには、「入門」であり、もっといえば、不勉強であった「高校生」レベルから、基本の“き”から取り組む必要があろう。
著者“長谷川宏”は、思うところあって大学を去り(本書に記述あり)、小中学生を相手に学習塾の教師を三十七年間続けながら、在野の哲学者・翻訳者としても活躍する。ぼくにとっては、光文社古典新訳文庫にラインナップされた『芸術の体系 (アラン・ポー 著、2008/1)』で出会い(著者ポーが江戸川乱歩の命名由来であることも知らず)、しばらくして何気なくワイド版岩波文庫『歴史哲学講義〈上・下〉(ヘーゲル 著、2003/5)』と、翻訳著書に縁があって、いずれも「簡単(安易な理解)」とは程遠いところにある長大な著作でありながらも、丁寧に慎重に途切れることなく一歩一歩確実に前に進んでいる安定感(のようなもの?!)に、不思議な安心感を覚えた。略歴にある、学習塾を営む在野の哲学者、にも下世話?!ながらも興味を持った。だから、「高校生」を掲げられても、反感を抱くことなく(些細なことにも反応して闘いを挑む習性が発動することなく)、素直に「読もう、読みたい!」と思ったことを明確にしておこう。


≪目次: ≫
はじめに(二〇〇七年三月十六日  長谷川 宏
第1章 自分と向き合う
第2章 人と交わる
第3章 社会の目
第4章 遊ぶ
第5章 老いと死
第6章 芸術を楽しむ
第7章 宗教の遠さと近さ
第8章 知と思考の力


≪著者: ≫ 長谷川 宏 (はせがわ・ひろし) 1940年島根県生まれ。1968年、東京大学文学部哲学科博士課程修了。自宅で学習塾を開くかたわら、原書でヘーゲルを読む会を主宰するなど在野の哲学者として活躍。一連のヘーゲルの翻訳に対し、ドイツ政府よりレッシング翻訳賞を受賞。著書に『新しいヘーゲル』『丸山眞男をどう読むか』(講談社現代新書)、『ことばへの道』(勁草書房)、『いまこそ読みたい哲学の名著』(光文社文庫)など。ヘーゲルの訳書に『哲学史講義』(河出書房新社)、『歴史哲学講義』(岩波文庫)、『美学講義』『精神現象学』『法哲学講義』『論理学』『自然哲学』『精神哲学』(作品社)などがある。

歴史哲学講義 〈下〉 (ワイド版岩波文庫226、ヘーゲル 著、長谷川宏 訳、2003/5)』
歴史哲学講義 〈上〉 (ワイド版岩波文庫225、ヘーゲル 著、長谷川宏 訳、2003/5)』
芸術の体系 (光文社古典新訳文庫、アラン・ポー 著、長谷川宏 訳、2008/1)』


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本「歴史哲学講義 〈下〉 VORLESUNGEN &Uuml;BER DIE PHILOSOPHIE DER GESCHICHTE , G.W.F.Hegel (ワイド版岩波文庫226)」ヘーゲル、長谷川宏 訳5

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歴史哲学講義 (下) (ワイド版岩波文庫 (226))
歴史哲学講義 〈下〉 VORLESUNGEN ÜBER DIE PHILOSOPHIE DER GESCHICHTE , G.W.F.Hegel (ワイド版岩波文庫226)

○著者: ヘーゲル長谷川宏
○出版: 岩波書店 (2003/5,文庫 381ページ)
○価格: 1,365円 (品切重版未定)
○ISBN: 978-4000072267
おすすめ度: 5.0
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ヘーゲルはベルリン大学で「世界史の哲学」と題する半年単位の講義を、計五回おこなっている。いずれも冬学期(十月下旬開講・三月下旬閉講)の講義で、一八二二―二三年、二四―二五年、二六―二七年、二八―二九年、三〇―三一年の五回である。
この講義はヘーゲルの生前は活字になることがなく、ヘーゲルの死後、弟子のE・ガンスがヘーゲル自身の草稿と聴講者のノートをもとに編集した『歴史哲学講座』がまず一八三七年に出版され、三年後の一八四〇年、ガンス版を改訂増補した第二版が息子K・ヘーゲルの編集のもとに出版された。本書の底本としたグロックナー版ヘーゲル全集第十一巻は、K・ヘーゲル編集の第二版をそのまま採用している。  (P.375、「解説」)



≪目次: ≫
第二部 ギリシャ世界
第一篇 ギリシャ精神の諸要素
第二篇 美しき個人の形成

第一章 主観的芸術作品
第二章 客観的芸術作品
第三章 政治的芸術作品
第三篇 外交の時代
第一章 ペルシャ戦争
第二章 アテネ
第三章 スパルタ
第四章 ペロポネソス戦争
第五章 マケドニア王国
第四篇 ギリシャ精神の没落

第三部 ローマ世界
第一篇 第二回ポエニ戦争以前のローマ

第一章 ローマ精神の諸要素
第二章 第二回ポエニ戦争以前のローマ史
第二篇 第二回ポエニ戦争から帝制成立までのローマ
第三篇 帝制の時代

第一章 帝制期のローマ
第二章 キリスト教
第三章 東ローマ帝国

第四部 ゲルマン世界
第一篇 キリスト教=ゲルマン世界の諸要素

第一章 民族大移動
第二章 イスラム教
第三章 カール大帝フランク王国
第二篇 中世
第一章 封建制と位階組織
第二章 十字軍の遠征
第三章 封建支配から君主制
第四章 中世のおわりを告げる芸術と学問
第三篇 近代
第一章 宗教改革
第二章 宗教改革が国家形成におよぼした影響
第三章 啓蒙思想フランス革命

解説 (一九九四年六月十三日 長谷川宏


歴史哲学講義 〈上〉 (ワイド版岩波文庫225、ヘーゲル 著、長谷川宏 訳、2003/5)
芸術の体系 (光文社古典新訳文庫、アラン・ポー 著、長谷川宏 訳、2008/1)』

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本「歴史哲学講義 〈上〉 VORLESUNGEN &Uuml;BER DIE PHILOSOPHIE DER GESCHICHTE , G.W.F.Hegel (ワイド版岩波文庫225)」ヘーゲル、長谷川宏 訳5

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歴史哲学講義 〈上〉 VORLESUNGEN ÜBER DIE PHILOSOPHIE DER GESCHICHTE , G.W.F.Hegel (ワイド版岩波文庫225)
歴史哲学講義 〈上〉 VORLESUNGEN ÜBER DIE PHILOSOPHIE DER GESCHICHTE , G.W.F.Hegel (ワイド版岩波文庫225)

○著者: ヘーゲル長谷川宏
○出版: 岩波書店 (2003/5,文庫 363ページ)
○価格: 1,365円 (品切重版未定)
○ISBN: 978-4000072250
おすすめ度:4.5
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地理的な概観によって、世界史の一般的な特徴があきらかになりました。光をもたらす太陽は東方から昇ります。が、光は単純に自分と関係します。自分の内部にあって四方を照らす光は、同時に、主体として太陽のうちにある。日の出の情景は、盲人が突然目が見えるようになって、夜明けの光の生成と燃えあがる太陽をながめる場面として、しばしば思いえがかれます。純粋な明るさのなかですっかりわれをわすれてしまうというのが、最初にやってくる心からの感嘆のありさまです。が、太陽は上にむかい、感嘆の情はしだいに弱まります。まわりのものに目がいき、そこからさらにおのれの内面が見つめられて、ここに、外界と内面との関係があらわれてくる。人間は、なにもしないでただおどろいている状態から、なにかにはたらきかける状態へと移行し、夕方には、自分の内面の太陽にうながされて、建造物をつくりあげる。そして、夕方になってこの建造物をながめたとき、それは、朝早く遠くに見た太陽よりもすぐれたものに思える。建造物を見ることは、自分の精神と関係することであり、自由に関係することだからです。わたしたちがこのイメージをしっかりと保持すれば、そこにはすでに、精神の偉大な日々の労苦である世界史のあゆみがこめられています。
世界史は東から西へとむかいます。ヨーロッパな文句なく世界史のおわりであり、アジアははじまりなのですから。東それ自体はまったく相対的なものですが、世界史には絶対の東が存在する。というのも、地球は球形だが、歴史はそのまわりを円をえがいて回るわけではなく、むしろ、特定の東を出発点とするからで、それがアジアです。外界の物体である太陽はアジアに昇り、西に沈みます。とともに、自己意識という内面の太陽もアジアに昇り、高度なかがやきを広く行きわたらせます。世界死は野放図な自然のままの意志を訓練して、普遍的で主体的な自由へといたらしめる過程です。東洋は過去から現在にいたるまで、ひとりが自由であることを認識するにすぎず、ギリシャとローマの世界は特定の人びとが自由だと認識し、ゲルマン世界は万人が自由であることを認識します。したがって、世界史に見られる第一の政治形態は専制政治であり、第二が民主制および貴族制、第三が君主制です。 (P.175-P.176、序論「E世界史の時代区分」)


≪目次: ≫
凡例

序論
A 歴史のとらえかた

(a)事実そのままの歴史/(b)反省をくわえた歴史/(c)哲学的な歴史
B 歴史における理性とはなにか
(a)精神の抽象的定義/(b)自由を実現する手段/(c)自由の実現体たる国家
C 世界史のあゆみ
(a)発展の原理/(b)歴史のはじまり/(c)世界史のすすみかた
D 世界史の地理的基礎
(a)新世界/(b)地理的条件/(c)旧世界
E 世界史の時代区分

第一部 東洋世界
第一篇 中国
第二篇 インド

(付録)仏教について
第三篇 ペルシャ
第一章 ゼンド民族
第二章 アッシリアバビロニアメディア、ペルシャ
第三章 ペルシャ帝国と帝国内の各地域
一 ペルシャ/二 シリアセム族の住む小アジア/三 ユダヤ
第四章 エジプト
第五章 ギリシャ世界への移行


≪著者: ≫ ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル Georg Wilhelm Friedrich Hegel (1770-1831) ドイツの哲学者。ドイツ観念論を代表する思想家。

芸術の体系 (光文社古典新訳文庫、アラン・ポー 著、長谷川宏 訳、2008/1)』

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本「芸術の体系  Title:SYST&Egrave;ME DES BEAUX-ARTS 1926 Author:Alain (光文社古典新訳文庫)」アラン、長谷川宏 訳5

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芸術の体系  Title:SYSTÈME DES BEAUX-ARTS 1926 Author:Alain (光文社古典新訳文庫)

○著者: アラン長谷川宏
○出版: 光文社 (2008/1,文庫 544ページ)
○価格: 960円
○ISBN: 978-4334751470


一九一四年、第一次世界大戦が勃発し、フランスがドイツにたいして宣戦を布告すると、アランはみずから志願兵として前線に立つ決意を固めた。砲火のなかで戦争を考え、戦争の是非を判断する。それがアランのみずから選んだ道だった。従軍を決意した心境を、友人宛ての手紙のなかでアランはこう記している。「目の前に火事が起こったのと同じで、最大限可能なことは、言うまでもなく(詭弁は無用)武器を取ることだ。それが兵役を志願した理由だ。」
時にアランは四十六歳。召集本部は年齢を考えて軽微な勤務を用意するが、アランは重砲兵隊勤務を希望し、希望通り、重砲第三連隊に配属される。以降、一九一七年十月まで、およそ三年間の従軍生活を送った。
ヴェルダン付近の激戦に参加し、踝に傷を負って入院もしたが、そうした戦闘の合い間にアランはいくつもの原稿を書きつづけた。『芸術の体系』は、そのようにして書かれたものの一つだ。草稿は、従軍生活の最後の十か月、一九一七年一月八日から同年十月十六日にかけて書かれた。 (P.523-P.524、「解説/長谷川宏」)


≪目次: ≫
はじめに
第一章 創造的想像力

1 想像力/2 夢と夢想について/3 像と対象について/4 人体について/5 情念のなかの想像力/6 対象に固有の力について/7 素材について/8 儀式の作法について/9 自然に即した分類について/10 芸術の一覧表
第二章 ダンスと装飾
1 軍隊のダンスについて/2 馬術その他の芸術について/3 曲芸師について/4 愛のダンスについて/5 宗教的ダンスについて/6 衣装について/7 流行について/8 装飾について/9 礼儀について/10 快適と優雅さについて/11 人体の美しさについて
第三章 詩と雄弁
1 話されることば/2 記憶術としての詩について/3 詩と音響学について/4 詩のリズムについて/5 叙事詩について/6 哀歌について/7 瞑想詩について/8 寓話について/9 雄弁と音の響きについて/10 情念と雄弁について/11 説得の芸術について/12 雄弁の種類について
第四章 音楽

1 リズムのある音について/2 音とメロディについて/3 民謡について/4 合唱について/5 楽器について/6 ハーモニーについて/7 模倣と変奏と装飾について/8 音色とオーケストラについて/9 音楽の種類について/10 音楽的表現について
第五章 演劇
1 演劇の形式について/2 悲劇と運命について/3 登場人物の性格について/4 劇詩について/5 音楽劇について/6 朗踊と動きについて/7 涙について/8 笑いについて/9 喜劇の力について/10 情念の真実/11 喜劇の教訓について/12 パロディと道化音楽について
第六章 建築
1 動く芸術と動かぬ芸術について/2 遠近法について/3 形について/4 記号について/5 装飾について/6 家具について/7 都市について/8 民衆建築について/9 機械について/10 様式について予備的考察
第七章 彫刻
1 模倣とモデルについて/2 形の創作について/3 運動について/4 情念について/5 言語としての彫刻について/6 寓意について/7 衣装について/8 胸像について/9 裸体について/10 思考について
第八章 絵画
1 見かけについて/2 色について/3 形について/4 暴君の強制について/5 動きについて/6 肖像画について/7 感情について/8 象徴について/9 裸体について/10 風景について
第九章 デッサン
1 身ぶりと文字について/2 線について/3 運動について/4 形について/5 色のついたデッサンについて/6 思い出と創作について/7 逸話について/8 戯画について/9 二つの言語
第十章 散文
1 散文に固有の方法について/2 詩と散文について/3 散文と雄弁/4 散文の領域/5 歴史について/6 小説について/7 魂の状態について/8 登場人物について/9 小説における想像力の規制/10 小説における悲劇的なものについて/11 常套表現について/12 文体論
追記
機 屬呂犬瓩法廚砲弔い董伸供‖莪貍呂3――像について/掘‖萋鷯 とくに、ダンスについて/検‖荵余蓮宗酬歃僂諒類における音楽の位置について/后‖荵余呂9――音楽と理念について/此‖荵余蓮宗酬築としての音楽について/察‖菷章の4――構成について/次‖莇緇呂4――デッサンと肖像画について/宗‖莇緇呂5――パステル画について

解説/長谷川宏
アラン年譜
訳者あとがき


≪著者: ≫ アラン Alain (Emile-Auguste Chartier) [1868-1951] フランスの思想家。フランス各地の公立高等中学校で教師生活を送るかたわら、執筆活動を続ける。1903年、新聞で「プロポ」と題する短文の連載を始め、その後、この短文形式がアランの自由で柔軟な思想を表現する最適な形となった。1914年、46歳で第一次大戦に志願兵として従軍し、苛酷な戦場で『芸術の体系』を書く。1951年5月、文学国民大賞を受賞。同年6月、パリ西郊ヴェジネの自宅で死去。主な著書に『幸福論』『教育論』『文学についてのプロポ』『芸術二〇講』などがある。

[訳者] 長谷川宏 Hasegawa Hiroshi 1940年島根県生まれ。東京大学文学部哲学科博士課程単位取得退学。哲学者。著書に『高校生のための哲学入門』『新しいヘーゲル』『丸山真男をどう読むか』『いまこそ読みたい哲学の名著』など。主な訳書に『精神現象学』『歴史哲学講義』『法哲学講義』『美学講義』(ヘーゲル)、『経験と判断』(フッサール)などがある。


Cosmos bipinnatus




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