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単純な脳、複雑な「私」
単純な脳、複雑な「私」 または、自分を使い回しながら進化した脳をめぐる4つの講義

○著者: 池谷裕二
○出版: 朝日出版社 (2009/5, 単行本 421ページ)
○定価: 1,785円
○ISBN: 978-4255004327
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たとえばアウトリーチにその活動の是非に少なからぬ迷い(ゆらぎ)みたいなものがあって(なのかどうなのか)、どうなんだろう、なるほど(ひとつには)「愛」なのかもしれない


『進化しすぎた脳』を超える興奮! ため息が出るほど巧妙な脳のシステム。私とは何か。心はなぜ生まれるのか。高校生とともに脳科学の深海へ一気にダイブ。「今までで一番好きな作品」と自らが語る感動の講義録。

20年前に卒業した母校(静岡県立藤枝東高等学校)で、著者が後輩の高校生たちに語る、脳科学の「最前線」。切れば血の吹き出る新鮮な情報を手に、脳のダイナミズムに挑む。
・手を見れば、理系か文系か判別できる?
・ひらめきは寝て待て
・決断した理由は、脳ではなく、身体が知っている
・「心が痛む」ときは、脳でほんとに痛みを感じている
・進化の過程で、動物のパーツを使い回してヒトが完成した
・「君は30秒後にミスをする」
・僕らにある「自由」は、自由意志ではなく自由否定だ
・ランダムなノイズから生み出される美しい秩序――創発
・遺伝子は生命の「設計図」じゃない!
かつてないほどの知的興奮が沸きあがる、4つの講義を収録。


≪目次: ≫
はじめに

第一章 脳は私のことをホントに理解しているのか
1-1 今ここに立っている不思議/1-2 意識は私の全部じゃない/1-3 手を見れば、理系か文系か判別できる?/1-4 指の長さと同性愛/1-5 天然パーマはIQが低い!?/1-6 風邪薬を飲んで熱が下がる、これって因果関係?/1-7 だれもが知っている富士山を描いてみれば/1-8 脳の活動がすべて/1-9 ありもしない色が見えてくる/1-10 脳を記録すれば心は読める/1-11 脳を覗かれる/1-12 点の動きに生命を感じる/1-13 脳の早とちりは生存戦略にぐっと有利/1-14 人の顔など半分しか見てない/1-15 「恋の拘束」と変化盲/1-16 本気なのにこじつける、知らぬ間に嘘をつく/1-17 「どうして私のこと好きなの」と訊かれたら/1-18 長い時間一緒にいれば好きになる?/1-19 吊り橋上の告白は成功率が高い?/1-20 行動と感情が食い違う/1-21 報酬系・テグメンタが快楽を生む/1-22 「あんな人と付き合うのやめろよ」は有効か/1-23 心の底からバカになって恋人を選ぶ/1-24 サブリミナルが教える「やる気」の正体/1-25 「勘」をサイエンスが扱うと/1-26 ひらめきは寝て待て/1-27 なぜか答えだけわかる/1-28 わからないのにできる/1-29 無意識的で、自動的で、しかも正確/1-30 理由はわからないけれど「これしかない」という確信が生まれる/1-31 ノンヴァーバル・コミュニケーションの性差/1-32 人生経験は直感を育む/1-33 グッドエイジング、すなわち勉学へのスイッチ

第二章 脳は空から心を眺めている
2-1 脳研究って何だろう/2-2 「役立つ」以外にも記憶の役割がある/2-3 突然、校歌を思い出す/2-4 世界はわずか5分前にまるごと創造された?/2-5 昨日の自分と今日の自分は同じ?/2-6 日常は根拠のない自信に満ちている/2-7 部分を全体から類推する/2-8 自由に世界を受け取ることなんてできない/2-9 逆さメガネにもやがて慣れてしまう/2-10 目のレンズが生み出す世界像は天地が逆!/2-11 脳が反応する世界が、世界のすべて/2-12 「正しさ」は、記憶しやすさに規定される/2-13 子どもの描く世界地図は歪んでいる。正しさの基準/2-14 「正しい」は「好き」の言い換えにすぎない/2-15 子どもはなぜ甘いものが好きか、大人はなぜビールを好むか/2-16 好きになることは、脳の回路が変化すること/2-17 ネズミもカンディンスキーの絵画が好きになる?/2-18 好みは操作される?/2-19 見えたという気がしないのに、わかってる/2-20 「たしかに見ました」は当てにならない/2-21 記憶そのものがすり替わる/2-22 強烈な無意識の作用を実感する/2-23 「がんばれ!」の効果は絶大/2-24 身体は真実を知っている/2-25 脳は体を介して、自分の置かれた状況を把握する/2-26 お金をたくさんもらうと仕事は楽しくなくなる?/2-27 感情を操作して行動に合わせる/2-28 右脳と左脳をつなぐ神経の束を切断すると/2-29 無意識に言葉を理解できる?/2-30 理解して表現するのか、表現を見てはじめて理解するのか/2-31 日常生活は作話(意味のでっちあげ)に満ちている/2-32 記憶は「時間の流れ」もつくり出す/2-33 僕らは「自分が道化師にすぎない」ことを知らない/2-34 作話には生存戦略上、大きな効能がある/2-35 僕らはヒトになるべく生まれてはいない/2-36 人間と動物の境界線/2-37 他人の心が理解できるのはなぜ/2-38 「心が痛む」ときは、脳でほんとに痛みを感じてる/2-39 僕らの「心」の働きは、進化の過程の「使い回し」の結果/2-40 自分か他人かを区別できなくなる/2-41 幽体離脱を生じさせる脳部位がある/2-42 他人の視点から自分を眺められないと、人間的に成長できない/2-43 他人の眼差しを内面化できるのが人間/2-44 僕らは自分に「心」があることを知ってしまった

第三章 脳はゆらいで自由をつくりあげる
3-1 少しは脳の気持ちにもならないと/3-2 僕らの「心」は環境に散在する/3-3 本当は脳にニューロンはいくつあるのか?/3-4 ふたつの壮大なプロジェクト――脳を解明し尽くす?/3-5 僕らのDNA情報はCD1枚に全部収まってしまう/3-6 進化の過程で、動物のパーツを使い回してヒトが完成した/3-7 ネズミは〈どのくらい前〉と〈いつ〉を区別できるか?/3-8 生物は、意外に簡単に地球上に生まれてしまった/3-9 有機物は、原始的な地球上でいともたやすく生まれた/3-10 生物=自己複製するもの?/3-11 生物=いずれ死ぬもの? トートロジーの悪魔/3-12 生物=外部エネルギーを活用するもの? それとも、子孫を残すもの?/3-13 生物=親があるもの?/3-14 生物=環境適応するもの?/3-15 完璧なアンドロイドを、人間と区別する理由はあるか?/3-16 違和感なく「生命」だと感じたら、それは「生命」/3-17 「自分は理解しているぞ」と自分で感じたら「理解している」/3-18 隣人は「この赤」を、同じ「赤」と見ているのだろうか?/3-19 感覚神経は、ため息が出るほど美しい――耳の構造/3-20 耳は「有毛細胞」を備えたナノテク装置/3-21 トウガラシから見つかった「熱さ」を感じるセンサ/3-22 「熱さ」と「冷たさ」、元は一緒のチャネルの使い回し/3-23 もっとも原始的な器官で400種類を嗅ぎ分ける――嗅覚の構造/3-24 感覚の中の例外――寝ている間も動く嗅覚/3-25 君の〈赤〉と、隣の人の〈赤〉は同じか? ふたたび/3-26 個人差よりも、大ざっぱな構造の類似性がポイント/3-27 目の網膜は進化の失敗作をそのまま使っている/3-28 ヒトは3原色の世界、昆虫や鳥は4原色の世界/3-29 〈目〉の誕生は5億年前/3-30 目を介さずに、大脳皮質で直接「光」を見る?/3-31 「見える」の定義を更新するテクノロジー/3-32 世界ではじめて赤を見たネズミ――人の脳を開拓する時代/3-33 僕らは本当に自由なんだろうか/3-34 本当は脳に操られているだけ?/3-35 脳内反応はすべて美しい方程式で記述できるとしても/3-36 「動かそう」と意図したときには、脳はもう準備を始めている/3-37 自由意思は生き残れるか?/3-38 自由の条件とは/3-39 他者に制御されているのを知らなければ、それは「自由」である/3-40 自由意思の「存在」よりも、自由意思の「知覚」こそがポイント/3-41 意図を生みだす中枢/3-42 エイリアン・アーム・シンドローム/3-43 ひとつの脳に複数の人格が同時に存在する驚き/3-44 頭から取り出されても、脳は活動し続ける/3-45 脳のゆらぎを目の当たりにする/3-46 ゴルフ・パットの成否は、脳を見れば予測できる?/3-47 「入力+ゆらぎ=出力」という計算を行うのが脳/3-48 行動の直前の脳の状態が、成否を握っている/3-49 脳の内面がモノの「見え」を規定する/3-50 「君は30秒後にミスをする」/3-51 脳の「ゆらぎ」が僕らを決定している?/3-52 僕らにある「自由」は、自由意思ではなく自由否定だ/3-53 〈手を上げる〉から〈手が上がる〉を引き算すると何が残るか、ふたたび/3-54 自由否定の生まれる場所/3-55 実際に「動く」よりも前に「動いた」と感じる/3-56 僕らは常に未来を知覚してしまう/3-57 僕らは未来から情報を借りている/3-58 現在の情報を使って、過去に欠落していた情報を埋め込む/3-59 フレキシブルな脳内時計/3-60 僕らは、行動の結果を想定してから動く――記憶は未来志向/3-61 僕らは、縦方向と横方向を均等に扱ってない――空間も歪む/3-62 僕らの知覚している「世界」は、脳の可塑性を通じて、後天的に形成された/3-63 可塑性の高いものが淘汰に打ち勝つ――進化のステージ1/3-64 多様性を失った種は滅びる――進化のステージ2(最終段階)

第四章 脳はノイズから生命を生み出す
4-1 脳の「ゆらぎ」は何の役に立っているのだろう/4-2 アリはどうやって行列をつくるか?/4-3 ひねくれアリの存在理由、優等生だけではやっていけない/4-4 航空会社が採用したアリのエサ運搬システム/4-5 情報の利用と収集の切り替えを担うのが「脳のゆらぎ」/4-6 ノイズのおかげで検出できるようになる情報/4-7 ニューロン(神経細胞)は積分マシーン/4-8 ニューロンを鹿威しに見立てる/4-9 ニューロンの出力ではなく、シナプス入力がゆらいでいる/4-10 連鎖する回路――フィードフォワード/4-11 脳はノイズをエネルギーに変えて、秩序ある世界を生成する/4-12 わずか20ワットの電球と同じ電力で脳は動く/4-13 情報を前の層に戻す回路――フィードバック/4-14 ランダムなノイズから生み出される美しい秩序――創発/4-15 活動するニューロンの「島」がうねうねと動いていく/4-16 睡眠中の脳の活動は、発火と静止の規則正しい繰り返し/4-17 回路なしの単体でも創発は起きる/4-18 自分が書き換えた環境が、巡りめぐって自分の行動に影響する/4-19 ふと強靭な意志を持ったように、行動パターンを変える回路/4-20 遺伝子は生命の「設計図」じゃない!/4-21 ニューロンがつくり出す優しく、浮遊感のある音楽/4-22 人間社会にも自然界にも存在する共通の法則――べキ則/4-23 生成の「ルール」の存在を予見させるベキ則/4-24 脳のベキ則はネットワークの構造から生まれる/4-25 回路の構築+ノイズ=機能/4-26 ゆらぎを意志でコントロールできる?/4-27 意志的にゆらぎをつくれるか?/4-28 僕らの「心」はフィードバックを基盤にしている/4-29 「脳」を使って「脳」を考える――リカージョンと入れ子構造/4-30 サルは「24783」という数字を理解できるだろうか?/4-31 地球上で「有限」というものを理解している唯一の動物/4-32 単純な脳、複雑な「私」――リカージョンの悪魔/4-33 自分のことは実は自分が一番わかってないかもしれない――3日間の講義を聞いて/4-34 感情や嗜好も、実は知らぬ間に条件づけられている/4-35 汎化によって好き嫌いの世界観が形成される/4-36 「自由」は感じるものであって、本当の意味で「自由」である必要はない/4-37 脳研究は、学問横断型の接着剤/4-38 ラッセルのパラドックス――リカージョンは矛盾を生む/4-39 脳研究は、答えに行き着けないことを運命づけられた学問

付論
おわりに (2009年4月 桜花の舞う本郷キャンパスにて 池谷裕二)
参考文献
謝辞


≪著者: ≫ 池谷裕二 (いけがや・ゆうじ) 1970年、静岡県藤枝市生まれ。薬学博士。東京大学大学院薬学系研究科准教授。科学技術振興機構さきがけ研究員。堅実な実験と、斬新な視点に立った研究が国の内外を問わず、多くの人を惹きつけている屈指の脳研究者。記憶のメカニズム解明の一端として「脳の可塑性」に注目し、論文や学会に精力的に発表を続ける。2006年に日本薬理学会学術奨励賞と日本神経科学学会奨励賞、2008年には日本薬学会奨励賞と文部科学大臣表彰(若手科学者賞)を受賞。一方で、最新の科学的知見を一般にむけてわかりやすく解説する手腕は圧倒的な支持を集めている。主な著書に、『海馬』(糸井重里氏との共著、朝日出版社/新潮文庫)、『進化しすぎた脳』(朝日出版社/講談社ブルーバックス)、『ゆらぐ脳』(木村俊介氏との共著、文藝春秋)、『のうだま』(上大岡トメ氏との共著、幻冬舎)などがある。

G・K・カンジ 『「逆」引き統計学 実践統計テスト100  Gopal K. Kanji; “100 STATISTICAL TESTS”, 3rd Edition 2006 』(池谷裕二 訳、久我奈穂子 訳、田栗正章 翻訳協力、講談社、2009年) '09/07/21
J・アラン・ホブソン 『夢に迷う脳 夜ごと心はどこへ行く?  J. Allan Hobson; “DREAMING AS DELIRIUM: How the Brain Goes Out of Its Mind” 』(池谷裕二 監訳、池谷香 訳、朝日出版社、2007年) '09/07/11
池谷裕二 『脳はなにかと言い訳する』(祥伝社、2006年) '09/07/05
池谷裕二 『怖いくらい通じるカタカナ英語の法則』(ブルーバックス、講談社、2008年) '09/06/26
池谷裕二/木村俊介 『ゆらぐ脳』(文藝春秋、2008年) '09/06/24
池谷裕二/糸井重里 『海馬』(新潮文庫、2005年) '08/02/17
池谷裕二 『進化しすぎた脳』(ブルーバックス、講談社、2007年) '08/02/12

長沼毅 『世界をやりなおしても生命は生まれるか? 生命の本質にせまるメタ生物学講義』(朝日出版社、2011年) '12/02/22





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