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戦前日本の「グローバリズム」 一九三〇年代の教訓 (新潮選書)
戦前日本の「グローバリズム」 一九三〇年代の教訓 (新潮選書)

○著者: 井上寿一
○出版: 新潮社 (2011/5, 単行本 253ページ)
○定価: 1,260円
○ISBN: 978-4106036781
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「昭和史三部作」の第二部は“対外関係”、なるほど、1930年代の戦前日本の「グローバリズム」として、「ヒト・モノ・カネ」の地球的規模での拡大があって、その国際ネットワークのなかでの国際認識の深まり(かならずしも思惑どおりにゆくともかぎられない)、その対外発信(対外政策が意図とは異なる、およそ正反対の結果をもたらすことにも)とか。そこに働く歴史の逆説の力学、どうなんだろう、考えよう、学ぼう、今日と共通する課題、〈世界のなかの日本〉について、日本の国際化の問題
さて、三部作は、第一部が“戦前昭和の社会”(『戦前昭和の社会 1926-1945』(講談社現代新書、2011年))、第三部が“政治”(『戦前昭和の国家構想』(講談社選書メチエ、2012年))によって構成される。



昭和史の定説を覆し、新たな戦前像を構築する意欲的論考――。
満州と関東軍、軍部の政治介入、ブロック経済による孤立化、日中戦争…… 多くの歴史教科書が「戦争とファシズム」の時代と括る1930年代。だが、位相を少しずらして見てみると、全く違った国家と外交の姿が見えてくる。国際協調に腐心した為政者たち、通商の自由を掲げた経済外交、民族を超えた地域主義を模索する知識人―― 実は、日本人にとって世界が最も広がった時代だった。


≪目次: ≫
はじめに

I章 満州――見捨てられた荒野
1 本土の無関心
松岡洋右の怒り/対「満蒙」経済アプローチ/張作霖に対する評価/「我国の生命線」/幣原喜重郎外相の反論/協調外交と政党政治の高まり
2 現地居留民と関東軍の危機
満洲青年聯盟遊説隊/本土から見捨てられた荒野/張作霖爆殺事件/大陸の在外公館の認識/孤立無援の関東軍/中村震太郎大尉事件
3 満州事変――「満洲」の再発見
事変勃発/領有から独立国家へ/大恐慌の怨嗟の矛先/協調外交のネットワーク/政民協力内閣構想/満州国の建国/「王道楽土」の理想とは裏腹に

II章 国際連盟脱退とその後――欧州を知る
1 欧州の現実を目の当たりに
国際連盟外交/「五人委員会」それぞれの内情/チェコスロヴァキアと日本/常任理事国としての立場/緊迫するジュネーヴ情勢
2 極東における危機と欧州にとっての危機
リットン調査団の来日/国内外からのテロの脅威/小国への働きかけと大国の意向/メディアの役割/芦田均「非脱退の論理」/脱退問題へ松岡の努力/「失敗した。失敗した。失敗した」
3 欧州諸国との新しい外交関係の模索
その後のジュネーヴ情勢/ドイツとの関わり方/脱退後の欧州外交基軸/ファシズム国家への警戒/海軍軍縮予備交渉/横山正幸の報告/蝋山政道の構想

III章 国内体制の模範を求めて
1 「挙国一致内閣」の国際的な連動
河合栄治郎の欧米報告/新渡戸稲造の対米広報外交/日米関係、蝋山の結論/近衛文麿のアメリカ印象記/予備交渉決裂が相互理解に/日本の模範国として
2 国家主義のなかの欧米
岡田忠彦の欧米視察/星島二郎がみたナチス党大会/ドイツに傾斜する鳩山一郎伍堂卓雄の評価修正/失業対策と農村救済策/ヒトラーの下での平等/新しい国家像と生活様式
3 民主主義の再定義
英米協調論者の対独伊接近/斎藤隆夫が説く「中道」/対ファシズム国接近/矢部貞治のヒトラー観/パリでの「デモクラシー」論争/社会大衆党の躍進

IV章 外交地平の拡大
1 地球の反対側にまで展開する経済外交
誤った日本外交のイメージ/「我国として活くるの途」/アフリカ、中南米、非欧米世界の国へ/「最も遠隔の地」ブラジル/対米関係修復の方策として/バンビー・ミッション/独伊、自給自足圏の壁
2 経済摩擦と国際認識
世界経済のブロック化/相互主義の限界/カナダへ通商擁護法の発動/オーストラリアでの「日本脅威」論/「印度は英国の生命線」/政治の意思で妥協した日蘭会商/包括的通商政策七つの原則
3 地域研究の始まり
東亜経済調査局附属研究所/イスラーム研究の先駆者、大川周明/中国に特化した東亜同文書院/国民の中国理解の促進に

V章 戦争と国際認識の変容
1 日中戦争と「東亜」の創出
満州国の「門戸開放」/盧溝橋事件/国内の好戦ムード/トラウトマン工作/「国民政府を対手とせず」/中国再認識論/「支那人をもっと知ろう」/中山優と第二次近衛声明「東亜協同体」論
2 ファシズム国家との対立
日独防共協定/排英運動の高まり/「隔離」演説/ファシズム国へ歩み寄る矢部/蝋山政道の対英協調論/行き過ぎた強硬論/「持てる国」対「持たざる国」/対独伊接近の抑制/「東亜協同体」論の挫折/日中戦争解決のための対米工作/独ソ不可侵条約の影響/大政翼賛会の成立
3 「南洋」との出会い
太平洋委任統治諸島/正当化する矢内原忠雄/丸山義二が感じた対日感情/二つの「南洋」旅行記/企画院直属の東亜研究所/「南進」へと傾けた役割/対「南洋」経済的アプローチ/バタヴィアに派遣された小林一三商相/「大東亜共栄圏」の虚構を指摘する/日独伊三国同盟と日米戦争の接近

おわりに
南方戦線の現実/敗戦の合理化を図った「大東亜宣言」/そして、戦後構想へ

参考文献リスト

あとがき (二〇一一年四月 井上寿一)


≪著者: ≫ 井上寿一 Inoue Toshikazu 1956年、東京都生まれ。一橋大学社会学部卒業。学習院大学法学部教授。法学博士。専攻は日本政治外交史。主な著書に、『危機のなかの協調外交――日中戦争に至る対外政策の形成と展開』(山川出版社、吉田茂賞)、『日中戦争下の日本』(講談社選書メチエ)、『昭和史の逆説』(新潮新書)、『山県有朋と明治国家』(NHKブックス)、『吉田茂と昭和史』、『戦前昭和の社会 1926−1945』(共に講談社現代新書)。

井上寿一 『戦前昭和の社会 1926-1945』(講談社現代新書、2011年) '12/07/03
井上寿一 『戦前昭和の国家構想』(講談社選書メチエ、2012年) '12/06/23





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