Gori ≒ ppdwy632

〈ぼく〉の思索の一回性の偶然性の実験場。

講談社選書メチエ

本「ベルクソン=時間と空間の哲学 (講談社選書メチエ567)」中村昇5

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われわれは、なぜ生きているのか


時間とは持続である
持続とは記憶である
では〈わたし〉とは何なのか?

視覚だけの世界では、ものはしばしば固定しているようにみえる。しかし聴覚はどうだろう。「流れ」をかたちづくっていないだろうか。ベルクソンは、この「流れ」に、すなわち変化や運動に、ものごとの本質をみようとした。それは、時間であり、持続であり、記憶の連鎖でもある。そして、そこには空間がひそんでいる――。いまふたたび脚光をあびるベルクソンの哲学を鮮やかに読み解く快著!


≪目次: ≫
はじめに

第一章 ベルクソンの哲学
 1.補助点としての〈わたし〉
 2.きこえてくるせかい
 3.ことば
 4.直観
 5.空間化
 6.記憶

第二章 「持続」とはなにか
 7.時間は持続である
 8.持続という空間
 9.数を数える
 10.理念的空間
 11.聴覚空間
 12.多様体(性)
 13.〈わたし〉=場
 14.質と量の不可分性

第三章 純粋持続批判
 15.直観と記憶
 16.質ということ
 17.意識の二層
 18.印象、感覚、感情の変化
 19.純粋持続

第四章 持続は記憶である
 20.『持続と同時性』について
 21.持続ふたたび
 22.記憶ふたたび
 23.流れの同時性
 24.〈いま・ここ・わたし〉

おわりに

主要参考文献
あとがき (二〇一三年一二月  中村 昇)


≪著者: ≫ 中村 昇 (なかむら・のぼる) 1958年、長崎県生まれ。中央大学大学院文学研究科博士課程修了。中央大学教授。専攻は、哲学。主な著書に、『いかにしてわたしは哲学にのめりこんだのか』(春秋社)、『小林秀雄とウィトゲンシュタイン』(春風社)、『ホワイトヘッドの哲学』(講談社選書メチエ)、『ウィトゲンシュタイン――ネクタイをしない哲学者』(白水社)など。


菊谷和宏 『「社会」の誕生 トクヴィル、デュルケーム、ベルクソンの社会思想史』(講談社選書メチエ、2011年) '11/09/17
篠原資明 『ベルクソン 〈あいだ〉の哲学の視点から』(岩波新書、2006年) '09/10/24
檜垣立哉 『西田幾多郎の生命哲学 ベルクソン、ドゥルーズと響き合う思考』(講談社現代新書、2005年) '09/09/29
ベルクソン 『笑い  Le rire, 1900 』(林達夫 訳、ワイド版岩波文庫、2003年) '08/11/27


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本「伊勢神宮と三種の神器 古代日本の祭祀と天皇 (講談社選書メチエ562)」新谷尚紀5

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沖ノ島、出雲、伊勢・・・・・・。宗教王か? 武力王か? 世俗王か? 民俗学で読み解く ――天皇の〈転換点〉――

卑弥呼の時代=〈宗教王〉から倭王の時代=〈武力王〉へ。そして〈武力王にして宗教王〉という二面性を持つ王は、律令国家で〈世俗王にして祭祀王〉という《天皇》となる。伊勢神宮と三種の神器は、王、そして天皇を支える根源的な力、装置として働きながらも、その位置づけは変貌する・・・・・・。徹底的な資料解読・分析で、天皇と神器の謎に迫る!

本書は古日本の祭祀と信仰と天皇のあり方を探り、それがどのように、変化・確立していったのかを検証していきます。
そのために伊勢神宮の創祀(五世紀か六世紀)の前の、倭王の時代へとさかのぼります。
倭王の時代とは、四世紀後半です。三輪山祭祀と、海の正倉院と呼ばれる宗像沖ノ島遺跡の開始時期がその時期です。このふたつの遺跡に共通するのが、(1)巨大な磐座遺跡、(2)その奉献品が「銅鏡・鉄剣・勾玉」=神話の三種の神器であったであろうということです。
その後、時代は下がり、七世紀には遣隋使体験によって、律令国家へ向けて動き出し、古代の三種の神器は、伊勢神宮の遷宮神宝に共通する紡績具や楽器などを中心とする新たな「律令神祇祭祀」の方式へと再編成されたと考えられます。そして天皇制が確立すると、神器の「勾玉」が「神璽」に取って代わられるようになるのです。
神器から消えてしまった勾玉は、、呪術具・祭祀具・儀礼具・宝飾具、という意味をもつ多義的な宝器として古日本では重要な役割を果たしていたのです。
民俗的信仰から国家的信仰へ、地方の王から国の天皇への変遷にあわせて、神器の意味づけはどう変わったのか? その後、朝廷中心の平安時代が武家の時代へと変わっていく中で、神器の扱いはどうなったのか?
神器を通してみる、日本の歴史と民俗を記述する意欲作です。


≪目次: ≫
はじめに
日本民俗学は伝承分析学 traditionology/本書の主要な論点

第一章 伊勢神宮と出雲大社――大和王権の成立と伊勢出雲の二極構造
 1 伊勢神宮の創祀
  (1) 神宮創祀の画期
神宮創祀の基本史料/天武・持統朝の画期/崇神紀・垂仁紀の起源伝承/雄略朝の斎宮祭祀の可能性/推古朝の日神祭祀の可能性
  (2) 倭王と日の御子の伝承
「日の御子」の伝承/纏向遺跡と纏向の日代の宮/三輪山祭祀遺跡と初期倭王権/四世後半期の倭王と宗像沖ノ島遺跡/卑弥呼から初期倭王へ
  (3) 倭王の出自伝承
二人の王/外来の王と在来の后/外来王と土着神祭祀/倭大国魂神・大倭直・淡路島/神功皇后と卑弥呼/日神祭祀の祭場
  (4) 神宮創祀と天武持統
壬申の乱と天武皇女の斎宮/持統天皇と神宮祭祀/持統の遺志を継承する文武と元明/永遠の呼吸運動
  (5) 神宮祭祀と遷宮
神宮祭祀の基本/式年遷宮とその意味/現在の遷宮とその次第/心御柱の意味
 2 出雲大社の創建
  (1) 大和王権にとっての出雲
王権の二重性/天武持統の王権と出雲神話/神話/儀礼/神社/超越神聖王権
  (2) 出雲大社と大己貴神
大己貴神の原像/記憶の蓄積と凝縮
  (3) 出雲の霊威力
龍蛇神祭祀/久高島の祝女とウミヘビ
  (4) 出雲を必要とした大和王権
出雲の祭祀王/大和の武力王権/大和と出雲の接触/出雲大社の創建
  (5) 出雲の地位の変化
九〜十世紀の古代国家の大転換/鎮魂祭と祭祀王/神無月と神々の出雲参集

第二章 海の正倉院「沖ノ島」――日本古代の神祇祭祀の形成と展開
 1 古代祭祀の世界
  (1) 死の発見と宗教の誕生――霊魂観念と他界観念の発生
  (2) 出雲古代史と霊魂観念――アニミズム・キングイズム・ゴッドイズムの三段階
  (3) 霊肉畏敬観念から死穢忌避観念――四世紀から十世紀までのスパンで考える
 2 沖ノ島の祭祀
  (1) 沖ノ島祭祀の開始――四世紀後半から五世紀初頭の時期:財物宝物奉献
東郷高塚古墳/四世紀後半から六世紀前半へという時代/第17号遺跡が発信している情報/A:出土遺物からいえること――四世紀後半・金官加耶との交流期/B:出土状況からいえること――石と遺物の積み重ねとその意味/アニミズムとシャーマニズム/記紀の「四魂」と『魏志』倭人伝の「持衰」/分析観念としての「忌人 imibito 」/祭器の大量奉献とその意味/第21号遺跡が発信している情報
  (2) 沖ノ島祭祀の変化――五世紀後半から七世紀末まで:銅鏡・金銅製馬具・祭祀具
第7号遺跡・第8号遺跡からの情報/第6号遺跡と第22号遺跡からの情報/第5号遺跡からの情報/第17号遺跡(四世紀後半)から第5号遺跡(七世紀末)まで
  (3) 律令祭祀とその先駆的形態――七世紀の歴史的意義
古墳時代の終焉/外部表象から内部表象へ/律令祭祀前史と沖ノ島遺跡/推古朝の画期
  (4) 神祇令と天皇祭祀――「shaman ・ imibito 」から「鎮魂・大祓」へ
律令祭祀と祈年班幣制/鎮魂と大嘗――中心性 centricity と再分配 redistribution の構造/「神懸かり王 shaman 」からの脱皮/散斎致斎と大祓――「忌人 imibito 」からの脱皮
  (5) 沖ノ島遺跡の学術的価値
古代王権の転換の必然性――「イミビト imibito 」概念の有効性/日本古代の神祇祭祀形成――七世紀初頭の一大転換

第三章 三種の神器と神宮神宝――神話と歴史の解読
 1 神話の中の三種の神器
  (1) 沖ノ島の奉献品と神宮神宝
  (2) 三種の神器の神話と歴史
  (3) 「天の安の河原の誓約」の段
『古事記』の伝承/『日本書紀』の伝承/両性交差
  (4) 「天の石屋戸」の段
『古事記』の伝承/『日本書紀』の伝承/賢木における珠・鏡・木綿、そして釼
  (5) 「天孫降臨」の段
『古事記』の伝承/『日本書紀』の伝承/勾玉・鏡・釼の三点セット
  (6) 「三種の神器」の呼称はなし
 2 神話と歴史の中の「鏡・釼・玉」
  (1) 銅鏡の伝承
神話情報と歴史情報/天皇即位と「神璽・釼・鏡」
  (2) 鉄釼の伝承
神話の鉄釼/歴史の鉄釼
  (3) 八坂瓊曲玉の伝承
歴史から消える八坂瓊(曲玉)勾玉
  (4) 「鏡・釼・玉」を賢木に懸けて祈念する方法
『古事記』を読んでいた『万葉集』
 3 天皇即位と「神璽・鏡・釼」
  (1) 『日本書紀』の記事
神話から歴史へ/歴史時代の記事/『古語拾遺』の記事
  (2) 律令の規定
「神祇令」の践祚案/「公式令」天子神璽条/日本古来の鏡釼、中国風新規の神璽
 4 古代神宝と天皇
  (1) 古代の神宝
1.出雲神宝/崇神天皇と出雲神宝/垂仁天皇と出雲神宝/出雲国造と神宝献上/『延喜式』の記す出雲国造の献上品/「出雲国造神賀詞」『延喜式』(巻八 神祇八 祝詞)/2.天日槍の神宝/垂仁天皇と天日槍の神宝/応神天皇と天之日矛の神宝/3.石上神宝/垂仁天皇と石上神宝/天武天皇と石上神宝/桓武天皇と石上神宝/物部氏と石上神宝/4.天皇による氏族の神宝の検校と管掌
  (2) 神宮神宝
1.式年遷宮と神宝/遷宮の創始/神宮神宝の初見/神宝廿一種/2.推古朝から天武朝へ/『隋書』倭国伝/推古朝の「朝礼」改革/天武朝の朝服の制定/律令神祇祭祀の形成へ/祝詞と神宝

第四章 古代中世の天皇と三種の神器――「三種の神器論」の登場
 1 平安京の天皇と神器
  (1) 六国史の記事
  (2) 賢所・内侍所の神鏡
村上天皇と神器/一条天皇と神器/後朱雀天皇と神器/「賢所」から「内侍所」へ
 2 武家の争乱と三種の神器
  (1) 源平争乱と神器の行方
『玉葉』の記事/『平家物語』と「三種の神器」/壇ノ浦での神器水没/神璽神鏡の京都帰還/『吾妻鏡』の記事
  (2) 「神器」論の登場
神器なきままの新帝即位/『愚管抄』の見解/『古今著聞集』の見解
  (3) 南北朝の内覧と三種の神器
神宮祭主からの寳釼奉納/神器の所在が示す正統性/北畠親房と『神皇正統記』
 3 八坂瓊曲玉(勾玉)の神話と歴史
神話と歴史と考古学/硬玉の勾玉/朝鮮半島南部の勾玉/勾玉と青銅器の寿命の長短/定形勾玉の出現と普及/呪術具・祭祀具・儀礼具・宝飾具/勾玉と巴文様/出雲の勾玉/出雲という文化保存伝承装置


あとがき (二〇一三年十一月  新谷 尚紀)


※カバー図版: 銅鏡、勾玉と稲荷山古墳出土の金錯銘剣(埼玉県さきたま史跡の博物館蔵)と内宮



≪著者: ≫ 新谷尚紀 (しんたに・たかのり) 1948年広島県生まれ。早稲田大学第一文学部史学科卒業。同大学院文学研究科史学専攻博士後期課程単位取得。國學院大學教授、総合研究大学院大学・国立歴史民俗博物館名誉教授。社会学博士。『ケガレからカミへ』(新装版、岩田書院)、『日本人はなぜ賽銭を投げるのか――民俗信仰を読み解く』(文春新書)、『神々の原像――祭祀の小宇宙』『柳田民俗学の継承と発展――その視点と方法』『民俗学とは何か――柳田・折口・渋沢に学び直す』(吉川弘文館)、『伊勢神宮と出雲大社――「日本」と「天皇」の誕生』(講談社選書メチエ)など多数の著書がある。



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本「町村合併から生まれた日本近代 明治の経験 (講談社選書メチエ563)」松沢裕作5

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町村合併から生まれた日本近代 明治の経験 (講談社選書メチエ)
○著者: 松沢裕作
○定価: 本体1,600円(税別)
○ISBN: 978-4062585668






――近世が解体され、新秩序が生まれる時のドラマ!――
明治七年の町村数約七万八千、明治二二年の町村数一万六千弱。明治の大合併、それは新たな境界線を社会に引く試みだった。あいつぐ町村からの異議申し立て、合併後も紛争を抱える自治体…… 近世の地縁的・身分的共同体というモザイク状の世界から、近代の大字‐市町村‐府県‐国家という同心円状の世界へ。府藩県三治制、大区小区制、そして明治二二年の大合併にいたる「地方制度」の変遷をたどりながら、近代社会そのものを問い直す。


≪目次: ≫
はじめに 境界を持たない社会・境界を持つ権力
「国家」と「市場」/「三大合併」/「三大合併史観」が覆い隠すもの/「中央集権」「地方分権」と村落二重構造論/明治前期の二〇年

第一章 江戸時代の村と町
 1 モザイク状の世界
領国地帯・非領国地帯/村・町と身分/百姓と領主権力
 2 組合村
中間支配機構/多様な組合村
 3 村と土地所有・村請制
直接的共同所持・間接的共同所持/村請と村融通

第二章 維新変革のなかで
 1 「大区小区制」
府藩県三治制/廃藩置県と「大区小区制」/「大区小区制」と中央法令/「大区小区制」の形成過程/改変される「大区小区制」と町村の位置/「大区小区制」とは何だったのか?
 2 明治初年の町村合併
政府の方針と町村数の変化/散発的な合併/政策的な合併/地租改正と合併

第三章 制度改革の模索
 1 区戸長たちのフラストレーション
村請制下の再生産維持/近世後期における救済と備荒貯蓄/明治三年の浦和県「告諭誌」/品川県の社倉金運用/新しい産業/教育/意思決定の仕組み/熊谷県の「県会条例案」
 2 内務省と井上毅
松田道之という人物/明治九年内務省案/井上毅の構想/二つの路線とその交錯

第四章 地方と中央
 1 地方三新法
三新法の制定/府県レベル/郡と町村/三新法の画期性
 2 町村運営の行き詰まりと明治一七年の改革
三新法における町村と戸長/埼玉県の場合/連合化と再分離/問題の発生と対応策/明治一七年の改革

第五章 市場という領域
 1 境界なきものとしての市場
人びとの生を左右する空間
 2 備荒儲蓄法
備荒儲蓄法の制定/公債か米か
 3 道路が結ぶもの
地方利益とはなにか/道路問題と県会/地方利益という抑圧
 4 市場と地方
境界なき市場の上の権力

第六章 町村合併
 1 「自治」の思想
「市制町村制」と町村合併/モッセと「自治」の思想/「自治」の思想と「地方」の現実
 2 合併の遂行
合併の手続き/紛争の発生/モジュール化としての町村合併
 3 行政村と大字
抵抗する村/行政村の機構と大字/行政村-大字関係の安定

むすび 境界的暴力と無境界的暴力
同心円状の世界と「中央-地方関係」/国民国家再考/地域統合と「補完性原理」/帝国/商品と市場


あとがき (二〇一三年九月  松沢 裕作)
索引


※カバー図版: 「埼玉県武蔵国北足立郡川田谷村比企郡表村」(明治前期測量 2万分の1 フランス式彩色地図)


≪著者: ≫ 松沢裕作 (まつざわ・ゆうさく) 1976年東京都生まれ。東京大学文学部卒業、同大学大学院人文社会系研究科博士課程中退。東京大学史料編纂所助教を経て、専修大学経済学部准教授。専門は日本近代史。著書に、『明治地方自治体制の起源――近世社会の危機と制度変容』(東京大学出版会)、『重野安繹と久米邦武――「正史」を夢見た歴史家』(山川出版社)がある。



 ・・・・・・境界を持たない市場と、境界を持つ国民国家はどのような関係にあるか。すでに見てきたように、国民国家とは、あるいはその下部のさまざまな単位は、人びとの暮らしが市場という無境界的なむすびつきにゆだねられているということを前提にしたうえで、その上に便宜的に線を引き、それぞれの持ち場として便宜的に管理するシステムなのである。同心円状の世界は、切れ目のない織物の上に引かれたいくつか線によって形作られている。
 ・・・・・・
 ・・・・・・国民国家という「境界」と、市場経済という「無境界」は、じつは相互依存的なのである。国民国家とその下の単位は、市場経済という無境界のネットワークの管理をそれぞれ受け持つことによって、それ自体は切実な意味を持たない単位であるにもかかわらず、暴力的な力を人びとに対してふるうことが可能となる。
 国民国家の暴力性を指弾したいのであれば、わたしたちが市場に依存しているという現実を、「商品」という抽象的なモノの運動に依存しているということを、まずは見なければならない。
 ・・・・・・   (P206-207、「むすび 境界的暴力と無境界的暴力」)



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本「文明と教養の〈政治〉 近代デモクラシー以前の政治思想 (講談社選書メチエ561)」木村俊道5

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――失われた「政治の原点」に光を当てる試み――
現代民主主義の起源はたかだか百年

宮廷社会や文明社会を舞台としたヨーロッパの初期近代では、一九世紀以降とは異なる、人文主義的な政治が展開されていた。そこでは、マナーや教養、レトリック、シヴィリティが重要視された。しかしフランス革命と産業化を迎えてのち、デモクラシーの浸透とともに、人文主義的な政治マナーは衰退してしまう。アダム・スミス、ベイコン、ヒューム、ハーバーマスなどの論考を参照し、実践知の政治学に光を当てる。


≪目次: ≫
はじめに
文明の世界/デモクラシー以前の政治/「政治」の時代/教養・技術・作法/実践知の政治学

第一章 政治における教養と技術
 1 デモクラシーの歴史?
政治思想史という「政治思想」/デモクラシーの原像/歴史の空白
 2 可能性の技術
技術としての政治/政治技術の由来/政治思想史における技術
 3 政治と教養
学問と技術/科学と技術/「近代」の教養/政治と教養の乖離

第二章 実践知の政治学
 1 人文主義の伝統
実践哲学の復権/古典古代の教養
 2 レトリック
政治学とレトリック/教養としてのレトリック/レトリックと学問
 3 思慮
政治学と思慮/思慮と歴史/政治における思慮とレトリック

第三章 文明の作法
 1 デモクラシー以前の教養と作法
 2 宮廷という舞台
宮廷の政治学/宮廷の人文主義/演技の哲学
 3 シヴィリティ
作法書の政治思想/カスティリオーネ『宮廷人』/シヴィリティと思慮
 4 文明社会
シヴィリティの伝統/文明社会のシヴィリティ/ヒュームのシヴィリティ論

第四章 失われた政治学
 1 チェスターフィールドという「型」
チェスターフィールドと「世界」/『息子への手紙』
 2 文明の転位
文明批判/文明と文化
 3 近代における政治と作法
近代西洋/デモクラシー以前の西洋と日本/近代日本
 4 政治における「型」
「型」の喪失/政治における「可能性」

おわりに


あとがき (二〇一三年八月 ケンブリッジにて 木村俊道)
人名索引


※カバー図版: ジョン・コンスタブル『ジェントルマンの交際』(1738年)挿画


≪著者: ≫ 木村俊道 (きむら・としみち) 1970年埼玉県に生まれる。東京都立大学法学部、同大学院社会科学研究科政治学専攻、同法学部助手を経て、九州大学大学院法学研究院教授。著書に、『顧問官の政治学――フランシス・ベイコンとルネサンス期イングランド』(木鐸社)、『文明の作法――初期近代イングランドにおける政治と社交 』(ミネルヴァ書房)など。




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本「「福音書」解読 「復活」物語の言語学 (講談社選書メチエ560)」溝田悟士5

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「福音書」解読 「復活」物語の言語学 (講談社選書メチエ)
○著者: 溝田悟士
○定価: 本体1,600円(税別)
○ISBN: 978-4062585637






キリスト「復活」の核心に迫る
――なぜ、複数の福音書が書かれたのか?――

イエスの逮捕時に逃亡した若者。墓でイエスの復活を告げる若者。同一人物なのか? そして、その「若者」の正体とは? 最古のマルコ福音書と、マタイ、ルカ福音書との記述の違いを手がかりに、福音書の構造を鮮やかに解き明かす一冊。


≪目次: ≫
プロローグ 複数の「復活」物語
キリスト教「最古」の言い伝え/教義の「核心部分」である「復活」信仰/この本が目的としていること

第一章 最初に書かれた福音書
「共観福音書」と「マルコ優先説」/最初の福音書『マルコ福音書』におけるイエスの復活の記事/マタイ、ルカ福音書における「復活」物語/登場人物の呼称と人数の不一致/マルコ福音書にはもう一人の「若者」がいた?/マルコ福音書の「復活」の場面の「若者」は「天使」ではない

第二章 逃亡する「若者」は誰だといわれてきたか
逃亡する「若者」についての普及した解釈/エジプト起源の「イスカリオテのユダ説」/「若者」を使徒ヨハネと同一視した西方教会/「ヨハネ説」に対する東方教会からの反論/東方教会の「主の兄弟ヤコブ説」とその起源/「主の兄弟ヤコブ説」の発生の「動機」/ヴィクトロスによる「若者」の来歴に与えられた解釈/エピファニウスとヴィクトロスの見解の発展/「筆者マルコ説」の登場と発展/「水瓶を運ぶ男」の言い伝えとの合成

第三章 「筆者マルコ説」の台頭
トマス・アクィナスの『黄金の鎖』/人文学者エラスムスによる見解/「使徒ヨハネ説」の排除と「若者」の「衣服」/現代の聖書学が「筆者マルコ説」を受け入れた経緯

第四章 『秘伝のマルコ福音書』の発見
新しいクレメンスの『書簡』の発見/『書簡』に含まれた『秘伝のマルコ福音書』からの引用/文書に関する攻撃/そもそも『秘伝のマルコ福音書』とは何か/『秘伝のマルコ福音書』の価値/『秘伝のマルコ福音書』の今日的意義/言語学的な分析の必要性

第五章 逃亡する「若者」と墓の「若者」は同じ人物か
逃亡する「若者」と墓の「若者」/二人の「若者」の同一視に対する反論/匿名の人物を指示する不定代名詞/不定代名詞が持つ「一意性」/フォン・レストルフ効果/「サマリアの女」における不定代名詞/この問題は「フレーゲのパズル」か?/知識体系の相違の認識

第六章 テクストとしてのマルコ福音書
テクストを構成する「関連性」と「文脈」/場面をつなぎテクストを構成する「結束性」/テクストの背景に存在する「文脈比喩」/「死んだ人間は復活しない」という科学的な「信念」/読者の「推考散策」/「イエスの変容」物語という「前提」/「死ぬ」という関数の逆写像としての「復活する」/イエスの左右に座ることを望んだヤコブとヨハネの「殉教」/「右側」に座る「若者」は「殉教者」である/そもそも「若者」は誰なのか

第七章 マルコ福音書の文学構造
「復活」を意味する二つの動詞/コロケーションという概念/「使い分け」を記号論的に分析する/実現しない〈立ち上がる〉予告/わからなかったら「読み返す」/マルコ福音書の再読構造/イエスの遺体の行方/文脈を構成する二つの時間の「モデル」/マタイ、ルカ福音書への影響

第八章 削除された「若者」――マタイ福音書とルカ福音書
共観福音書に共通する前提――「サドカイ派との復活論争」/「地震」と結束性――マタイ福音書への影響(1)/「聖徒の復活」の記事の存在理由――マタイ福音書への影響(2)/必要ならば登場人物も差し替えられる――マタイ福音書への影響(2)/「二人の人」を「天使たち」とする逆算――ルカ福音書への影響(1)/「天使のように見える」死者――ルカ福音書への影響(2)/「二人の人」は殉教した「二人の弟子」――ルカ福音書への影響(3)

エピローグ 福音書が伝えたいこと


あとがき (二〇一三年八月 著者)
索引


※カバー図版: ジュゼッペ・チェーザリ(カヴァリエール・ダルピーノ)「キリストの逮捕」


≪著者: ≫ 溝田悟士 (みぞた・さとし) 1976年、広島県生まれ。愛知大学大学院国際コミュニケーション研究科修士課程修了後、広島大学大学院総合科学研究科博士課程後期修了。オランダ・ユトレヒト大学言語学研究所客員研究員を経て、広島大学大学院総合科学研究科研究員。専攻はテクスト言語学・歴史学。論文に、「ロザリオと数珠の起源に関する仮説」(『愛知論叢』第84号)、「マタイ、ルカ両福音書におけるマルコ14:51-52の共通削除について」(『欧米文化研究』第17号)がある。




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本「桃源郷 中国の楽園思想 (講談社選書メチエ558)」川合康三5

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「もうひとつの世界」へのあこがれ



不老長寿、隠逸、楽土…… もう一つの生き方への憧れを読む!

仙人になって不老長生を得たいという願い。世俗を離れ思うがままに暮らしたいという隠逸への憧れ。古代の理想郷=華胥氏(かしょし)の国──。中国最古の詩集『詩経』にあらわれた「楽土」から陶淵明の「桃花源記」まで、中国の精神文化を考えるうえで欠かせない「楽園」の思想を読み解く。


≪目次: ≫
はじめに――楽園の夢想

第一章 仙界の夢想
 1 不老長生の希求
不老不死/始皇帝が求めた不死の薬/仙人の超能力
 2 仙界への疑念
魏の文帝と弟・曹植の仙界否定論/曹操の遊仙詩/仙界を否定する詩/曹丕の「遊仙詩」
 3 魏晋哲人の神仙観
阮籍の迷い/嵆康の立場/郭璞の「遊仙詩」

第二章 隠逸の願望
 1 隠逸とは何か
世俗を離れ高潔を守る/許由と巣父――政治への嫌悪/伯夷と叔斉――体制の批判/精神の気高さ
 2 高潔から愉楽へ
愉楽の追求――張衡の「帰田の賦」/私的生活の味わい――潘岳「閑居の賦」
 3 自分らしく生きる
自己実現としての隠逸――陶淵明/官と隠の両立――白居易の隠逸

第三章 古代の楽園
 1 楽土
詩経』のなかの「楽土」/「楽土」をめぐる逸話/杜甫のうたう「楽土」
 2 鼓腹撃壌――古代の泰平の世
泰平の老人/撃壌とは/老人と子供の混同/究極の政治/原初への回帰/至福の世/腹鼓を打つ/鼓腹撃壌/小国寡民
 3 華胥氏の国
遥か遠くの理想郷/身分差のない国/「華胥国物語」/建徳の国/謝霊運の「建徳の国」/

第四章 地上の楽園
 1 庭園
漢の上林苑/南朝の庭園/王維の輞川荘/李徳裕の平泉荘/白居易の履道里/その後の庭園
 2 隠れ里
田疇のユートピア/元結のユートピア/

第五章 桃花源
 1 陶淵明の「桃花源記」
桃花源の誕生/物語と詩の二つから成る「桃花源記」/桃花源とはどんな所か/桃花源にはいかにしてたどりついたか/桃花源の人々/志怪小説から楽園の文学へ/桃花源の詩
 2 それぞれの桃花源
王績の「酔郷記」/王維の「桃源行」/韓愈の「桃源図」/劉禹錫 の「桃源行」/王安石の「桃源行」/蘇軾の桃花源/寓意説

おわりに――今、桃源郷を求めて
中国の楽園/桃花源という楽園


あとがき (二〇一三年七月 台北、温州の宿舎にて 川合康三)
索引


※カバー図版: 仇英画「桃源仙境図」天津芸術博物館蔵


≪著者: ≫ 川合康三 (かわい・こうぞう) 1948年浜松市生まれ。京都大学大学院博士課程中退。東北大学助教授、京都大学教授を経て、京都大学名誉教授。博士(文学)。専攻は中国古典文学。主な著書に、『中国の自伝文学』(創文社)、『白楽天――官と隠のはざまで』『杜甫』(以上、岩波新書)、『李商隠詩選』(選訳)『白楽天詩選 上・下』(訳注、以上、岩波文庫)、『中国の恋のうた――「詩経」から李商隠まで』(岩波セミナーブックス)がある。

川合康三 『杜甫』(岩波新書、2012年) '12/11/28


 人はこの世に生きているかぎり、さまざまな苦しみから免れない。肉体的な苦痛、精神的な懊悩(おうのう)、苦しみは耐えずまとわりつく。たとえ苦しみのない状態にある時でも、平穏な日々はいったいどれほど続くことか。世の中が、また身近な人々が、さらに自分の身が、この先どうなるのか、何が起こるかわからない、そんな不安が常に心の底にわだかまる。
 不安が重くのしかかる時、あるいは苦難に打ちひしがれた時、人は苦しみのないもう一つの世界を夢見て、つかの間の慰めを得る。そこに生まれるのが、楽園の夢想である。
 ・・・・・・   (p3、「はじめに――楽園の夢想」)




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本「海の武士団 水軍と海賊のあいだ (講談社選書メチエ559)」黒嶋敏5

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――中世の海を舞台に活躍した「はずれ者」の興亡を描く――
網野史学の先へ!

中世日本、地場の海を「ナワバリ」として、航行する船から通行料を徴収し、「海賊」として略奪した人々がいた。「水軍」とも「海賊」ともつかぬ〈海の勢力〉。漁業だけではない海の富とはなにか? 「流通」の民に注目することで、網野史学を深化させる。

「一所懸命」の語が象徴する、土地の支配を基盤とする武士とは異なった形態の武士団が中世にはあった。地場の海を「なわばり」とし、航行する船から通行料を徴収し、あるいは「海賊」として略奪する、「水軍」とも「海賊」ともつかぬような「勢力」。「海」側の視点から中世の始まりとともに出現した特異な「武士団」の興亡を描く、これまでにないユニークな日本中世史。


≪目次: ≫
プロローグ 波の上から
湘南の海/内海と御厨/「海の武士団」/武士と海の親和性/網野善彦氏の海と「海を志向する武士」/明るい海の残像/「海の武士団」の矛盾/戦国時代からの激変/問題の多い「海の武士団」/広義の「海賊」と呼べるか/〈海の勢力〉/はずれ者の世界/上からも下からも/ナワバリの変質/本書の構成

第一章 港と武力と徳政
 1 暴力の港
不運な「唐船」/寄船慣行/港で積み荷が濡れたら/妥協の方法/津料は関税か?/ナワバリと上乗/ヒラヒラ/ローカル・リスペクト/ローカルとビジター/国質とは/分国法の配列/ヨソモノへのアレルギー/ヨソモノの対処/〈海の勢力〉とヨソモノ
 2 政治権力と関
関の乱立/経済関論と初穂論/港の光景‥譴力族豺湘隋森舛慮景∪召諒叱膨邸芯杜舛瞭麥犒燭板Ъ担当者/ローカルとビジターへ/津料は拒否できるか
 3 そして徳政
ふたたび和賀江島から/御成敗式目/幕府と〈海の勢力〉/その伏線/徳政としての式目/往阿弥陀仏とは/泰時の徳政と道家の徳政/田舎の習と中央の法/徳政モニュメントとしての港湾/鎌倉幕府の海賊禁圧/幕府のジレンマ/和賀江島の変質

第二章 ナワバリを越えて
 1 北条氏権力の置き土産
南と北の「海の武士団」/その経済基盤/蝦夷の沙汰とは/蝦夷大乱のなかで/千竈氏の譲状/黒潮の領主?/職をどう考えるか/島の貢物/安藤氏と千竈氏は比較できるのか/生え抜きと天下り/北条氏と海上交通ネットワーク/〈海の勢力〉の系列化
 2 <海の勢力>と手を結ぶ室町幕府
内乱のために/朝鮮側の証言/九州探題による海上警固/警固としての上乗/警固のリレー/山名氏と〈海の勢力〉/細川氏と〈海の勢力〉/そのままの「海賊」で
 3 癒着の温床
警固の代償/守護の素顔/一色氏の場合/実力行使/南蛮船を襲え!/守護と〈海の勢力〉の同化
 4 室町幕府と〈海の勢力〉の編成
直義の方針/例の秩序と主―従の関係/現実路線と在地慣習の尊重/支配していることになっている(義持編)/支配していることになっている(義教編)/獲得と分裂

第三章 冬の時代へ
 1 戦国大名と他国者
唐船と寄船/海賊にノー!/寄船にノー!/寄船は寄進しましょう/祭礼の法令/駄別料をめぐる確執/戦国大名とローカルの論理
 2 廻船衆の台頭
謎の「廻船式目」/廻船の主張/廻船の立場の上昇/戦国大名と関係する廻船衆/琉球渡海朱印状/要港をめぐる支配の内実/冬の時代
 3 織田信長と〈海の勢力〉
環伊勢海政権論/九鬼嘉隆と大船/ナワバリとしての大阪湾/九鬼嘉隆のポジション/伊勢・志摩の動揺と〈海の勢力〉/大湊の廻船衆/海から見た織田信長政権
 4 秀吉海賊停止令の読み方
海賊停止令を読む/初令探しは妥当か/宛所は誰か/深堀純賢という不運な見せしめ/本質的な停止/ナワバリの解体/秀吉のねらい/朱印船と雑兵

エピローグ 旅立ちの海
〈海の勢力〉とは何か?/武士は海を志向したのか/自力の世界/ナワバリの変質/彼らの針路/「海の武士団」という自己矛盾(ジレンマ)

参考文献
あとがき
索引


カバー図版: 「漂流琉球国記」(宮内庁書陵部蔵)


≪著者: ≫ 黒嶋 敏 (くろしま・さとる) 1972年、東京都生まれ。青山学院大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程中退。博士(歴史学)。東京大学史料編纂所助教。専門は日本中世史。著書に『中世の権力と列島』(高志書院)が、共著書に『中世と動く武家文書の研究』(高志書院)、『由緒の比較史』(青木書店)がある。


網野善彦 『「日本」とは何か』(日本の歴史00、講談社学術文庫、2008年) '10/11/20
榎本渉 『僧侶と海商たちの東シナ海』(選書日本中世史〈4〉、講談社選書メチエ、2010年) '10/11/15
久留島典子 『一揆と戦国大名』(日本の歴史13、講談社学術文庫、2009年) '11/04/20
桜井英治 『室町人の精神』(日本の歴史12、講談社学術文庫、2009年) '11/04/11
田中健夫、村井章介 編 『増補 倭寇と勘合貿易』(ちくま学芸文庫、2012年) '13/01/25
田中健夫 『倭寇 海の歴史』(村井章介 解説、講談社学術文庫、2012年) '12/02/19
申叔舟 『海東諸国記 朝鮮人の見た中世日本と琉球』(田中健夫 訳注、岩波文庫、1991年) '12/03/04
本郷和人 『武士から王へ お上の物語』(ちくま新書、2007年) '10/07/10
本郷恵子 『蕩尽する中世』(新潮選書、2012年) '12/03/29



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本「戦国大名の「外交」 (講談社選書メチエ556)」丸島和洋5

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戦国大名の「外交」 (講談社選書メチエ)
○著者: 丸島和洋
○定価: 1,785円
○ISBN: 978-4062585590






大名たちの熱いネゴシエーションと時代を動かした“取次”=外交官の実態
合戦だけが戦いではない!
武田、北条、今川、織田、島津……戦争と安全保障の舞台裏!

戦国大名たちは合戦だけをしていたわけではない。和睦や軍事同盟、領土交渉という「外交」を、活発に行って戦国時代を生き抜かんとしていた。武田信玄・今川義元・北条氏康による名高い「甲駿相三国同盟」の成立の舞台裏をはじめ、文書と交渉者「取次」が飛び交う、外交の現場を生々しく描き出す。最新の戦国期研究の成果がここにある!


≪目次: ≫
序章 戦国大名という「地域国家」

第一章 外交の作法
 1 同盟・和睦と大名の面目
同盟の呼び方/駿相同盟崩壊の背景/戦国武士の名前/外交責任者「取次」と半途での交渉/取次を介した交渉と「中人制」
 2 起請文の交換
起請文の作法/特殊な神文
 3 同盟の成立と崩壊
国分協定/姻戚関係の構築/「手合」という軍事支援/同盟の不安定さ/「手切之一札」

第二章 外交による国境再編
 1 国分――国境の再編協定
「国郡境目相論」/同盟交渉と国分/国分による「転封」と国境の再編
 2 国衆の両属
国衆離反が招く戦争/両属という事態/両属の解消―武田・織田衝突の契機
 3 村落と戦争
村落の外交と禁制の獲得/半手村落の設定/境目の村落が生み出す戦争/戦国大名領国における「平和」

第三章 外交書状の作られ方
 1 書札礼とは何か
外交書状と書札礼/料紙の使い方
 2 取次書状の作られ方
取次の設定と外交書状の組み合わせ/「二重外交」への危惧/同じ右筆が書いた外交文書/外交書状の内容指示/取次に対する副状作成案提示/外交書状の運ばれ方/取次の決定経緯/取次副状案の外交相手への転送

第四章 取次という外交官
 1 武田氏・北条氏の取次の構成
武田氏外交の取次/北条氏外交の取次
 2 当主側近の外交参加
側近による外交書状の披露/外交相手にとっての側近の存在意義
 3 一門・宿老の外交参加
「家宰」という存在/武田家における板垣・甘利氏――偏諱からみる家格/一門・宿老の起用と大名書状の「保証」/一門・宿老の安定性/もうひとつの理由――「指南」と「小指南」
 4 「取次権の安堵」
分国法と取次の権限/取次同士の内々の交渉/取次に対する進退保証/取次権の知行化と安堵/取次変更のトラブルと配慮

第五章 外交の使者
 1 使者の人選
武田氏外交の使者/将軍上使の起用/在京雑掌/山伏の派遣
 2 使者の危険性と路次馳走
使者捕縛指令――使者通過の困難さ/境目の城代の路次馳走/境目の責任者たちの判断

第六章 外交の交渉ルート
 1 越相同盟の成立と二つの手筋
越相同盟におけるふたつの「手筋」/越相同盟交渉と関東政治史の大転換/北条氏照の独自行動
 2 手筋の統合
新「由良手筋」の誕生/取次のバランス――カウンターパートの設定/手筋統合の実態
 3 越相同盟の崩壊
北条氏照書状の回覧/上杉氏外交と氏照書状の位置/北条氏照への配慮/越相同盟交渉の頓挫/越相同盟破棄と取次のその後

第七章 独断で動く取次
 1 取次島津家久の独断
阿蘇氏従属交渉と取次島津家久の予備交渉/難航する交渉/島津氏譲歩の背景/有馬晴信と合志親重の従属
 2 島津家久の裏の動き
崩壊寸前の豊薩一和/入田宗和の従属申し出/田中筑前守の虚言と島津家久/取次島津家久の暗躍
 3 過激化する取次
豊薩開戦の談合と秀吉の停戦命令/上井覚兼の取次化/秀吉による九州国分裁定と豊薩開戦の決定/島津義久の方針転換と困惑する取次たち/取次たちの積極策/過激化する取次上井覚兼/島津義久の激怒/大名と取次の意向の乖離

第八章 取次に与えられた恩賞
 1 他大名から与えられる知行地
伊達家臣小梁川宗朝に与えられた知行/上杉家臣北条高広に与えられた知行
 2 「取次給」と宛行
北条氏の「他国衆」小山田氏/『役帳』の記載と北条氏に対する取次/「取次給」という理解
 3 国衆側の取次への接し方
国衆側の取次と大名の関係/国衆側取次に期待されたもの/国衆従属に対する「恩賞」

終章 戦国大名外交の行く末
 1 戦国大名の取次化
室町幕府からの連続と非連続/戦国大名の取次と豊臣政権の取次/戦国大名自身の取次化/豊臣政権の取次と戦国大名の指南
 2 国分協定から「惣無事令」へ
外交からみる戦国大名権力の特色/室町幕府将軍の和睦調停/織田政権の和睦調停/天正壬午の乱/「信長如御在世之時候、各惣無事」/「惣無事令」をめぐって/沼田領問題/「惣無事令」による裁定


主要参考文献
あとがき (平成二五年七月一日 丸島和洋)
索引


※カバー図版: 北条氏康像(早雲寺蔵)と氏康花押/武田信玄像(高野山霊宝館蔵)と信玄花押


≪著者: ≫ 丸島和洋 (まるしま・かずひろ) 1977年、大阪府に生まれる。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(史学、慶應義塾大学)。国文学研究資料館研究部特任助教。専攻は、日本中世史(戦国大名論)・古文書学。著書に、『』戦国大名武田氏の権力構造』(思文閣出版)、共編著に『論集戦国大名と国衆5 甲斐小山田氏』『戦国大名武田氏の権力と支配』(以上、岩田書院)などがある。


久留島典子 『日本の歴史13 一揆と戦国大名』(講談社学術文庫、2009年) '11/04/20
桜井英治 『日本の歴史12 室町人の精神』(講談社学術文庫、2009年) '11/04/11

日本歴史学会 編 『概説古文書学 古代・中世編』(安田元久/土田直鎮/新田英治/網野善彦/瀬野精一郎 編集担当、吉川弘文館、1983年) '12/09/24



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本「ブリティッシュ・ロック 思想・魂・哲学 (講談社選書メチエ557)」林浩平5

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――TO BE A ROCK AND NOT TO ROLL
 絶対のエイトビートが魂を解放する!!――

ビートルズに始まる「イギリスの侵略」から半世紀――。世界中を熱狂させ、若者の「生の哲学」となったブリティッシュ・ロック。その誕生からの歴史をたどり、未来をさぐる。鼓動するドラムとベース、咆哮するエレキギター、絶叫のヴォーカルが、呼び起こす「ディオニュソス的陶酔」! ニーチェ、ハイデッガー、アガンベンの哲学が提示する、もっと音楽を愉しむための、思想としてのブリティッシュ・ロック。

ハイデッガーの実存の「開け」の概念とロック。「新たな霊性を啓くメディア」としてのロック。テクノロジーとロックの関係、新たな芸術ジャンルとしてのロックなど、思想の側からロックという「現象」を深く読み解く未曾有の論考。


≪目次: ≫
第一章 ロックの歴史
 1 はじめに――ロックとはなにか
 2 ロックの歴史――ロックンロールに始まる
 3 エイトビートの絶対性
 4 アート・ロックの展開
 5 ハード・ロック旋風
 6 プログレッシヴ・ロックの隆盛
 7 プログレ五大バンドの活躍――キング・クリムゾン
 8 ピンク・フロイドとイエス
 9 EL&Pとジェネシス
 10 カンタベリー・ロックとその系譜
 11 パンク・ロックの勃興
 12 ヘヴィ・メタル・ロックの逆襲とパラノイア的心性の問題
 13 ロックの巨大産業化とサブジャンルの複雑化
 14 ロック・ジャンルのトライブ化
第二章 ロックという哲学思想
 1 ニーチェ的経験からはじまる
 2 〈悲劇〉としてのロック
 3 ロックは「意思」の産物である
 4 ロックを歌う「声のきめ」
 5 「声」と「気分」の密接な関わり
 6 自己開示を導くものとしてのロック
 7 ロックを語ることの「自己表出」性
第三章 ロック・霊性を啓くもの
 1 神秘主義思想とロック・ミュージシャン
 2 アレイスター・クロウリーとジミー・ペイジ
 3 ロバート・フィリップとグルジエフ
 4 スピリチュアル志向のロック・ミュージシャンたち
 5 シュタイナーによる音楽本質論
 6 シュタイナーの「音階体験」理論とロック・コード・スケール
 7 ロックとオレクシス(絶対を希求する欲望)との結びつき
第四章 現代アートのなかのロック
 1 ロック的な美意識の誕生
 2 レコード・ジャケットのアート感覚――ヒプノシスの世界
 3 ロジャー・ディーンとマーカス・キーフの仕事
 4 アートスクール出身のロック・ミュージシャンたち
 5 美術家によるロックのジャケット・デザイン
 6 MTVとヴィデオアート
 7 ミュージックヴィデオとMTVの凋落
 8 ブライアン・イーノとヴィデオアート
第五章 ロックの歌詞の世界
 1 歌詞を通してロックを探る
 2 ラブソング
 3 自己存在の確認と肯定
 4 ドラッグ体験を歌う
 5 説話的な歌詞
 6 内省的なメッセージを持つ歌詞――「エピタフ」
 7 「スターレス」をめぐって
 8 「天国への階段」のメッセージ
 9 歌詞の文学性
第六章 ライフスタイルとしてのロック
 1 ヒッピー・カルチャーとロングヘア
 2 異装としてのロングヘア
 3 シルバーアクセサリーとタトゥー
 4 グラム・ロック・ファッションとロンドンブーツ
 5 カーニヴァルとしてのロック
 6 ドラッグ・カルチャーとロック
第七章 ロックは滅んだか
 1 ロックは音楽ではない?
 2 アンチ・ミュージシャンとしてのブライアン・イーノ
 3 自己否定性を内蔵したロック
 4 ロックの終焉
 5 デジタル・テクノロジーがロックに引導を渡したか
第八章 ロックの未来形
 1 ロック・スピリットの帰趨するところ
 2 音楽シーンの衰退?
 3 ロックの未来形?

あとがき (二〇一三年六月 仙川にて  林 浩平)
索引


≪著者: ≫ 林 浩平 (はやし・こうへい) 1954年和歌山県に生まれる。東京大学法学部卒業。NHK勤務を経て早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。詩人。恵泉女学園大学特任教授。文芸評論家。日本文学研究者。詩集『心のどこにもうたが消えたときの哀歌』(書肆山田)、著書『裸形の言ノ葉――吉増剛造を読む』(書肆山田)、『折口信夫 霊性の思索者』(平凡社)、『テクストの思考――日本近現代文学を読む』(春風社)、編著『ロック天狗連』(彩流社)、共編著『やさしい現代詩』(三省堂)ほか。



とつぜんシゴトが入って、あわてた。じっさい、ホッとした。シゴトがないのは、すなわち、お金が入ってくることがないことを意味することから、それはそれで、こまる。もっとも、この暑さがやわらいで、そして、子どもたちの夏休みがあけると、、、そう考えることにしていた、ところだった。パタパタと、たてつづけに、月末ですから。ぼくなんかより、もっともっと、ぼくにシゴトを依頼してくるシャチョウたちのほうが、セツジツなモンダイ、かとも

そう、こないだ、すこしまえ、ゆうがた、なにかの所用のあとママチャリで、近所の畑の野菜の直売所、甲州街道の向こう側、佐須街道のあたりに並んでいるところね、通りかかってチラリと見るには、青いトマトがピクルス用として100円で袋詰めで売られてた。ちょうどその日は、なんとかのひとつおぼえ宜しく手製の甘酢に野菜を漬けようと、ミリンを沸騰させて砂糖を溶かして酢を混ぜ合わせて、その朝にキュウリ(畑で4本100円)を買ってあって、残りのダイコンがあって、、、などと考えていたところだったから、まぁ反応してしまう。小粒なのが17コも入って100円とは、オトクね。1回では食べきれないから、3回くらいに分けて。じつのところ、赤いトマトは割高だから、といっても2〜4コで200円とかなんだけど、躊躇していて気になっていて、やっぱりトマトのフレッシュでジューシーなのは美味しいから。まぁ、お値段なりね、でもでも満足満足


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本「朱子学 (講談社選書メチエ555)」木下鉄矢5

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朱子学 (講談社選書メチエ)
朱子学 (講談社選書メチエ555)

○著者: 木下鉄矢
○出版: 講談社 (2013/7, 単行本 272ページ)
○定価: 1,680
○ISBN: 978-4062585583




――「理」とは、こういうことだったのか!――
ゼロから核心に誘う、入門書にして決定版

中国、朝鮮そして日本においても支配的な思想だった朱子学。「性即理説」「理気二元論」などのキーワードは語られますが、その哲学的な核心を、平易に解説することは、十分になされてきませんでした。本書は、前提となる専門知識なしでわかるように、「学とは」「性とは」「理とは」……と、基本的なところから、朱子学という学問の核心に読者を誘います。

朱熹は孔子をはじめとする先覚をいかに読み、何を考えたのか。核心となるテキストを、わかりやすく、かつ、徹底的に読み、朱子学の根本へと誘う。


≪目次: ≫
はじめに

第一章 「学」について
 コラム1 朱熹という人
第二章 「性」について
 コラム2 朱子学のテキスト
第三章 「理」について
第四章 「理」について 続き
 コラム3 「理」という言葉の歴史
第五章 「心」について
第六章 「善」について

あとがき (二〇一三年六月一七日 著者識)


≪著者: ≫ 木下鉄矢 (きのした・てつや) 1950年、兵庫県に生まれる。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得。京都大学助手、岡山大学教授、総合地球環境学研究所教授を歴任。専攻は、中国思想史。著書に、『朱子 〈はたらき〉と〈つとめ〉の哲学』(岩波書店)、『朱子学の位置』(知泉書館)、『朱熹再読 朱子学理解への一序説』(研文出版)などがある。


小倉紀蔵 『入門 朱子学と陽明学』(ちくま新書、2012年) '13/02/06
溝口雄三/池田知久/小島毅 『中国思想史  An Intellectual History of China 』(東京大学出版会、2007年) '12/12/25


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本「人はなぜ傷つくのか 異形の自己と黒い聖痕 (講談社選書メチエ554)」秋田巌5

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人はなぜ傷つくのか 異形の自己と黒い聖痕 (講談社選書メチエ)
人はなぜ傷つくのか 異形の自己と黒い聖痕 (講談社選書メチエ554)

○著者: 秋田 巌
○出版: 講談社 (2013/7, 単行本 288ページ)
○定価: 1,785円
○ISBN: 978-4062585576




――人はなぜ傷つくのか?
    それは、人が人になるためだ――

ブラック・ジャックを始めとするマンガ、「ゴジラ」などの映画、テレビドラマに見られる「ブラックな」キャラクターなど、日本文化固有の「傷」の表現の彼方に、文化の固有性を超えた普遍的な人間の実存の表象を見る。ユング、河合隼雄の業績を受け継ぎながら新たな局面を切り開く、ユング派心理学の意欲作。


≪目次: ≫
まえがき
アダムとイヴは「人間」か?/「元型」としての『ブラック・ジャック』/傷と共に生きる/河合隼雄との出会い/『ブラック・ジャック』の「啓示」/「黒さ」/根源としての「傷」/「舞」と「祈り」/傷のあとをどう生きるか

序章 傷を生きる精神学(サイキオロジー)
西洋の個性化――完全性と全体性/イエス・キリストの傷、Disfigured Hero の傷/「契約書」/Disappearing Anima(消えゆく女性像)& Disfigured Hero(傷を生きる英雄)/ゴジラとモスラ/イエス・キリストとかぐや姫/まとめ

第一章 異形の自己
第一章・序/手塚治虫とマンガ文化/手塚マンガのわかりにくさ/ブラック・ジャック/友人/恋人/本間丈太郎/手塚治虫の個性化/間黒男からブラック・ジャックへ/Disfigured Hero たち/「開(ひら)け」/異形の自己と黒い超自我

第二章 癒されぬ個性化
第二章・序/サイコセラピーと心理療法/西洋人とキリスト教(1 西洋人と原罪/(1) 原罪/(2) 原罪の共有/2 西洋精神医学のなかの「キリスト教」/(1) 変質学説/(2) 醜形恐怖/(3) 広場恐怖)/日本人と「罪」(1 「魔」の襲来/2 「宿業(しゅくごう)は人々(にんにん)違う」/3 「罪を得る」/4 「見るなの座敷」、その後(1)/5 分析における個性化、西洋と日本/6 「見るなの座敷」、その後(2))

第三章 純粋にして強靭な意志――『Happy!』より
第三章・序/『Happy!』/ヘラの栄光/蝶子の変容/未来(ego-in the future)/英雄と Disfigured Hero /「鰐淵京平」/「純粋にして強靭な意志」二種

第四章 黒い超自我
第四章・序/超自我・自我・エス/全体性という神/「精神病質は治療不可能である」ことについて/『必殺仕事人』/『怨み屋本舗』『黒の女教師』/『遠山の金さん』『水戸黄門』『暴れん坊将軍』/『ワイルド7(セブン)』/『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿』/『DEATH NOTE(デスノート)』/『女王の教室』――「異形の自己」と「白い超自我」

第五章 「傷」が呼び寄せるもの――『カフーを待ちわびて』より
第五章・序/沖縄の小さな島で/名前について/「うつ状態」と「不幸状態」/「書く」ということ/「不幸状態」と精神学的 psychiological な物の見方について/開発/カフーを待ちわびて/母/「原罪式」/幸の正体/手紙/幸せ/明青の左手の傷について/「祈り」は「傷」のなかにある/Praying Anima(祈りのマニア)/「異類」としての「傷もの」/無為の力

第六章 異類としてのアンドロイド――《さようなら》より
第六章・序/アンドロイド演劇《さようなら》(平田オリザ+石黒浩研究室)/セラピストとして/異類として(1 『鶴女房』と『竹取物語』/2 支えとしての原悲/3 異類と罪/4 かしづくもの−祈り続けるもの−祈りのマニア(Praying Anima))

終章 「原傷(げんしょう)−黒い聖痕」
終章・序/原失/二つのゴースト/「白鷺天昇」/イエス・キリストからブラック・ジャックへ

あとがき (二〇一三年二月 瀬田川のほとりにて  秋田 巌)
索引


≪著者: ≫ 秋田 巌 (あきた・いわお) 1957年、高知県生まれ。高知医科大学卒業。医学博士、臨床心理士。1996年、チューリッヒ・ユング研究所卒業、ユング派分析家国際資格取得。2004年、日本箱庭療法学会「河合隼雄賞」受賞。京都文教大学臨床心理学部教授、京都文教大学健康管理センター長、日本ユング派分析家協会理事、日本ユング心理学会役員。主な著書に『さまよえる狂気:精神学からの提言』(創元社)、『死を育てる』(共編、ナカニシヤ出版)などがある。




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本「漢方医学 (講談社選書メチエ553)」渡辺賢治5

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漢方医学 (講談社選書メチエ)
漢方医学 (講談社選書メチエ553)

○著者: 渡辺賢治
○出版: 講談社 (2013/6, 単行本 216ページ)
○定価: 1,575円
○ISBN: 978-4062585569




中国にもない日本独自の医学=漢方
近代西洋医学とも融合しながら世界でもユニークな治療実績を重ねつつあるその世界を、「虚・実」「気・血・水」など東洋思想に基づいた世界観から実際の治療の現場にいたるまで、第一人者が解説する。


≪目次: ≫
まえがき

第一章 漢方とは何か
 1 はじめに
 2 そもそも漢方医学とは何か?
世界の伝統医学/グローバル化が進む伝統医学/漢方医学は日本独自のものである/漢方と蘭方を融合した江戸の医学/世界ではじめて全身麻酔の手術を行った華岡青洲も漢方を駆使した/漢方は日本人のデータを積み重ね、日本で体系化された医学である/漢方医学の衰退/漢方医学の危機/漢方の復興/真の東西医学の融合に向けて/明治政府に否定された漢方医学/秘密主義を守った明治脚気戦争/漢方医学の復興/漢方医学のブーム/医療用漢方製剤の登場/医学教育に組み込まれた漢方医学/漢方専門医師/現在の医療制度が独自のものを作っている
 3 鍼灸について
日本の鍼灸/お灸について/鍼灸と西洋医学のミックス/保険の利く疾患が限られている鍼灸/世界一繊細な日本の鍼術の技/中国のツボと日本のツボ/新しい、理想の医療を目指して

第二章 漢方という「思想」
 1 病気のとらえ方=世界観
患者を治す上で洋の東西はない/個別化を重んじる漢方/時間軸を重んじる/病気のとらえ方/病原を排除する方法/漢方の補う治療/中庸を重んじる
 2 漢方の診察
四つの診療方法/望診/聞診/問診/切診
 3 漢方医療とはどのような診断をするのか
漢方の診断=証/虚・実/日本にしかない「虚実中間」/寒・熱/六病位――急性熱性疾患では時間的経過が重要/症状から六病位を見分ける/気・血・水 体のバランスの崩れているところを探す/「気虚」/「気うつ」(気滞)/「気逆」/「血」の異常/「血虚」/「瘀血」/「水」の異常/「水毒」/「気・血・水」の異常が複数ある場合
 4 漢方薬とは何か?
そもそも漢方薬って何?/ハーブとの違いは?/なぜ組み合わせる必要があるのか?/処方単位の日本漢方、生薬単位の中医学/処方にも性質があると考えた日本/漢方薬の剤形/日本のエキス製剤技術は世界一/薬用量の違い/養生訓にある薬用量の違い/生薬の由来についてはまだまだ発見がある/正倉院薬物/正倉院薬物の学術調査

第三章 現代漢方の使い方――「治療」の章 その一
 1 漢方で何ができるか?
 2 漢方が得意とする治療
機能性胃腸症/こむら返りに芍薬甘草湯/虚弱児童に対する漢方治療
 3 がんに対する治療
根治することはできないが/カンプトテシンによる下痢の抑制/カンプトテシンの下痢は黄芩湯でも抑えられる/シスプラチンの腎障害を予防する十全大補湯/末梢神経障害を軽減する牛車腎気丸/その他の副作用軽減のための漢方/がん手術後の大建中湯で術後腸閉塞を予防/緩和ケアと漢方薬/モルヒネ製剤の副作用の便秘に大建中湯
 4 感染症
官報は歴史的に感染症との闘い/インフルエンザに対する漢方治療/二〇〇九年の新型インフルエンザ/漢方薬の作用機序
 5 アレルギー性疾患
花粉症に対して即効性もある/アトピー性皮膚炎は西洋医学との併用
 6 女性のなやみ
婦人科疾患は漢方の得意領域/むくみやすく冷えがある人に当帰芍薬散/のぼせ易い人に桂枝茯苓丸/不安感が強い人に加味逍遥散
 7 高齢者に対する治療
漢方の得意分野の一つ/加齢に伴う種々の機能低下に八味丸/胃腸虚弱で冷えて下痢をする場合に真武湯/便秘/下剤で腹痛やひどい下痢を来す場合/腰痛・しびれ/膝関節痛/頻尿/不眠/認知症で怒りっぽい時に抑肝散

第四章 漢方による実際の治療例――「治療」の章 その二
 1 内科領域
高血圧/便秘/冷え・下痢/抗がん剤の副作用軽減/大腸がん術後の倦怠感/食欲低下/冷え・頭痛・全身の痛み/腹痛・朝起きられない
 2 産婦人科領域
月経過多
 3 泌尿器科領域
頻尿
 4 整形外科領域
変形性膝関節症/両足先のしびれ
 5 精神科領域
動悸・パニック障害/うつ・不眠症/チック/円形脱毛症/のぼせ・肩こり・不眠
 6 アレルギー・皮膚疾患
花粉症・鼻炎(西洋薬との併用・体質改善の処方)/喘息/夜泣き・食物アレルギー・アトピー性皮膚炎/ニキビ

第五章 漢方を賢く使用する方法
 1 漢方薬を上手に活用しよう
漢方薬を飲むタイミング/風など急性の病気では急いでのむこと/漢方エキス製剤ののみ方/漢方薬の服薬期間/薬の効き方には腸内細菌が大きな役割を持つ
 2 漢方薬の副作用も知っておこう
漢方の安全神話が崩れた小柴胡湯による死亡例/間質性肺炎が起こりやすい条件/偽アルドステロン症/肝機能障害/尿閉/下痢・腹痛/舌のしびれ/発疹・蕁麻疹/胃腸障害/妊娠中の漢方の服用/漢方の適正使用
 3 漢方の医師を上手に活用しよう
総合医としての漢方医/医師ライセンスが一つであることのわが国の強み/問診項目同士のつながりを重視/種々の症状出現の時間的流れが重要/診察の受け方心得/漢方治療を受けられる病・医院とはどこか
 4 病気にならなように漢方を活用する
予防医学としての漢方の活用/慢性疾患に対する管理/疼痛性疾患に対する鍼灸治療の活用
 5 漢方から見た健康法
養生は漢方の基本/医食同源の実践を/冷え症は現代病/体を動かさなくなった現代人

第六章 漢方医学の抱える課題
事業仕分けで不要とされた漢方医学/医療用漢方製剤と一般用漢方製剤/なぜ保険はずしが繰り返されるのか/両医学を融合させてこそ効率のいい医療が可能となる/中国が推進する東西医学融合/東西医学融合の落とし穴/研究予算が圧倒的に少ない日本/補完・代替医療の中での伝統医学/米国国立補完・代替医療センターの方向転換/ Whole medical systems /真の融合のためには専門の漢方医がもっと必要/日本型医療推進のためのグランドデザインを

あとがき (二〇一三年一月 渡辺賢治)
索引


※カバー図版: 『本草品彙精要』(清代)より


≪著者: ≫ 渡辺賢治 (わたなべ・けんじ) 1984年慶應義塾大学医学部卒、同大内科学教室勤務。90年東海大学免疫学教室、91〜95年米スタンフォード大学等を経て95年北里研究所東洋医学総合研究所にて本格的に漢方に取り組み始める。慶應義塾大学医学部漢方医学センター長を経て、慶應義塾大学環境情報学部教授、医学部兼担教授。奈良県立医科大学客員教授。日本内科学会総合内科専門医、米国内科学会上級会員、日本東洋医学会理事・指導医・漢方専門医、和漢医薬学会理事、日本漢方医学研究所理事。厚生労働省社会保障審議会委員。WHOで国際疾病分類の改訂委員を務めるなど国際的にも活躍。著書に『漢方薬使い分けの極意』(南江堂)『日本人が知らない漢方の力』(祥伝社新書)がある。




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本「日独伊三国同盟の起源 イタリア・日本から見た枢軸外交 (講談社選書メチエ552)」石田憲5

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日独伊三国同盟の起源 イタリア・日本から見た枢軸外交 (講談社選書メチエ)
日独伊三国同盟の起源 イタリア・日本から見た枢軸外交 (講談社選書メチエ552)

〇著者: 石田 憲
〇出版: 講談社 (2013/6, 単行本 256ページ)
〇定価: 1,680円
〇ISBN: 978-4062585552






融通無碍な「反共」イデオロギーから、友敵関係による対外政策を作り出す構造が生まれ、ついには、実質的意味を持たず、破壊的な結末へと至る「空虚なる同盟」が結ばれてしまった。日本とイタリアの外務省に注目することで、枢軸外交が機能不全と自己崩壊に帰着する、その過程と構造を生々しく浮き上がらせる、画期的研究!


≪目次: ≫
凡例
はじめに
理性的外務省像と三国同盟の選択/対外政策を作り出す構造/日独伊外務省をめぐる比較の視座

第一章 日伊外務省と反共主義的国際観――対外政策のイデオロギー的背景
 一 一九三〇年代の日伊外務省
対抗イデオロギーとしての反共主義/日伊外務省、二つの転機/政策決定への志向と中枢からの距離/像限間の移動から見えること
 二 相違点としてのファシズム
交渉型、政務型、それぞれのファシズム観/イタリア側の東アジア認識
 三 結節点としての反共主義
反共主義の多様性
 (1) 国際連盟非難の論理
日本の連盟赤化論/イタリアの連盟批判と脱退論
 (2) 武力介入の正当化
日中戦争に対する石射猪太郎の憂い/スペイン内戦をめぐるカンタルーポの憤り/「中国通」と「ソ連通」
 (3) 反共的国際秩序の模索
「不十分な交渉者」/手段を選ばぬ「陰謀外交」
 四 善悪二元論と友敵関係――親枢軸から反西欧へ
「善悪」と「友敵」/ソ連は敵か/虫のいい話と危険なゲーム/友を選ぶこと、敵を作ること
 五 「空虚なる同盟」の始まり
連鎖的「友敵」意識が胚胎させた同盟/外務省のイデオロギー的変容/上昇性に乏しい人事異動/交渉型への移項と転落/四像限を束ねる反共主義

第二章 同床異夢の枢軸形成――現実政治の蹉跌
 一 日独伊枢軸の位置づけ
イタリアの欺瞞、ドイツの攻撃性、ナイーヴな日本/イデオロギー、「現実主義」、政策決定過程・構造
 二 東アジアの危機と枢軸の世界化
同床異夢の三国
 (1) ブリュッセル九ヵ国条約会議
駐米大使の警告/四分五裂の九ヵ国会議
 (2) 日独伊三国防共協定締結
機会主義の道具としてのイデオロギー/内向きの「現実主義」/リッペントロップの権力闘争
 (3) イタリアの満洲国承認
中国市場という交錯点/仮想のイデオロギー的連帯
 (4) 日中和平調停工作
トラウトマン工作と三国の齟齬/枢軸推進の内実
 (5) イタリアの国際連盟脱退
敵対的国際秩序としての連盟/新しい修正主義/高まりゆくイギリスとの緊張/矛盾する枢軸結合の進展
 三 新たな膨張をめぐるイメージ
三つのイメージ・パターン
 (1) カウンター・イメージ――連盟システムを否定する擬似対抗イデオロギー
「対手とせず」声明を生んだ潜在的イメージ/イタリアの優越性を信じる反連盟論/共有された「連盟=ヴェルサイユ体制」観
 (2) パラレル・イメージ――打算に基づく「現実主義」的侵略の連鎖
侵略の連鎖反応/それぞれの掲げる「究極的目標」/伝染する利己的行動パターン/パーソナリティの問題ではない
 (3) ミラー・イメージ――政策決定過程に投影される宥和への期待
大英帝国に第三帝国の似姿を求める/交渉相手に誠実を求める/自国の権力闘争イメージを投影する

第三章 同盟抑制の機能不全――対外政策決定過程の構造的崩壊
外務省における抑制機能の喪失
 一 不従順な体制派――二人の駐英大使 ディーノ・グランディと吉田茂
 (1) 駐英大使への「左遷」
一九三〇年代イギリスという舞台
 (2) 「現実主義」と「反共主義」
後発帝国主義国の矜持/世論操作とお説教
 (3) 「親英派」両大使の交渉形態
懐柔と不満を買うあいまいな態度/「善意」と「悪意」
 (4) 二つの「振り子理論」
外圧への期待と強すぎた主体性/割拠と競争
 (5) それぞれの戦中・戦後
発揮された“資質”
 二 追随する抑制者――二人の外務省ナンバー・ツー ジュゼッペ・バスティアニーニと有田八郎
 (1) 枢軸批判の「小チァーノ」――ジュゼッペ・バスティアニーニ
自己弁護と虚栄/個人と組織の転倒/造反と免罪の行方
 (2) 「薄墨色」の政治的能吏――有田八郎
国際的反応よりも国内抗争/内向きの感覚と対英交渉/「小広田」として
 三 崩壊する対外政策決定の組織構造――東アジアと枢軸をめぐる政治と情報
 (1) 東アジア関係への接近態様
喪われた組織的調整機能/個人の恣意による外交
 (2) 枢軸深化にともなう対外政策の構造的迷走状態
統一的指導力の欠如/情報をめぐる弛緩と欠陥/終わらぬ混迷状態/自己崩壊へ向かう対外政策決定システム/閉鎖的な権力構造/対外政策を作り出す構造と過程/行動主体の配置と認識

おわりに (二〇一三年三月二三日 (不幸な歴史の始まりを告げる「戦士のファッショ」結成から九拾四年目の春に) 東京の実家にて 石井憲)


主要参考文献
主要事項索引
人名索引


※カバー写真: 左から、ヒトラー、チァーノ、ムッソリーニ (1938年6月 AP/アフロ)


≪著者: ≫ 石田 憲 (いしだ・けん) 1959年、東京都に生まれる。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。千葉大学法経学部法学科教授。専攻は、国際政治史。著書に、『地中海新ローマ帝国への道――ファシスト・イタリアの対外政策 1935-39』(東京大学出版会)、『敗戦から憲法へ――日独伊 憲法制定の比較政治史』(岩波書店)、『ファシストの戦争――世界史的文脈で読むエチオピア戦争』(千倉書房)などがある。



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本「丸山眞男を読みなおす (講談社選書メチエ435)」田中久文5

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丸山眞男を読みなおす (講談社選書メチエ)
丸山眞男を読みなおす (講談社選書メチエ435)

○著者: 田中久文
○出版: 講談社 (2009/3, 単行本 276ページ)
○定価: 1,680円
○ISBN: 978-4062584357




戦後日本の代表的知性は日本思想に何を見たか

丸山眞男は西洋近代至上主義者・国民国家至上主義者だったのか。丸山が「主体性」論で追究しようとしていたものは何か。著作、講義録をいま一度丁寧に読みなおし、「他者感覚」「自己内対話」など新たな視点から、誤解されがちな丸山思想の可能性を探る。


≪目次: ≫
はじめに
戦後民主主義の旗手/「夜店」と「本店」/「主体性」の思想/丸山への「誤解」/本書のめざすもの

第一章 主体性と国家
1. 近代の「個人主義的国家」への批判
最初の論文/「弁証法的全体主義」とは
2. 京都学派との関わり
田辺元の「種の論理」への評価/務台への批判点
3. 近代主義への変貌
二つの荻生徂徠論/変化の理由/近衛新体制への期待/近代理解の変化

第二章 「自然」と「作為」
1. 江戸時代における近代
江戸儒教への関心/「自然法思想」としての朱子学/「自然」から「作為」へ/「天」の不可知性/「無」からの作為/「公」と「私」の区別/「その度ごとの作為」/西洋近代との類比/明治の「人作説」
2. 「自然」の思想家
「作為」から再び「自然」へ/安藤昌益の「自然」/本居宣長の「自然」
3. 徂徠論の抱える問題点
単線的歴史観への反省/ニヒリズムと「自然」/京都学派における「自然」と「作為」

第三章 超越と他者
1. 戦後の日本人と「自由」
「あてがはれた自由」/新憲法をめぐって/江戸思想史理解の変化/明治期の「自由」/近代天皇制の構造
2. 近代的「自由」への反省
大衆社会の問題点/超越的なものによる被縛感/「近代」の相対化/江戸思想史の見直し
3. ナショナリズムの変容
ナショナリズムの危険性の自覚/国家を超えたもの
4. 相対主義に耐える力
価値判断の相対性/他者の登場/主体性と「自然」

第四章 「開国」と「原型」
1. 「開国」への注目
大きな転機/「開国」
2. 「原型」論の登場
精神的座標軸の不在/雑居から雑種へ/日本文化の二重構造/「深層に沈殿した思考様式」
3. 「原型」とはなにか
集団的功利主義/心情の純粋性/活動・作用の神化/自然的生成のオプティミズム

第五章 「原型」と「原型を超えた思想」
1. 六〇年代の講義
講義における日本思想史の構想/「原型」と「原型を超える思想」との関係
2. カオスとしての「原型」
「成層」論からみた「原型」/もう一つの「原型」
3. 「原型を超えた思想」をどう捉える
「可能性」において捉える思想史/「典型的な状況」/伝統思想の読み替え

第六章 日本思想史の構想 1――天皇制
1. 天皇制の基本的特色
「原型」と天皇制/天皇の五つの性格
2. 「まつりごと」の構造
「まつりごと」の真意/二重統治
3. 天皇制と儒教的政治観
『日本書紀』の有徳者君主思想/天皇制と革命思想/大化改新と儒教
4. 『神皇正統記』の意義
三種の神器/親房の歴史哲学/天皇制と「原型」

第七章 日本思想史の構想 2――武士のエートス
1. 近代化と武士道
忠誠と反逆/明治の思想と武士道
2. 武士のエートスの発生
武士の個人主義/武士と「原型」
3. 武士の「道理」
統治の理念としての「道理」/内在的自律規範としての「道理」
4. 鎌倉時代以降の武士
室町時代/戦国時代
5. 『葉隠』の主体性
強烈な能動性/幕末の武士
6. 武士道と「忠君愛国」
明治三〇年代の武士道ブーム/「忠君」と「愛国」/武士のエートスと「原型」

第八章 日本思想史の構想 3――仏教とキリスト教
1. 十七条憲法
仏教の普遍性/「和」の精神とは?/官僚のモラル/十七条憲法と「原型」
2. 「原型」による仏教理解の変容
最澄と空海/一般民衆と仏教思想
3. 鎌倉新仏教の意義
「原型」の「崩壊感覚」/鎌倉新仏教への評価/親鸞/道元/日蓮/鎌倉新仏教をどう捉えるか/「講」と一向一揆
4. キリシタン
キリシタンの渡来/日本人がキリスト教に近づいた理由/教義をめぐる思想的対決/キリシタン流布の意義

第九章 日本思想史の構想 4――近世思想
1. 幕藩体制の基本的性格
宗教的権威の不在/「閉じた社会」/「鎖国」の意味/幕府の統治政策/「型」の文化/三つの契機の相互作用
2. 近世儒教の変容
朱子学の位置づけの修正/「原型」による儒教の修正・変容/国学の位置づけ
3. 儒教の普遍的契機の意義
中華思想をめぐって/「革命」思想と「正名論」「名分論」/「天」の理念/近世思想の意義

第一〇章 異質なものとの対話
1. 超越的なものの風化
七〇年代以降の丸山/「歴史認識の『古層』」/「原型」と現代的状況との符合
2. 「原型」と「原型を超えた思想」との統合
論文「闇斎学と闇斎学派」の意味するもの/正統と異端/二つの「正統性」/朱子学と神道/普遍的な「道」と国家との関わり/主従関係のあり方/徳治主義と万世一系/闇斎学派の意義
3. 複数の観点
問答体の系譜/『三酔人経綸問答』

終章 「他者感覚」から「自己内対話」へ
主体の追究/「他者感覚」/「自己内対話」/「絶対的権威」/丸山の思想の意義


あとがき (二〇〇九年一月二〇日 大寒 田中久文)
索引


≪著者: ≫ 田中久文 (たなか・きゅうぶん) 1952年、埼玉県生まれ。東京大学文学部倫理学科卒業後、同大学院博士課程修了。日本女子大学人間社会学部教授。専攻は倫理学・日本思想史。主な著書に『九鬼周造――偶然と自然』(ぺりかん社・第一回中村元賞受賞)、『日本の「哲学」を読み解く――「無」の時代を生きぬくために』(ちくま新書)、『甦る和辻哲郎――人文科学の再生に向けて』(ナカニシヤ出版・編著)がある。


田中久文 『日本の「哲学」を読み解く 「無」の時代を生きぬくために』(ちくま新書、2000年) '13/06/07
佐藤康邦/清水正之/田中久文 編著 『甦る和辻哲郎 人文科学の再生に向けて』(片山洋之介/熊野純彦/高橋文博/窪田高明/李梨花/卞崇道/マーク・ラリモア/湯浅泰雄 執筆、叢書=倫理学のフロンティアV、ナカニシヤ出版、1999年) '12/11/16

遠山敦 『丸山眞男――理念への信』(再発見 日本の哲学、講談社、2010年) '11/08/06
苅部直 『丸山眞男 リベラリストの肖像』(岩波新書、2006年) '11/04/18
長谷川宏 『丸山眞男をどう読むか』(講談社現代新書、2001年) '09/02/08




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本「古代ギリシアの精神 (講談社選書メチエ551)」田島正樹5

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古代ギリシアの精神 (講談社選書メチエ)
古代ギリシアの精神 (講談社選書メチエ551)

○著者: 田島正樹
○出版: 講談社 (2013/5, 単行本 240ページ)
○定価: 1,575円
○ISBN: 978-4062585545



・・・哲学のアイデンティティ、本質、奥底の衝動は、まさにそのことに存する、、、ギリシア、とりわけ紀元前五世紀のアテナイ、、、(p4-5、「まえがき」)


ソクラテス・プラトン以前の「ギリシアの古層」とは? オイディプスの悲劇の本当の読み方とは? 合理性、魂、そして自由をめぐる思考の核心!

社交を尊び、戦場で神を感得し、悲劇的世界観を物語に読み込む。そんな古代ギリシア人たちの精神を、ヘロドトスやツキュディデス、ギリシア悲劇や叙事詩などのテクストから喚び起こし、ギリシアの古層にある思考に光を当て、さらには現代の哲学的問題へと思考を深める。私たちの内なるギリシア人と出会う旅への誘い。


≪目次: ≫
まえがき

I 社交的存在
宴会/ソクラテス−プラトン問題/神々/フィリア(友愛)/ヘシオドスとイオニア

II 悲劇的世界観
ソロンとクロイソス/ギリシア的言語観/ラカンの解釈/精神分析における主体/オイディプスとスフィンクスの謎/隠喩/ペルシア人とギリシア人

III アリストテレス――運と合理性
i テュケー(運)
合理的説明/アキレウスと亀/ツキュディデスにおけるテュケー/意味の生成/カントのカテゴリーと物自体/自由と能力仮説/現象の運動
ii 弁証法
三段論法/プラトンの想起説/アリストテレスの弁証論/中庸/本質の再定義

IV 魂
自然/魂の定義/栄養的魂/プラトンの『テアイテトス』の議論/共通感覚/異種感覚の区別/時間の判別/判別者とは何か/指示対象なき指示は可能か/共通感覚の「標準的解釈」について/非標準的解釈の利点/クオリア(感覚質)という擬似問題/思惟

あとがき


人物コラム
ディオゲネス/ヘシオドス/アナクシマンドロス/パルメニデス/アウグスティヌス


≪著者: ≫ 田島正樹 (たじま・まさき) 1950年、大阪府に生まれる。東京大学人文系大学院博士課程単位取得退学。千葉大学教授。専攻は、哲学・倫理学。主な著書に、『読む哲学事典』(講談社現代新書)、『ニーチェの遠近法』(青弓社)、『神学・政治論』(勁草書房)、『正義の哲学』(河出書房新社)、『哲学史のよみ方』(ちくま新書)などがある。

田島正樹 『哲学史のよみ方』(ちくま新書、1998年) '09/07/29
田島正樹 『読む哲学事典』 (講談社現代新書、2006年) '09/07/24
田島正樹 『ニーチェの遠近法』(クリティーク叢書、青弓社、1996年、新装版 2003年) '09/04/21



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本「弁証法とイロニー 戦前の日本哲学 (講談社選書メチエ550)」菅原潤5

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弁証法とイロニー 戦前の日本哲学 (講談社選書メチエ)
弁証法とイロニー 戦前の日本哲学 (講談社選書メチエ550)

○著者: 菅原 潤
○出版: 講談社 (2013/5, 単行本 216ページ)
○定価: 1,575円
○ISBN: 978-4062585538





田辺元と保田与重郎を二つの極に、ハイデガー・ベンヤミンらと同時代の思想的営為として戦前日本の思想を読み解く比較哲学史の試み

戦前期、「近代」を問う日本の知識人たちは何を思想的課題とし、何を思考し続けていたのか。田辺元の「弁証法」と保田与重郎の「イロニー」を二つの極に、三木清の「人間学」・萩原朔太郎の「デカダンス」の思想を媒介項とすることにより戦前の思想地図を大幅に書き換える。同時に、ハイデガー・ベンヤミンらと同時代の思想的営為として戦前期の思想を世界の哲学思潮の中に位置づける意欲作。


≪目次: ≫
プロローグ――なぜこの二つの語なのか
二つの語から連想されること/ロマン派とイロニー/現象学と弁証法/ディルタイからみた現象学とのつながり/ヘルダーリンを介したハイデガーとベンヤミン/田辺元と現象学/三木清とハイデガー/三木・萩原朔太郎・保田与重郎――生田長江からの影響/「比較哲学史」の可能性/「昭和思想史」と「日本哲学史」/弁証法をめぐる田辺と三木/三木と文学論/三木と日本浪漫派/保田与重郎と亀井勝一郎――日本浪曼派における対立/イロニーとデカダンス/デカダンスの系譜――田辺・朔太郎・保田/章立てについて

第一章 田辺元の弁証法、あるいは発出論批判
田辺の人間性/京都学連事件について/河上肇と三木/田辺による弁証法批判/シェリングへの共感/弁証法的自由の視点/観念弁証法と唯物弁証法/「物質的存在の発展運動」――絶対弁証法とは何か・その一/「個人的人格」――絶対弁証法とは何か・その二/個人と全体の弁証法――絶対的弁証法とは何か・その三/船山信一と高山岩男/船山による田辺批判/田辺による西田批判/シェリングによる発出性批判/シェリングと田辺の親近性

第二章 架橋的思索者としての三木清
日本哲学史における位置づけ/三木における弁証法とイロニー/三木と田辺の関係/三木と唯物論との接点/人間学とイデオロギー――二つの「弁証法的なる関係」/歴史的意識と人間学/基礎経験は階級意識たり得るのか――梯による三木批判/「社会的身体」のファシズム的性格/「個人的人間」の捉え方――田辺と三木の異同/船山の見た梯の西田受容/弁証法的一般者から見たヘーゲルとマルクスの弁証法/知覚論から見た行為的直観/物質的主体の弁証法/物質的主体から見た田辺と西田の立場/実践的直観と行為的直観/高山による行為的直観の批判/「課題と解決」と場所的論理/田辺を軸にした弁証法理解

第三章 イデオロギー論とイロニー――三木清と保田与重郎の交わるところ
保田と京都学派との関係/人間学からパトスへ―「イデオロギーとパトロギー」の問題設定/松下のパトス論の背景/イロニー論が登場する文脈/保田とシュレーゲル/プロレタリア文学論の背景/群衆とパトス/イロニーと弁証法/大衆文学とイロニー/青春の喪失とデカダンツ/「浪曼派の将来」への注目/保田と亀井の大衆観/三木のミュトス的倫理/三木による日本浪曼派批判/朔太郎との接点/朔太郎と生田長江訳ニーチェ全集/朔太郎のデカダンス観/ボードレールへの傾倒/朔太郎の保田評/『日本への回帰』へ

エピローグ――比較哲学史のすすめ
田辺とフランス象徴詩/絶対弁証法から種の論理へ/種の論理から懺悔道へ/ヴァレリー・マラルメ 対 ボードレール/芸術と経済の関係/ボードレールの「高貴」――田辺のイロニー/坂部恵の朔太郎論/田辺の二通りの読み方/大海と大衆/ベンヤミンと大衆=メディア論/従来の日本哲学史研究の特徴/ユダヤ系思想家との関連/比較哲学史の地平へ


あとがき (二〇一三年三月一一日(東日本大震災から二年後) 菅原 潤)
索引


≪著者: ≫ 菅原 潤 (すがわら・じゅん) 1963年生。東北大学文学部卒業、同大学大学院文学研究科博士課程修了。長崎大学環境科学部教授。専門は近現代ドイツ思想、環境哲学。著書に『シェリング哲学の逆説』(北樹出版、2001年)、『環境倫理学入門』(昭和堂、2007年)、『昭和思想史とシェリング』(萌書房、2008年)がある。



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本「国家とインターネット (講談社選書メチエ547)」和田伸一郎5

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国家とインターネット (講談社選書メチエ)
国家とインターネット (講談社選書メチエ547)

○著者: 和田伸一郎
○出版: 講談社 (2013/4, 単行本 240ページ)
○定価: 1,575円
○ISBN: 978-4062585507



「私たちの世界」はどこに行こうとしているのか? IT化社会における政治哲学の可能性を切り開く

グローバリゼーションの時代、国家とメディアの関係は敵対か、はたまた共存か? IT技術は〈人間〉への福音か、それとも呪いか? ――来るべき世界における権力・メディア・人間の関係を根底から考察する。


≪目次: ≫
まえがき

序章 ネットを〈創造〉したのは誰か
はじめに/研究者/エンジニア/ハッカー/創造行為とハックすること/仲間と協力してよい社会をつくる/創造行為の両義性/それまでとは違った考え方をすること/創造性をめぐる考え方の変化/技術の不毛さを暴露する/純化されたハッカー精神のプロセスの空転

第一章 三つの担い手 (創造的生産集団/資本主義/国家との関係性についての理論的枠組み)
三つの担い手/-a ハッカーの精神〈尖端〉/-b 倫理的ハッカーと国家/ 資本主義の〈尖端〉/ 国家の尖端/理論的枠組み/三つの技術的系列/ ハードウェア:既存大企業の大型コンピュータからの解放/ ソフトウェア:市場の導入による普及の加速/ブラウザの大衆化と創造化/ ネットワーク/まとめ

第二章 国家とイノベーション
技術開発の実験場としての戦争/イノベーションを阻止する国家/資本主義的価値化の六つのアレンジメント/インターネットの普及が遅れた理由/ラジオの場合――国家主導か、民間主導か/社会の統治の道具としての放送技術/ポテンシャルの抑制からの水漏れ/アメリカの東部から西部へ

第三章 国家とその《外部》
先進的なイノベーションにつきまとう自己矛盾/外部へと国家を駆り立てた力(見切り発進、歴史の偶然、特殊な状況)/コンピュータ科学の進歩の変遷/冷戦の恐怖心/国家にとっての《外部》とは何か/《外部》と内部の分離不可能性

第四章 新自由主義国家とインターネット
冷戦期から冷戦終結へ/新自由主義/商業資本主義/戦争の民営化/新自由主義国家がもたらす《外部》/民営化の隠れたメリット/資本主義市場経済が、イノベーションを阻止する/シリコンバレー型資本主義がもたらしたもの/Microsoft と独禁法違反訴訟/a 国家との摩擦/市場と妥協するイノベーション/b ハッカー精神との摩擦/「統合的世界資本主義」

第五章 アラブ動乱とソーシャル・メディア
二〇一一年アラブ動乱/ヨーロッパ・アメリカと中東諸国/欧米に対抗するものとしての〈アラブ民族主義〉/〈イスラーム主義運動〉から浮遊する人びとへ/中東地域における国家的形態の人工性/外部圧力/諜報活動の民営化/軍事的戦略の転換との関連/事故の軍事化と情報爆弾/エジプトに対するアメリカの対応

第六章 インターネットの軍事化
軍事技術と民生技術の識別不可能性/国家主導のサイバー攻撃とサイバー環境汚染

終章 過剰露出される社会
軍事技術の民生化から民生技術の軍事化へ/「社会の上昇」がもたらすネガティブな側面/成熟したネット社会は到来するか

さいごに 二一世紀は二〇世紀の遺産を食いつぶすだけなのだろうか



主要参考文献
謝辞 (二〇一三年三月 和田伸一郎)
索引


≪著者: ≫ 和田伸一郎 (わだ・しんいちろう) 1969年、神戸生まれ。関西学院大学商学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。中部大学人文学部コミュニケーション学科准教授。専攻はメディア論、哲学。著書に、『存在論的メディア論 ハイデガーとヴィリリオ』(新曜社)、『メディアと倫理 画面は慈悲なき世界を救済できるか』(NTT出版)、『民衆にとって政治とは何か』(人文書院)、『自由への問い 4 コミュニケーション――自由な情報空間とは何か』(共著、岩波書店)、『3・11後の思想家25』(共著、左右社)などがある。



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本「フィリピンBC級戦犯裁判 (講談社選書メチエ548)」永井均5

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フィリピンBC級戦犯裁判 (講談社選書メチエ)
フィリピンBC級戦犯裁判 (講談社選書メチエ548)

○著者: 永井 均
○出版: 講談社 (2013/4, 単行本 296ページ)
○定価: 1,890円
○ISBN: 978-4062585514





”裁き”と“赦し”の狭間でいかなる歴史が展開したか

マニラの惨劇と戦犯達の苦悩、そして裁判と恩赦をめぐる、語られざる現代史。「BC級戦犯」の歴史にあらたな光を当てる実証研究。

独立国家として歩み出したフィリピン政府は、戦後の国際状況と対日関係、そして激しい国民の怒りを前に、この裁きに、どのような意義を見出し、困難に直面したか。一五一名の被告は、いかにして裁かれ、獄中を過ごし、そして処刑、恩赦に至ったか。日比両国の数多くの資料と当事者たちの証言を丹念に検証し、これまで様々に語られてきた戦犯裁判という問題に、実証の光を当てる試み。


≪目次: ≫
はじめに
 凡例

第一章 フィリピン人の対日感情――一九四五年の原風景
第1節 暴力と喪失
1 マニラ戦の現場から
セント・ポール大学の虐殺/灰燼に帰したマニラ
2 残虐事件を記録する
フィリピン全島に及ぶ捜査網/捜査報告書が語ること/無差別に被害に遭った民間人/集められた犠牲者の声
第2節 フィリピン人の怒り
1 象徴としてのマニラ戦
報じられる「日本軍の暴虐」/米国会議での証言
2 日本兵たちの末路
絶望の戦場/「ハポン ドロボー バカヤロー」/在留民間邦人も直面した怒り/解き放たれた罵声
3 石もて追わるる如く
「ありふれた名前のために首実検」/戸惑いと反発、そして悲しみ

第二章 独立国家としての挑戦――フィリピンの対日戦犯裁判
第1節 フィリピンの戦犯政策
1 裁判実施の背景
独立を見すえるフィリピン、米軍の事情/フィリピン政府への移管
2 公正な裁判を目指す
ロハス大統領の宣言/新国家の試金石として
3 国立戦争犯罪局の発足
裁判を推進する面々/一大国家プロジェクト/公正さへの志向
第2節 反日感情渦巻く中で
1 日本人弁護士の採用
ロハス大統領の意向/苦境、そしてトラブル
2 フィリピン人弁護士の奮闘
任務としての弁護/逆風に耐えての弁護
第3節 裁判の展開と政策的意味
1 工藤忠四郎元大尉の裁判
通らない無実の訴え
2 裁判の展開と終結
有罪の半数以上が死刑/大統領の上申書/訴追ラッシュ
3 「裁くこと」の意味
「暗黒の三年間」に対する裁き

第三章 モンテンルパの時代――関係性の修復に向けた模索
第1節 服役生活の始まり
1 ニュービリビッド刑務所
身柄の移管/白亜の刑務所
2 戦犯たちの日常
有期・終身刑の「赤組」/労務と自治/「青組」死刑囚たちの“自由”/『独房』『虜囚』『人類の蹉跌』――獄中の文集
第2節 フィリピン当局の態度
1 二人の刑務局長
「人間として」/厚遇の背景
2 「最もよき理解者」ブニエ刑務所長のこと
父を殺されて
第3節 死刑執行
1 一九四八年の処刑
執行のプロセスと、報じられた憶測/示された厳罰姿勢
2 一九五一年一月の処刑とその波紋
楽観から一転/無実の訴えも/残された死刑囚たちは/尾を引く衝撃
第4節 日本人先般を支えた人々
1 加賀尾教誨師と植木事務官
宗教を越えたスポークスマンとして/海の向こうからのサポート
2 戦犯支援、もう一つの流れ
差し伸べられた和解の手/洗礼を受ける受刑者たち/YMCA関係者の支援/「貴下の愛児の名において」/フィリピンからのメッセージ

第四章 恩赦――「怒り」と「赦し」の狭間で
第1節 冷戦と反日感情の交錯
1 対日関係の再建を見すえて
対米関係の向こうの日本/冷戦下で沈むフィリピンの存在感/ディレンマの焦点、対日講和/戦争責任の「認知」
2 キリノの苦悩と葛藤
認識のギャップと感情/キリノ家の悲劇/揺れ動く心/決意と執行/嘆願と配慮/メッセージとしての恩赦
第2節 一九五三年六月、恩赦決定のクロニクル
1 独立日本の「外交」努力
デリケートな問題/高まる国内世論/「戦争犠牲者」として/在外事務所設立/体験に耳を傾けた渡航者たち
2 恩赦の決定とその精神
キリノ政権の賭け/キリノの苦境/恩赦決定/赦し難きを赦す/語られざる決断の背景
第3節 モンテンルパからの帰国、その後
1 白山丸に乗って
送還へ/いまだ浴びせられる罵声/罪人とも英雄とも見られたくない
2 キリノ大統領の「最後の仕事」
大統領退任/賠償と釈放/キリノの最後の仕事

おわりに



あとがき (二〇一二年一二月  永井 均)
略語表
写真出典一覧


※カバー写真  エルピディオ・キリノ大統領(上)/戦犯たちの帰還(下)


≪著者: ≫ 永井 均 (ながい・ひとし) 1965年生まれ。立教大学大学院文学研究科博士課程後期課程満期退学。博士(文学)。広島市立大学広島平和研究所准教授。専攻は日本近現代史。主な著書に『フィリピンと対日戦犯裁判』(岩波書店、2010年)、共著に『近現代日本の戦争と平和』(現代史料出版、2011年)、『日記に読む近代日本』第5巻(吉川弘文館、2012年)、共編著に『遠山郁三日誌』(山川出版社、2013年)などがある。







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本「民俗と民藝 (講談社選書メチエ549)」前田英樹5

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民俗と民藝 (講談社選書メチエ)
民俗と民藝 (講談社選書メチエ549)

○著者: 前田英樹
○出版: 講談社 (2013/4, 単行本 258ページ)
○定価: 1,680円
○ISBN: 978-4062585521




柳田國男の民俗学と柳宗悦民藝運動――。異なる方法、言葉遣いで展開されたそれらを、成長させた土壌は同じひとつのものだ。それを本書で著者は〈原理としての日本〉とよぶ。時期を同じくしながら、交わることの少なかった二人の仕事によりそい、二人の輪唱に誘う力作。


≪目次: ≫
まえがき

図版について
表紙カバー
「染付秋草文面取壺(そめつけあきくさもんめんとりつぼ)」(瓢型瓶部分。本文では「瓢型瓶(ひょうけいびん)」と表記) 大正三年九月に、浅川伯教(あさかわのりたか)が、柳宗悦の我孫子の居宅に手土産として持参した李朝壺。上半分が欠落しているが、柳が李朝陶磁に開眼するきっかけとなったもの。本文七十八〜八十ページ参照。
口絵写真
「鉄砂雲竹文壺(てっしゃうんちくもんつぼ)」 大正五年八月、初めて朝鮮に渡った柳宗悦が、釜山に上陸してすぐに買った李朝壺。本文八十〜八十一ページ参照。
口絵写真
木喰上人作「地蔵菩薩像」 大正十二年一月九日に、柳宗悦が甲府の蒐集家、小宮山清三の家の土蔵脇で偶然目にした木喰仏。柳の憑かれたような木喰研究がここから始まった。本文九十五ページ参照。
日本民藝館蔵、写真: 古賀絵里子


第一章 失われた民謡
一 「ウタ」の力/二 「ウタ」という本源/三 流行り唄
第二章 農民から「常民」へ
一 日本の都市と農村/二 「常民」を考える、ということ/三 世のため、人のためとなること
第三章 文明開化に抗するもの
一 エルウィン・ベルツの日記/二 グロテスクな洋装/三 「驚嘆すべき国民」
第四章 民俗学の対象、日々を生きる喜び
一 何を〈事実〉と呼ぶのか/二 「新国学」としての民俗学/三 「新国学」の資料は何か
第五章 工藝の発見
一 記憶による学問/二 「現在」が二重であること/三 李朝陶磁
第六章 暮らしの器
一 柳宗悦が観たもの/二 眼が創り出す価値/三 見ることと作ること
第七章 木喰上人を求めて
一 朝鮮陶磁から木喰仏へ/二 木喰の生涯を知る/三 木喰仏が語るところ
第八章 民藝運動というもの
一 美藝と民藝/二 「来るべき工藝」/三 「個人作家」の真の役割
第九章 民俗学と民藝運動
一 柳田國男と柳宗悦、出会いの失敗/二 民俗学の目的/三 民藝運動の希い
第十章 常民を想って
一 山人考/二 東夷、土蜘蛛、国巣/三 山人論争
第十一章 南の島に在るもの
一 〈日本〉のために/二 「虹鮮やかなる海の島」/三 「古い日本」
第十二章 魂が住む家
一 沖縄との宿縁/二 沖縄の富/三 魂へ着せる着物
第十三章 籾種(もみだね)を携えて海を渡る
一 米の信仰的用途/二 南から北へ/三 南方稲作の記憶
第十四章 穀霊の宿るところ
一 「国史の第一章」/二 稲積の意味/三 穀母の身ごもる日
第十五章 生の工藝化としての「本能」
一 物の始めの形/二 遠い昔の世の人の苦悶/三 型と本能
第十六章 〈民藝〉を産む〈民俗の記憶〉
一 河井寛次郎が語ったこと/二 六十年前の今/三 民族と民藝と「生成の秘密」

あとがき (前田英樹)


≪著者: ≫ 前田英樹 (まえだ ひでき) 1951年生まれ。中央大学大学院文学研究科フランス文学専攻修了。立教大学現代心理学部映像身体学科教授。言語、身体、時間などを主題として、思想、文学、美術、映像などを論じる。主な著書に、『沈黙するソシュール』(講談社学術文庫)、『言葉と在るものの声』(青土社)、『日本人の信仰心』(筑摩選書)、『倫理という力』(講談社現代新書)、『小林秀雄』(河出書房新社)など多数。





・・・
 たとえば、農家の父親から仕送りを受けている都会の大学生が、文学論議に明け暮れて益体もない日々を送っている。仕送りをする父のほうは、いつも貧しく、不作の心配に疲れ、休みなく田んぼで働いている。田んぼと農作物のこと以外念頭にない父は、都会の息子から見れば、もちろん無学であるり、教養も見識もない。息子は、この父親を恥じる。けれども、この息子と父親の、いったいどちらが偉いのか。人間らしいのか。父親のほうに決まっているではないか。
 若い柳田が豁然と目を開いたのは、このあたりまえすぎる事実にほかならなかった。・・・   (p24、農民から「常民」へ」


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本「卒業式の歴史学 (講談社選書メチエ546)」有本真紀5

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卒業式の歴史学 (講談社選書メチエ)
卒業式の歴史学 (講談社選書メチエ546)

○著者: 有本真紀
○出版: 講談社 (2013/3, 単行本 264ページ)
○定価: 1,680円
○ISBN: 978-4062585491




「卒業式を通して見る日本の近代学校」、、、(p256、「あとがき」)


なぜ私たちは卒業式で涙するのか?
《蛍の光》《仰げば尊し》から《贈る言葉》、J-POP卒業ソング……なぜ歌うのか? 東京大学第1回卒業式から全国の小学校まで、歴史の記録から見えること

「最高の卒業式」を目指し、教師と生徒が努力を重ね、みんなでともに歌い、感動し、涙する「感情の共同体」が達成される――。この、日本独特と言える「儀式と感情との接合」は、いついかにして生まれたか。涙の卒業式、この私たちにとって当たり前の光景の背景には、明治初期以来の学校制度構築の歴史が横たわっている。日本の近代と教育をめぐる、新たな視角!


≪目次: ≫
序章
特別な三月/涙の社会性・文化性/社会化される涙/涙の適時性と規範性/涙の歴史性

第一章 卒業式のはじまり
日本最初の卒業式/展覧卒業式のはじまり/視線の交響空間/東京大学第一回卒業式/御真影と軍楽/夜の卒業式/鎮守祭りか縁日か/官立・公立学校の卒業式/キリスト教学校の卒業式/女学校卒業式/卒業式への批判

第二章 試験と証書授与――儀式につながる回路
勉学開始と終了の儀式/学制と試験/試験の厳格さ/学校にかかわる人々にとっての試験/試験のクライマックスとしての証書授与/「国王の巡幸」/「卒業生徒」の様相/儀式化の萌芽

第三章 小学校卒業式の誕生
淵源としての師範学校/師範学校初の卒業式/モースの見た卒業式/師範学校令以前の官立師範卒業式/長野県師範学校の卒業式/ラッパと兵式体操/官立師範学校附属小学校の卒業式/公立小学校における卒業式の成立/群れから「一同」へ/娯楽と啓蒙/「卒業生」の意味変容

第四章 標準化される式典――式次第の確立
季節と結びつく卒業/学級の成立/村の祝祭から国家の祝祭へ/祝日大祭日儀式と卒業式/式次第の定型化/忠誠競争としての唱歌/ふるまいの規格化/生徒の学年と唱歌の対応/卒業式歌の誕生/記憶を創造する集団/卒業式の輸出

第五章 涙との結合――儀式と感情教育
均質性への接近/子守児童と卒業式/松本尋常高等小学校子守学級の卒業式/卒業式の「批評」/感情への着目/卒業式による感情教育/集団の記憶と感情の結合/記憶の義務/「感情の共同体」へ/団結の代名詞/劇場作品としての卒業式/家庭での卒業式

第六章 卒業式歌――「私たちの感情」へ捧げる歌
卒業式歌の現在/唱歌への無理解/唱歌教育の命運をかけて/明治十年代の卒業式に歌われた歌/愛国歌《蛍の光》/《蛍の光》と「同情」/声の近代化/明治二十年代前半の卒業式歌/卒業式歌と国家/わが師の恩/かたみに思う/テクストの扱いをめぐって/ドラマ仕立ての卒業式歌/斉唱という行為

終章
「芽をふく子ども」/「呼びかけの形式」の卒業式/フィクションの中の卒業式/心情の歴史と卒業式/学校的心性の浸透


参考文献
あとがき
索引


≪著者: ≫ 有本真紀 (ありもと・まき) 1958年鳥取県に生まれる。東京藝術大学音楽学部卒業、同大学大学院音楽研究科音楽教育専攻修士課程修了。専門は音楽科教育、歴史社会学。立教大学文学部教授。著書に、『ハートフルメッセージ初等音楽科教育法』(共著、明星大学出版部)、『文化としての涙――感情経験の社会学的探求』(共著、勁草書房)、論文に「明治期学校表簿にみる児童理解実践――『個性調査簿』の成果過程」などがある。


斉藤利彦 『試験と競争の学校史』(講談社学術文庫、2011年) '11/03/29





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本「穢れと神国の中世 (講談社選書メチエ545)」片岡耕平5

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穢れと神国の中世 (講談社選書メチエ)
穢れと神国の中世 (講談社選書メチエ545)

○著者: 片岡耕平
○出版: 講談社 (2013/3, 単行本 272ページ)
○定価: 1,785円
○ISBN: 978-4062585484




「ある程度共通したしきたり」、
 列島各地に穢観念に基づく行動規範が日々の安寧を保障するものとして浸透


誰が、いつ、どのように生み出したのか? 穢観念と、排除される他者、そして生まれる〈われわれ〉という意識。中世史の一大テーマに挑む意欲作!

列島に共通して見られる、出産と死を「穢」とみなす民俗習慣。その起源の探求は九〜十世紀に制定された『延喜式』に行き当たる。その他数多くの史料を、当時の息づかいがわかるように参照し、「穢」という不可思議な意識と、社会秩序感覚が生み出された過程を明らかにする。さらに、神国という〈われわれ〉意識、つまり国家意識の萌芽を見出さんとする挑戦的な歴史学の試み。


≪目次: ≫
序章
 出産・死をめぐるしきたり/しきたりの由来/二つの筋書き/〈われわれ〉意識の歴史へ

第一章 清浄なるものを探る
 先学はどう考えてきたのか/「キヨメの都市的構造」とは/治承二年冬、六波羅/邪気と神気/跳梁する魑魅魍魎、戦う人 芯稽造垢謦橘ヲ樺粥∪錣人◆深抖ぁ神気と穢/「穢悪き疫鬼」の正体/清浄なるもの

第二章 秩序が動揺した時に
 何が起こるのか/如何なる意味があるのか/春日社の場合/もう一つの事件/全てを終わらせるために/石清水八幡宮の場合/絶対の終点/怒れる神の分布/神々の正体/もう一つの枠組み

第三章 秩序を維持するために
 「清目」/「清目」が「重役」である理由/儚い「重役」/注連縄、清祓/日々の取り組み/取り組みの広がり/取り組みのバラつき/東と西/もう一つの方法/排除の論理

第四章 〈われわれ〉意識の形成
 嘉保三年夏、京/嘉保三年三月/知る動機と〈われわれ〉の条件/弘安の神領興行と「甲乙人」/馴染み深い事態/鎌倉の位置/位置の変化/蒙古軍が襲来するということ/神国の系譜/〈われわれ〉の形成と〈他者〉の変貌

結び
 変わらぬ秘訣



あとがき


≪著者: ≫ 片岡耕平 (かたおか こうへい) 1976年、京都府に生まれる。東北大学大学院文学研究科博士課程後期修了。博士(文学)。専攻は、日本中世史。東北大学21世紀COEリサーチアシスタント、日本学術振興会特別研究員(PD)などを経て、宮城県公文書館勤務。共編著書に『日本中世のNATION』『検証 網野善彦の歴史学』(ともに岩田書院)がある。


倉本一宏 全現代語訳 『藤原行成「権記」 〈下〉』(講談社学術文庫、2012年) '12/03/24
倉本一宏 全現代語訳 『藤原行成「権記」 〈中〉』(講談社学術文庫、2012年) '12/02/17
倉本一宏 全現代語訳 『藤原行成「権記」 〈上〉』(講談社学術文庫、2011年) '12/02/08






・・・生命の誕生あるいは消滅といった現象を、人々が日常の社会生活を送る空間から隔離したと思われる・・・
 人間は本来、他の生物の生命を奪わなければ自らの身体を維持し、生きていくことができない。・・・   (p9、「序章」)



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本「江戸幕府と国防 (講談社選書メチエ543)」松尾晋一5

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江戸幕府と国防 (講談社選書メチエ)
江戸幕府と国防 (講談社選書メチエ543)

○著者: 松尾晋一
○出版: 講談社 (2013/2, 単行本 232ページ)
○定価: 1,575円
○ISBN: 978-4062585460



異国船問題、三代将軍家光から一一代将軍家斉までの七人(六代家宣(在職1709〜12)と九代家重(在職1745〜60)を除く)の将軍の時代を対象として、江戸幕府の問題への対応、国際関係のなかでの対外的な危機、国防


禁制キリシタンの密入国、傍若無人の密貿易船、そして黒船――打ち払っても打ち払ってもやってくる外国船。「天下太平」の常識を覆し、幕府開設当初から、つねに異国船への対応に悩まされていた江戸時代の実状を、綿密な実地史料を基に活写する。


≪目次: ≫
プロローグ
政治課題であり続けた異国船問題/有事対応を見る意義/幕府の対外政策と長崎支配/平時の備え

第一章 異国船来航への備え
 1 家光政権による沿岸警備体制の構築
外と内の不安要素/長崎警備のはじまり/沿岸警備の新たな課題/明清交替とキリスト教への警戒/軍事力で解決できない怖さ
 2 ポルトガル使節船来航への対応
ポルトガル使節船、長崎に現る/諸大名家への派兵要請/大名家の派兵/当番大名としての面子/面子を保てた細川家/大名家それぞれの面子/約五万人の動員と長崎港の封鎖
 3 現実対応から見えた課題
江戸の見方/奉行衆の落ち度/オランダ商館長が見た長崎の混乱/疑わしき「武威」の国、日本

第二章 異国船問題と幕府外交姿勢の硬直化
 1 将軍代替わりと南蛮船対応方針の祖法化
ポルトガル使節船来航をふまえた家光黒印状/訴訟受け入れの可能性/将軍代替わりによる政策の継承/家光政権の方針と異なる長崎奉行の姿勢/長崎奉行の不安/家綱政権としての南蛮船対応策/南蛮船来航時の派兵体制/長崎派兵体制の明確化と南蛮船対応方針の祖法化
 2 幕府外交姿勢の硬直化
イギリス船来航情報への対応/リターン号来航への長崎奉行の判断と対応/リターン号事件の意義
 3 政治・政策的境界の明確化
南蛮船サンパウロ号の長崎来航/長崎奉行の方針と黒田・鍋島両家の対応/「無役」大名対馬宗家の使者派遣/家格より立場/ことなかれ主義/綱吉政権下での方針の決まり方/幕府の方針伝達/サンパウロ号事件の意義と帰帆/大名家が問題視したこと

第三章 新たな異国船問題と幕府の論理
 1 通商統制不安定化に対する綱吉政権の模索
唐船来航の増加/唐船貿易の環境変化/海の平和/唐人の犯罪/罪を犯した唐人と日本人/「唐人」「唐船」問題の悪化/長崎奉行の限界/「唐人」「唐船」問題の地域拡大と多様化
 2 正徳新例と沿岸警備体制強化
新井白石と「唐船」問題/家継政権による方針転換ーー「強硬」政策の論理/長崎目付の設置と「長崎表御用」/長崎港およびその近海警備/幕府の基本スタンス/正徳新例伝達と沿岸警備/「割符」不所持唐船と南蛮船対応策
 3 吉宗政権と「唐船」打ち払い
豊前・長州・筑前三領沖に「唐船」現れる/「唐船」の打ち払い/作戦変更という現実/幕府による「唐船」打ち払いへの関与/渡辺永倫の苦難/打ち払いの効果と幕府の方針/囮(おとり)作戦/「唐船」問題における幕藩関係

第四章 日本を取り巻く環境の変化と幕府対外政策
 1 異国船問題の重点移動
唐船以外の異国船接近/北方の動き/家斉政権の異国船対策/ロシアが朝鮮を攻める/ラクスマンの根室来航以後/ロシア船長崎来航への準備
 2 対馬海峡の危機
釜山浦への異国船来航と倭館/館守戸田頼母の意識/倭館への派兵/領内の警備強化/釜山浦への異国船来航情報と幕府
 3 対馬沖漂流異国船への宗家と家斉政権の対応
光の発見と領内警戒/光の正体/対馬沖漂流異国船問題への幕府の対応/対馬からの知らせがないことへの焦り/幕府対外政策への影響
 4 レザノフの長崎来航
異国船打ち払いとラクスマンへの「信牌」発給/「信牌」発給と長崎/レザノフ来航予告情報と長崎警備/レザノフの長崎来航と「信牌」の確認作業/ロシア船に対する長崎奉行の認識/現実的な問題への対応/家斉政権の方針と船の取り扱い/レザノフへの最終回答と「信牌」/ロシア船の帰帆と警備

第五章 危機意識の高まりと有事対応の変化
 1 蝦夷地の紛争と長崎
日本とロシアの関係/長崎奉行所による独自の情報収集/久米吉がもたらした情報/長崎奉行の情報収集活動
 2 御船頭による長崎警備についての献策
ロシア船打ち払いと長崎/戦略の転換と防衛ライン/軍備配置/危機意識の程度/町ぐるみの危機対応
 3 長崎奉行の問題意識と幕府の判断
長崎奉行が注視した課題/意味を持たなかった献策/文化露寇事件と長崎
 4 有事対応の変化
異国船の来航で混乱した長崎/危機意識から動く者たち/長崎奉行松平康英にとって守るべきもの/長崎を預かる者としての責任/フェートン号事件解決と有事対応の変化/フェートン号事件後の日露関係/文政八年の異国船打払令/列強の脅威と避戦――強硬策を支えた外交論理の限界/江戸湾を中心とした海防強化/日本の開国と沿岸警備

エピローグ
異国船問題への柔軟な対応/有事経験の蓄積と産物


あとがき (二〇一三年正月 松尾晋一)
索引


※カバー図版: 正保四年長崎警備図(福岡市博物館蔵)


≪著者: ≫ 松尾晋一 (まつお・しんいち) 1974年、長崎県生まれ。九州大学大学院比較社会文化研究科博士課程単位取得退学。長崎歴史文化博物館研究員を経て、長崎県立大学国際情報学部准教授。博士(比較社会文化学)。専攻は日本近世史。著書に『江戸幕府の対外政策と沿岸警備』(校倉書房)などがある。






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本「意味・真理・存在 分析哲学入門・中級編 (講談社選書メチエ544)」八木沢敬5

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意味・真理・存在  分析哲学入門・中級編 (講談社選書メチエ)
意味・真理・存在  分析哲学入門・中級編 (講談社選書メチエ544)

○著者: 八木沢 敬
○出版: 講談社 (2013/2, 単行本 280ページ)
○定価: 1,785円
○ISBN: 978-4062585477




論理的にものを考える人なら誰にでも理解可能なように明晰的確に文章を書き、かつ徹底的に話題を掘り下げ、ものごとの根底に迫る持続的な細密思考を追求するのが、分析哲学者の流儀だ、と著者はいう。言語哲学と論理哲学という二本柱に、一九七〇年以降重要性を増した形而上学。この三つの分野に焦点を当てつつ、わかりやすくかつ深く分析哲学的思考を繰り広げる画期的入門書。好評『分析哲学入門』に続く中級編、登場!


≪目次: ≫
はじめに
表記について

第1章 分析論
  1の1. 概念分析と論理構造
  1の2. ムーアの未決問題
  1の3. 分析のパラドックス
第2章 意味論
  2の1. 意義と指示対象
  2の2. 分析性
  2の3. 還元主義
  2の4. 意味についての懐疑論
  2の5. 意味の外在主義
  2の6. 水と双子水
  2の7. 言語的分業
第3章 内包論
  3の1. 外延の組成原理
  3の2. 信念の文脈
  3の3. 外延性の破綻
  3の4. メタ言語
  3の5. 文との関係としての信念
  3の6. 命題
  3の7. 可能性、必然性
  3の8. 可能世界
  3の9. 文の内包
  3の10. 語句の内包
第4章 真理論
  4の1. 真理の蛇足理論
  4の2. 真理の対応理論
  4の3. 真理の理論の問題点
第5章 存在論
  5の1. ラッセルの記述理論
  5の2. 存在論的コミットメント
  5の3. 固有名の非記述性と固定指示
  5の4. 発話の文脈とキャラクター
  5の5. 現実性
  5の6. 存在とは何か
  5の7. メタ概念としての存在
第6章 同一性論
  6の1. 同一性の定義
  6の2. 同一性と構成
  6の3. 同一性と存続
  6の4. 同一性と必然性
  6の5. 同一性と偶然性
  6の6. 言語的展開から個体的展開へ

参考文献
 ジェームズのリスの逸話/未決問題論法/分析のパラドックス/パットナムの双子地球/「意味」についてのフレーゲの区別/デイヴィッドソン/ヴィトゲンシュタイン/ラッセル/クワイン-カーナップ書簡集/カーナップの還元主義/クワインの論理実証主義批判と全体論の提案、存在論/信念文と分析のパラドックスについてのカーナップの見解とチャーチの批判/様相論理学の発展/内包と命題について/クリプキー/指標意味論について/タースキーの真理の理論/真理の蛇足理論/同一性について

あとがき (二〇一二年十二月二十五日 京都  八木沢 敬)


≪著者: ≫ 八木沢 敬 (やぎさわ・たかし) 1953年生まれ。Ph.D. 哲学、プリンストン大学、1981年。カリフォルニア州立大学ノースリッジ校人文学部哲学科教授。専攻は分析哲学、形而上学、言語哲学。おもな論文に「フィクションについての反創造論」(英語)、Philosophical Perspective, 2001年。著書に『世界と個体、可能と不可能』(英語)、オックスフォード大学出版局、2010年、そして、『分析哲学入門』(講談社選書メチエ)がある。
Takashi Yagisawa's Home Page

八木沢敬 『分析哲学入門』(講談社選書メチエ、2011年) '11/12/10





 分析哲学は、重要な哲学的問題について細かいことを明確に言うことによって論議を豊かにし問題解決へと向かって前進する、という方法論的態度を基調に哲学しようという人の哲学である。本書は、そのような方法論的態度をとって哲学したらどうなるか、重要な哲学問題がどう扱われ、どう変貌し、どういう解決の方向が見出されてくるのか、ということを明らかにしょうとする試みである。・・・   (p4、「はじめに」)

・・・分析哲学とは何かを読者に理解してもらうだけでなく、実際に自分の脳を駆使して分析哲学を体験してもらおうという意図で書いた。分析哲学の議論は、出発点より高いところが終着点であるジェットコースターのようなものだ。遠くから眺めてその優雅な曲線を愛でるだけでなく、実際に乗ってそのスピードとスリル感、そして心躍る満足感を味わって頂けたら大変うれしい。
 ・・・   (p277、「あとがき」)


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本「イスラムと近代化 共和国トルコの苦闘 (講談社選書メチエ541)」新井政美 編著5

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イスラムと近代化 共和国トルコの苦闘 (講談社選書メチエ)
イスラムと近代化 共和国トルコの苦闘 (講談社選書メチエ541)

○著者: 新井政美 編著、伊藤寛了/幸加木文 執筆
○出版: 講談社 (2013/1, 単行本 264ページ)
○定価: 1,680円
○ISBN: 978-4062585446





「世俗化」=「近代化」「イスラム」=「反動」では、ない。
「共和国トルコの父」ケマル・アタテュルクによって否定されたはずのイスラムは、なぜその後も長く生き残ったのか。幾重にも複雑に絡まった糸を解きほぐし、イスラム世界における近代化の問題を「脱イスラム」のフロントランナー、トルコ共和国の歩みから読み解く。


≪目次: ≫
序章 オルハン・パムクと「東洋VS.西洋」
東西の架け橋/「東洋VS.西洋」の虚構/オルハン・パムクと「東洋VS.西洋」/遠近法は近代西洋の発明か/自我の発見は?/「世俗化」もまた/ベルケスの努力/ツルヒャーのまとめ/教会のあるなしが及ぼした影響/世俗化の出現/本書の目的

第一章 トルコ共和国成立前後における改革イスラム
1 オスマン帝国における改革の進展
抵抗勢力としてのイェニチェリ/抵抗勢力としての宗教知識人/イェニチェリの撃滅と改革の実施/それは「西洋化」か?/立法の改革とイスラム知識人ウラマー/司法改革と宗教知識人/改革への不満は?/啓蒙運動家とイスラム――新オスマン人/実証主義者とイスラム――青年トルコ人/イスラム法の社会的法源/トルコ・ナショナリズムの発展/「青年トルコ人」は世俗主義者か/欧化主義者の登場/欧化主義者のえがく未来像
2 トルコ共和国における世俗化改革の進展
「青年トルコ人」としてのムスタファ・ケマルトルコ独立戦争の展開とスルタン=カリフ/カリフ制の廃止/世俗化改革の断行/新たな誇りのより所

第二章 ポスト・アタテュルク時代のイスラム派知識人
1 イノニュ時代の幕開け
大統領イノニュの誕生/第二次大戦とトルコ/アナトリア主義/村落教員養成所と宗教教育
2 複数政党制への移行とイスラム派知識人
一党支配体制の終焉/諸政党の結成とイスラム/共和人民党の対応/宗教教育の必要性をめぐって/共和人民党内での議論/トプチュと『行為』誌/クサキュレッキと「道徳の頽廃」議論/ドールルと「世俗主義」議論

第三章 一九五〇〜七〇年代のイスラム――ヌルジュとトルコ‐イスラム総合論
1 民主党政権の誕生から六〇年クーデタへ
民主党政権の誕生とイスラムの復活?/イスラム派知識人の逆襲/バヤルとイスラム/メンデレスとイスラム/サイード・ヌルスィー/反革命の性格/ヌルスィーと『火山』誌/近代文明とイスラム/共和国成立とヌルスィー/民主党政権とヌルジュ/ヌルスィーの死と六〇年クーデタ
2 第二共和政から八〇年クーデタへ
六〇年代の政治とヌルジュ/エルバカンの登場/「イスラム政党」のマニュフェスト/国民救済党の結成/トルコ的イスラム解釈/トルコ‐イスラム総合論/政治経済の混乱とイスラム政党の暴走

第四章 第三共和政下のイスラム――ギュレン運動、公正発展党
1 クーデタ後の体制下におけるイスラム
トゥルグット・オザルの登場/イスラム派としてのオザル/オザル、軍部、トルコ‐イスラム総合論/世俗主義の新解釈/オザルの改革政治と国際環境の変化
2 ギュレン運動の台頭
フェトゥフッラ・ギュレンの登場/ギュレンとヌルスィー/八〇年代クーデタとギュレン――宗教と政治/宗教、科学、そしてスカーフ問題/教育活動を通して/メディアを通して/市民社会運動として
3 イスラム政党の自己変革と軍部の介入
オザルの退場とイスラム政党/エルバカン政権の成立/二月二八日キャンペーン
4 イスラム政党とギュレン運動の新展開
エルドアンの登場と一時的退場/イスラム政党の分裂と再生/ギュレンの「亡命」/ギュレン運動の政治的関与/ギュレン運動の投票行動/公正発展党の政権/「後見」体制とギュレン/対クルド自由化政策とギュレン/世俗派との軋轢とギュレン運動の行方

終章 ふたたび「東洋VS.西洋」
オスマンはヨーロッパ/トルコもヨーロッパ/イスラムは先進か後進か/トルコの未来

引用出典一覧
関連文献
あとがき (新井政美)
執筆者紹介
索引


≪編著者: ≫ 新井政美 (あらい・まさみ) 1953年生まれ。東京大学文学部卒業。東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。トルコ近代史を専攻。主な著書に『青年トルコ時代のトルコ・ナショナリズム』(Leiden/Istanbul)、『トルコ近現代史――イスラム国家から国民国家へ』(みすず書房)、『オスマンVS.ヨーロッパ――〈トルコの脅威〉とは何だったのか』(講談社選書メチエ)、『オスマン帝国はなぜ崩壊したのか』(青土社)、『織田信忠――父は信長』(講談社/学陽書房)、翻訳書にジェム・ベハール『トルコ音楽にみる伝統と近代』(東海大学出版会)がある。
 [執筆分担: 序章、第一章、第三章、第四章第一節、終章]

[執筆者: ] 伊藤寛了 (いとう・ひろあき) 東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了。博士(学術)。東京外国語大学非常勤講師。トルコ現代政治史を専攻。主要論文「オスマン帝国末期におけるズィヤー・ギョカルプのナショナリズムとイスラーム改革思想」『イスラム世界』65号、2005年。「イノニュの時代(1938-1950)のトルコにおけるラーイクリキ議論の展開」粕谷元(編)『トルコ共和国とラーイクリキ』(上智大学イスラーム地域研究機構)2011年。
 [執筆分担: 第二章]

[執筆者: ] 幸加木文 (こうかき・あや) 東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程在学中。トルコ現代政治史・社会思想史を専攻。主要論文「トルコのイスラーム思想・運動と「世俗主義」というアポリア――ギュレン運動を一事例として」『民族紛争の背景に関する地政学的研究』(大阪大学世界言語研究センター)8号、2008年。「現代トルコにおけるラーイクリキ概念の再解釈の試み――フェトゥッラー・ギュレンの言説を一例に」粕谷元(編)『トルコ共和国とラーイクリキ』(上智大学イスラーム地域研究機構)2011年。 
 [執筆分担: 第四章第二節以下]






…… トルコにはボスフォラス海峡という、それこそ磐石の存在があって、東洋と西洋とを千古の昔から隔てている。さらに都合の悪いことには、この美しい海峡に架かる橋のことを、当のトルコ人が「二つの世界」をつなぐ架け橋であると述べて何の疑問も抱いていないように見える……   (p6、「序章 オルハン・パムクと「東洋VS.西洋」)


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本「吉田神道の四百年 神と葵の近世史 (講談社選書メチエ542)」井上智勝5

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吉田神道の四百年 神と葵の近世史 (講談社選書メチエ)
吉田神道の四百年 神と葵の近世史 (講談社選書メチエ542)

○著者: 井上智勝
○出版: 講談社 (2013/1, 単行本 232ページ)
○定価: 1,575円
○ISBN: 978-4062585453



吉田神道


秀吉も、義満も、徳川将軍たちも頼った「神使い」、その盛衰を描く歴史学

徳川家康のブレーンとして名高い金地院崇伝曰く、「神ならば吉田存ずべき儀」。幕府の権力が直接及ばない「神」の領域を、「吉田の神主」たちは、いかにして手中に収めていたのか。近世史の一断面として、神祇管領長上吉田家の盛衰を見通す!


≪目次: ≫
序 天下人と天上の神
豪姫の狐憑き/足利義満の日吉詣で/“伊勢踊り”と徳川家光/天下人の泣き所/流言の不気味さ/“神使い”吉田家

第一部 神使い
1 吉田山斎場所――本朝無双のパワースポット
神宮炎上/吉田神社と斎場所/斎場所の飛明神
2 神祗管領長上――神道界のリーダー
神祗管と吉田家/神道界の貴種(サラブレッド)/仏教からの解脱
3 宗源宣旨と鎮礼――神々を従わせるマジカル・ドキュメント
神様に誓って……/徳川家康の誓い/明智光秀の頼み/人間万歳/宗源宣旨/神道裁許状/守成の人兼右/増大する宗源宣旨/宗源宣旨ブームの背景
4 亡魂祭祀――神様のクリエイター
堕聖者の末路/山伏の復讐/神になった下女/御霊信仰の系譜

第二部 零落と再興
1 神になった天下人たち
神になった明智光秀/神になった豊臣秀吉/天下人を神にした男/徳川家康の遺言
2 是非に及ばず
吉田家零落/大権現号の効力/道統の混乱/奥義を伝える者/吉川惟足の登場/惟足の活躍
3 上下喜悦
群雄割拠の神道界/神社御条目/グローカルな正当性/尾張敬公のグローカリズム/会津中将の場合/水戸黄門の場合/松平讃岐守の場合/池田光政の場合

第三部 鍍金(めっき)と正金
3 黄金の日々
誰が富士へ導くか/勝つように!/水天宮は“吉田派”/大宮司同然/名家の壁に風穴を/摂政に打ち勝って
2 立ちこめる暗雲
鷹司家の逆襲/高辻家の野望/田所主膳の逆襲/負け組神職の怨嗟・怨恨(ルサンチマン)/兄の仇/尾張名古屋は三家の冠
3 剥がれゆく鍍金
伊勢からの衝撃/尾張名古屋の古代学/朝政復古の奔流/神位宗源宣旨の停止/神位をめぐる新ビジネス/白川家に集う神職/新規参入者の市場開拓/神職本所の矜持

結 神と葵
“神使い”の遺産/欠陥王権の末路/吉川惟足の違約/綱吉の見果てぬ夢


主要典拠史料
主要参考文献
自跋 (平成壬辰年臘月九日 雪の富嶽を望む浦和の宿舎にて 井上智勝)
人名/神社索引


≪著者: ≫ 井上智勝 (いのうえ・ともかつ) 1967年生まれ。京都市出身。立命館大学文学部史学科卒業。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科単位取得退学。博士(文学)。埼玉大学教養学部准教授。専攻は、日本近世史。著書に、『近世の神社と朝廷権威』(吉川弘文館)、編著書に『近世の宗教と社会2 国家権力と宗教』(共編著、吉川弘文館)など、共著書多数。






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本「ピアニストのノート (講談社選書メチエ540)」ヴァレリー・アファナシエフ、大野英士 訳5

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ピアニストのノート (講談社選書メチエ)
ピアニストのノート  Valeri Afanassiev: “Notes de pianiste”, 2012. (講談社選書メチエ540)

○著者: ヴァレリー・アファナシエフ、大野英士 訳
○出版: 講談社 (2012/12, 単行本 320ページ)
○定価: 1,890円
○ISBN: 978-4062585439





音楽とはなにか? 音楽を演奏するとはどういうことか? 沈黙と時間は音楽と、どのような関係を結ぶのか? 人間と音楽は、どのような関係を結ぶのか? ――クラシック界の世界的鬼才ピアニストが音楽と音楽の演奏について縦横無尽に思考をめぐらせる。選書メチエのための書き下ろし論考!


[本書においてめぐらされる思考]
 創造者=作曲家と解釈者=演奏家の違いについて
 楽譜と演奏者の関係性について
 現代の芸術、および芸術家の堕落について
 シューベルト最晩年のピアノソナタについて
 愛・死など著者の個人的な生と音楽の関わりについて


A Michael Frohnmeyer et Angels Sicilia Herrero


≪著者: ≫ ヴァレリー・アファナシエフ (Valery Afanassiev, Вале́рий Па́влович Афана́сьев) 1947年モスクワ生まれ。モスクワ音楽院においてヤーコブ・ザークエミール・ギレリスに師事。バッハ国際コンクール第1位、エリザベート王妃国際コンクール優勝。1974年ベルギーに亡命、フランス在住。「ブラームス後期ピアノ作品集」でレコード・アカデミー賞器楽曲部門を受賞。詩・小説・評論など、文学方面でも積極的に活動を続ける。日本で翻訳されている著書に『音楽と文学の間』(論創社)、『天空の沈黙』(未知谷)などがある。

[訳者: ] 大野英士 (おおの・ひでし) 1956年東京生まれ。フランス文学者。パリ第七大学大学院で文学博士号取得。早稲田大学非常勤講師。著書に『ユイスマンスとオカルティズム』(新評論)がある。






 私はヴェルサイユの街を散歩している。だが、今日に限っては珍しく、音楽がいっしょにいてくれるような感じがない。それも、音楽はふつう、いつでも、どこにでもあるはずなのにそう思ったのだ。聞こえるのは、音楽とはまったく関係のないものばかり――   (p4、「第一部」)


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本「ソシュール超入門 (講談社選書メチエ539)」ポール・ブーイサック、鷲尾翠 訳5

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ソシュール超入門 (講談社選書メチエ)
ソシュール超入門 (講談社選書メチエ539)

○著者: ポール・ブーイサック、鷲尾翠 訳
○出版: 講談社 (2012/12, 単行本 272ページ)
○定価: 1,680円
○ISBN: 978-4062585422




『一般言語学講義(Cours de linguistique générale, 1916)』とは、言語=システムの謎を巡る孤独な戦いの記録である。今なお輝きを失わない現代思想の源でもある。自然言語がもつ「恣意性/必然性」、「安定性/不安定性」、「論理性/非論理性」などの不思議について、ソシュールFerdinand de Saussure, 1857-1913)本人の問題意識に立ち戻って、丁寧・平易・明確に記述する画期的入門書。


≪目次: ≫
はじめに

第一章 ソシュールの最終講義――一般言語学入門
 イントロダクション
 1910年10月28日
 1910年11月4日
 1910年11月15日
 1911年4月25日
 1911年4月28日
 1911年5月2日
 1911年5月5日
 1911年5月6日
 1911年5月9日
 1911年5月19日
 1911年5月30日
 1911年6月2日
 1911年7月4日

第二章 ソシュールの青年時代――勉学に励しんだ輝かしい時代
 イントロダクション
1 十五歳まで
2 言語学者を目指して

第三章 ライプツィヒ、ベルリン、パリ時代――名声と成熟への出世街道
 イントロダクション
1 ライプツィヒでの挑戦
2 気鋭の学者として活躍する
3 ベルリン滞在を経て、ライプツィヒ時代を締めくくる
4 パリの学界の頂点へ

第四章 帰郷――ジュネーヴの紳士的言語学者
 イントロダクション
1 パリからジュネーヴへ
2 ジュネーヴ大学教授就任講義と「一般言語学」
3 言語の未知の領域を精査する――霊媒、神話と隠された手紙
 3.1 ある霊媒の言語
 3.2 神話や伝説の象徴分析――一八九四〜一九〇四
 3.3 詩の秘密を求めて
4 最後の二十年間――故郷に暮らす亡命者?

第五章 科学としての言語学――ソシュールによるラングとパロールの区別
 イントロダクション
1 翻訳の問題
2 言語学を科学にする
3 最重要概念としての「ラング」、あるいはシステムとしての言語
4 ラングはどこにあるのか?
5 制度としてのラング
6 パロールという領域

第六章 記号、意味作用、記号論
 イントロダクション
1 言語記号とは何か?
2 言語記号の特性
 2.1 言語記号がもつ二つの側面
 2.2 言語記号の恣意性
 2.3 価値と意味作用
3 システムとしての言語という考え方と表現
4 言語学から記号学へ

第七章 共時態と通時態
 イントロダクション
1 定義
2 共時態/通時態をめぐる用語の問題
 2.1 静と動
 2.2 音声学と形態論
3 言語はなぜ、どのように変化するのか?
 3.1 音声的変化
 3.2 類推的変化
4 共時態と通時態の関係

第八章 一九一六年――『一般言語学講義』の没後出版
 イントロダクション
1 著者を「つくる」
2 遺産の再構築
3 ソシュール研究――真実の探究

第九章 ソシュールの二重の業績とその先にあるもの
 イントロダクション
1 画期的な言語観
2 記号と構造の哲学
3 ソシュール・リバイバル?
 3.1 ソシュールと時間の感覚
 3.2 言語の非合理性
 3.3 言語には計量基準がない
4 結論


付録1 ソシュール研究資料リスト
付録2 引用されるべきソシュール

参考文献

解説 ブーイサックという人 中沢新一(思想家・明治大学 野生の科学研究所所長)

索引


≪著者: ≫ ポール・ブーイサック (Paul Bouissac) 1934年生まれ。トロント大学教授。専門は、記号学、文化人類学。著書に、『サーカス アクロバットと動物芸の記号論』などがある。

[訳書: ] 鷲尾 翠 (わしお・みどり) 翻訳者。シカゴ大学人文科学大学院人文科学修士(M.A.)課程修了。訳書に『ダライ・ラマ、生命と経済を語る』『現代人のための「チベット死者の書」』『なぜダライ・ラマは重要なのか』がある。


丸山圭三郎 『ソシュールを読む Ferdinand de Saussure 』(講談社学術文庫、2012年) '12/08/13






 ソシュールを理解するための最初のステップとして、一九一〇年〜一九一一年の学年度に彼がジュネーヴ大学で行った最終講義を創造的なやり方で把握していくことで、彼の人となりや思想に触れていきたい。ソシュールは五十三歳だった。この年の受講生は十二人。その一人が、エミール・コンスタンタンだ。コンスタンタンは講義内容をノートに精確に書き記していた。この講義の構成と内容や様子については、他にも目撃者がいる。たとえばマルグリット・ブルデは数年後に講義を鮮やかに振り返る記録を出版している。信頼できる他の記録としては、受講生の一人であるレオポルド・ゴーティエが一九一一年五月にソシュールと面談した時の詳細なレポートがある。当時のソシュールが病の進行と闘っていたこと、そのために翌年には教壇を離れざるをえなくなったこともわかっている。ソシュールは大学に復帰することなく、一九一三年の冬に亡くなった。  (p16、「第一章 ソシュールの最終講義――一般言語学入門」)



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本「子供の哲学 産まれるものとしての身体 (講談社選書メチエ538)」檜垣立哉5

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子供の哲学 産まれるものとしての身体 (講談社選書メチエ)
子供の哲学 産まれるものとしての身体 (講談社選書メチエ538)

○著者: 檜垣立哉
○出版: 講談社 (2012/11, 単行本 224ページ)
○定価: 1,575円
○ISBN: 978-4062585415




子供の存在そのもの、について
妊娠、の哲学でもある
第一に、子供とは「私」のことではないのか
第二に、、、身体とは産むものである。身体が産まれたものである以上、身体は産むものでなければならない
第三に、、、私の子供とは一体誰のことなのか
自然の無限のなかで「いのち」をリレーさせている「私」と、さりとて卑小な身体でしかなく有限的に死んでいくものでしかない「この私」があることとの矛盾したむすびつきについて



これまでの哲学が再三にわたって論じてきた「私」という問題。しかしそこには、大きな見落としがあったのではないか? 産まれる、子をはらむ、産む、死んでいく、だけど誰かが残る。こうしたことを、それ自身として真正面からとらえる。そのための哲学が、ここからはじまる。


≪目次: ≫
序文  子供/妊娠の哲学のために
子供とは「私」のことではないのか/子供はどうして産まれるのか/産むことの理由/私の子供とは誰のことなのか/「いのち」と生殖/本書の構成

第1章 私と身体をめぐる伝統的議論
デカルト的な二元論からみた私と身体/身体から私であることは描きにくい/心身問題のアンリによるとらえなおし/心身問題の変更/アンリの議論の再検討/世界/環境の中にある私/ハイデガーにおける私の固有性/ハイデガーの生物学忌避について

第2章 生命としての私へ
私という物質性/生殖する身体論へ/妊娠する身体へのアプローチ/妊娠する身体論をひきたてる/身体である私 身体である他者/二種類の他者

第3章 西田幾多郎の他者論と生殖論
はじめに/倉田百三による西田像/倉田から西田へ/私と汝とのかかわり/私と汝へと向かう問題系 非連続性の導入/私と汝の相互限定性/水平性と垂直性との交錯/エロスとアガぺ/西田からレヴィナスへ

第4章 レヴィナスの他者論と生殖論
はじめに/ジェンダー論的な疑念/エロスの現象学/エロスから生殖性へ/父という問い/『存在するとは別の仕方で』への転回/レヴィナスの妊娠論のまとめ

第5章 私であることと「いのち」の遺伝
はじめに/フロイトの死の本能/ドゥルーズのゾラ論/いのちの遺伝の意味

第6章 子供とは誰のことか――「自分の子供」概念の脱構築
私の子供とは誰のことか/子供の所有論の脱構築/子供の所有論の脱構築から再構築へ/子供への愛/他者への愛


あとがき (二〇一二年九月 檜垣立哉)


≪著者: ≫ 檜垣立哉 (ひがき・たつや) 1964年埼玉県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中途退学。大阪大学大学院人間科学研究科教授。博士(文学)。専攻は、現代フランス哲学・日本哲学・生命論。『西田幾多郎の生命哲学』(講談社学術文庫)、『ヴィータ・テクニカ――生命と技術の哲学』(青土社)、『賭博/偶然の哲学』(河出書房新社)、『瞬間と永遠』(岩波書店)など著書多数。

檜垣立哉 『フーコー講義 現代思想の現在』(河出ブックス、河出書房新社、2010年) '12/01/17
檜垣立哉 『西田幾多郎の生命哲学』(講談社学術文庫、2011年) '11/02/19
檜垣立哉 『賭博(pari)/偶然(hasard)の哲学』(シリーズ・道徳の系譜、河出書房新社、2008年) '09/10/07
檜垣立哉 『ドゥルーズ 解けない問いを生きる』(シリーズ・哲学のエッセンス、日本放送出版協会、2002年) '09/10/04
檜垣立哉 『生と権力の哲学』(ちくま新書、2006年) '09/10/03
檜垣立哉 『西田幾多郎の生命哲学 ベルクソン、ドゥルーズと響き合う思考』(講談社現代新書、2005年) '09/09/29
檜垣立哉 『ドゥルーズ入門』(ちくま新書、2009年) '09/09/24





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本「昭和のドラマトゥルギー 戦後期昭和の時代精神 (講談社選書メチエ537)」許光俊5

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昭和のドラマトゥルギー 戦後期昭和の時代精神 (講談社選書メチエ)
昭和のドラマトゥルギー 戦後期昭和の時代精神 (講談社選書メチエ537)

○著者: 許 光俊
○出版: 講談社 (2012/11, 単行本 224ページ)
○定価: 1,575円
○ISBN: 978-4062585408




元号、昭和、天皇制、



混沌から空虚へ――戦後昭和期の時代精神の深部を、劇画、歌謡曲、映画、少年小説など〈サブカル〉ジャンルの作品の詳細な「読み」から剔抉する本格評論。


≪目次: ≫
まえがき

第一章 梶原一騎――「英雄神話」としての劇画

第二章 ピンク・レディー――阿久悠と空虚な「主体」
ピンク・レディーと私/快適に裏切る/「ペッパー警部」とは誰なのか/忠告という名の誘惑/イメージの複製という自己実現/言葉が先か音楽が先か/故郷喪失者/コントラストの眩惑/もっとも遠いものへの跳躍/詞は死ぬ

第三章 少女ゲリラ――「ゲリラ」なき時代としての現代
1 少女たちはゲリラになれるか?
2 サラリーマンはゲリラになれるか?
3 少女たちは「テロリスト」にされるか?

第四章 『憂国』――小説、そして映画

第五章 「少年探偵団」――階級と隠された搾取の構造
I 怪人二十面相についての五つのテーゼ
 1 事業家であり、よき市民的道徳の持ち主である二十面相
 2 正しさ・善・規範の否定者、二十面相
 3 邪悪なエネルギーの体現者、二十面相
 4 資本主義下の敗北者、二十面相
 5 不滅の二十面相
II 明智小五郎と少年探偵団とそれ以外の少年たち、または搾取と差別の厭わしい構造について

あとがき (二〇一二年一〇月九日  許 光俊)


≪著者: ≫ 許 光俊 (きょ みつとし) 1965年生まれ。慶應義塾大学文学部美学美術史学専攻卒業、東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。横浜国立大学教育人間科学部マルチメディア文化課程助教授を経て、慶應義塾大学法学部教授。専門はメディアと芸術。『世界最高のクラシック』『世界最高の日本文学』(ともに光文社新書)、『最高に贅沢なクラシック』(講談社現代新書)など多数の著書がある。






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本「日中戦争下の日本 (講談社選書メチエ392)」井上寿一5

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日中戦争下の日本 (講談社選書メチエ)
日中戦争下の日本 (講談社選書メチエ392)

○著者: 井上寿一
○出版: 講談社 (2007/7, 単行本 228ページ)
○定価: 1,575円
○ISBN: 978-4062583923



日中戦争 とは


自由主義から全体主義へ。国際協調から地域主義へ。一九三〇年代、社会システムの不調から生じた日中戦争。なぜ政党への期待が大政翼賛会を生んだのか? 労働者や農民たちは戦争に何を託したのか? 戦時下日本の知られざる「自画像」を明かす。


≪目次: ≫
プロローグ
日中戦争とは何だったのか?/日中戦争の戦争責任/社会システムの不調/政策対立の構図/時間軸による再構成

I章 兵士たちの見た銃後
1 銃後の退廃
ある「銃後報告」/忘れられる兵士たち/銃後の国民の経済生活/戦争=好景気/前線と銃後のギャップの拡大
2 慰問袋のゆくえ
銃後の現実/デパートの氾濫/慰問袋がつなぐ前線と銃後/戦争の力学/女性の動員/「“心のこもったもの”が欲しい」――慰問袋の現実/帰還兵たちの疎外感
3 祖国の再興を求めて
大陸から祖国へ/「新しい日本人」/銃後のなかの帰還兵/火野葦平の帰還/中野実の帰還

II章 戦場のデモクラシー
1 他者理解の視点
広東の戦場で/日本が失いつつあるもの/パール・バック『大地』の受容/パール・バックと火野葦平/深化する他者理解
2 立ち上がる「文化戦士」たち
「文化戦士」の役割/戦争目的の再定義
3 新しい文化の創造
戦争と文化/文化を守る/中国での鯉のぼり――教育/指導原理の確立・思想団体の組織――思想/「中支宗教大同連盟」設立――宗教/「親日ニ導カントスル」――社会奉仕/「思想戦」の武器/平準化への意志/「ペン部隊」は何を伝えたか――岸田國士の従軍報告/「ペン部隊」は何を伝えたか――林芙美子の「感じたままを銃後婦人へ」/日本の文化の担い手――小林秀雄の中国報告

III章 戦場から国家を改造する
1 文化工作による国家の改造
「国民協同体」/文化戦争としての日中戦争/新明正道と火野葦平/日本主義とアジア主義の相克/文化工作に期待する労働者や農民たち/国民精神総動員運動
2 政党政治への期待
精勤運動と政党政治/立憲主義という原理/「国民社会新組織」/大陸モデルの逆輸入
3 社会的な底辺の拡大
労働者――植民地に及ぶ地位向上の要求/農民――協調路線/無産政党――社会大衆党の「国民政党」化

IV章 失われた可能性
1 デモクラシーとしての大政翼賛会
社会大衆党と近衛内閣/既成政党の復権/斎藤隆夫「反軍演説」の影響/政党の対立軸――国策研究会のレポート/新党から大政翼賛会へ
2 大政翼賛会の現実
旧既成政党勢力の復権/「飛び込んだ連中が可哀そうだ」/揺り返し/国内新体制と国際新体制/「なんだかつくづく嫌になって」
3 日中戦争の末路
理想と現実のギャップ/監視される帰還兵たち/「東亜連盟」論/汪兆銘政権の運命

V章 「神の国」の滅亡
1 日本主義の盛衰
京都学派の登場/京都学派の国内改革構想/日本主義の逆説/日本主義の興隆/「八紘一宇」問題/「八紘一宇」と京都学派/日本主義の衰退
2 「神の国」のモラル
戦局の悪化/「モラルの焦土」――都市と農村/東条への期待/下方平準化――農村/下方平準化――都市
3 戦争のなかの戦後
「社会主義」化/「ああ、日本をこの危機に陥らしめたるもの」/それでもなぜ戦争を支持しつづけたのか?/「自分も戦争にゆきたくなった」/東条内閣の退陣/転生

エピローグ
一九二〇年代への回帰/引き継がれた夢

参考文献

関連略年表
あとがき
索引


≪著者: ≫ 井上寿一 (いのうえ・としかず) 1956年、東京都生まれ。一橋大学社会学部卒業。同大学大学院法学研究科博士課程、同大学法学部助手などを経て、学習院大学法学部教授。法学博士。専攻は日本政治外交史。主な著書に、『危機のなかの協調外交――日中戦争に至る対外政策の形成と展開』(山川出版社、吉田茂賞)、『日本外交史講義』(岩波書店)、『ブリッジブック 日本の外交』(信山社出版)、『アジア主義を問いなおす』(ちくま新書)がある。

井上寿一 『吉田茂と昭和史』(講談社現代新書、2009年) '12/08/21
井上寿一 『戦前日本の「グローバリズム」 一九三〇年代の教訓』(新潮選書、2011年) '12/08/11
井上寿一 『戦前昭和の社会 1926-1945』(講談社現代新書、2011年) '12/07/03
井上寿一 『戦前昭和の国家構想』(講談社選書メチエ、2012年) '12/06/23






 昭和戦前の日本においては、見合い結婚による家族制度の維持が基本だったはずである。事実、家同士のつながりから見合い結婚が七〇パーセント前後だった。恋愛結婚は一〇パーセント台である。この傾向に変化が訪れるのは、昭和一六、一七年頃である。この頃を境に、見合い結婚は単線的に下降を辿り、右肩上がりとなったのが恋愛結婚だった。戦争は、事実において、戦前の家制度、家族制度を侵食しつつあった。  (p30)


さてこんばんの圧力鍋は黒豆さんおいしくあまぁ〜く(砂糖たっぷり)ホクホク♨


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主として“本”が織りなす虚構の世界を彷徨う♪

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▲ロスバイク TREK 7.3FX(神金自転車商会 since 2008.8)
写真 Canon IXY900IS(since 2006.12.4) & EOS40D + EF-S17-85mm F4-5.6 IS USM(since 2008.7.23) + EF100mm F2.8 Macro USM(used, since 2008.9.10) + EF-S55-250mm F4-5.6 IS(used, since 2008.9.30) + EF50mm F1.8 供used, since 2009.4.4)

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