順天堂大学医学部二年の河野智考です。日本プライマリケア連合学会 学生・研修医部会 関東支部で行ったワークショップの報告を致します。

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Episode.4〜家庭医療に対するモヤモヤをカタチに!!〜

【日時】2014322日(土)13:0017:00

【場所】順天堂大学

【参加人数】11

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“総合診療専門医志望者ゼロ!?”

本ワークショップは、「あなたは総合診療専門医になりたいか」というテーマにそって議論を深め、自らの「総合診療専門医になるにあたっての覚悟と不安と希望」への考察を深めるのが目的であった。

全体の流れとしては、家庭医療・総合診療についての基礎的な知識を確認する講義の後、テーマに対して肯定側と否定側に分かれディベート、その結果を受け“しゃべり場”形式で語り合った。また、各々が「総合診療専門医になるにあたっての覚悟と不安と希望」というワークシートを作成、セッションの前後でその変化をみるという試みを行った。

ディベートは、「総合診療専門医になった方がよい」とする肯定側、「ならない方がよい」とする否定側、双方の主張を聞いた上で、三人の審査員の「自分ならなりたいか、なりたくないか」の多数決で勝敗を決した。

結果は、全員一致で「なりたくない」であった。(周りの意見に左右されないよう、意思表明は顔を伏せた上での挙手によって行われた。写真上。)

三方とも、日本プライマリケア連合学会や夏期セミナーなどで中心的な役割を担い、家庭医療の面白さ、大切さを広めている先輩方であっただけに、より考えさせられる結果となった。

勝敗のポイントとしては、

  “総合診療専門医のマインド”さえ持っていれば、臓器別専門医であっても総合診療専門医が理想とする医療はできるのではないか。

・総合診療専門医として活躍するための教育・労働基盤は、従来から存在する臓器別専門医のそれに比べてはるかに脆弱で、キャリアパス、ワークライフバランスの観点からも、臓器別専門医になるメリットの方が大きい。

ということが、決め手になった。

しかし、ディベート後の“しゃべり場”では、

QOLADLに配慮した医療、予防に重きをおいた医療は、総合診療専門医にしかできないものである。

・新制度として総合診療専門医の存在が認められ、他の専門科と同じに扱われる以上、上で述べたような医療への独自のプロフェッショナリズムを発揮していかなければならない。

といった意見が出され、たとえデメリットが大きいとしても、家庭医療・総合診療にかける熱い思いは変わらないという印象を受けた。

ワークショップ後の懇談会では、

「総合診療専門医が制度として認められたことは喜ぶべきことだが、将来的には総合診療専門医が開業医の多くを占めることになり、利権の問題が新たに発生することが予想される。その時、総合診療専門医は本来のマインドをもって医療に携わっていけるのか。」という議論までも交わされ、先輩方の思いより強く感じるものとなった。

“総合診療専門医のマインド”さえあれば従来の臓器別専門医で事足りるのではないかという「不安」要素も多い。だからこそ、総合診療専門医は、QOLADL・予防に重きを置いた独自のプロフェッショナリズムを発揮し、他科の医師、患者に対して、自らの存在意義を認めさせなければならないという「覚悟」を持たなければならない。しかし、現状の教育・労働環境の不備、ロールモデルの少なさに対して、発展・改善する余地が大いにあるということである。“のびしろ”への「希望」を持ち、総合診療専門医を志望していこうと思いを新たにした。


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