出会い。

May 07, 2004

ぼくが彼女に出会うまで。 その2

ぼくのことを彼女は知っていた。

フェチでマゾでヘンタイな性癖を書き綴った文章を
ネット上にこれでもかとさらしたモノを彼女は読んでいたからだ。
 
ぼくは彼女のことをのことを知らなかった。

17歳であること、関西在住であること、ちょっとヘンタイかもしれないということ。
それがぼくに与えられた、草の露のようなかすかな彼女の痕跡。

メールを交わすうちに少しずつ、おぼろげながら彼女の輪郭が浮かび上がってくる。

いわゆる女子高生のイメージとは、ちょっと違う彼女。 

携帯であまり電話しない。
やたらメールを打たない。
制服のスカートの丈はひざより長い。
読んでいる本の趣味がいい。

おかげでネット依存症の私は、彼女のメールを渇望して、
5分に3回はメーラーをリロードする始末。

そして。

ある日彼女から来たメールには画像が添付されていた。

小さな画面の中でつややかな薔薇の頬をした彼女が笑っていた。



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May 06, 2004

ぼくが彼女に出会うまで。 その1

bb37e5e9.jpg かすかなデジタル信号が触れ合って、
 ぼくは彼女のことを知った。
 
 関西在住の高校三年生。
 ちょっとアブノーマルな性癖に興味あり。
 でも自律的。
 
 ぼくは42歳だ。
 
分別を忘れて、半ばパブリックなネットの海の隅で、
「メールをください」
と打ち込んだら、その日のうちに彼女からメールが来た。
 
ぼくの書いた文章がすきなのだ、と言う。

翌週に関西に仕事で行く用があるので、
よかったらちょっとお茶だけでもしませんか?
そうメールを返したら、
「その日は模擬試験があるので」と断られた。
 
当然だろう。
くたびれた中年男性の怪しい誘いに乗るわけがない。
 
でもメールは続いた。
 
勉強のこと、進学のこと、文章表現のこと。
ぼくはできる限りの誠実さで、彼女に問いに返事を書いた。
 
二日の後。
よかったら土曜日に会いませんか? というメールが
彼女の携帯から発信されてきた。
 
ぼくはパソコンの前でしばらく固まり、
天井を見上げてしばし返事を返すのをためらった。
 

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