2007年10月19日

明邦印刷。


キーボードを叩くとテキストボックスに文字が並ぶ。
 
 
放たれた文字たちは嬉しそうに手を取り合って、
 
 
少ないながらも意味を紡ぎ出そうとする。
 
 
僕は、文字たちが意味を持てないようにいじわるをする。
 
 
観念的に、不条理に、文字たちを弄ぶ。
 
 
それでも文字たちは意味を得て、はにかみながらアップロードされていく。
 
 
更新された文字たちは僕に、
 
 
「あなたはまだ人間ですよ」と伝えてくれる。
 
 
それは励ましや慰めではなくて、ただの客観的情報として伝達される。
 
 
その客観性こそが支えになっている。
 
 
 
 
 
僕はまだきっと人間です。

 

 
 

  

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2007年10月06日

糸と糸。

 
それから4ヶ月。
 
 
互いに持ち寄った新しい祈りを交わすうちに
 
 
メタファーとしての塔は消えた。
 
 
人は、変わる。
 
 
すべてのことは無常だ。
 
 
背中に「無常」と書かれた男が巨大なターンテーブルの上をクルクル回っているんだ、この世界は。
 
 
‐‐‐
 
 
丸い窓から 小象が降る夕立を望む 薄暗いキッチンにいる。
 
 
ぐらぐら煮立っているはずの寸胴の中には何も無く、諭すような耳鳴りに立ち尽くしてしまう。
 
 
ペットボトルの水を口に含み、愛でるように舌で転がす。
 
 
季節をひとつだけ越えたことを心に染み込ませるように。
 
 
 
 
 
 
 
小象はまだ降り止まない。
   
  
Posted by print_shop_meiho at 09:20Comments(0)TrackBack(0)