5日公開の映画「クライマーズ・ハイ」を鑑賞した。

この映画は1985年8月12日に墜落した

日航123便の事故を追った新聞社のデスクと記者が

駆け抜けた7日間を追った

ドキュメンタリーストーリーとなっている。

23年前の事故は私も良く覚えているし、

多くの人が犠牲となった大惨事だったが、

ストーリーとしては複数の出来事を追ってしまっている為に

最終的に怒涛の7日間だったという感じになってしまうだろう。
実際の事故や事件をドラマや映画化する時には

いかに事実を損なわないで制作するかが

ポイントになるんだけれど、

事故は現実にあった出来事であるが、

新聞社はフィクションというのがこの映画のだけれど、

確かに原作者自ら取材に携わっただけあって

事故そのもののシーンは本当に迫力あるものだ。

ただこのストーリーとして考えた時には果たして追った

部分が少し欲張り過ぎだったのではないかな?

と感じるシーンがあった。

そんな部分を含めながらレビューしたいと思う。

キャスト

日航機墜落事故の全権デスクを任される事になる

悠木和雅演じる堤真一

社会部県警キャップで墜落現場へ登頂した

佐山達哉演じる堺雅人

地域報道部員でスクープを狙っている

玉置千鶴子演じる尾野真千子

北関東新聞社社長でセクハラおやじの側面を持つ

白河頼三演じる山崎努

登ろう会の会長で悠木を誘って登頂しようとしていた矢先に倒れた

安西耿一郎演じる高嶋政宏

他多数のキャストでストーリーが進行する。


ストーリー

「クライマーズ・ハイってもんは、本当にあるの?」

「・・・・・・怖かったな」

「怖い? 異常に興奮して、恐怖心が麻痺しちゃうんだろ?」

「解けた時が怖いんです。溜め込んだ恐怖心が一気に噴き出して、

一歩も動けなくなる。体中の筋肉が強張って、

動くという意思決定を拒絶するんです」

「だったら・・・・・・おれも体験した」

「いつ?」「ジャンボが墜ちた一週間さ・・・・・・」

1985年8月12日、通信社の速報が第一報を伝える。

「羽田発大阪行き日航123便が墜落した模様。乗客乗員524名ー。」

にわかに興奮の坩堝と化す編集局。

全権デスクを命じられたのは悠木だった−。

結末は劇場で観てほしいけれど、

今回のレビューとして、

実際に起きた日航機墜落事故は著名人では

坂本九さんや阪神球団職員など多くの犠牲者が搭乗していた。

その中で奇跡的に4人の生存者がいた訳で本来なら

全員が死亡でも不思議でない惨状で

よく4人奇跡的に生き残ったと思ったのを今でも思い出す。

あれからもう23年の月日が立つ事そのものが

時の流れを感じるんだけれど、

ストーリーとしては日航機墜落事故を

中心にして追いかける事になる。

ただこのストーリーは本来なら日航機だけを

追いかければ良かったのかも知れないが、

何故か色々なものを追いかける事になる。

まずは安西との登山計画だが、

登山しようとしていた偶然が

その先の取材に活きたという筋書きで

描いた部分としては良しとしたいが、

ここで何も脳出血で倒れて意識不明にしなくても

良かったのでは?と思う。

ここでおそらく家族とのやり取りや

新聞社の確執を描く上で必要と考えるかもしれないが、

このストーリーの山はあくまで日航機であって

会社の組織との確執はその中で描けたのでは?とも感じる。

次にその中で社長のセクハラ疑惑だが、

この一大事にそんなハレンチな部分を描く必要があったのか?

重大事件とセクハラの接点がある意味

クライマーズ・ハイへ無理やり持っていこうとした

趣旨と組織の古い体制を描こうとした狙いが

あるのかもしれないが、

もっと事故の部分に割くべきだったのではと感じる。

そんな必要なのか?

と言っていてはこのストーリーの本質を失うので戻るが、

当時の新聞記者は携帯のない時代で、

取材には自分の目で見て、

そして走って記事を伝えるという原始的な手段だった。

どうやらこれは無線を採用する事に消極的だった

旧体制に原因があるようだが、

確かにそういういち早く伝えられる手段が

目の前にありながら採用しないのは、

「記者は走って伝えるものだ」という

古い考えしかできない人間の根性論によるもので、

これで記者の多くはスクープ記事を失う結果となり

悠木は苛つく事になる。

本当にいい方法を採用しないって本当に非効率だよね。

私も仕事で古い発想しかできない人たちの仕事の

お守りをやっているからわかるけれど、

古い人間って当時は確かに凄い発想だったかもしれないけれど、

今では完全に古い発想しかできない

お荷物という事は少なくない。

そういうのを人件費の無駄と言わないのが不思議でならないが、

どの時代にもそういう古い発想しかできない人は

存在するものだ。

そして新聞社では特有の問題としてスポンサー問題も描かれる。

確かにスポンサーあっての新聞社である事は言うまでもないが、

これも時と次第によるところはあるだろう。

この舞台となっている北関東新聞社は

群馬が本社の新聞社で群馬県の出来事は

粒さに伝える使命がある。

新潟ではここ4年で地震2回、洪水1回と

自然災害ばかり続いたけれど、

そういう時は地元紙は常に地震情報関連記事になったし、

メディアも2週間は地震関連情報を流したものだ。

それが地元紙の役目でもあるだけに、

そういう時はある程度広告は載せないように

しておいたほうが良いとは思う。

そして事故のスクープを狙い奔走する記者は

果たして事故原因を突き止められるのか?

そしてデスク悠木は決断を下せるのか?

結末は劇場で観てほしいが、

確かにストーリーはクライマーズ・ハイだったんだけれど、

出来事をあまりにも詰め込み過ぎた

感じがしてしまったのも否めない。

報道として伝えなればならない事、

そしてその中の駆け引きを描きたかったのは良く解ったが、

結果的に焦点を絞り切れなかった事で

本当に描くべき部分を失った感じもした。

総評として実際の事件を描くときは

真実を中心に描けるかが大事だという事を

感じる作品だったと思う。

取材した立場であるなら真実に勝る

脚本はないという事をもっと描いてほしかったと思うだけに、

描かなくても良い部分まで描いたのは

ある意味作品として勿体ない事をしたと

感じてしまった次第でした。

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