2日公開の映画「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」を鑑賞した。

この映画は押井守監督4年ぶりの劇場作品で、

平和な世界で繰り広げられる空での戦闘機同士による

戦争が描かれそこに登場する人物は戦死しない限り

永遠に生き続ける人たちの戦いの

ループを描いたストーリーである。

人生を生きる意味を問い、

その生きる先には常に繰り返しが付きまとう

世界において何を感じ何を変化していくのかを

感じる世界観となるだろう。
人生において色々な繰り返しの世界が存在するものだ。

仕事においても製造業であれば毎日同じ商品を

繰り返して製造する日々を送る人にとっては

毎日が殆ど同じ事をループし続けていく。

しかし人は飽きるものでありそれでは

満足し切れない人だっているものだ。

戦争においても常にどの時代にも戦争は存在してきた。

今の時代も世界のどこかで戦争をしている国がある。

このストーリーに出てくる世界は平和ではあるが、

戦争をショーゲームとして扱う世界だ。

ただ戦争をする為には人の命の犠牲が常に付きまとう。

その世界を成立させる事を可能にしたのが

この世界に登場するギルドレという大人に

ならないクローンというべき存在だ。

その存在は常に同じ事を繰り返すが、

その中にはその世界観に疑問視する人物もできてくる。

その世界観を感じつつレビューしていきたい。

キャスト

草薙水素の声を演じる菊池凛子

函南優一の声を演じる加瀬亮

他多数のキャストを中心にストーリーはループする。

ストーリー

ショーとしての戦争が行われる、仮初めの平和の時代。

永遠に年をとらない「キルドレ」のユーイチは、

新たに兎離州基地に配属となった。

過去の記憶のない彼だが、初めて乗る機体も身体に馴染み、

エースの座に着く。

基地司令のスイトはそんなユーイチを

複雑な眼差しで見つめていた。

そんなある日同僚のパイロット、

ユダガワが撃墜され死亡してしまう。

墜とした相手は、「ティーチャー」となのる

敵のエースパイロットだった……。

結末は劇場で観てほしいけれど、

今回のレビューとしてこの世界では

常に平和な日常がそこにある。

しかし人々はその平和という以上に

平和があるのは犠牲の元にあるという事を

忘れてはならないと感じた。

そこで生み出されたのは常に何処かで戦争をやる事だった。

その為に国家が軍を編成し、企業が戦闘機を開発する。

もちろん小規模の戦闘ばかりでは意味を成さないから

大規模な戦闘も計画される。

どちらが完全勝利を収めるでもなく、

常に均衡した世界を続ける。

これを普通の人間が行ったらそれは

国家紛争と外交衝突を起こすので、

ここで戦闘する人間は普通の人間ではない。

それがギルドレという16〜17歳位までしか成長せず、

戦死しない限り永久に行き続けるいわゆる

不老不死の薬を手にした人間と評した方が良い。

これは私が感じるにはクローン技術によるものと

考えた方が良いのかもしれないが、

その技術を応用しさらに成長を抑える

DNA技術が何らかの形で成功した存在が

ギルドレと考えた方が解り易いかもしれない。

だからそのDNAは生まれ変わったとしても

同じ能力と性格が生まれる訳であり、

組織は軍の編成をするに当たって戦力を常に

同じ戦力に保つ事ができる訳だ。

それは机上の戦略家が練る戦術ではそれが可能であり、

ギルドレたちが表現する大人の人たちが

コントロールしていると考えてよいかもしれない。

私たちの世界ではゲームの中の人物と考えるんだけれど、

この世界では1つ違うのはギルドレには心があるという事だ。

ゲームの世界ではゲームの人物の感情を感じる事はまずない。

しかし生身の人間となれば別だ。

ギルドレはいくらクローンとは言えども

感情のある人間なのだからだ。

ここで始まるストーリーはユーイチ

という人物がある軍の舞台に配属されてくるところから始まる。

そこには司令官スイトがユーイチを

知っているような感じで待っていた。

普通初めて会う人物に対しては

色々どんな人物なのだろうと探るものだが、

ユーイチとスイトはそれを探らなくても

何故か通じるものがあった。

そして初めて配属されたのに

何故かどこかで会ったような人たちの数々・・・

最初は何故か初めてなのに操縦できる戦闘機・・・

初めてなのにできる・・・

これはいったいどういうことなのだろうか?

と疑問に思ったユーイチだったが、

彼は何故かそれを不思議とは思っても

それを当然の出来事と受け止める。

確かに毎日同じ道を走っても毎日同じ状況とは限らないし、

何より毎日同じ事をしていても何時もと違うものだ

という事は生活している上で感じるものだ。

そしてユーイチは前任者の事を気にしたが、

これも何故かユーイチの良く知る人物らしい・・・

そして戦闘を繰り返すうちに次第に戦死していく仲間たち・・・

しかしすぐに配属されてくるパイロットは

何処か前任者の癖がついていた。

そして知るユーイチの過去を知る人物に・・・

はたしてユーイチはその過去に対してどう結論を出すのだろうか?

この先は劇場で観て考えてほしいけれど、

この世界っていわゆる半永久ループの世界なんだよね。

だからどんなに戦争が続いても終わる事がないと思われるが、

実際には戦闘で0になったら終わってしまうゆえ、

無敵の敵の存在をこの世界では作っている。

それがティーチャーの存在なのだが、

これは通常先生という言葉なんだけれど、

確かに常に生徒は先生には勝てないものだと思われがちだ。

その存在を戦力均衡として使っている。

それを心理世界で考えれば勝てない存在が

その人の中にあるという事なんだけれど、

確かに人には絶対と言われるほど勝てない存在ってあるよね。

先生という存在は確かに勝ちたいと思っても

そう簡単に勝てるものじゃない。

それは言葉通り先に生まれし人だからだ。

先に生まれし者は色々な事を知っているし学んでいる。

これはいわゆる経験という事も言えるけれど、

ギルドレは17歳までしか成長しない。

しかし大人はそれ以上の経験をする事ができる。

ゆえにそれ以上の経験をした人には経験をしていない

ギルドレが勝つ事は宝くじに当てるぐらい難しいのだ。

そしてギルドレの中にもギルドレ同士愛し合った人もいた。

しかしそれは叶わぬ愛でもあった訳で、

その愛に対して永久に続く事を止めようと

したスイトがそこにいた。

確かにこの状況って1日で記憶を忘れてしまう

障害を持つ人と一緒の感覚になるけれど、

その人たちにとって忘れないためには

何かを残そうとするものだ。

それが日記だったり、思い出の品物だったりする。

スイトはそれを愛の結晶という形で残した。

それがここで登場するミズキの存在だけれど、

生きた足跡、愛した足跡を残す上の手段を

ここではミズキの存在として描かれている。

確かにギルドレたちはクローンで造られる存在だったとしても

そのギルドレ同士による子供を作る事は

理論上可能だと考えられる。

SEEDの世界ではコーディネーター同士でもDNAの相性があり、

愛し合っても愛の結晶が生まれない

世界を描かれていたのを思い出すが、

その感じでこの世界のギルドレを追求するのは

より奥の深い世界に入り込む事になるので、

これはあくまで心理世界として考えるべきだろう。

これらを私たちの世界で考えると、

ループする世界は私たちの日常の世界であり、

その日常には常に競争と争いが存在する。

その世界において小さな変化を感じ取り同じような

日常でも変化を感じ取る大切さを

描かれえていると考えるのが良いと思う。

そして繰り返される戦争については、

私たちの日常では毎年放送される

戦争記念番組や多くの犠牲者を出した

大地震の日と考えると良いだろう。

そして愛した人を殺した事に対しては

変わらぬ愛より変化する愛を求めてほしいとの願い

と考えれば良いと思う。

よく変わらぬ愛と言うけれど、

果たして愛って変わらないものなのだろうか?

いや違う!

愛は常に変化している。

それは恋愛だったり、

家族愛だったり、

無償の愛だったり、

夫婦愛だったり、

色々な愛がある。

2人の関係も変化しない世界でそのまま繰り返すより、

変化する愛がスイトには欲しかった。

そう愛は変化するものだから・・・

それはこのストーリーの最後にユーイチが

スイトへ向けて語る言葉にあるけれど、

だた好きだから愛するのではない!

理解するから愛すんだ!

そしてその愛は変化していきながら・・・

心理世界を語る上で何故?

という疑問を理解して初めてこの世界を

理解する事ができるのだと常々メッセージとして

残してくれる作品が押井作品なのだろう。

総評として常に同じ繰り返しでも

そこには絶対的な変化が存在する。

その変化を感じる事ができるかはそれぞれの人次第だが、

その変化を感じることができるのなら

その変化から感じた事を変化させていく力として

生き続けていけることだろう。

生きる意味を見出せない人が多い中で、

この作品では生きる意味と愛する意味を伝えた

作品として感じることができる作品なのかも知れない。

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