26日公開の映画「空気人形」(R15+指定)を鑑賞した。

この映画は空気を膨らます人形がある日突然

心を持ってしまった事で動き出し、

色々な経験をしていく事で心に変化をもたらしていくストーリーである。

内容そのものは性的な面があるものの、

それを差し引いてしまえば誰が観たとしても

心を持っている事で常にアップデートしていく事になり

その時の心の持ちよう次第ではさまざまな

心境の変化をしていく事を考えさせられる作品となるだろう。
15歳未満鑑賞禁止の作品なのでその理由が

性的な部分があるゆえだけれど、

確かに小学生以下が観るとちょっと・・・

という感じなのだけれど、

中学生以上なら大人の事情を知る年齢なので

それほど私には違和感を感じないのだが、

私の中学生の時には確かにアダルトな事を知っていた訳じゃなく

社会人になってから色々と知識を受けていった感じなので、

劇中に出てきた事情はある程度熟知はしているんだけれど、

いわゆる暗黙の了解みたいな部分だ。

そんな道具だった人形が突然心を持った事で始まる

心のアップデート(ゲーム的にはレベルアップ)

という概念で考えるとこの作品は解り易いのではないかと思う。

ただここでゲーム的に違うのはゲームは常に進化するけれど、

心のアップデートは必ずしも常に進化というよりも

プログラムというか心境の変化がアップデートされていく

そんな観点からこのストーリーをレビューしたい。

キャスト

ストーリー

男の生処理に利用される空気で膨らます人形で

ある日突然心を持ってしまう空気人形

演じるペ・ドゥナ

レンタルショップ屋の従業員で空気人形の秘密を知る

純一演じるARATA

空気人形の持ち主でファミレスの従業員

秀雄演じる板尾創路

空気人形を制作している会社の

人形師演じるオダギリジョー

未亡人演じる富司純子

OL美希演じる星野真里

小学生萌演じる奈良木未羽

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

古びたアパートで持ち主の秀雄と暮らす空気人形は、

ある朝、本来は持ってはいけない“心”を持ってしまう。

彼女は秀雄が仕事に出かけるといそいそと身支度を整え、

一人で街へと歩き出す。メイド服を着て、

おぼつかない足取りで街に出た彼女は、

いろいろな人に出会っていく。

ある日、レンタルビデオ店で働く純一と知り合い、

そこでアルバイトをすることになる。

ひそかに純一に思いを寄せる彼女だったが……。

結末は劇場で観てほしいけれど、

今回のレビューとして実に心というのは

難しいというのを痛感した作品と言えるだろう。

人形が心を持つという事は何もないつまり0から

人形がアップデートしていくという解釈で考えていくべきなのだろう。

最初は秀雄を性的処理道具として秀雄に買われた

空気人形はのぞみという名前が付けられていた。

この名前どうやら別れた奥さんらしいのだが・・・

男って性欲を抑えられないとその時好きな人

もしくは愛している人に対して性欲を求めたくなるものだ。

これを抑えよという話をしてしまうと

人間の本能を否定する事になるので防ぐ事ができないけれど、

そこでどこで何で消化するかだ。

まあ今のアダルトグッズは大変豊富なので

色々なアダルトグッズがあるんだけれど・・・

まああまり触れると白い目が飛んできそうなので止めておくけれど、

その中で今回の主人公となるラブドール=空気人形が

突然心を持ってしまった事から始まる。

秀雄の性癖もまあ解らないではないけれど、

あそこまでリアルに描いてしまうと

女性はどういう心境で観る事になるのだろうか?

とある意味興味深いけれど、

劇場の観客はどういう訳か女性が多かったんですよね。

しかもカップルよりも女性1人で観ていた人もいたので

この作品は2人よりも1人で鑑賞するのが良いようだ。

まあ男はみんなこんな感じと思わないでほしいところだが、

性的な事については男も女もこころ当たる事が

暗黙の了解の中にあるはずなので・・・

と本題に戻ると心を持った空気人形ののぞみ(以下のぞみ)は

色々な人の行動や言動を観察する。

そして観察する事でのぞみはアップデートしていくんだけれど、

最初はそれを整理できないところから始まる。

しかし偶然入ったレンタルビデオ店で出会った

純一のお店で働く事になり、

純一から色々な事を教えられてのぞみは成長していく。

それでも秀雄のアパートに戻れば

再び生処理道具として使われる日々だった。

そんなのぞみは次第にその状況に心が拒否反応を起こしていく。

ある日のぞみがお店の誤って切ってしまった事で

純一にのぞみが空気人形である事を知られてしまったが、

純一の応急処置で空気が送られて助かる。

それを機会にのぞみは自らポンプで空気を入れる事をやめて、

ポンプを捨ててしまう。

そしてのぞみは純一に対する恋心が芽生えていくのだった。

ここで面白いのは純一が自らの息で

のぞみに空気を吹き込んだことによる変化だった。

そこまでの過程でのぞみは純一から

色々な知識を教えてもらっていた。

そして秀雄にものぞみの正体がわかり、

秀雄はそんなのぞみを求めていないと言うのだった。

まあ人形が突然人間になった状況では

そう簡単に受け入れられないのもわかるし、

人形だからこそ心を考えずにいられた

秀雄にとっては不都合だった。

そしてのぞみは秀雄の元を飛び出し

元々製造された会社の製作者に出会うのだった。

人形も廃棄されれば何時か燃えないゴミ行きになるけれど、

それまでの過程で人形がどうやって愛されたのかを説いたのだった。

そしてのぞみは純一の元へ行く果たして

その先に観る結末とは?

結末は劇場で観てほしいけれど、

心を持つことはその状況に応じて色々な変化をもたらす事でもあり、

かつ何もないところから心を読み取ると

違った変化を付けることにもなる。

劇中でもラムネのビー玉が入った瓶を捜しに集めたり、

メイクを覚えて筋を隠したり、

さらにこの先には純一の心の全てをのぞみに注入される訳だけれど、

このストーリーの中で純一の行為が1番難しい

シュチエーションになるだろう。

私の解釈では本当は何もない自分にとって

心を解ってもらうには自らの心の入った空気を

注入する事で解ってくれると思ったからこそ

あのような行動に走ったのだろう。

それはのぞみに望んだ純一の心の気持ちだった。

純一は別の意味で生きる意味を無くしていたと

考えればどうしてのぞみがあのような行動に出たのか不思議だ。

この時点ではかなりの知識を得ているからだ。

アップデートし続けた先に待っていたのは

純一の望みだったのかもしれない。

総評としてこれは人形の心と捉えず

常に誰かの心と捉えなければならない作品だ。

印象的な言葉だった代わりはいくらでも

いるという言葉は今の世の中何時も私の代わりは

いるんだと思わせる事が少なくない。

しかしこのストーリーでは自分の代わりは

誰もいないという事をラストで確り説いている。

確かに現実単純な仕事だと誰でもと思うかもしれない。

しかし忘れてはならない。私

たちには誰かと誰かが結ばれて初めて私たちが存在する。

それは1人では絶対誕生しないという事だ。

そしてその代わりは誰もいないという事だ。

世間的な代わりは人の代わりであって

それまでの人の代わりではないのだ。

私たちには代わりは存在しない。

それを理解するための作品なのだと思います。

ブログランキング・にほんブログ村へ

Ranking ブログランキングに参加しております。

ゴーダ哲学堂 (竹書房文庫 GY 8)ゴーダ哲学堂 (竹書房文庫 GY 8)
著者:業田 良家
販売元:竹書房
発売日:2007-08-24
おすすめ度:4.5
クチコミを見る



空気人形 O.S.T.空気人形 O.S.T.
アーティスト:world’s end girlfriend
販売元:インディーズ・メーカー
発売日:2009-09-25
おすすめ度:5.0
クチコミを見る
mixiチェック