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7月9日公開の映画「必死剣鳥刺し」を鑑賞した。

この映画は藤沢周平隠し剣シリーズの一遍を映画化した作品で、

藩政が乱れた原因が殿の妾にあると察して自らを犠牲に妾を刺すが、

斬首にならず生かされ、自らの死に場所を探していくストーリーである。

剣の剣客でもある一武士が殿の意向に翻弄されていくストーリーに

一体最後に誰が1番得したのか?

そして誰が1番藩政を乱した原因だったのかを最後で暴かれる事になっている。
時代劇が今年は数多く公開されていくけれど、

今回の必死剣鳥刺しもまた藩の都合に

翻弄される武士の姿を描かれている。

江戸時代はとにかく藩主である殿様を頂点に

殿様には逆らえない時代だ。

そんな時代に妾でも殺めれば当然斬首もしくは切腹を言い渡される。

しかしどういう訳か切腹にもならず生かされる

武士が本当に生かされた理由を知った時

本当に殺めなければならない者を知る訳だけれど、

果たして本当に殺めなければならない者を

殺める事ができたのだろうか?

その視点を考えながらレビューしたい。

キャスト

体が大きく寡黙な男。「天心独名流」の剣客でもあり、

藩の悪政に殿の妾を刺したが切腹にもならず

生かされ己を見つめ直す兼見三左ェ門演じる豊川悦司

三左エ門の亡き妻の姪で三左ェ門の世話をする里尾演じる池脇千鶴

藩の悪政に物申すが受け入れられず民衆を犠牲にしてしまった事で

ある決意をする帯屋隼人正演じる吉川晃司

藩の中老で喜怒哀楽を出さない切れ者で藩主に対し大きな発言力を持つ。

三左エ門には斬首にせず生かしたが、

それにはある理由があった津田民部演じる岸部一徳

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

時は江戸。東北は海坂藩の近習頭取・兼見三佐ェ門には、

消そうにも消せない過去があった。

物頭をつとめていた三年前、

藩主・右京太夫の愛妾・連子を城中で刺し殺したのだった。

最愛の妻・睦江を病で喪った三左ェ門にとって、

失政の元凶である連子刺殺は死に場所を求めた武士の意地でもあった。

が、意外にも寛大な処分が下され、一年の閉門後、

再び藩主の傍に仕えることになる。

腑に落ちない想いを抱きつつも、

身の周りの世話をする亡妻の姪・里尾との日々の中で

三左ェ門は再び生きる力を取り戻してゆく。

そんなある日、中老・津田民部から

思わぬ話を持ちかけられる三左ェ門。

それは、彼を天心独名流の剣豪だと知っての相談であり、

“鳥刺し”という必勝の技をお上のために役立てろという秘命でもあった。

その者の名は直心流の達人であり、

藩主家と対立しているご別家の帯屋隼人正だった。

そして待ち受ける隼人正との決着の日。

三左ェ門は、想像を絶する過酷な運命に翻弄されていく。

結末は劇場で観てほしいけれど、今回のレビューとして、

結末に至るまでどうしてこのような事になったのか?

という視点でまず入りたい。

元々冒頭から三左ェ門が妾の連子を刺すに至ったのか?

がまず知らなければならない。

それを知らなければこの結末を納得できないからだ。

そもそもこの海坂藩7万石は藩主右京太夫が妾の連子に

うつつを抜かして藩政に加担させてしまった事に始まる。

この時代に女にまして妾に藩政へ関与させるのは

危険極まりないという事だ。

なかなか民を観る事ができない藩主でも大変なのに、

殆どを城内で過ごす姫に藩政など務まる訳がない。

実際に自らの寺院再建にただですら苦しい藩政の中多額の費用を使い、

それが原因で民から年貢を多く取るという

これほど連子の都合で民が苦しみ、

それを止めようとした隼人正の力も空しく農民は打ち首となった。

それをただただ観ている事しかできなかった。

それに追い打ちをかけたのが勘定役の安西が

倹約を推し進めた事で連子の逆鱗に触れ

切腹を言い渡され切腹する事になった。

普通苦しい財政の中で倹約は当然なところだけれど、

自らの至福を肥やす事しか考えない殿様と連子には届かなかった。

これで情勢は一変し三左ェ門は連子を刺す事になる。

これで三左ェ門は本来なら斬首のところを1年間の謹慎処分で済み、

さらに謹慎が解けたところで近習頭取の役を命じられた。

正直そこまで至る過程についてはどうして刺したのか?

という理由は三左ェ門が前年に妻を亡くしている事で

刃傷に及んでも自らの首を掛ければ良いというのは理解する。

ただそれだけの覚悟があるなら1番刺さなければならなかったのは

連子だけではなく殿だったのだという事だ。

確かに連子にも藩政を乱した大きな責任はある。

しかしそれを招いた張本人である殿様にも大きな責任がある訳だ。

それを念頭に入れて観ていくとラストシーンでは

本当に刺すべき相手は違ったのではないかと思うが、

これも最後まで藩を思っての事であるのなら

あまりにも悲惨な結末を劇場で観る事になってしまうだろう。

総評として殺陣は見所が多く十分楽しめた。

ただ必死剣の使い道を考えた時本当に使うべき相手が違ったのではないか?

と思うのは私だけだろうか?

本当に刺されなければならない相手が生き残り、

刺されなくて良い相手が死ななければならなかった。

でも三左ェ門はそこに行きつくまでに

この無念を確り託した事は自らの死に場所を決めても

次に託した思いは続いていく事をラストシーンで感じた次第でした。

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