9月12日公開の映画「悪人」を鑑賞した。

この映画は吉田修一原作「悪人」を映画化した作品で

先ほどのモントリオール世界映画祭ワールドコンペティション部門で

深津絵里さんが最優秀女優賞受賞した。

出会い系サイトで出会った女を誤って殺してしまった男が

これまた出会い系で出会った平凡な女と逃避行し、

そこで本当に出会うべき人は誰だったのか?

そして本当の愛とは何なのかを知っていく逃避行ストーリーである。

平凡な男と平凡な女が逃避行し続けた先に待っている現実、

そしてその家族、被害者家族、そして本当に誰が悪人なのかを

最後まで考えさせられる事になるだろう。
色々スケジュールが合わずようやく鑑賞する事になった

話題の「悪人」だけれど、元々悪人とはいうけれど、

生まれてきて最初から悪人な人は誰もいない。

ただ育っていく過程そして環境によって

悪人になってしまう人はいる。

ゆえに最後まで考えさせられるであろう

誰が悪い人なのかという事を・・・

ゆえにこの作品では悪い人を悪いと片付けるのではなく、

どうして悪かったのか?

そして誰が1番悪いのか?

それをポイントとしてレビューしていきたい。

キャスト

土木解体作業員として働く平凡な生活を送り

出会い系で出会った佳乃を誤って殺してしまう。

その後に出会った光代に本当に出会いたかった人

そして愛する人を感じる

清水祐一演じる妻夫木聡

紳士服量販店の店員として職場と自宅を往復する平凡生活を送るが、

今の生活を変えたいと思い出会い系サイトで祐一と出会う。

最初は出会った事に後悔するが、

その後再び出会った事で祐一と逃避行する事になる

馬込光代演じる深津絵里

福岡の保険会社でOLをしており、出会い系で頻繁に男と出会っている。

そこで出会った祐一と関係を持ったが、

約束した日にナンパされた大学生圭吾の乗った車を追いかけるが・・・

石橋佳乃演じる満島ひかり

佳乃をナンパした大学生で佳乃を遊び相手として思わない。

ある日佳乃を乗せてドライブするが・・・

増尾圭吾演じる岡田将生

被害者家族で理容店を営む佳乃の父

石橋佳男演じる柄本明

佳乃の母演じる

石橋里子演じる宮崎美子

祐一の祖母で母親に捨てられた祐一を育てる

清水房枝演じる樹木希林

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

長崎在住の清水祐一は、博多で働く石橋佳乃と待ち合わせをしていた。

しかし、待ち合わせ場所で佳乃は他の男の車に乗って行ってしまった。

佳乃を追いかけた祐一は、福岡県の三瀬峠で彼女を殺してしまう。

その後、長崎でいつも通りの日常を送っていた祐一は、

以前出会い系サイトでメールをやりとりしていた

馬込光代という女性と会うことに。

ホテルでお互いを求めあった後で、

祐一は光代に佳乃を殺したことを告白するのだが…。

結末は劇場で観てほしいけれど、

今回のレビューとして一言で佳乃を殺した

祐一を悪人と捉えるにはあまりにも

状況が状況過ぎて一言で片づけるものじゃない

という事を最後まで鑑賞して感じる。

物事に置いてどうしてこのような事態になってしまったのかを

確り捉える必要が生じるんだけれど、

私も全てが全て殺人犯=極刑という結論を出す事はしないし、

罪状は殺人という事になっても

それが不慮の事故によってそうなってしまった

というケースもある訳だ。

そしてそこまでの過程をどう考え

そしてどうしてそういう行動をしてしまったのかを

確り理解する必要があるのだと思う。

最初から殺人罪という結論ありきで入るのでは

この作品の意味はなさないが、

どうしてこうなってしまったのか?

を確り振り返って行く事だ。

まずのちに佳乃を誤って殺してしまう事になる祐一だけれど、

祐一は幼い時に両親が離婚し、祖父母に育てられ、

今は親戚の解体業者で働きながら

恋人も友人もなく祖父母の面倒をみている。

唯一の趣味が車というんだけれど、

確かに環境を考えると周りに娯楽がなく、

祖父母の面倒と仕事だけしかないところで

何を楽しみに生きれば良いのかわからなくなるのは十分理解できる。

実際に祐一の仕事内容は私自身同業なので

良く解るんだけれど、

住宅の解体って一見壊せば良いと思われているだろうけれど、

今の解体って映画に出たような壊し方はちょっと間違いなんだよね。

壊す上でまず窓ガラスは全て外すから付けたまま壊す事はしません。

内装の壁や廃材を全て取り除いた上で

解体するのでその後の分別作業をしないと

あんな壊し方をしたら完全に赤字ですね。

ごちゃ混ぜにして処理場へ持って行ったら

とんでもない金額になりますので・・・

まあ祐一の務めている解体業者は下請けになるから

木造住宅一棟で大体大きさにもよるけれど

1件100万というところの仕事だ。

資格的にはまだ重機の資格を取得していないようだし、

当然大型特殊はないだろうから1週間で資格が取れるか?

と言われたら通常敷地内での作業だけなら重機の免許で良いのだが、

公道を込みにする場合は大型特殊を必要とする。

私はフォークリフトの資格があるので

重機を取るための内容は熟知しているんだけれど、

重機の資格を取れば仕事の内容は変わってくるし、

後々現場を任されるようになる。

現場を1から10まで観た事があるので

現場の大変さを解るんだけれどね。

話を戻すとそんな仕事と自宅を行き来するだけの

生活に変化を求めたい気持ちは私も解る。

私も普段は職場と自宅の行き来だけだし、

休日はスタジアムや劇場へ行く事をする位だから

祐一とそんな変わらない生活だが、

唯一違うのは私はBlogで多くの人と出会っている

(実際には直接会った事ない人ばかりだけれど)

のと出会い系で出会おうとしている点の違いだけなので

大きな差はない。

ただ出会い系の事件が社会問題化しているので

イメージが悪いだけだが、

でも私から観れば出会うという点なら

BlogでもTwitterでもmixiでも出会い系サイトも大差を感じない。

出会おうとしたいという人の点ではね。

ただ敷居として考えるとBlog>mixi>Twitter>出会い系って感じかな?

私から言わすとBlogをやる人は

それなりにサイト運営する力が必要だし、

リテラシーも必要だ。

SNSに代表されるmixiも同じ趣味などの共通点があるので

趣味が合わないと出会わない。

twitterについてはオープンだが、

ビジネスシーンでも活用したりする人が多く、

そういう使い方をしている人や情報を得るという点で

出会い系とは決定的に違う。

出会い系は書き込み1つだけれど、

目的が直接出会うという事が前提だから

前者3つのメディアより出会う敷居が低いのだ。

それだけ警戒心が低いと言った方が解りやすいだろう。

そういう観点から考えると祐一や光代、

佳乃ら登場人物のネットリテラシーが高い訳じゃなく、

そういう知識も少ないから1番敷居の低い出会い系で

出会いを求めたと解釈すべきなのだろう。

出会い系で出会った祐一と佳乃は1晩だけの関係だった。

ここで登場する佳乃だけれど、

この事件の被害者になる訳だが、

大学を卒業し福岡の保険会社に勤める女だが、

出会いに対してはある意味警戒心が薄過ぎる女だった。

ここまで色々な付き合いをしてきたのだろうけれど、

それにしてもこの警戒心のなさって

あまりにも物事を軽く考えているとしか言えない。

それに複数の男と何股掛けている訳だから

トラブルになっても仕方ないような女だ。

事件の経緯からいうと佳乃は駅でナンパされた大学生の圭吾と知り合い、

約束していた祐一にわざわざ呼び出しておきながらドタキャンし、

その足で見えるところで圭吾の車に乗って

ドライブするという普通こんな無警戒な行動をする女って

どういう神経しているんだろうね?

二股以上しているなら余計見られないようにしたいと

思わないのだろうかね?

当然これを面白くない祐一は圭吾の車の後を追いかけるけれど、

事悪い事に圭吾に佳乃を車から突き出され

その時点で腕を骨折している。

これって立派な傷害罪でしょうね!

あとを付けていた祐一は助けようと歩み寄るが、

今度は佳乃が後を付けてきた事を知り祐一の助けようとする行動を

拒絶し訴えると叫び出す始末・・・

それでも落ち着かそうとする祐一だったが佳乃は暴れ出し、

もみあいの末誤って首を絞めて殺してしまったのが事件の経緯だ。

佳乃の死体が崖の下にあったのは祐一が怖くなった事で

騒動的に我を忘れて落したのだろう。

経緯から考えると後を付けたのは良いとは言わないが、

それでも助けようとした心を踏みにじった佳乃の行動が1番拙い。

それ以上に拙いのは圭吾の行動な訳で、

あのまま突き飛ばす事さえしなければ

この事件そのものが起きていない訳だ。

これって行動さえ立証できれば保護責任者遺棄罪に問えるだろうし、

有罪を取れるだろう。

少なくても自らの車に乗せた責任は

運転手にある訳だから当然だろう。

しかしこの事件は1番助けの手を差し伸べた祐一が

世間的に1番悪いとされてしまった。

殺したという事で・・・

事件の経緯から考えると

これって1番の被害者は実は祐一という結論にも至るのでは?

と思ってしまうほどだ。

殺人という罪がそれを全てかき消すという事になるかもしれないが、

経緯として考えた時私としての判断は

加害者圭吾

(保護責任者遺棄及び骨折による傷害罪)、

悪人佳乃

(散々男を振り回しておいて自業自得の行動の末助けの手を差し伸べた

祐一すら犯人扱いにする行動は悪女=悪人そのもの)、

被害者祐一

(佳乃にドタキャンされ目の前で男圭吾の車に乗り込み

圭吾に突き飛ばされたのを見て助けの手を差し伸べるも

拒否され犯人扱いされさらに揉み合いの末誤って殺してしまった)

という図式になる。

悪女が加害者に突き飛ばされ被害者が救いの手を

差し伸べたにもかかわらず犯人扱いし誤って殺されてしまった訳だから、

その後祐一の衝動的な行動は我を忘れれば怖くなって

そういう行動に出てしまうのは過去の判例でもある訳なので

救いの手に掴んでいればこのような事はなかった訳だ。

その後祐一はその殺してしまった後悔を抱えて

以前メールをもらった光代と出会う。

光代についてだけれど、長年地元の小中高校に通い、

就職も近くの紳士服量販店に勤務と30年近い生活は

何時も身近な世界しか経験してこなかった。

そんな平凡な生活を変えたいと誰かに出会いたい

という心境は私も良く解る。

祐一も光代も平凡で退屈な毎日から抜け出したかったから

出会い系サイトを使っただけなのだ。

そして2人が出会ったその日にセックスに及ぶ訳だけれど、

今の時代ってそういう関係で出会う人もいる訳で、

それを完全否定するつもりはないが、

そういう経験のない人にとっては祐一と光代の行動に対して

理解に苦しむのは想像できるところだ。

でもこれが2度目の出会いになった時

2人には運命というものを感じるようになる。

しかしそれは祐一が佳乃を殺したという事で

叶わないものとなる訳だが、

果たして逃避行に出る2人に待っている結末とは・・・

その続きは劇場で観てほしいけれど、

どうして光代は祐一の自首を止めたのか?

というのが最大の考えどころになるのだろうけれど、

2人は2度目の出会いで運命というものを感じたのは間違いない。

しかし現実は祐一が佳乃を殺してしまった

という現実が2人にはあった。

もし佳乃を殺していなければ続いていたと考えれば

全ての元凶は佳乃にある訳だけれど、

祐一と光代は同じ孤独の毎日を送っていた共通点があり、

その共通点があったからこそお互い運命を感じたし、

結ばれたいという人間の本能が働いたと考えるべきだろう。

ターニングポイントとなった光代が祐一を止めたのは

本能的に運命の人を遠くへ行かせたくなかった

という本能が働いたからに他ならない。

光代もこういう行動をすれば現実は頭では解っていたはずだし、

本当は行かせなければと思ったはずだ。

でもそれをさせなかったのはようやく出会えた運命の人だったから・・・

そして2人はそれぞれの家族を事件に巻き込んで行く事になるんだけれど、

ここでもう1つのポイントとして被害者家族である

佳乃の父佳男が本当に悪いのは誰なのか

というのを次第に気づいて行く事だ。

このストーリーで救いがあるとすれば佳男の行動と、

それを観た圭吾に態度を許せなかった友人の怒りだろう。

総評としてラストシーンで祐一がした行動は

光代を助けるための行動だった。

一見殺そうとしているけれど、

あそこでそういう行動をしなければ

光代は祐一を匿った罪に問われるわけで、

あの行動で光代は祐一に脅され恐怖で

祐一の元へ逃げるしかなかったと判断され無罪放免になり、

世間でも光代は誘拐され人質となったと判断されただろう。

でもそれこそ祐一が光代に示した愛情だった事は理解したい。

世間で悪人なんだと言われている事を痛感しても

最後は祐一の優しさで助けてくれた事を光代が1番理解していた。

罪については祐一は償わなければならないが、

罪を償った時には光代が待っている。

でもこの事件で本当に罪を問わなければならないのは圭吾であり、

1番の悪人は死人に口なしの佳乃だったのだと感じてしまう。

殺した人が1番悪いという認識を改めて考えさせられた事件だった。

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