5月14日公開の映画「少女たちの羅針盤」を鑑賞した。

この映画は「ばらのまち福山ミステリー文学賞」優秀作

「少女たちの羅針盤」を映画化した作品で、

福山市にある高校で演劇部に所属していた

3人の少女が他の高校の少女1人の4人で羅針盤という劇団を立ち上げて、

ストリート劇が評判を呼び舞台まで立つが、

その後メンバーが殺され、そのメンバーを殺した人が誰なのかを

追求していくミステリーである。

犯人は一体劇団羅針盤のメンバーの誰を殺したのか?

そして羅針盤のメンバーはその事件をどう関わる事になるのか?

その流れを見届けた先には思いもしない結末の舞台が待っている事になるだろう。
色々謎を明かさない中でレビューしていく事になるんだけれど、

高校生の少女たちが劇団を立ち上げて、

その葛藤を描いていくシーンと実際に犯人である

人物を追い詰めていくシーンが並行で進む事になるんだけれど、

ストーリーの流れとしては実に上手く仕上がっており、

どうして殺人事件にまで発展する事になったのか?

を時系列で辿れば辿るほどその心理的な部分で掻き立てていく事になる。

羅針盤の舞台に立つまでのストーリーとは?

そして羅針盤のメンバーはどうして殺されたのか?

犯人はどうして羅針盤のメンバーを殺したのか?

レビューしていく。

キャスト

楠田瑠美演じる成海璃子

江嶋蘭演じる忽那汐里

北畠梨里子演じる森田彩華

来栖かなめ演じる草刈麻有

広瀬なつめ演じる黒川智花

渡見恵子演じる戸田菜穂

江嶋千代子演じる清水美沙

御蔵総一郎演じる石黒賢

倭駆演じる塩谷瞬

平良弘明演じる石井正則

瀬川雄介演じる水本諭

芽咲吾朗演じる前田健

武本正弘演じる金山一彦

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

廃墟となったホテルを借り切り、ネットシネマの撮影が始まろうとしていた。

新進女優の舞利亜は、撮影のため生まれ故郷に戻ってきた。

しかし、彼女のもとには改訂されたはずのシナリオが届いていない。

更には壁に不気味な落書きが。

そしていつの間にか差しこまれた脅迫状……。

見えない何かに脅える舞利亜には、触れてはならない過去があった。

それは4年前、高校生の瑠美、梨里子、かなめ、蘭とともに

劇団「羅針盤」を結成した時に遡る……。

結末は劇場で観てほしいけれど、

今回のレビューとしてまずこの映画は冒頭から

あるネットドラマの撮影から始まる。

そのヒロインに新進女優の舞利亜が務める事になって、

早速故郷である撮影現場に着くところから始まる。

実際にはこの舞利亜は誰なのか?という事になるのだが、

ここは上手く演出しており序盤では舞利亜が誰なのか

わからないようになっている。

ただその舞利亜には4年前羅針盤のメンバーを殺したという過去があった。

実際にその殺人事件は殺人事件として扱われなかったのだが、

舞利亜が殺したという証拠を知っているのは間違いなかった。

それは4年前にさかのぼる。

当時高校2年生だった楠田瑠美は高校の劇団部に所属していたが、

先輩と折りが合わず衝突の日々を繰り返していた。

そして劇団部を飛び出した瑠美に北畠梨里子と来栖かなめが瑠美を追い、

瑠美は梨里子とかなめと共に劇団を立ち上げる事を思い立つ。

しかし3人では劇団をするのに不都合があるため、

もう1人として江嶋蘭を誘い、

蘭は最初は断ったものの劇団に参加する決意を固める。

そして劇団を立ち上げる事になり、

かなめの姉である広瀬なつめは女優志望の芸能人という事で

舞台に招待してもらう事になった。

そしてその舞台の後4人は舞台プロデューサーから

厳しい事を言われるのだった。

確かに舞台をやりたいと言ってもそう簡単に

舞台には上がれないものである事を痛感した

瑠美、梨里子、かなめ、蘭はストリートでライブをやる事を決意するのだった。

そして劇団名を決める時にかなめがそれぞれの名字の中に

東西南北という漢字が刻まれている事に着目し、

船で使う羅針盤という劇団名に決めるのだった。

最初はステージもないところで芝居をやったが、

芝居とはわからず、さらに台本も色々練る事にし、

2つの台本と手作りの舞台ステージ用の小道具を作り、

それぞれ次のストリート舞台へ向けて動き出していた。

その過程はそれぞれの家庭事情も描かれており、

蘭は大企業グループの隠し子として育ち、

再婚相手の生活は会社が倒産して離れ離れになっており

今は母子家庭で苦しい生活をしている。

一方かなめは両親が離婚し姉なつめと別々に暮らしていたが、

なつめは地元では知られる女優志望の芸能人として

4人を紹介したのがなつめだった。

洋服担当はかなめが担当している。

そして梨里子は羅針盤の中でホームページ作成などに優れ、

羅針盤のホームページとブログを管理していた。

しかし梨里子はリストカットするほど精神的不安定であり、

自らの脚本力がある事で瑠美と軋轢を感じる。

さらに瑠美の事が好きになるという感情を秘めていた。

そして瑠美は劇団を立ち上げようと言い出した張本人だが、

自分の力を認めてもらおうとする勝気な性格が衝突を生んでおり、

それを止めるのが梨里子とかなめだった。

それぞれの問題と感情を抱えながら劇団羅針盤はストリート舞台を再度行った。

ストリート舞台は大成功をおさめ、

その評判は広がり、舞台対決という形で突然出場できることになった。

そして4人はその舞台に向けてどうするか話し合う事になったが、

まず瑠美が脚本を書くが、そこに梨里子が新たなる脚本を書いてそれが採用され、

稽古に励むが、それが瑠美と梨里子との軋轢が生じるが、

それは舞台直前で和解する。

そして4人は舞台に立ち、その演技は見事であり、

観客からスタンディングオーベーションを受けて大成功するが、

優勝は別の劇団となった。

これには実際に瑠美たちの高校の劇団部の顧問をしていた

渡見恵子が頼んでいる事をしり瑠美は恵子をぶち瑠美は言い合うが、

それを梨里子とかなめ、蘭に止められ、

瑠美は冷静になって自分の行動を責めるのだった。

そしてその後蘭は実の父親の援助で転校する事になり、

かなめは蘭と一緒に行ったオーディションで蘭ではなく

かなめがオーディションに合格してしまう。

それに戸惑う瑠美だったが、かなめのチャンスに3人は快く送り出すのだった。

しかしその直後かなめは何者かに襲われる。

はたして4人のその後は、そして誰が殺される事になったのか?

そして犯人はどうして殺したのか?

結末は劇場で観てほしいけれど、まず犯人から登場し、

その犯人を追いつめるために劇団羅針盤について語られていく事になるのだけれど、

こういうサスペンスについてはどうして殺人までに至ったのかを

描く上で同時進行させていく手法は実に上手く、

それぞれの心理絵写が絶妙に描かれており、

羅針盤の中でもそれぞれの葛藤を抱えながら成長していく姿は見事だし、

事件への経緯が羅針盤の成長とリンクさせている事が

殺人事件を辿っていく上で重要視しているのでその点はとても評価できるし、

何より殺人事件がメインじゃなく劇団羅針盤がメイン

だという事がこの作品の評価を高めている。

事件の経緯を辿るストーリーだが、

その事件の真実はそれぞれ持っているものの違いが

招いた悲劇というべきものだけれど、

人はそれぞれ持っているものが違うのは否定できない事実であり、

その事実を受け止める事ができるかできないかがこのような事件になってしまう。

4人の羅針盤メンバーはそれぞれ葛藤を抱え続けた。

しかし最後には瑠美も憎んでいた渡見との関係も解消できているので

ほしいものが必ずしも手に入るものじゃないと

割り切れなければならないのかもしれない。

総評として事件の経緯と劇団羅針盤の成長の過程を

見事に描き切った部分はサスペンスとして実に上手く構成されているし、

犯人がどうして羅針盤メンバーの殺人に至ったのかも十二分に納得した。

そしてその犯人の真実を見抜いたのもやはり羅針盤メンバーだったという事だ。

劇団はそれだけの想像力と洞察力、

さらに脚本の展開力がなければ劇団で劇を演じられない訳で、

その展開力と演技力は犯人を見事に追い詰め、

さらに犯人に本当の真実を示した事が最終的な救いとなったはずだし、

自らの過ちを後悔する事になるだろうし、

それを止めたのも羅針盤のメンバーの想いだった。

成長の過程を描き、その犯人を追いつめた羅針盤の展開力と演技力は

最後まで魅了される事になった。

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