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5月28日公開の映画「マイ・バック・ページ」を鑑賞した。

この映画は1970年前後に盛んだった全共闘運動時代に

ジャーナリストを目指した新聞記者がある男と出会い、

その行動に共感してしまいある事件の引き金になる事件を描いたストーリーである。

今と違い学生中心に政治に関心を持っていた時代に思想と理想の違いを

十二分に理解しないで起きた事件が描かれている。
今の時代は若い世代が政治に関心がなく

エジプトなどの若者中心の暴動から完全にかけ離れてしまっている日本だけれど、

そんな日本でもかつて若者中心に日本を変えられると熱意を燃やした人たちがいた。

それは三島由紀夫のような東大安田講堂事件が代表されるように

学生たちが日本を変えようとしていた時代だ。

ただ東大安田講堂事件以降そういう活動は鳴りを潜めていき今では

そういう活動は大学では殆どなくなったが、

今の日本にとって若者が政治に関心がないという現実をどう考えるべきなのか?

という事を問う上では良い題材なのかもしれない。

ただこの作品で忘れてはならないのは思想と殺人の違いを

確り認識しなければならないという事だ。

この作品はその思想と殺人の違いが焦点になるので

思想犯と殺人犯の区別を確り行わなければならないという事レビューしていく。

キャスト

澤田雅巳演じる妻夫木聡

梅山=片桐優演じる松山ケンイチ

唐谷義朗演じる長塚圭史

前園勇演じるあがた森魚

倉田眞子演じる忽那汐里

安宅重子演じる石橋杏奈

柴山洋演じる中村蒼

浅井七恵演じる韓英恵

白石演じる三浦友和

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

東大安田講堂事件をきっかけに全共闘運動が急激に失速を見せていた頃、

1969年。東都新聞社で週刊誌編集記者として働く沢田は、

取材対象である活動家たちの志を理解し、共有したいという思いと、

ジャーナリストとして必要な客観性の狭間で葛藤していた。

ある日沢田は、先輩の中平とともに梅山と名乗る男から接触を受ける。

梅山から「武器を揃え、4月に行動を起こす」と言われ、

沢田は疑念を抱きつつも親近感を覚えるようになる。

結末は劇場で観てほしいけれど、

今回のレビューとして、学生運動が盛んだった

1960年代後半から1970年代前半の時代、

丁度今の団塊世代が学生から社会人になった時代でもあるけれど、

この時代はようやく戦後が終わりいよいよ高度経済成長期へ向かう時だった。

この時代はそれでも日本を今より良くしようと思う若者が多く、

それが当時の政治との衝突を生んでいた時代でもある。

今では学生たちが結集して政府に抵抗するなんて日本では考えられなくなったけれど、

それが逆に政治無関心に繋がっているようにも感じる。

ただそれが良い事ばかりかと言えばそうじゃなく、

中には本当に思想犯という勘違い事件が起きたのがこのストーリーのあらすじとなる。

思想はいわゆる

「人間が自分自身および自分の周囲について、

あるいは自分が感じ思考できるものごとについて抱く、

あるまとまった考えのことである。」


とWikipediaでは載っているけれど、

要するにその人が考えた事を色々集約して纏めた考えだ。

その時代において考えが違うのは言うまでもないけれど、

その考えに共感できるできないはどの時代でも当然ある事であり、

その考えに賛同する人がいるからこそ大きな行動が起きるのである。

私たちもそれぞれのブロガーは当然そういう自分が持っている

思想の中で論じている訳であり、

それぞれの考え方に対して共感できるできないはどうしても起きるものだ。

問題はそういう事を客観的に受け入れる事ができるかできないか

という事もある意味試される訳なんだけれど、

自己を持たなければ思想は語れないし、

理解する事ができないだけにまず自己を確り持つ事が必要になる。

その中でこの作品を辿っていくと新人記者の澤田は取材対象である活動家たちと

出会う事でその志を理解し共感したいと思う反面客観性が必要とも考えていた。

最初の取材では新人記者らしく潜入取材で感じた事を

記事にしろと1か月取材に出た訳だけれど、

新人記者にとって初めての頃の取材でいい記事を書く事は容易じゃなく、

澤田は思うように書けない事に葛藤していた。

そんな中1人の少女と出会う。

それは新人モデルの倉田眞子という女性だった。

眞子は澤田の記事を読んで客観的にその澤田の記事に応えていた。

政治的な事がわからない少女の意見は澤田には新鮮的だった。

そしてそこから事件の発端に繋がっていく人物梅山と出会う。

梅山は大学で全共闘運動に関する研究会を作ったが、

梅山には思想を述べるほどの考えが正直持ち合わせていなかった。

序盤で梅山が仲間と討論をするのだが、思うような言葉が出てこない。

思想家の理想だけを掲げるだけで、

その考えに対する具体性が示せないのだった。

討論する上で何をどうしたいのか?

という事を確り述べる事は実に難しいものだ。

簡単な言葉で述べれば薄っぺらと言われ、

長く述べても良く解らないと言われるケースもある。

確かに頭の良い人ほど言葉を短くして簡単な言葉を並べる傾向が強いものだけれど、

その言葉を理解しようとする思考力がなければ

短い言葉からでは理解する事は難しい。

私も以前そういう苦い経験をした事があり、

相手は短い言葉だけでは解らないケースがあるんだ

という認識に変わってから1つの出来事に対して系列を

辿って1つ1つポイントを述べるように心がけているけれど

正直10のポイントを1つにするのは容易じゃないし、

読み手が必ず理解できるとは限らないという認識がなければならない。

相手が解るためには?

という疑問から入らなければならないのだが、

確かにそうしていると時間を通やし過ぎるからそれを理解しフォローできる人が

多く集まる必要がある訳だ。

その中で梅山の元に残ったのが安宅重子、浅井七恵、柴山洋だった。

当初集まった人数を考えるとあまりにも少ない訳だが、

それだけ梅山の事を理解できる人が少なかったという事に他ならないだろう。

そしてここで最も梅山がミスする事としては

全共闘運動を暴力で武装する事だった。

その中に澤田が取材を通じてその思想に惹かれてしまい

共感してしまう事に至る訳だけれど、

ここで澤田にとって最大のミスは客観性を失っていた事だろう。

事件が起きるまでその経緯に対して疑問を持たなければならないところに対して、

持つ事ができなかった。

ゆえに次第に梅山を信じてしまった澤田はその行動を取材し続けてしまうのだった。

事件の経緯の中で梅山は自衛隊から武器を奪取する事を掲げたが、

行動を起こす上で武器の奪取は必ずしも必要とするものじゃない

という事を梅山は理解していなかった。

思想犯という意味を考えると思想犯は最初に語ったように

自分の考えを纏めたものだ。

その思想が国が考える方針と違えばそれは思想犯となり国に

悪影響を及ぼすものと捉えられる。

しかしその判別は実に難しい訳であり、

国の方針と考えが違うからって罰する事ができるか?となると、

日本の場合は社会的に国民が危害を受けないのであれば

罰せられる可能性は極めて低いが、

オウム真理教事件のような事件に発展すれば国として思想犯と見なされ

制限や排除を求めるケースがある。

そう考えればここで梅山が思想犯と名乗る理由は前者となる訳だ。

しかしこの事件は危害どころか全く無関係な人が殺されるという事件だ。

それを思想犯と片づけられるようでは正直思想犯の意味合いが

解っていなかったと言わざる得ない訳だ。

これでハッキリするのは梅山は単なる思想を理解せず、

具体化もできない暴力で訴える殺人共謀犯というだけだった訳だ。

結末は劇場で観てほしいけれど、

実際の事件に対してある程度手を加えられている訳だが、

その時代においてはこういう思想とは?

を理解せずに行動してしまった学生も少なくなかったであろう事件でもあるし、

思想とはどういう事なのかという事を梅山と接触する人たちが

思想とは簡単な事じゃないという事を言いたいのだろうが、

この映画で描かれる部分を理解するのは正直容易じゃない事は想像できるし、

今の私たちにこの時代の事を理解するのは

それなりの自己思考が必要なのだと思う。

総評としてこれから日本は大きな岐路に立たされる。

それは言うまでもなく東日本大震災による政治不信だ。

その中で私たちはどうすべきなのか?

を確り考え確り述べなければならないし、

確りした方向性を見つめなければならない。

エジプトで若者たち中心に政権を追い込んだ

現実を私たちは若者が現実を変えようとした

1970年代前後に私たちの親世代は体験してきた。

今こういう時だからこそ若い世代が日本を変えていく気持ちを

持たなければ日本は変われないという意思表示をし

提示した映画なのだと思う。

意見に流されず自己の考えを持ち、

そして論じられるだけの力を付けなければならないのだと歴史は語っている。

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