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6月3日公開の映画「花戦さ」を観賞した。

この映画は戦国時代に生け花の華道で信長、秀吉と渡り合った花僧が花を武器に戦いに挑んでいく姿を描いたストーリーである。戦国時代において茶道、華道は大名のたしなみとされた時代に茶道の千利休、華道の池坊家はこの時代において茶と花だけで互角に渡り合った姿が描かれている。
茶道の千利休は何度も映画やドラマなどで描かれているけれど、池坊家の華道について描かれた事はあまりに少ない。どうしても茶道の方が有名であるためでもあるけれど、華道もそれに匹敵するほどの大名のたしなみだった。それだけ大名は教養を重視して公家や朝廷に近づくための1つとしていたのは事実であり、元々教養がなかった秀吉も信長死後には重視している事からも政治を大きく動かす力がそれだけあったという事だ。ここで登場する池坊専好は信長、秀吉と対等に渡り合っていく。果たしてこの花戦の軍配はいかに?

キャスト

池坊専好演じる野村萬斎

豊臣秀吉演じる市川猿之助

織田信長演じる中井貴一

前田利家演じる佐々木蔵之介

千利休演じる佐藤浩市

吉右衛門演じる高橋克実

池坊専伯演じる山内圭哉

池坊専武演じる和田正人

れん演じる森川葵

石田三成演じる吉田栄作

浄椿尼演じる竹下景子

俵屋留吉演じる河原健二

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

京都・頂法寺には仏に花を供えることで人々の幸せと世の安寧を祈る“花僧”がいた。1573年、花僧・池坊専好は、織田信長の居城・岐阜城で昇り龍のような巨大な松を活け、信長から賞賛を受ける。その場には豊臣秀吉、前田利家、千利休らがいた…。それから10数年、秀吉の治世に。花を活けることに悩んでいた専好だが、再会した千利休のもてなしに、花を活ける心を取り戻す。その頃、利休と秀吉との関係は悪化の一途をたどっていた…。

結末は劇場で観てほしいけれど、今回のレビューとして池坊専好はある事から当時美濃を攻略したばかりの織田信長の元に生け花を披露しに行く事になった。当時は信長もまだ美濃を統一してこれからという大名の1人だったが、この美濃を制してからの侵攻は本当に劇的な速さで畿内を制し、浅井朝倉連合を撃破するに至る。当時まだまだ全国の有力大名に過ぎなかった信長に生け花を披露する専好だったが、気性が激しい事で家臣が怯えている中で斬新なデザインの生け花を披露して信長に気に入られる事になる。この時に当時信長の家臣だった羽柴秀吉が専好を手助けしていた事は後の運命を左右する事になろうとはこの時専好はまだ知る由もなかった。

時は経ち本能寺の変で信長が自害して果てた中で秀吉が天下統一を目指していた時代に専好は池坊の当主となっていた。しかし専好はあまり覚える事が得意でなく月日を経るとあった人の事をついつい忘れてしまう傾向にあった。そんな時に訪れてきたのが千利休であり、専好は覚えていなかったが千利休はよく覚えていた。それだけ生け花が斬新だったという事もあるし、変わった人物だったという事もあるだろう。

そんな千利休はこの時代には秀吉の茶道として仕えており天下統一を目前とした秀吉に時として意見を述べるほど力を持っていた。しかし秀吉が天下統一を果たした直後には千利休もそして専好の長年の友が次々と処刑されるという出来事に見舞われて専好は秀吉に対して生け花で対抗する事を決意するのだった。果たして専好は生け花で秀吉の暴走を止める事ができるのだろうか?

結末は劇場で観てほしいけれど、茶道と並ぶ華道の話はあまり戦国時代の話では出てこないんだけれど、それでも政治の世界では茶道と共に華道も非常に大事な大名のたしなみであった。教養のない大名に天下統一はないという位重視されていた訳であり、言葉より茶でそして花で勝負する事で伝えたい言葉を伝えていたという事だ。専好も千利休の無念を知った上で秀吉に立ち向かった訳だけれど、秀吉も元々は信長の気性の激しさを知っていたから専好を助けた訳であり、今度は専好が秀吉を助けようと信長の時以上の生け花を準備して行った。武器を持たない華道にとって花が戦う武器であったという事だ。

総評として茶道に隠れがちな華道だが歴史も古く今に伝わる池坊家の生き抜いた戦国時代の生き様がここに描かれた。どんな時代にも文化は存在しその文化は受け継がれていく。その中で茶で闘い、花で闘ったものがいたという歴史は今後も語り継がれていく事だろう。





花戦さ (角川文庫)
鬼塚 忠
KADOKAWA/角川書店
2016-05-25






「花戦さ」オリジナル・サウンドトラック
久石譲
ユニバーサル ミュージック
2017-05-31