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2月1日公開の映画「不能犯」を観賞した。

この映画はある人物の依頼でその人物をマインドコントロールをして犯罪の立証ができない不能犯とその犯人に対抗する刑事の対決を描いたストーリーである。犯罪に繋がらない不能犯相手に刑事はどう向き合う事になるのだろうか?

不能犯という項目は刑法学上の概念の一つで、行為者が犯罪の実現を意図して実行に着手したが、その行為からは結果の発生は到底不可能な場合をいう。と記述されている訳だけれど、確かにお前は死ぬとノートに何度書いても死ぬわけじゃないのでいくら死ぬと書かれていもその行為からは結果の発生する事と結びつける事は到底できない訳で、デスノートの世界と同じです。


デスノートの場合は書けば無条件なら心臓麻痺ですが、この事件では不能犯が特に何かをした訳じゃないのは言うまでもない訳で犯罪上証明できない犯人を相手にして果たして刑事はどう向き合っていく事になるのだろうか?


キャスト

宇相吹正演じる松坂桃李

多田友子演じる沢尻エリカ

百々瀬麻雄演じる新田真剣佑

川端タケル演じる間宮祥太朗

赤井芳樹演じるテット・ワダ

若松亮平演じる菅谷哲也

前川夏海演じる岡崎紗絵

木村優演じる真野恵里菜

羽根田健演じる忍成修吾

木島功演じる水上剣星

羽根田桃香演じる水上京香

櫻井俊雄演じる今野浩喜

西冴子演じる堀田茜

夢原理沙演じる芦名星

夜目美冬演じる矢田亜希子

河津村宏演じる安田顕

鳥森広志演じる小林稔侍

加島夏美演じる永尾まりや

矢崎太一演じる鈴之助

風間雅之演じる森岡豊

荒川晋平演じる松本享恭

上野琢巳演じる松澤匠

箕輪修演じるタイチ

看護師演じる松元絵里花

他多数のキャストでストーリーが進行する。

ストーリー

ある日、真昼のカフェで、黒いスーツを着た男に水をかけられた金融会社社長の木島が心筋梗塞で命を落とす。刑事の多田友子は防犯ビデオに映っていた男を怪しむが、男の行為では殺人は現実的に不可能だった。別の殺人現場に現れたその男、宇相吹正を取り調べたキャリアの女刑事・夜目美冬は、その夜、謎の自殺を遂げる。取り調べに同席していた多田が自分の影響を受けない唯一の人間であることに気づいた宇相吹は、多田に接触してくる…。


結末は劇場で観てほしいけれど、今回のレビューとして不能犯の手口は言葉によるマインドコントロールという事で言葉で誘導したから結果犯行が実行されたというのはなかなか難しく、この5つの事例の中でもそれを実証する事が困難である。


事件1

こちらは金融会社の社長が殺される事件なのだが、ここで不能犯である宇相吹正は社長に向かって突然ガムシロップをぶっかける。そこにからの空き瓶の蓋を開けて終わるのだが、これだけなら礼を欠いた行為だけで殺害の要因にはならない。何故ならガムシロップでは人は死なないし、空き瓶には何も入っていないからだ。でも社長は死んだ。


死因もまたガムシロップが原因ではないという検視結果で死因は心臓麻痺というまさにデスノートの世界だ。宇相吹が行ったのは単に心理的にスズメバチがそこにいるというイメージを与えたに過ぎない。実際にそこにいたとなればそれは犯行の実証になるが1匹もいない訳で死因がガムシロップ?では当然逮捕も立件もできない訳だ。


事件2

公園に何時もいるおじさんに殺害を依頼した訳だけれど、こちらもこちらで犯行に使ったのが死因になっていないし、ただの水では殺害を立証なんてまずできない。しかしこの事件にはもう1つの事件が絡んでおり、実はこのおじさん依頼者の妻を止めようとしていたのだった。その結末は一体何だったのかは劇場で確認してほしいが、知らなかった方が良かったという事件である。


事件3

こちらは宇相吹をようやく確保して取り調べを行うも、全く証拠に挙がる証言を得られず、その刑事は聴取をしていておかしくなってしまう。同席していた多田には何もなかったが、このマインドコントロールにより聴取していた夜目は自殺してしまった。そしてその依頼者が警察内部の人物であったことに多田らは衝撃を受けてしまう。この事件もまた宇相吹の巧みなマインドコントロールにより立証が不可能とされた。


事件4

この事件は行き別れた姉妹の悲劇の事件となる訳だけれど、離婚により父と母の2手に離れると異なった姉妹だったが、その生活は大きく異なった。姉は成功し、妹は苦労して借金を返す生活にその貧富の差に妹が恨みを持っていたという事だ。宇相吹はその依頼を受けて姉をマインドコントロールするのだが、その先にはさらに悲劇的な事が待っていた。真実を知った先に妹が辿る悲劇、そして姉が辿る悲劇は知らなかったからこそ起きた宇相吹の言う愚かだねという図式だった。


事件5

宇相吹と多田の最後の対決になる訳だけれど、2人の対決をしても宇相吹は誰かの依頼をされた上で行動しているのでその依頼人が依頼しなければ宇相吹は行動しないという事になる。爆弾を仕掛けた犯人を追っていく事になるが、その犯人が多田がかつて逮捕した相手だったという事で多田はその暴走を止める事ができるのだろうか?


5つの事件を振り返っても不能犯の宇相吹を止める事というよりも自分の手では何もできない依頼者がターゲットを追い込むという流れになる訳だけれど宇相吹は殆ど犯行を誘導するという言葉は確かに言っているのかもしれないが、言っている事そのものが犯行に繋がるのか?と問われてしまうとこのケースでは宇相吹が犯行を指示した訳でもなく宇相吹を犯人にする事は到底できない。


かといって占いなどで暗示をかけたという事を犯行立証させるのはさすがに無理がある訳で、本来刑事事件としては犯行を立証する必要がある。宇相吹の行動では何かを囁いただけでそれが実際の犯行に繋がるものじゃない。


1番のケースなんてまさにそうなんだけれどガムシロップを掛けただけであり、スズメバチはいない。それで相手がスズメバチがいると思い込んで亡くなるというのはあまりにも犯行として無理があり、当然スズメバチの毒すら検出されない訳だ。これはどうみても事件立証不能という事になる。


ただ2と4のケースについては宇相吹が依頼人にあるものを渡しており、それを見たから依頼者がその後どういう行動をするのかと推測する事は必ずしも不可能ではないのだけれど、メッセージの内容を見る限りこれで誰かを殺そうとするとか?自ら命を絶つのか?と問われるとこの言葉やメッセージだけではそれを立証する事はできない。


3のケースもわざと捕まって事情聴取されているだけで、それによって事情聴取した刑事がその後自殺するなんて普通に有り得ないし、その依頼者が最終的に亡くなる事も想定できない。


警察の検証として立証する事はできない犯人を捕まえられない。そしてそれを捕まえようとした刑事の多田もまた正義の為に宇相吹を止められない苦悩を抱えてしまうのだった。


結末は劇場で観てほしいけれど、犯行を成立する上では決定的な犯行動機及び犯行を立証する決定的な証拠が必要な訳だけれど、動機は正直誰もがある事であり、動機だけで犯行が立証される事は許されない。その為の犯行立証がある訳だが、どの事案も犯行を立証する事が不能な案件だ。


それを止める為には法を犯してでも止めるしかないのだが、それもできない。止められるのは法を犯す者でなければならないという事だ。多田にはマインドコントロールは通用しなかった訳だけれど、多田が掲示である以上宇相吹を止める事は難しいのかもしれない。

総評として事件には色々な思惑があり、その事件の犯行が必ずある。しかしその犯行について立証できなければ法で裁く事はできない。それが現実だ。宇相吹のような犯行手口をしている犯人がいるのかどうかと問われると刑法学上にある以上いるという事になるだろうが、それだけ人は弱い部分を多く持っているからこそこういう犯罪が成立してしまうのだと感じる。


常に自分自身を持っていなければこういう犯人の前にはわからないうちに支配され殺されてしまうだろう。それを防ぐのは自分自身が惑わされない自分を持つしかないという事だ。