2005年07月22日

みずほFG(中)波状営業に活路――銀証信グループ力結集(金融戦略を解く)2005/07/22, 日本経済新聞 朝刊, 4ページ, 有, 1369文字

みずほFG(中)波状営業に活路――銀証信グループ力結集(金融戦略を解く)2005/07/22, 日本経済新聞 朝刊, 4ページ, 有, 1369文字

 十一日、みずほコーポレート銀行(CB)、みずほ銀行(BK)、みずほ信託銀行、みずほ証券が都内で共催した「敵対的買収防衛セミナー」は約五百社が出席する盛況だった。銀行、信託、証券のグループ総動員が功を奏した。
「三方一両得」
 秘訣は「ディール・アフター・ディール」と名付けた提案営業にある。みずほCBの大企業担当者がグループ全体の担当として、企業の成長戦略を提案する。一つの取引を起点にグループの証券、信託を使って取引を連鎖的に獲得する「波状攻撃」商法だ。
 信販大手のオリエントコーポレーション。みずほCBは優先株を引き受けて支援する一方、支援企業に伊藤忠商事を発掘。二月にはみずほ証券が仲介して七百億円の資本提携をまとめた。
 みずほBKも参画した。昨年七月にはオリコと個人向け金融で提携。個人向けローンはオリコの約六十万の加盟店網を通じ、一年余りで二千億円を超えた。優先株売却、M&A(合併・買収)仲介、個人向けローン――。グループ取引の「三方一両得」にオリコ社長の上西郁夫も「うまく事が運んだ」と振り返る。
 みずほCBの取引先は東証一部上場企業の七割。持ち株会社社長の前田晃伸は「日本最大だが、五割しか生かし切れていない」と不満げだ。しかしグループ内の連携はじわりと浸透し始めた。
 「ようやく野村証券と戦えるようになってきた」と語るみずほ証券社長の福田真。みずほ証券は大成建設や川崎汽船など、一―六月の株式などの引受主幹事実績は三大証券に次ぐ四位に食い込んだ。税引き前純利益は四百七十億円。日興シティグループ証券を上回り、大企業取引では野村証券(八百六十億円)、大和証券SMBC(七百四十億円)の背中が見えた。
 みずほは昨年、社員の業績評価に「ダブルカウント」制度を導入した。銀行と証券の営業マンが連携して一千万円稼げば、それぞれが一千万円ずつ稼いだとみなす。これで「グループ意識が高まった」(みずほCB常務の喜多野利和)。
 大手銀では三菱東京フィナンシャル・グループ、UFJグループも傘下に信託・証券をもつ。だが、みずほの銀行・信託の連携は少し違う。
全方位の外交
 みずほ信託の前身、旧安田信託銀行は一九九七年に経営危機に陥り、旧富士銀行の支援を仰いだ。総資産は三菱信託銀行の三分の一だからこそ「銀行との連携が最大の課題」(常務の前田仁)と割り切れる。証券代行受託の八割超、不動産の流動化では半分が銀行との連携の成果だという。
 グループ力が機能し始めたみずほだが、社長の前田は「保険会社、地方銀行は傘下に収めない」と断言する。「旗幟(きし)鮮明にすると顧客を失う」からだ。機関投資家でもある保険や地銀には、“全方位外交”を進めるほうが収益機会が大きいという計算だ。
 目標は「開かれた金融コングロマリット(複合企業体)」。個人部門でオリコ、クレディセゾン、マネックス・ビーンズ証券と提携を広げたが、「提携は資本関係を最小限にとどめて軽くやる」(みずほBK常務執行役員の野中隆史)。
 十月に誕生する三菱UFJ、三井住友の両グループは傘下に有力カード、信販、消費者金融がある。みずほの提携は多様だが、子会社化していないため、収益の一部はグループ外にこぼれ落ちる。みずほの戦いは金融コングロマリット時代の事業モデルをめぐる戦いでもある。=敬称略


Posted by project_momo at 10:37│Comments(0)TrackBack(0)

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