2009年03月21日

閑話休題のビジネス英語(11) (PF279)

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•“succinct”という形容詞がある。敢えてカタカナで表記すれば「サクシンクト」。意味はbrief, concise, preciseなど。つまり、「簡明な」「簡潔な」という意味。これにまつわる派生語は多くない。副詞“succinctly”や名詞“succinctness”がある程度か。実際に文例を見る機会も少ないが、先日こんなメールを見た。“Please keep the information relevant, high level and succinct”(情報は関連あるもので概略に留め簡潔にしてください) これは役員向け定期レポートへの記載要領に関する注意事項であった。

• 上記に出てきた“high level”について一言。「水準が高い」「高水準の」「地位の高い」という意味はもちろんあるが、実務では「ざっくりした」「概略の」「ポイントを絞った」という意味合いでも使用される。上記の文例も「高水準の情報」ということではなく「ポイントを絞った情報」「(情報は)概略に留め」くらいの意味である。同様の例では弁護士がしばしば「当該契約書を短時間でレビューして“high level report”を作成する」と云う。「“detailed report”は追って作成する」とも。こういう文脈ではとても内容が「高水準の」レポートと解することはできない。やはり、「ポイントを絞った、ざっくりとした」レポートである。もっとも、要点を絞ったレポートを迅速に仕上げることを「地位の高い」人が好むのは事実である。そういう風に考えると、“high level report”は「地位の高い」人が望むようなレポートと言えなくもない。

• 元「エコノミスト」誌の編集長ビル・エモット氏は近著「世界潮流の読み方」で“Dumbing down”(ダミング・ダウン)という英語を紹介している。「知的水準の低下」という意味である。現代人の生活はテレビ、インターネット、ゲームなどに囲まれ、単純な娯楽を好み受動的な生活をする。人の考え方、思考能力、文章能力がおしなべて低下しているのではないか。欧米の年長者やインテリ階層がこういう傾向を英語で“Dumbing down”と呼んでいると。

• “The road to hell is paved with good intentions.”(地獄への道は善意で敷き詰められている)という諺がある。ややシニカルな諺に見える。動機は間違っていないが、結果が間違っているという程度の意味に解すればいいのだろう。上記のビル・エモット氏は日本の消費者金融上限金利引き下げ(年利29.2% -> 15-20%)についてこの諺を思い出したと書いている(「世界潮流の読み方」p60)。金利上限を引き下げることによって消費者金融の供給量が減り利用できなく者が出てくる。さらに、非合法な消費者金融業が増殖しかねないと。戦後まもなく米国で導入された家賃規制の例にも言及している。家賃の上限規制により都心の賃貸家屋の供給量が減った。その結果低所得者層は郊外に追いやられたと。

• “First Penguin”(最初のペンギン)という英語の言葉がある。新しいことに勇気を持ってチャレンジする人のことを指す。ペンギンは集団で氷上に生息する。地上に餌はない。海中に飛び込んで小魚などの餌を捕らなければ生きていけない。しかし、海中にはオットセイ、トド、シャチなどペンギンの天敵も潜んでいる。海に飛び込んで餌を捕りたいが、天敵に遭遇して食われてしまうのは避けたい。できれば他のペンギンが先に飛び込んで安全なことを確認してから自分は飛び込みたい。海の中に飛び込む「最初のペンギン」がいなければ、ペンギンの集団全体の将来が切り開かれない。この話は茂木健一郎氏の「脳と創造性」に出てくる。こういう言葉が存在するということは、新しいことに挑戦する創造性を賞賛する文化があるということでもある。古いタイプの会社組織では、誰も海に飛び込まず氷上で全員が餓死するようなことになってはいないか。




Posted by projectfinance at 00:01│Comments(0)TrackBack(0) 閑話休題のビジネス英語 

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