2018年05月21日

独立2年目の日々 (PF715)

3e25e50b.jpg大学院で一緒だった方が5年前仲間と数名で起業した。仕事は動画制作である。今年起業5年目で、従業員数が100人を超えた。その方が起業成功の要因を分析している。そのうち最大の要因として挙げているのが、市場の成長性である。つまり、起業する業務は成長性のある市場かどうか。動画制作の世界は急成長を続けている。自分自身の努力もさることながら、自分がドメインとする市場は成長しているのか。もしそうでなければ、起業の成功は覚束ないかもしれないというのが彼の分析の骨子である。

筆者が20代のときに、定年退職した銀行員の先輩が司法書士として独立した。最後に勤務した銀行の支店近くのマンションの一室に立派なオフィスを開設した。そのオフィスに筆者は呼ばれたことがある。「吉村君、いいだろう」という先輩から、笑みがこぼれる。まだ筆者の社会経験は少なかったが、先輩のビジネス感覚に違和感を持った。のちに、その銀行の支店に昔から出入りしていた司法書士と仕事を取り合ってもめている、という話しを同僚から仄聞した。立派なオフィスがあるからといって、仕事が取れるわけではない。

A社の担当者からメールが届いた。A社のことは知っているが、担当者個人の方は存じ上げない。「吉村さんの前の勤務先にも連絡してみたのですが、吉村さんの連絡先がなかなか分かりませんでした」。苦労の末、筆者に接触して頂いたというのは大変名誉なことである。そのあとA社から仕事を受託した。

B社の担当者とお会いしたのは、小生講師のセミナーである。B社のことはもちろん知っているが、担当者個人の方とは初めてお会いした。セミナー後あらためて再会。あらためて再会して知ったのは、最初B社の担当者は小生のことを拙著で知ったという。拙著に記載されているプロフィールを見て、小生の前の勤務先にも電話をしたことがあるという。電話をしたら、「既に退職している」と言われた。連絡がつかずにいたところ、偶々セミナーの案内状を見た。それでセミナーに参加したという。B社からも後刻仕事を受託した。

プロジェクトファイナンスに関心を持つ人が増えている。これは実感するところである。筆者が初めてプロジェクトファイナンスの仕事に関わり始めた1990年代初めと比べると隔世の感がある。冒頭で触れた動画制作の事業ほどではないにしろ、プロジェクトファイナンスの市場も日本で相応成長しているのは間違いない。そのお陰で、独立してもこうやってなんとか仕事に携われる。

A社の人にもB社の人にも「ホームページはないのか」「オフィスはどこか」と訊かれた。残念ながらいずれもない。ホームページはいろいろ面倒なので、作っていない。自宅で仕事をしているので、オフィスもない。受託する仕事を増やすためには、ホームページがあった方が良いかもしれない。仕事が増えてくれば、オフィスを持った方が良いかもしれない。

しかし、独立したのは、単により多くの仕事を受託するためではない。独立したのは、プロジェクトファイナンスという仕事を自分の判断とペースで行うためである。好きな仕事なので、自分の判断とペースを大事にしたい。そして、自分の仕事が少しでも人に喜んでもらえると幸いだと思っている。独立したのは何のためだったのかという原点を自分に問いながら、この仕事を続けてゆく。


Posted by projectfinance at 00:41│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック プロジェクトファイナンス