GFU第28回理事会特別号2012年11月22日
<グローバル・ファンド・アップデート 第28回理事会特別号 掲載記事>

ニュース記事
第28回理事会、ジョン・パーソンズ総合監察官の雇用打ち切りを決定



 今回の理事会でもう一つ大きな人事面での決定がなされました。世界基金の独立監査機関である「総合監察官」(Inspector General)であったジョン・パーソンズ氏(John Persons)の雇用を直ちに打ち切るという決定が行われたのです。



「総合監察官」は2005年に設置され、パーソンズ氏は2008年1月からその職にありました。世界基金の監察官に就任する前、同氏は英国国家監査機関のディレクターやユネスコ、ユニセフの監査機関の長を務めるなど、政府や国際機関の監査のリーダーシップを30年以上にわたってとってきました。

世界基金理事会は、パーソンズ氏の業務レビュー、独立した外部者によるピア・レビュー、および、監査・倫理委員会(AEC)による報告書に照らして、パーソンズ氏の業務実施状況が「満足のいくものでない」ことから、ただちに氏を解雇する決定を行ったものです。

パーソンズ氏は総合監察官として、現地での世界基金の資金の不正流用問題に関する報告書を取りまとめた責任者です。これが2011年にAP通信によって誇大報道されたことが、世界基金「改革」の直接の要因の一つとなりました。パーソンズ氏のもとで近年、総合監察官事務所と世界基金事務局との意思疎通に問題が生じており、また、監査の内容について資金受託・実施機関との間で摩擦が多発するなど、かなり問題が多かったといわれています。

実際、世界基金に関する独立した報道NGOである「AIDSPAN」(本部:ナイロビ)が発行している「グローバル・ファンド・オブザーバー」紙の11月21日号(Issue 203)では、パーソンズ氏が総合監察官として行った処分が撤回されたという報道がなされています。同紙によると、世界基金は2009年、パーソンズ総合監察官によって行われた調査をもとに、フィリピンで「熱帯病財団」(Tropical Diseases Foundation)が主要資金受領機関(PR)を担って実施していた案件の資金不正使用疑惑を摘発、案件の実施を中断し、177万ドルの返還を要求しました。「熱帯病財団」は若干の金額を返却したうえ、疑惑全体については否定、事実関係に関する論争を提起していました。世界基金はその後、この件に関する調査を行い、最終的に、返還を要求していた177万ドルについて「熱帯病財団」側に特段の落ち度は見いだせなかったとして、返還要求を取り下げたのです。このケースは総合監察官の落ち度が明確になったケースですが、その他にも、総合監察官が不正を指摘したいくつかのケースについて、争いが生じているものがみられています。

グローバル・ファンド・オブザーバー 203号
世界基金、フィリピンの主要資金受領機関への177万ドル請求を撤回(英語)
Fund Reverses Demand that Former Philippines PR Repay $1.77 Million


今回のパーソンズ氏の解雇は、こうした問題や、事務局と総合監察官の関係が極めて悪化した上、理事会もパーソンズ氏側の問題を看過できなかったことが原因です。理事会は、総合監察官が自らの役割をフルに発揮して、不正を摘発し、世界基金の透明性を確保することの意義については、パーソンズ氏解雇にあたっての声明で強く表明しています。世界基金は、今後、6か月間程度をかけ、事務局長を選んだのと同様の方法によって総合監察官を選出するとしています。


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