世界エイズ・結核・マラリア対策基金の2011-13年の資金と運営について討議する「第3次増資会議」が10月4〜5日にニューヨークにて開催されます。それに向けて、各地で様々な市民社会のキャンペーンが行われています。

日本では、9月5日〜22日に世界基金の写真展「命をつなぐ」が開催され、それに関係して、会場で各種イベントがありました。3日には菅直人総理が開会式典に参加して演説をしました。

私たちプロジェクトRING、(特活)アフリカ日本協議会は、9月4日に、同開会式典に参加したHIV陽性者の代表、キャロル・ニィレンダさん(ザンビア)と、市民社会のキャンペーンとして世界的に行われている「私はここにいる」(Here I am)キャンペーンのアジア代表、ヴィカス・アフジャさん(デリーHIV陽性者ネットワーク代表)を招聘し、シンポジウムを行ないました。

また、9月6日には、ヴィカス・アフジャさんとともに外務省を訪問し、世界基金の日本政府代表理事で、国際協力局審議官の藤原聖也(ふじわら・まさや)さんとお会いして、以下の要請書を提出しました。

私たちとしては、我が国が第3次増資会議に向け、世界基金に対して、国力を反映した十分な額の貢献をすることをこれからも求めていきます。

=================

               <要請書>

2010年9月6日

外務大臣 岡田 克也 様
国際協力局審議官 藤原 聖也 様

世界基金第3次増資会議に向けた
日本国政府への書簡

(特活)アフリカ日本協議会 稲場 雅紀
デリーHIV陽性者ネットワーク ヴィカス・アフジャ

 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 さて、私どもは、来る世界エイズ・結核・マラリア対策基金の第3次増資会議(2010年10月4〜5日、ニューヨーク)に向け、日本政府に対し以下の書簡をしたためました。ご一読頂ければ幸いです。

1.「私はここにいる」(Here I am)キャンペーンとは

 世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)は、2002年の設立以来現在までに、280万人のエイズ治療を実現するなど、三大感染症との闘いに多くの成果を挙げてきました。世界基金の資金によって三大感染症による死を免れた人々はこれまで580万人に及びます。

 世界基金がこれまで上げた成果により、途上国での感染症対策の需要が大きく掘り起こされ、ここ数年、世界基金への資金需要は大きく拡大しています。一方、世界経済危機の中、先進国は経済状況が悪化し、感染症対策を含め、途上国への援助額は頭打ちになっています。世界基金の資金不足が懸念される中、この10月4〜5日の2日間、世界基金の第3次増資会議が開催されます。

 世界基金の資金により命をつないできた人々の多くは、途上国の無名の人々です。これまで、こうした人々の声が、先進国に直接紹介されることはあまりありませんでした。世界基金の資金により命をつなぐことができた私たちの声を届けてほしい、こんな願いが形になったのが「私はここにいる」(Here I am)キャンペーンです。同キャンペーンはオランダのNGO「国際市民社会サポート」(International Civil Society Support)が事務局を務めています。

 6月17日、スペインのマドリードで開催されたオープニング・イベントで公式に立ち上がった、この「私はここにいる」キャンペーンには、世界基金の資金によって命をつないだ多くの人々のライフ・ストーリーが紹介されています。

「私はここにいる」(Here I am )キャンペーン(英語)
http://www.hereiamcampaign.org

2.日本政府への要請:世界基金に、日本の国力に見合った資金拠出を

 世界基金の設立に、日本は非常に大きな役割を果たしました。世界基金の構想が2000年の沖縄サミットで生まれたことで、日本は世界基金の「生みの親」の一国に数えられています。また、その後、日本は世界基金への拠出を大きく伸ばし、2010年の拠出は合計2億4600万ドルに拡大しました。

 私たちは、世界基金に対する日本の貢献に深く感謝します。しかし、私たちは別の事実にも気づいています。世界基金への日本の総拠出額は、日本のGDPの0.024%です。他のG7諸国は、フランスの0.07%を筆頭に、イタリア・英国・カナダは0.04%台、米国・ドイツは0.03%台と、いずれも日本より多くなっています。この点に鑑みれば、日本は他のG7諸国と比較して、国力に応じた貢献をしているとは言いにくい状況となっています。

 私たちは、日本の経済が90年代以降、必ずしも順調に拡大していないこと、また、様々な要因により、税収が低迷し、国家財政も厳しい状況にあることを認識しています。こうした逆境にもかかわらず、日本が世界基金への拠出を増大させてきたことに、深い感謝の意を表します。私たちはその上で、日本が現状の苦境から脱出し、世界の中で正当な位置を占めるためにも、その国力・経済力に見合った規模で世界基金への貢献を行うことを提言します。また、日本の市民社会は、日本が感染症対策を始めとする地球規模課題に積極的に取り組んでいけるような環境整備に、政府と力をあわせて取り組んで行きたいと考えています。

 ついては、私たちは日本政府に対して、第3次増資会議に向けて、日本が世界基金に対して、以下の目標額を目処に資金的貢献を行うことを誓約するよう、提言いたします。


◎目標額1 18億3500万ドル(世界基金の2011-13年の資金需要額(200億ドル)を各国の経済規模に比例して負担した場合の日本の適正目標額(注1))

◎目標額2 11億2000万ドル(「MDGs達成への努力を倍加する」との鳩山前総理国連演説(2009年9月)を踏まえて、日本の世界基金への貢献を倍増した場合の日本の目標額)

私たちは、日本政府の賢明なご判断に期待すると共に、私たち自身も、それぞれの現場で最大限、世界基金への拠出額の拡大に向けて努力するものです。

以上

(注1)本目標額は2008年の各国GNI(世界銀行算出、Atlas Method)をもとに、一人当りGNI調整済みのGNIにより算出したものである。一人当りGNI調整済みGNIは、米国を1とした場合の各国の一人当たりGNIを算出し、これを各国GNIに乗して算出。非政府セクター(民間財団等)の拠出を全体の6.3%とし、それ以外を政府セクターで負担するとした場合、日本の負担割合は9.2%となる。これを世界基金の2011-13年の資金需要額(200億ドル)に比例させて算出したもの。詳細は世界基金発行"Technical Note 1: Illustrative Contribution Tables" 9ページを参照のこと。


projectring at 12:00│ プロジェクトRING開催イベント・ワークショップの記録 | キャンペーン・アドボカシー活動の紹介

Copyright© Japan AIDS & Society Association. All Rights Reserved.