下妻物語 〜 現代の女性の風潮か!? "おひとり様" 〜東京事変「透明人間」 〜 林檎流 ”みんなのうた”復活! 〜

2006年03月04日

シティ・オブ・ゴッド 〜 子供たちが殺し合う理由 〜

93946a34.jpg〜 子供たちが殺し合う理由 〜

1960年代の後半、ブラジル・リオデジャネイロの貧民街、「神の街(シティ・オブ・ゴッド)」は子供達が強盗や殺戮を日常的に行っている街。この神の街でマフィアのボスにのし上がる少年と、それを新聞記者として追う少年二人の行きざまを描いた作品です。

こう書くとかなり重苦しい話のように聞こますが、それは映像のスピード感やリズム、軽快な音楽によって、かなりクールなものに仕上がっています。イメージは映画「トレインスポッティング」や「スナッチ」みたいな感じでしょうか。

しかしクールな中にも、そこには確かに胸に刻み込まれる痛みが存在します。
平和ボケした日本では考えられない世界であり、物語の舞台となる神の街に神は居らず、人間が神のごとくに振る舞う。欲望のままに奪い合う景色がそこにあります。言ってみればリトルゴッドファーザー。トップを取るための血で血を争う闘争は、限りなく繰り返されるのです。


映画「オーメン」に代表されるように、子供は悪魔のように見えるときがあります。
それは子供というのはもともと倫理感や社会の常識がない状態であり、それを教えなければ「何が良いことで、何が悪いことなのか」といった判断なしに、本能のまま動いてしまうことが悪魔のように見えてしまうのだと思います。この映画でも同じく、子供の頃から神の街で暮らす彼等は、読み書きすらままならない頃から銃を手にし、略奪を繰り返す。その行為に良し悪しの判断はありません。無論、人を殺すことへの倫理感すらないまま。

いまの日本でも、一歩間違えれば同じことが起こりえるのではないだろうか。
最近の事件に多い拉致・監禁といった類のもので、実は親は知っていたが子供のために黙っていたというケースもよく見られます。それはそういった倫理感を子供の頃から教え込まなかった、いや、そうできないほど、親が親らしく成長していないことが問題なのかもしれません。

将来、自分の子供が暮らす世界が神の街にならないように、
「まずは自分自身、しっかりとした倫理感や信念を教えられる人間にならねば!」
などとマジメなことを考えさせられる作品でした。


シティ・オブ・ゴッド【廉価版2500円】


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1. シティ・オブ・ゴッド  [ It's a Wonderful Life ]   2006年03月19日 18:31
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2. 『シティ・オブ・ゴッド』  [ Albrecht's Alternativity@ココログ ]   2006年03月19日 22:35
漢字としては「粗々しい」と書きたい。あるいは、「暴々しい」。 タイトル:『シティ
3. シティ・オブ・ゴッド  [ ものづくる ]   2006年03月19日 23:25
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4. 鳥肌映画 シティ・オブ・ゴッド CIDADE DE DEUS   [ ポコアポコヤ ]   2006年05月04日 10:37
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5. シティ・オブ・ゴッド(02・ブラジル)  [ no movie no life ]   2006年05月05日 00:39
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この記事へのコメント

1. Posted by へんぐ   2006年03月19日 23:34
TBありがとうございました。

子供ほど無垢で純粋だからこそ残酷な生き物はないとうのはなるほどです。
某テロ組織でも、子供たちに捕虜を殺す映像を見せ、模擬をやらせて立派なテロリストに育て上げるそうです。

シティーオブゴッドの裏側では学生運動が起こって、それから何年かたって日本は引篭もりやニートに溢れているようで。彼らは何を見てそうなったのでしょうかね?
2. Posted by GAKU   2006年03月21日 10:18
> へんぐさん
コメントありがとうございます。
この映画を見るとつい日本の対極な情景を考えさせられますが、それもまた現実であり、極端な見方をすると、神の街も日本もあまりかわらないのかもしれません。

しかし、それを大人のせいとか、国や政治のせいと言っていても、結局それを許してしまっている自分達それぞれに責任があるように思います。なーんて、またマジメなことを考えてしまいました。

そういえば、この映画の監督フェルナンド・メイレレスは
アカデミー賞でもレイチェル・ワイズが助演女優賞に輝いた作品
『ナイロビの蜂』の監督も務めていますね。こちらも楽しみです。

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