2006年05月21日

ダ・ヴィンチ・コード 〜 誰を信じるかではなく、何を信じるか 〜

ダ・ヴィンチ・コード〜 誰を信じるかではなく、何を信じるか 〜

「ダヴィンチの絵画の中には秘密がある。」そんなキャッチとともに世界的ベストセラーとなった同名小説(著:ダン・ブラウン)の映画化作品。謎を追う教授にトム・ハンクス、暗号捜査官には『アメリ』で一躍有名になったオドレイ・トトゥ、そして豪腕刑事としてジャン・レノ、歴史学者にはイアン・マッケランといった異色のキャストで贈るミステリー作品となっています。
 
簡単にあらすじをご紹介します。
ある晩、閉館後のルーブル美術館で館長が殺される。死体の周りには不可解な暗号と館長がその日会う約束をしていたハーヴァード大学教授ラングドン(トム・ハンクス)の名前が含まれていた。そのことから殺人の容疑者にされるラングドンは、館長の孫娘で暗号解読官のソフィー(オドレイ・トトゥ)に助けられ、警察に追われつつも暗号の謎解きをはじめる。しかし、その謎はキリスト教の歴史的真実を覆す謎解きのはじまりに過ぎなかった・・・。

さてこの作品、魅力はなんと言っても謎解きの部分にあります。
ダイイングメッセージや『 最後の晩餐 』の謎をどのように読み解くのか、そして読み解いたメッセージがまた新たな謎かけとなる。この謎かけの連鎖をどんどん解き明かしていく流れをスピーディー、かつヴィジュアル的にもわかりやすく表現されており、気持ちよく観ることができました。

ただ、歴史的背景の解説は情報量が多いため、わずか2時間半の中にそれを凝縮する上で、説明がまるで歴史の授業を聞いているような感覚になってしまい、歴史好きでなければちょっと退屈する部分があったのは否めない。

そして、この作品で忘れてはいけないのが“キリスト教問題”です。
作品中ではキリスト教の歴史隠蔽などにまで触れており、映画化にあたってはキリスト教の監修も入ったということですが、それでも世界各国のキリスト教団体は、同作品の上映中止や上映期間短縮を求める抗議行動を展開中とのこと。

イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画による暴動事件は記憶に新しいところですが、宗教を扱った作品であり、しかもそれが捏造されたものだという新訳であれば、いくら「これはフィクションです」と言われても、熱心な信者としては、純粋に観れないのも仕方ないことだと思います。

この作品の終盤、ラングドンとソフィーががこんなことを言っています。
「誰を信じるかではなく、何を信じるかが重要だ」

作品中ではキリストは神ではなく、子孫も残すただの人間だったのではないかという問題を掘り下げます。宗教上の歴史は、もしかしたらこの作品で言っているように、権力者によって都合のいいように捏造された部分があるのかもしれません。

しかし、実際にキリストが人間で、歴史が捏造されたものであっても、苦しい時、悲しい時に、祈ることで救われた人はたくさんいるでしょうし、キリストを神のように感じた人もいると思います。それはキリストに限らず「神はいる」と信じる自分の心の持ち様に起因しているように思うのです。

小説と比べると多少の省略はあったものの【謎解き部分】【黒幕は誰なのか】というサスペンス、そして【宗教問題】【謎を解明した後の心の持ち様】等いろんな要素のバランスの取り方は絶妙で、しっかりエンターテイメントとして仕上がっていました。いろんな評価がある問題作だとは思いますが、歴史や美術好きの人は、ぜひオススメしたい作品です。


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この記事へのコメント

1. Posted by ミチ   2006年05月21日 14:08
こんにちは♪
「ダ・ヴィンチ」というのはそれほど重要なファクターじゃないのですが、考えてみればすごく印象的なタイトルですよね。
美術に深く関わる作品化と思えばさにあらず、キリスト教史に関わっていたのでした。
聖杯伝説ひとつとってもいろんな解釈がありますね〜。
美術、歴史が好きなので私は楽しめた部類の人間です。
2. Posted by minori   2006年05月21日 14:28
こんにちわ。
はじめましてー。TBありがとうございました♪
ホントに歴史の授業のように色々な情報が
詰め込まれた映画でした。
美術もこういうふうに学べたら面白いかもしれないですね。
TBおくりますね。
また遊びにきてくださいねー。
私もお邪魔します。
3. Posted by GAKU   2006年05月21日 20:15
> ミチさん
コメントありがとうございます。
確かにタイトルに「ダ・ヴィンチ」とある割には、どちらかというと「キリスト教」や「カトリック」についての言及が多かったですね。
小説だとダ・ヴィンチの他の作品についても聖杯についてのことが微妙にほのめかしている、という展開から最終的にキリスト教の隠蔽にたどり着くのですが、やはり映画の中では、全体的なスピードアップから、いきなり謎解き、いきなり核心、の流れでダ・ヴィンチの暗号という感じではなくなってしまったように思います。
でもまぁ、私も個人的には楽しめたので良かったとしましょう。小説を読まずに一緒に観た人は「途中からなんかようわからん」と言って、エンドロールと同時にトイレに駆け込みましたが(笑)
4. Posted by GAKU   2006年05月21日 20:15
> minoriさん
コメント&TBありがとうございます。
ティービングとラングドン教授の世界史&美術史授業は確かに面白そうですね。
歴史がちょっと苦手でも、実は別の解釈もあるといういろんな可能性を探る研究であれば、ただの授業じゃなくてもっと楽しめるように思います。
でも映画での授業は、途中、字幕が下や横に転々として観づらかったですね。ちゃんと理解するには、もしかしたら吹き替え版のほうが良いのかもしれません。俳優の声が聞けないので物足りないのですが。
5. Posted by baoh   2006年05月21日 20:42
こんばんは。コメントありがとうございました。

キリスト教史や歴史に関する部分は、個人的に興味ある分野なので引き込まれましたね〜。テンプル騎士団の隠された財宝(今作では財宝じゃないですけど)なんかのくだりも、純粋に楽しめました(笑)

「これはフィクションです」という最後のテロップ、申し訳程度に入ってますが、やっぱり熱心な信者にとっては許せない領域まで踏み込んだ作品なのかもしれませんね。製作側や出演者は口を揃えて「フィクションとして素晴らしい作品」ということを強調してますし。
6. Posted by GAKU   2006年05月22日 23:43
> baohさん
コメントありがとうございます。
「テンプル騎士団の隠された財宝」(by ナショナルトレジャー2)でしたっけ。
私は見てないのですが、話を聞く限りそのまんまのようですね。

出演者がフィクションを強調しまくるのもちょっとビビリすぎのような気がしますが、やっぱりいろんなしがらみがあるんでしょうか。
作品中でもラングドンとティービングが「キリスト教の歴史捏造」について必要以上に口論していて、ラングドンが「捏造はあくまで仮説でしかないっ!」とか必死で言っているのが、なんだか保身的に見えてしまうのはやはり捻くれた見方なんでしょうね。
7. Posted by ルーピーQ   2006年05月25日 00:44
今晩は☆
TB有難うございます。^^
原作未読のままの鑑賞だったので、背景など分かり難い面がありました。^^:
てっきり「モナ・リザ」に隠された謎を追っていく話だと思い込んでいたので、余計入り込み難かったのかもしれません(汗)
題材は魅力的だったので、原作で補完したいと思います♪

8. Posted by GAKU   2006年05月26日 06:43
> ルーピーQさん
コメントありがとうございます。
やはり原作を読んでいないと、ちょっと早すぎてわかりづらかったですよね。
まぁ背景が重いので、適当に説明するわけにも行かないというしがらみが、どうしても長い説明と、超高速の謎解きにならざるを得なかったのかもしれません。
「モナ・リザ」については、上に落書きがあっただけですもんね(笑)
9. Posted by うぞきあ   2006年05月27日 18:37
コメントありがとうございます。
前日の予習と、少ないながらも残っている世界史の受験勉強の知識のおかげで、おいてかれずにすみました。
でも、仰るとおり、簡素化されていたかもしれませんね。
私は、やっと小説の(上)を読み終わったところですが(笑)。
10. Posted by GAKU   2006年05月28日 09:42
> うぞきあさん
こちらこそ、コメントありがとうございます。
私は世界史をとっていたものの、原作を読んでいて何とかわかった程度。
そういえば公開2週目の現在、テレビCMは何てうたってるか知っていますか?
「1度見ただけでは、わからない謎がある!」
つまり2回目観ろってことですか。あきらかにリピーター狙いですね。
確かに、特に原作を読んでなければ、この歴史背景を1度で理解するのは大変だとは思いますが、それをCMで言っちゃうとは恐れ入りました。
11. Posted by 健太郎   2006年06月25日 12:06
4 こんにちは。
話の肝のシオン修道会の事を完全な偽書だと思っているので、話半分以下で観たので然程感銘は受けませんでした。
肝心の謎解きも、ダ・ヴィンチの名画の数々や歴史的建造物もほとんど触るだけで全く核心には触れず消化不良。
ラングルドン@トム・ハンクスが解いた謎と云えば「どうにでも解釈の出来る」アナグラム/並び替えのみ。
正直『ナショナルトレジャー』の方が面白かったかもしれません。
12. Posted by GAKU   2006年06月25日 21:11
> 健太郎さん
コメントありがとうございます。
確かに謎解きは「ダヴィンチ」という割には、あまりダヴィンチに関わらないことが多かったですね。

ラングドンの謎解きも、全て出てきた瞬間に秒殺。
「私はチーターではありません(TBS番組「ザ・チーター」参照)」といくら言っても見逃してもらえないくらい、答えをあらかじめ知っているかのごとくな展開は、ちょっと無理があったかもしれませんね。
小説では「ああでもない、こうでもない」ともっと悩んでいたように思うのですが、映画にするにはこうするしかなかったのんでしょう。

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