2008年12月14日

アフタースクール ─ トリックも、自分も…、キーワードは「変わる」 ─

アフタースクール─ トリックも、自分も…、キーワードは「変わる」 ─

過去に『運命じゃない人』という作品で、低予算ながら、そのまるでパズルを解いてゆくような、独特の展開で観客を魅了した監督・内田けんじ。この監督が再びメガホンを取ったのがこの作品『アフタースクール』(2008年/日本)。

内田監督の作品はラストに必ずドンデン返しを作っていて、それはこの作品も同じ。「甘く見てると騙される!」と宣伝でも大きく告知していただけに、私もしっかり騙されてしまいました(汗)。この作品は、謎が解明した時に自分の仮説とどれだけ違っていたか、その答え合わせが楽しい、そんな作品。

出演は、もじゃもじゃ頭が印象的な3枚目キャラ・大泉洋、大河『篤姫』で篤姫の夫・家定を演じて大ブレイク・堺雅人、そして、真面目/不真面目のどちらも演じられる演技派・佐々木蔵之介など、個性的な面々が揃っています。

簡単にあらすじをご紹介します。
母校の中学校で教師をしている神野とエリートサラリーマンの木村は、中学時代からの親友同士。ある日、産気づいた木村の妻を、仕事で忙しい木村の代わりに神野が病院まで送り届けるが、その日から木村が失踪してしまう。翌日、神野のもとに探偵が訪ねてきて、自分を同級生の島崎と偽り、木村を探している事を話す。若い女性と親しげにしている木村の写真を見せられた神野はショックを受け、半ば強引に木村探しを手伝わされることに。。。


── 世界が再構築される珠玉のトリック!
常盤貴子、堺雅人 in アフタースクール
佐々木蔵之介、大泉洋 in アフタースクール
大泉洋、常盤貴子、堺雅人 in アフタースクール

さてこの作品、やはり宣伝でもうたっているように特徴はラストへ繋がるトリックです。観る側も「どこがどうトリックなのか?」「誰がどう嘘をついているのか?」という気持ちで観ているだけに、物語の中盤まではその至って普通の内容に、ちょっと心が離れかけます(ここは我慢)。

ただ、ある瞬間で「えっ、なんで?」というシーンが唐突に出てきます。さぁ、そこからが内田監督マジック(笑)。今まで見てきた、至って普通の物語をもう一度振り返って考えさせられるわけです。これが上手い!

もうここからは怒涛の展開、今まで植えつけられた情報が全て一変して世界が再構築されていくのを「おおっ、そうだったのか!」と感嘆の声をあげるしかありません。薄々感づいていた人も、そうでない人も、その答え合わせに楽しくなると思います。



── キーワードは「変わる」ということ

ただ、それだけだと”ただのトリック映画”になってしまうのですが、この作品の根底に流れるものを考えると、もっと違うものが見えてきました。

キーワードは「変わる」ということ。2008年「今年の漢字」には、「変」という字が選ばれましたが、その理由は、政治・経済が良くも悪くも変わり、来年は世の中も自分達も新しく変わって希望のある社会に──というもの。そして、これは『アフタースクール』でも同じテーマが隠されています。


中学の頃からの純粋な気持ちを変わらずに持っていること、大人になっていろんな世界を見て変わっていくこと、『アフタースクール』では、そのどちらの気持ちもが描かれていて、「変わる」の良い面と悪い面の両方が見え隠れします。

そういえば、歌手・槇原敬之の『遠く遠く』という曲でもこんな歌詞があります。
”大事なのは、変わってくこと、変わらずにいること───”

前に進んでいくために人は変わっていく。でも、変わらずに持ち続けるものが根底にあってこそ、良い方向に向かって変わっていけるのではないか…、そんなことも考えさせられた作品でした。やや地味な作品ではありますが、トリックの妙と、その根底のテーマを、ぜひ感じて観てみてください。



■Youtube: アフタースクール 予告編


prototype_cr at 12:54│Comments(8)TrackBack(5)mixiチェック 映画(あ行) | 邦画

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1. 「アフタースクール」期待し過ぎた(T_T)  [ ポコアポコヤ 映画倉庫 ]   2008年12月14日 17:48
申し訳ないけど、驚かされる以外に、何かもう一つ欲しかったです・・・3つ☆〜3つ☆半
2. 『アフタースクール』  [ Sweet*Days** ]   2008年12月14日 18:57
監督:内田けんじ  CAST:大泉洋、堺雅人、佐々木蔵之介 他 母校で働く中学校教師の神野(大泉洋)と、サラリーマンの木村(堺雅人...
3. アフタースクール  [ ★YUKAの気ままな有閑日記★ ]   2008年12月16日 14:20
面白いと評判なのに、コチラでの上映がないなぁ〜と思っていたら、、、あった【story】母校の中学で働く教師、神野(大泉洋)のもとに、かつての同級生だと名乗る探偵(佐々木蔵之介)が訪ねてくる。探偵は、神野の幼なじみで今は一流企業に勤める木村(堺雅人)の行方を追っ...
4. 「アフタースクール」みた。  [ たいむのひとりごと ]   2008年12月20日 18:42
そういうことだったのかーってね(^^;はぐらかすような予告編では何がなんだか良くわからなかったけれど、個性的なキャストと「運命じゃない人」の内田けんじ監督ということから楽しみにしていた作品。あれじゃ、
5. アフタースクール  [ ベルの映画レビューの部屋 ]   2009年02月04日 12:35
アフタースクール [DVD] ¥3,651 Amazon.co.jp (2008) 出演 大泉洋 (神野/高校教師)     佐々木蔵之助 (北沢/探偵)     堺雅人 (北村/エリートサラリーマン)     常盤貴子     田畑智子     北見敏之    ...

この記事へのコメント

1. Posted by latifa   2008年12月15日 17:07
GAKUさん、こんばんは〜!
この映画、面白かったには面白かったのですが、欲張りにも、もうちょっと何か、が欲しかったんです。
期待しすぎで、監督さんが可哀想だな(^^;)
それだけ「運命じゃない人」で監督さんに多大な期待をしちゃった結果なのですが。
でも次回作も楽しみです★

>槇原敬之の『遠く遠く』という曲でもこんな歌詞があります。
”大事なのは、変わってくこと、変わらずにいること───”
 その曲は最近よく耳にします〜。歌詞を抜き出してみると、なるほど〜そんな事を言っていたんですね。
私、結構マッキーの歌とか昔から好きなんですよ(^^;)
嫌いな人は嫌いみたいですが、良い歌一杯作るな〜と思います。
2. Posted by GAKU   2008年12月15日 22:28
>latifaさん、こんばんは。
そうですね。面白かったからこそ、さらに求めてしまいますね。
トリックも私は全くわからなかっただけに、ラストの盛り上がり
に欠けたのは残念なところ。。。

うどん屋のシーンでの「はいっお疲れさまー」という、
あまりにもあっさりした幕引きが「えっ終わりー!?」って(笑)

>マッキー
マッキーは盗作疑惑とかで結構叩かれたりしてたけど、
メロディはもとより、詩が結構心に響いたりするんですよね〜。
そりゃ、NTTが遠距離電話のCMに起用しちゃったりも。。。(^^)
3. Posted by たいむ   2008年12月20日 18:53
こんにちは!
今年は「変」でしたか!
ほんとなんかヘンな年でしたね(違っ)

私は、「変わらない為に変わろう」とか思ってます。字面では思い切り矛盾しているけど、変わらないって維持することと同義で、維持する為には進化が不可欠って思うんですね。
なんであれ、良くも悪くも本質はそうそう変わるものでもないので、信じる心を同時に養いたいものです。

ん?映画の話はどこへ???(^^;;
4. Posted by GAKU   2008年12月21日 01:22
>たいむさん、こんばんは。
映画の話はさておき、「変わらない為に変わろうとする」というのは何となくわかります。ある時代に感じた気持ちはその瞬間にしかわからないこともありますし、それは年を経るごとに変わっていってしまうので、そんな気持ちは忘れてしまうこともあります。

でも、その気持ちを素直に共感できるということが、感性をより磨いて新しいものを生み出していくことに繋がるのではないかと私は思っています。

そういえば、高野博というアーティストの『相変わらずさ』という曲にもこんな歌詞がありました。「変わり続ける僕はいつでも、相変わらずさ──」。人はどこかしら変わり続けるもの。何はともあれ、良い方向へ変わっていけると良いですね。
5. Posted by ミチ   2008年12月23日 12:15
そういえば今年の漢字は「変」でしたね〜。
>変わらずに持ち続けるものが根底にあってこそ、良い方向に向かって変わっていけるのではないか
本当にそのとおりだと思います。
全てを変えるのが良いとは限りませんよね。

内田けんじ監督は「運命じゃない人」のヒットで次回作のハードルが上がってしまって気の毒でしたが、「アフタースクール」のヒットで今後もますます期待されちゃうんでしょうね。
また今度も上手く騙してほしいな〜と思います。
6. Posted by GAKU   2008年12月23日 14:10
>ミチさん、こんにちは。
今年の日本アカデミー賞脚本賞にもノミネートされていますし、
トリックは本当に良く出来ていて、完全に騙されたんですよね。

ただ、確かに「トリックのための映画」というのはそのとおりで、
それだけになっちゃったら、映画としては盛り上がりに欠けてしまうわけで、
そのあたりのバランスがなかなか難しい。

『運命じゃない人』がヒットしすぎたことが、逆にこの映画の
ハードルをあげてしまって、観客の期待度が予想以上に上がりすぎたか。
トリック+ヤマ場があれば、次回作はさらに良い作品が出来そうですけどね。
7. Posted by Ageha   2009年01月03日 21:54
どう考えてもイチバン怪しい堺雅人。
そこだけ気にしていたら、実は大泉洋がイチバン
普段と違うキャラだったという・・・。
(水曜どうでしょう・・しか知りませんので。笑)
堺さんはもともと表に見えるキャラと中身が
どうも違う印象があって
笑ってるけど笑ってない、何かミステリアスなところが
ありますので。

だまされる・・・以前に主役3人ともが
こちらの描いている俳優さんのイメージとは
違うキャラで登場したことが
さらに混乱を招いた作品だったかと思います。
それにしても、あ〜楽しかった♪
8. Posted by GAKU   2009年01月05日 21:40
>Agehaさん
なるほど!一般的に打ち出しているその俳優さんのイメージを
逆に利用して、観ている側を混乱させるところまで計算していた
とすると、今までにない全く新しい手法かも。。。

騙され系の映画といえば、洋画では『ユージョアル・サスペクツ』
『SAW』『メメント』『閉ざされた森』など数多くあるのですが、
邦画ではあまりないんですよね〜。
内田監督にもその道を極めてもらえればと思います。
(↑ちょっと上から目線?)

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