2009年12月09日

カールじいさんの空飛ぶ家 ─ 泣くと笑うの感情は意外に近くにある ─

カールじいさんの空飛ぶ家─ 泣くと笑うの感情は意外に近くにある ─

先日、映画の無料券が手に入ったのでディズニー・ピクサ−のアニメーション映画『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009年/アメリカ)を見てきました。

ピクサーアニメーションは『Mr.インクレディブル』や『カーズ』など、あまり期待せずに見に行ったにもかかわらず、意外に楽しめる映画が多い。今回も正直、私は見るつもりはなかったのですが、相方さんセレクトなので「まぁタダだし…良いか」なんて気楽に見に行きました。

しかしさすがピクサー。これがもう大笑いして、結構楽しんでしまいました(苦笑)。宣伝ではお婆さんに先立たれたカールじいさんが旅に出る…なんて、しんみりした話に見えるじゃないですか?最初と最後は確かにそうなんですが、途中は急激にコメディになります。ポイントは子供、それと喋る犬たち。もう彼らのコントに大笑いさせてもらいました。

この“しんみり”と“コメディ”のギャップが泣き笑いさせるのに十分な威力を発揮。いつもながら振り幅効果を最大限に使っていて「上手いなぁ」と言わざるを得ない、そんな作品でした。

簡単にあらすじをご紹介します。
冒険好きな少年と少女だったカールとエリーは夢を語りながら成長し、19歳で結婚。幼い日の思い出がつまった廃屋を買い取り居心地のいい我が家に改築する。喜びも悲しみも分かち合い、つつましく生きてきた2人にも、やがて悲しい別れが訪れる。ひとり残され偏屈な老人となったカールは78歳で一世一代の冒険に旅立つ。無数の風船と共に大切な家ごと飛び立ったカールが目指すのは、かつてエリーと夢見た冒険の地だった。(※goo映画より抜粋)


── 子供と喋る犬たちがシーンをコメディに塗り替える

カールじいさんの空飛ぶ家 シーン1
カールじいさんの空飛ぶ家 シーン2
カールじいさんの空飛ぶ家 シーン3
カールじいさんの空飛ぶ家 シーン4
さてこの作品、冒頭では冒険好きのカール少年が同じく冒険好きの少女エリーと出会い、そして成長して結婚。二人の夢である冒険旅行の資金を貯めつつもいろんな生活費に消えていき、時が経つにつれそんな夢がかなわぬままエリーが先立つ…という話を無声動画で一気にみせてくれます。

それはまるでアカデミー賞の短編アニメを見るような感覚で、愛する人との幸せな生活や先立たれた寂しさが、声がないことで余計に際立って感じることができました。と、ここまでが“しんみりパート”。この映画の上手いところは“しんみりパート”から一気に“コメディパート”に展開していくギャップ(振り幅)にあります。


カールじいさんは「南米にあるパラダイスの滝の上に家を建てる」という、亡きエリーとの夢を達成するために家に風船をつけて旅立つわけですが、この旅にこっそりついてきた冒険好きで少し間の抜けた少年ラッセルと、南米で出会う喋る犬たち(言葉が話せる機械をつけている)が、本来しんみりした旅を「これはドリフか!?はたまた、吉本新喜劇か!?」というくらいのコメディに塗り替えてくれます。

特に喋る犬たちのリーダーであるドーベルマンの声の機械が壊れていて、その強そうな顔に似合わない甲高い声になっていたネタには大笑い。みんなから「声、おかしいですよ」と言われてツッコミを入れるドーベルマンの声ネタは必見です(笑)



── 泣くと笑うの感情は意外に近くにある

こういったコメディパートを挟みつつ、最後にはエリーのいなくなった第二の人生を生きるという“しんみりパート”に戻してくるところはさすがピクサー。観客の心理を操るのが上手い

どこかで「泣くと笑うの感情はとても近くにある」という話を聞いたことがあります。実際に「泣き笑い」という感情表現もあることから、人間は笑いの感情を刺激されると泣きの感情も同じように刺激されて、それによって心が動かされるメカニズムなのかもしれません。

そう考えると今回の作品も“しんみりパート”で泣きの感情を、“コメディパート”で笑いの感情を刺激するようにできていて、その二重構造が見ている私たちに特別な感情を与えるようになっている気がします。うーん、ようできとる。。。


大切な人を失ったあとの人生について考えさせられるのと同時に、“しんみり”と“笑い”をバランスよく見せてくれることで、とても感情を揺さぶられる作品です。「ただの爺さんの話じゃん!」と思って甘く見るなかれ。ぜひ、一度見てみてください。



Youtube:『カールじいさんの空飛ぶ家』予告編


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この記事へのコメント

1. Posted by たいむ   2009年12月09日 17:43
GAKUさん、こんにちは。

>泣くと笑うの感情は意外に近くにある
なるほど、そうかも知れませんね。
笑い泣きって実際にあるし。
「楽あれば苦あり」と似たようなモノっぽいけど、
こっちは対価みたいなものだし、ちょっと違うかな?

じいさん映画だから尚の事期待していましたが
素敵な作品でしたねw
2. Posted by にゃむばなな   2009年12月09日 20:32
>泣くと笑うの感情はとても近くにある

私もこの言葉を聞いた覚えがあります。

ピクサー作品はこの言葉を体現している作品ばかりなのがいいですよね。
本当に「泣き笑い」で楽しめた映画でした。
3. Posted by GAKU   2009年12月10日 00:46
>たいむさん、こんばんは。

ピクサーは感情に訴えるのが本当に上手いなぁと思います。

あえて人じゃないキャラクターに感情を持たせたりして、
それでさらに人のその感情を際立たせてたりして。。。

じいさん映画だから期待(笑)
そうですね。じいさん同士のギャグのような戦いや
しんみり具合もあわせてとても素敵な作品でした。
4. Posted by GAKU   2009年12月10日 00:47
>にゃむばななさん、こんばんは。

ピクサーは特に人間以外の動物を使うことで
人の感情を表現するのがとても上手いですよね。

今回も喋る犬がもう絶品で、彼らによって
作品の笑いパートを盛り上げてくれた分、カールじいさんの
しんみり具合も際立ったのかもしれません。
5. Posted by latifa   2009年12月10日 08:34
GAKUさん、こんにちは〜!師走になり前半にやっておかなくちゃいけない仕事などが迫っていてバタバタしています。
この映画、そうかあ〜犬好きのGAKUさんは、あの犬君達が一杯出て来てバウバウ喋る?処がツボだっただろうな〜と想像がつきます^^
私は、前半のパートは好きだったのですが、どうも後半が期待したのと違って、のりきれなかったかな・・・という感じです。
最近特に寒くなって来たで体調に気をつけて下さい♪
6. Posted by GAKU   2009年12月12日 09:32
>latifaさん、こんにちは
お返事が遅くなってしまってすいません(><)
こちらもなにかとバタバタしております。。。
この時期はどこもバタついてますね(苦笑)

latifaさんは後半コメディパートがダメだったんですよね。
その感じもなんとなくわからなくはないですよ。

物語全体としてもこじんまりしてて「えっ?もう着いたの?」
って感じでしたしね(汗)

体調のお気遣い、ありがとうございます!
インフルも未だに流行っているようなのでlatifaさんもお気をつけて。

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