2010年05月08日

事実は小説より奇だと思わせてほしかった ─ アリス・イン・ワンダーランド ─

アリス・イン・ワンダーランド ポスター─ アリス・イン・ワンダーランド ─

ジョニー・デップ×ティム・バートンの黄金タッグ復活ということで何かと話題のこの作品『アリス・イン・ワンダーランド』。休日を利用して、類に違わず見てきました。

この作品も『アバター』と同じく3Dもあったのですが、あの3Dメガネは字幕が見づらいのと、角度によって映像が二重になっちゃうので、今回は2Dにしました。ジョニー・デップのヘンな演技もちゃんと見たいですからね(笑)

ただ、今回は期待していただけに、あえて辛口に言わせてもらいます。個人的には「面白くないわけではないケド…ティム・バートンにしては普通過ぎるファンタジーで、物足りなさが残った」というのが正直な感想。同じファンタジーでも、『ビッグ・フィッシュ』や『チャーリーとチョコレート工場』を観終わったあとの“ヘンなのにあたたかい感じ”はありませんでした。

唯一、バートン監督らしさが見えたのは「偉大なことを成し遂げた人は皆変人だった」という台詞くらいかな。まぁそれでもラストをプロポーズの返事だけにとどめなかったのは好感が持てました。

監督は言わずと知れたティム・バートン、出演はバートンと名コンビのジョニー・デップほか、アリス役には新星ミア・ワシコウスカ(ボーイッシュ!)、顔でか赤の女王役にヘレナ・ボナム=カーター(名演技!)、白の女王役にアン・ハサウェイ(ある意味、一番コワイ)がアリスの世界を盛り上げています。

簡単にあらすじをご紹介します。
想像力豊かな19歳のアリスは、退屈な男ヘイミッシュから求婚され、困惑して逃げ出してしまう。すると彼女の前に懐中時計を持った白いうさぎが現れる。うさぎのあとを追ったアリスは、あやまってうさぎの穴に転がり落ちてしまう。アリスがたどり着いた先は、アンダーランドと呼ばれるワンダーランド。その不思議な国は、独裁者・赤の女王によって支配されており、そこに暮す奇妙な住民たちは暗黒時代を終わらせる救世主の登場を待ちわびていた。そして、彼等はアリスこそがその救世主だという…。(gooより引用)


── そんな簡単なワンダーランドじゃアカーンww
 
アリス・イン・ワンダーランド
ヘレナ・ボナム=カーター as 赤の女王
さてこの作品、世界観はさすがティム・バートンというべきか、ワンダーランドの映像や登場人物(人物かな?)は綺麗で変わったものばかり。消える猫も可愛かった♪その世界に生きるジョニー・デップも変態メイクでノリノリでしたね(笑)見ていて「あぁジョニデってやっぱり、男前の役よりこんなヘンな役のほうが好きなのかな〜」なんて思っちゃいました。

ただ・・・私としては、そこまでワンダーランドに没頭できなかったんです。なんだかわからない違和感があって。。。それってなんだろうと考えてみると、やっぱり「毒」がなかったからじゃないかと思うんです。

ワンダーランドというからには、酸いも甘いも、そして苦い「毒」もあってしかるべき。ヘレナ・ボナム=カーターが演じる赤の女王のおかしな顔芸は見ていて楽しく、結構「毒」っぽい部分もあったと思います(笑)

でも、いくらディズニーから制約があったとは言え、話が「伝説のドラゴンを倒してめでたしめでたし・・・」って、おいおいそれは違うやんっ!そんな簡単なワンダーランドじゃアカンアカンアカーーン!(ノ≧∇≦)ノ ミ ┸┸ (by宮川大輔)なんて思ってしまったワケで。


── 心の奥底を描いてこそ本当の物語が生まれる

ミア・ワシコウスカ as アリス
アン・ハサウェイ as 白の女王
ラビリンス/魔王の迷宮
バートン作品として期待していただけにちょっと辛口になってしまってますが、そこはお許しください(;^_^A 楽しんだ方、ごめんなさいm(_ _)m でもね、ちょっと言わせてください。

悪玉とされていた赤の女王にも、偏屈になってしまった理由があって、周りが表面的な作り笑顔しかしない寂しさもあったり、妹に対する嫉妬もあったり。。。赤の女王だけでなく、マッド・ハッターにしても、アリスにしても、そんな心の奥底を描いてこそ本当の物語が生まれる気がするんです。


それで、この作品を見ながら思い出したのは、昔見た映画『ラビリンス/魔王の迷宮』。アリスと同じく空想好きの女の子・サラ(ジェニファー・コネリーがハンパなく可愛い)が、連れ去られた弟を救うために魔法の国ラビリンスに向かうという話。

この作品で面白いのは、魔王役をデヴィッド・ボウイが演じていて、すべてミュージカル風にしていること。また、ラビリンスには気持ち悪い生き物や場所も多々あること。そして、主人公サラの悪い心、魔王の寂しさ、ラビリンスの生き物と過ごす日々の楽しさや心の交流までをちゃんと描いていることにあります。

映画は他の作品と比較するものでもありませんが、アリスでも3D映像なんてどうでもいいから、もうちょっとそういった細部を描いてくれてれば、もっと没頭できたんじゃないかと思ったり…。あえてミュージカル風にしてしまっても良かったかもしれません。


── 事実は小説より奇だと思わせてほしかった

ジョニー・デップ as マッド・ハッターなんだか辛口な批評ばかりになってしまってホントに申し訳ないです。私もあまりこういうレビューは書きたくないんですが、これは期待していたからこそ、バートン映画への愛情の裏返しと受け取ってください。

劇中の台詞「偉大なことを成し遂げた人は皆変人だった」。これはある意味、ティム・バートンの心の声を象徴していると思います。

物語のラスト、詳しくは書きませんが(バレてるって!)「事実は小説より奇なり」という言葉を実現させるようなアリスの選択には共感できました。願わくば、異世界のほうももっと「奇」に、そして事実はさらに「奇」だと思わせてくれる「心」を描いてほしかった作品でした。


■Youtube:アリス・イン・ワンダーランド 予告編




■Youtube:ラビリンス/魔王の迷宮 Trailer


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1. アリス・イン・ワンダーランド  [ Akira's VOICE ]   2010年05月08日 16:43
「見た目」だけは,かなり面白い!!  
2. 「アリス・イン・ワンダーランド」(2D字幕)みた。  [ たいむのひとりごと ]   2010年05月08日 18:21
悩んだ末、3Dではなく2Dの字幕版で鑑賞。3Dの技術は認めるけれど、『アバター』では3D字幕で苦労したし、どうも体質に合わない気がするので安全牌を選択。3Dでも吹替えならば大丈夫そうだけど、折角のジョ
3. 『アリス・イン・ワンダーランド』  [ めでぃあみっくす ]   2010年05月08日 21:14
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4. アリス・イン・ワンダーランド  [ ★YUKAの気ままな有閑日記★ ]   2010年05月10日 16:34
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この記事へのコメント

1. Posted by たいむ   2010年05月08日 18:20
こんにちは!
ティム×ジョニーだと「毒」を期待しちゃいますよね。
ダークファンタジーでも救いがないのは苦手だけど、ここまで解毒されて都合良く勧善懲悪ファンタジーというのは味気ない。

ファンタジーが乱発されているこの頃で、目が肥えているのもあるけれど、このコンビには奇抜を追及してほしいですね。
2. Posted by にゃむばなな   2010年05月08日 21:13
この映画を見て楽しめたティム・バートンファンなんているんでしょうかね?
もしいたとしたらその方は多分『ピーウィーの大冒険』とかご覧になられていないのかな?と思います。

とにかくティム・バートンなのに毒がないのは苦くないブラックコーヒーと同じ。
味わいのない映画でしたよ。
3. Posted by GAKU   2010年05月09日 10:01
>たいむさん、こんにちは♪
噂は聞いていたのでそこまでハードルはあげていなかったんですが、いざ見てみると「毒抜かれてるなぁ」とあらためて実感。

他の作品ならいざしらず、バートン作品は毒を効果的に使うからこそ感動が生まれるように思います。それを解毒されちゃ生まれるはずの感動も・・・ねぇ

たしかにこのコンビには奇抜、そしてその先にあるモノを追求してほしいものです。
4. Posted by GAKU   2010年05月09日 10:08
> にゃむばななさん、こんにちは!
苦くないブラックコーヒー(笑)
言い得てますね!まさにそんな感じ。
それってお湯?しかも、ぬるま湯?みたいなww

コーヒー牛乳飲むつもりならいいんですよ。
でもバートン作品はブラックの中に味がある。
たしかにこれからの3D映画ブームの恐ろしさを感じる脚本でした。

うっ、今回は毒吐きすぎですね。
ちょっと自重しないと(汗)
5. Posted by Ageha   2010年05月09日 23:32
ジョニーデップとヘレナボナムカーターの白塗りがバカ殿みたいで
帽子をとっかえひっかえするシーンがドリフのコントだと
お友達が書いてまして
それ以来、
そういうふうに見えてしまって…(笑)

多分、ティムバートン作品が好きなひとほど
物足りなさを感じるのは仕方ないかな…。

ルイスキャロルが原作を書いた頃、
どうあがいても出来なかったであろう、「生きたいように生きる」という部分では
ディズニーならではの「ファンタジーハッピーエンド」
に持ってったようですが。(わわわわわ)
6. Posted by GAKU   2010年05月10日 12:45
>Agehaさん、こんにちは。
バカ殿、ドリフコント(笑)
たしかにそんな感じでしたね〜。
でもあんなくだらない部分も満載にして、
もう少し毒を加えて、最後に締めるのがバートン流かと(勝手に解釈)

ファンタジーハッピーエンド、なるほど。
あんなラストはディズニーって好きそうですもんね。

でも気になったのは、おばあさんに
「王子さまは来ない」って言い切っちゃったこと。
あれは成長した大人としての行為にしては酷いなぁ
なんて思ったりしました。

自らワンダーランドを否定する言葉にも取れなくはない。
もう少し言い方ってもんがあるだろうに。。。
7. Posted by 由香   2010年05月10日 16:50
こんにちは〜♪
お久しぶりです!
この度はコメント頂き、どうもありがとうございました。

やっぱり物足りなかったですよね〜
ティム・バートンらしい世界観や奇抜なキャラはそれなりに楽しめましたが、脚本がフツウ過ぎて、、、少し退屈してしまいました。
もう少しキャラを掘り下げれば、もっと面白くなったでしょうね〜
期待値が高かったので、私も辛口気味の感想になっちゃった〜
8. Posted by GAKU   2010年05月10日 22:22
>由香さん、こんばんは
ご無沙汰しています。
映画レビューがなかなかできなくて(汗)

そうそう!脚本がもう、なんていうか(>_<)
一緒に見に行った相方さんも見終わったあとに「簡単にまとめちゃったね」
「どうなのよ?これって!」みたいな話に。

二人の女王の心情とか、
マッド・ハッターとアリスの心情とか、
掘り下げるところはあったハズ。
これで満足してるのか、バートン監督〜。
9. Posted by yukiuo   2010年05月19日 09:52
こちらでははじめまして。
監督評はまったく素人でわかりませんが、初3Dでしたので映像の美しさを単純に楽しめました。
また覗かせてもらいます。
10. Posted by GAKU   2010年05月19日 12:44
>yukiuoさん、こんにちは。
そうですね〜。こちらでははじめまして♪
ツイッターではフォローありがとうございました。

3Dだったんですね。チェシャ猫の3D評価は結構よかったみたいですよ〜
(2Dだったのでどれくらい立体だったのかはわからず。。。汗)

今回はちょっと辛口になっちゃってますが、
普段はそんなこともないので(たぶん…)、ぜひまた見に来てくださいね。

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