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2011年05月18日

ジブリケチャップを使うにはもったいない繊細さ ─ 星を追う子ども ─

星を追う子ども ポスター─ 星を追う子ども ─

秒速5センチメートル」の新海誠監督の最新作「星を追う子ども」を観てきました。思春期の少女と妻を亡くした男が、地下世界アガルタで自分の求めるモノを探す旅を描いたこの作品。

今回も新海監督の真骨頂の空と星と光の表現は、それだけでも観る価値アリな作品に仕上がっていました!個人的にはとっても大好きです。

ただ、いろんな方が感想で言ってると思いますが、この作品にはジブリ的な表現がかなり使われています。新海監督本人も「自分の言いたいことをジブリルックを使って表現している」と言われており、これは意図的に差し込んでいるのです。

これが正直・・・もったいないo(>_<)o ジブリ表現はいわば劇薬。いや、ケチャップかな。味濃いケチャップ味に作品の印象をすべて持っていかれちゃう。たとえその奥にもっと繊細な味が隠れていたとしても。。。

この作品には、少女が大人に成長する中での迷い、間違っていると気付きながら愛する人にもう一度会いたいと願う葛藤、出会いや別れ、死ぬということについてなど、かなり繊細なことが描かれています。それはジブリにはない、苦くて答えのない部分も含まれていて、逆に私はそんなところが好きだったりします。

「それは“さよなら”を言うための旅」というこの作品のキャッチコピー。願わくばこの作品がジブリに「“さよなら”を言うための旅」なら、新海監督の次回作はジブリには作れない、ジブリを超える作品になると信じています。
簡単にあらすじをご紹介します。
山間の村で暮らす中学生・アスナ。山の高台の秘密の場所で父親の形見の鉱石ラジオを聞くのを楽しみにしていたアスナは、ある日、見たこともない怪物に襲われ、不思議な少年・シュンに命を救われる。シュンとの再会を楽しみにしていたアスナだが、シュンらしい少年の遺体が発見されたと聞く…。その頃、新任教師の森崎から死者を蘇らせることのできる力を持つ地下世界・アガルタの話を聞き、森崎と共にアガルタを目指すことに…。(goo映画より)


── 全てがジブリというケチャップ味になる

星を追う子ども
星を追う子ども
星を追う子ども
さてこの作品、まず観た人の誰もが気になったジブリ的な表現について考察したい。いや、せずにはいられない。

だって、冒頭からあのキツネリスもどきが首に巻きついちゃダメでしょう。「怖くない、怖くない。ほら、怖くない」って言っちゃったらどうしようとハラハラでした(;^^A

さらに飛行石、ヤックル、ムスカ、シシ神のドロドロ…。ついでにエヴァの使徒やアダムまで出てきて主人公が食べられちゃうんだから、もうどうしようかと思いましたよ。


それでちょっと思ったんですが、ジブリ作品を引用した表現って、いわゆるケチャップみたいなものだと思うんです。

どんな作品でもあからさまにわかる形で入れてしまうと、全てケチャップ味になる。ジブリの真似という印象しか残らなくなってしまう。

例えば音楽では、ビートルズのメロディを引用した曲などが結構ありますが、それはビートルズが解散してかなり年月が経った今だからできること。ビートルズが現役の頃には、ビートルズの真似としか受け取られなかったでしょう。それと同じく、ジブリ表現を引用するにはまだ早すぎた気がします。



── 大事な人と別れた後に自分はどう生きるべきか

星を追う子ども
星を追う子ども
星を追う子ども
星を追う子ども
では、ジブリからの引用は置いておくとして、作品の本質はどうだったのかというと、これはかなり繊細な内容が描かれていたと思います。

父親に先立たれ、母親も仕事でほとんど家にいない家に育ったアスナは、友達と遊ぶ時間もなく、ずっと孤独な心を抱えています。「自分の居場所はここでいいのか?」とずっと迷い続けてる。

でも思春期の心境ってそんな感じだと思うんです。これが正しいという答えなんてない。ただ、自分がどうしたいのかわからず、迷いもがき続ける。

そんな中でいろんな人や景色に出会い、別れながらも前に進んでいく。そして、それは愛する妻を亡くした男もまた同じく、喪失を受け入れられずにひたすら前に進む。


この作品のエンディングテーマ「Hello Goodbye & Hello」(歌:熊木杏里)に「そして、君のいない、この世界にHello」という歌詞があります。

自分にとって大事な人と別れた後、自分はどう生きるべきか。映画「エリザベスタウン」でも同じようなことを考えさせられましたが、これは人生の命題のひとつである気がします。


別れるのは親兄弟だったり、友達や恋人、家族、子供・・・。人はいろんな人と別れながら生きていく。別れは簡単に割り切れるものではない。

でも、その別れを知っているからこそわかる他人の心や痛みがある。それでまた人としての器が大きくなっていくんじゃないかと思ったりもします。


全体としてはジブリの表現に食われてしまった感は否めないのですが、個人的には新海監督の少し影や迷いがある感じと、それに反比例するように綺麗な光の風景の表現が大好きだったりします。願わくば、今回はジブリに「さよならとありがとうをいう旅」であり、次は独自の道を突き進んでほしいと思った作品です。



■Youtube: 新海誠『星を追う子ども』予告編映像


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1. 星を追う子ども  [ LOVE Cinemas 調布 ]   2011年05月18日 02:00
『ほしのこえ』、『秒速5センチメートル』深海誠監督最新作。父親を亡くした孤独な少女が、ひょんなことから足を踏み入れることになった地下世界・アガルタを冒険するファンタジー・アドベンチャーだ。美しいアガルタの世界とと神話的なキャラクターが壮大な世界観を醸しだ
2. 劇場鑑賞「星を追う子ども」  [ 日々“是”精進! ver.A ]   2011年05月18日 05:34
生きていかなきゃいけないんですよね・・・ 詳細レビューはφ(.. ) http://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201105130005/ 劇場アニメーション 星を追う子ども Original SoundTrack posted with amazlet at 11.05.05 サントラ 熊木杏里
3. 『星を追う子ども』  [ こねたみっくす ]   2011年05月18日 11:52
“さよなら”を言うための旅。それは役目を終えた大切な存在に“ありがとう”を言うための旅。 多くの熱狂的ファンを持つ『秒速5センチメートル』などでお馴染みの新海誠監督の ...
4. 『星を追う子ども』 2011年40本目 MOVIX仙台  [ 映画とJ-POPの日々 ]   2011年07月09日 18:44
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5. 星を追うキッズ  [ Akira's VOICE ]   2011年12月07日 15:34
「キッズ・オールライト」 「星を追う子ども」 

この記事へのコメント

1. Posted by にゃむばなな   2011年05月18日 11:51
>ジブリ・ケチャップ

いい表現ですよね。まさにその通り。ジブリ要素に繊細なシーンの味わいを消されていた感じがありましたよね。

やっぱり新海監督はオリジナリティで勝負してもらわないと!
2. Posted by GAKU   2011年05月18日 12:54
>にゃむばななさん
まさにジブリ・ケチャップですよね。もしかすると難解な内容を子供でもわかるようにジブリケチャップを使ったのかもしれませんが、逆に繊細な味が消されちゃってもったいない。ああ、もったいない(←しつこい)

新海監督のあの空と星など光の部分と、人の心の奥にある影や闇の部分の描き方こそ、個人的には新海監督オリジナルなど思ってます。次回策に期待。

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