2015年03月29日
主人公の一人語りと覚醒、演奏シーンに泣けた - アニメ『四月は君の嘘』

今回のノイタミナはラブコメでした。「でした」というのは、記事を書こうとした日から数か月、すでに最終回が先日終わりました(記事書くのおそっ!)。正直、ラブコメはそんな見ないのですが、これは面白かった。
音楽系のアニメとしては『坂道のアポロン』がジャズを通して綴られる青春模様が良かったですが、今回はクラシック。個人的にクラシックピアノは趣味ではなかったのですが、このアニメで「クラシックもいいな」と思わせてくれる作品だったと思います。音楽系アニメはかなり好みなのかもしれません。
あらすじとしては、かつて数々のピアノコンクールで優勝し「神童」と呼ばれた主人公・有馬公生は、母親の死をきっかけにピアノが弾けなくなった中学生。そんな彼と同い年のヴァイオリニスト・宮園かをりと知り合い、彼女の自由奔放な演奏によってモノトーンに見えていた公生の世界がカラフルに色付き始めるというもの。
わかりやすい話ではあるものの、特に注目したのは、この作品は主人公・公正のポエム的な一人語りで進められることが多いこと。原作を読んでいないので、そういう系統の作品なのかもしれませんが、これは私の好きな新海誠作品と似ているんですよね。そんなところも心に響いた理由かもしれません。
── ポエム的な一人語りの言葉が決める作品のイメージ
「ピアノは嫌いだ それでもしがみついているのは きっと僕には何もないから ピアノを除けば僕は からっぽで 不細工な余韻しか残らない」
「あのコ達にとって――――君の演奏を聴いて、あわてて花を買って渡した今日のことは忘れられないよ たぶんそういう演奏だった」
「食べ物に恋をして 日常のささいなことに恋をして ヴァイオリンに恋をして 音楽に恋をして だから君は―――輝いているのかな」
こういったちょっとした心のイメージを一人語りとして出していくことで、単なるラブコメになってしまいがちな作品のイメージが変わって、映像の中だけでなく、アニメの枠をもさらに超えた深い内容までを表現している気がしました。
まぁ、一人語りが多い新海誠監督の作品の批評にありがちな「自己陶酔に浸っているのではないか」と言われてしまえば否定はできないのですけど。ただ、物語は誰かとの会話だけでつながっているものでもないし、映像だけでつながっているものでもない。音も言葉もない、静止画だけで表現することもある。ただ、心の声を、しっかりとした言葉で、誠実な言葉で、表現することも、心に何かを届けるのに必要なことなのだと思いました。
── 演奏に込める想いが心をつかむ
そして一人語りの表現をさらに強くしているのが演奏シーンです。この作品は要所要所にピアノ演奏のシーンがあり、その演奏は単なる音楽だけでなく、演奏する者がどんな想いで弾いているかをしっかり描いています。
自身のトラウマを徐々に克服しながら復活していく公正の姿や、そんな彼の音楽に影響を受けて、心を動かされて音楽に向かう人たちの心の動きは、それを見ているこちらまで心をガシっとつかまれてしまいました。
特に亡くなった母親の好きだった「愛の悲しみ」を公正が弾くシーン、そこでトラウマの元となった母親の回想が出てくるのですが、母親の言葉「もっと側にいてあげたかった、わたしの宝物は、幸せになれるかしら」という言葉で、うかつにも涙腺が崩壊しました(ToT)。自分にも子供がいるからこそ、特に響いたのかもしれません。
他にもピアノ連弾や、最終回の演奏風景も、それぞれの想いを乗せた演奏シーンは、音楽に限らず、生きていく支えになる心の想いをしっかり描いていて、それは自分の人生の中でも少なからず起こるであろう、挫折、迷い、悩み、苦しみ、悲しみ、喜び、楽しみの想いとリンクする。
最終回では、まぁそういう展開になるだろうなぁと読めるラストではありましたが、それでも公正とヒロイン・かをりの想いを誠実に描いていて、手紙のシーンではやはりじわっと来てしまいました^^;。アニメではありますが、久しぶりに「若いっていいなぁ」と改めて清々しい想いに触れた作品でした(どんだけオッサン化してるねんw)。
■四月は君の嘘 有馬公正の演奏「愛の悲しみ」
■四月は君の嘘 公生&凪のピアノ連弾がすばらしすぎて感動する(゜-Å) 第18話 「心重ねる」 より
■四月は君の嘘 演奏シーン集 #15〜#17

「あのコ達にとって――――君の演奏を聴いて、あわてて花を買って渡した今日のことは忘れられないよ たぶんそういう演奏だった」
「食べ物に恋をして 日常のささいなことに恋をして ヴァイオリンに恋をして 音楽に恋をして だから君は―――輝いているのかな」
こういったちょっとした心のイメージを一人語りとして出していくことで、単なるラブコメになってしまいがちな作品のイメージが変わって、映像の中だけでなく、アニメの枠をもさらに超えた深い内容までを表現している気がしました。
まぁ、一人語りが多い新海誠監督の作品の批評にありがちな「自己陶酔に浸っているのではないか」と言われてしまえば否定はできないのですけど。ただ、物語は誰かとの会話だけでつながっているものでもないし、映像だけでつながっているものでもない。音も言葉もない、静止画だけで表現することもある。ただ、心の声を、しっかりとした言葉で、誠実な言葉で、表現することも、心に何かを届けるのに必要なことなのだと思いました。
── 演奏に込める想いが心をつかむ

自身のトラウマを徐々に克服しながら復活していく公正の姿や、そんな彼の音楽に影響を受けて、心を動かされて音楽に向かう人たちの心の動きは、それを見ているこちらまで心をガシっとつかまれてしまいました。

他にもピアノ連弾や、最終回の演奏風景も、それぞれの想いを乗せた演奏シーンは、音楽に限らず、生きていく支えになる心の想いをしっかり描いていて、それは自分の人生の中でも少なからず起こるであろう、挫折、迷い、悩み、苦しみ、悲しみ、喜び、楽しみの想いとリンクする。
最終回では、まぁそういう展開になるだろうなぁと読めるラストではありましたが、それでも公正とヒロイン・かをりの想いを誠実に描いていて、手紙のシーンではやはりじわっと来てしまいました^^;。アニメではありますが、久しぶりに「若いっていいなぁ」と改めて清々しい想いに触れた作品でした(どんだけオッサン化してるねんw)。
■四月は君の嘘 有馬公正の演奏「愛の悲しみ」
■四月は君の嘘 公生&凪のピアノ連弾がすばらしすぎて感動する(゜-Å) 第18話 「心重ねる」 より
■四月は君の嘘 演奏シーン集 #15〜#17