弁護士の良心 

元金融マンの弁護士が、日々の反省と自らへの戒めをつづるブログ 鈴木英司の弁護士活動日記 ひたすら明るく、ひたすら前向きにがモットーです                     

夏の終わりに

 東北奥羽本線の真室川駅です。日本の山林を守る林野庁の、東北の森林(なぜだか、福島は入らないそうです)を管理する森林管理局の支署にお邪魔した時のものです。まだ夏空の積雲です。
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 その駅名どおり、沿線にはきれいな川が流れており、鮎もとれるそうで、さっそく、鮎の塩焼きです。やっぱり、鮎は、日本の夏の魚です。
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 しかし、もう9月。そろそろ秋かなと思って、東京に戻ったのですが、秋の夕暮れというよりは、怪しい夕暮れになりました。IMG_1425

マレーシア出張

 昔、昔、私がまだ真面目な銀行員だったころ、初めての海外出張でマレーシアのクアラルンプールを訪れたことがありました。初めての東南アジア、そして、とてもイスラミックな風景や情景に、異国情緒いっぱいと感動した思い出があります。

 それから、ウン十年、二度目のクアラルンプールでした。
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 町の中心近くにある渋谷交差点みたなスクランブルです。ただ、渋谷交差点というよりも、六本木交差点といった感じでしょうか

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 仕事が終わって、連れて行ってもらった、スカイ・バーから撮りました

 成長を続ける活力を感じる国でした。

 もっとも、東南アジアぽい、風景もたくさん見れました。
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 きついスケジュールだったので、観光みたいなことはできませんでしたが、美味しいパッションフルーツが満喫できた旅でした。

マイナビM&Aを提訴

2023年11月13日付け「全国の中小企業を狙うM&A詐欺集団」記事の続報です。

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昨日、本日の朝日新聞朝刊の記事のとおり、中小企業における事業承継の仲介・助言をしたマイナビM&Aに対し、9714万円の損害賠償を求めて提訴しました。

 この提訴は、もともとあるM&A詐欺集団の被害者となってしまった会社に対する一連の対処の一つですが、同時に、社会問題となっている中小企業の事業承継のニーズと、そのマーケットを狙って参入をしてくる玉石混合のM&A業者に対する警鐘にもなればとも思っています。
 
 これらの事件は、事業承継を推進する中小企業庁にもショックだったようで、私のもとにもヒアリングが入りました。
 偶々でしょうが、上記の提訴記事のちょうど下にある「事業承継ビジネス みずほFGが強化」の記事と並んだ紙面は、この問題に関する現状をよく表している気がします。
 

 

今週は山形へ ~ 良質な安山岩を求めて

 「申し分のないエデンの園で」「微笑みかけているような実り豊かな地です。自立した東洋のアルカディアです。」「美と勤勉と快適さの魅力的な地で、山々に取り囲まれ、明るく陽光を反射する松川に灌漑されています。いたるところに豊かで美しい農村」(「イザベラ・バードの日本紀行」時岡敬子訳 講談社学術文庫)等々と、今から150年以上前、明治維新といわれた時代に、この路をたどった英国人婦人イザベラ・バードの言葉です。彼女は、「親切でやさしくて礼儀正しい、女性が現地人の従者以外にお供をつれずに外国人のほとんど訪れない地方を旅しても、無礼な扱いや強奪行為にはただの一度も遭わずにすむ」(現在でもそうありたい)日本への、観光(もしかしたら探検?)客の先駆けでした。その路を、現代の山形新幹線で、終着駅新庄に向かいました。
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 人生初めてのグランクラスです。

 もっとも、終着駅の新庄については、上記女史は、「新庄は水田地帯にある人口5000人のみすぼらしい街です。」と率直かつ辛辣です。「新庄では米、絹、麻が大々的に取り引きされているので見かけほど貧しい町ではないはず」ですが、「城が取り壊されていたり、朽ちるにまかせてあるから」でしょうと。しかし、今では、そのお城跡もきれいに整備されてとても、落ち着いて、美しい街並みでした。

 その新庄から、車で40分、良質な安山岩が採れる採掘場があります。
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  どなたか、この採掘権にご興味を持っていただける会社はありませんでしょうか?

出張帰りの週末 ~ 天草エアー

 熊本出張でしたが、週末にかけてだったので、ちょっと天草まで寄り道し、わざわざ遠回りで帰ってきました。

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 熊本空港で保安検査場を抜けて出発ロビーで待つ時間が結構あったので、まず、専用受信機を128.80MHzにセットして、ATISを聞いてみました。
 ザァーという雑音に続けて、「Kumamoto airport information delta・・・07 approach・・・」といった音声が流れてきました。このATIS というのは、これから飛行するパイロット向けの最新の気象でデータを通報するシステムで、「delta」(Dの意味)とは、最新の時期を示し、新たなの最新データを配信するときは次のE、すなわち「echo」と言います。これでどの時点での「最新」気象データか分かります。風の向き強さ、気温、気圧、湿度等々のデータがパイロットに伝えられるシステムです。それだけではなく、熊本空港の使用滑走路(東西一本の滑走路でも、風向きによって「runway 25」と「runway 07」に使い分けられます。)今日は、「07 approach」のようです。それだけでなく、使用する無線周波数も教えてくれます。今日は、126.5MHzのようなので、さっそく、それにセットしました。

 今回のフライトは、熊本発伊丹行きの双発プロペラ機JA03JC(Japan Air Commuter)、フランス製ATR42です。本当は、天草エアーJA01AM( 通称、天草のイルカをモチーフにした「みぞか号」)に乗りたかったのですが、現在、「機体整備中」ということで、同じ機種なので、みぞか号に搭乗するのは次の楽しみです。


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 そして、天草のイルカさんたちには、前の日に、直接お会いして、フレンドリーな対応に感激していますので、大満足な週末でした。


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ソーシャルレンディング裁判の終わりの始まり~ 対maneo 高裁で全部認容へ

 今回の裁判の東京地裁の判決が出たとき、「長かった」との感慨しかなかった。勝訴とはいえ、その判決理由もあいまいで、そのためか「投資家の自己責任」を理由に、認容額が請求額の半分(50%の過失相殺)にとどまってしまったからだ。

 そして、それで諦めることなく、訴訟参加者の皆様のご理解をいただき、東京高裁に控訴。それからまた2年近くがたって今回の判決だ。でも、今回は「長かった」との疲労感はない。訴訟参加者の諦めることない強い信頼感と控訴印紙代等の余分な費用負担などのご協力がようやく実を結んだ。。。との充実感でいっぱいだ。原審のあいまいな判決理由に対し、今回の高裁は、正面から、(被控訴人らは虚偽表示等ないと主張するが)「後に判明した多額の目的外使用にあたる支出が対象事業に係る先行投資の費用として回収したものに当たるというのは、その額の規模からして認めがたく、名目的なものに過ぎず、その信憑性は疑わしいと言わざるを得」ず、「『虚偽表示』をする行為に当たるということができ、そうでなくとも『重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示』をする行為に当たるというべきである」と真正面から、我々の主張を認めていただいた。その上で、「原審被告maneoマーケットの取得勧誘における表示に現れていた本来のリスクが実現したために元本の償還に至らずに損害が発生したものと認めることができないから、原審原告らにおいて上記リスクを認識し得たことをもって過失と認定して上記損害について過失相殺をすることは相当であるとはいえない」として、投資額+弁護士費用+支払いまでの遅延利息すべて全額の支払い命令となった。多くの裁判を経験している私にとっては、うれしい驚きを交えた、本当に敬意をもって感謝したい判決となった。

 とはいっても、同様のmaneo裁判は、他にも進行中だ。私が依頼されている同様のソーシャルレンディング関連訴訟は多数あるが、高裁に上がっているものだけでなく、地裁で進行中のものもまだまだ残っている。どの裁判所にとっても、本当に大変な事件で、長期にご苦労をおかけしているが、でも今回の高裁判決が強い影響力をもつことは間違いない。すべてのソーシャルレンディング関連訴訟終結への、強い道標となることを確信している。

AI(Chat GPT等)ブロックチェーン(仮想通貨等)の法律相談

 私が弁護士登録するきっかけとなったリーマンショックの直後、ブロックチェーンの技術を基にした仮想通貨(ビットコイン)が誕生してから十数年、いろいろな問題点の顕在化を乗り越えて、米国でのETF上場が迫ってきました。これが実現すれば、仮想通貨も、金などと並ぶ世界中の機関投資家の投資対象となる巨大な金融資産構造の中に組み込まれることになります。このような仮想通貨に限らず、ブロックチェーンの技術は、様々な資産のトークン化など、無限の技術革新の源泉となり得ます。50年100年単位で、現在の中央銀行による法定通貨システム、ひいては経済の在り方そのものに大きな影響を与えていくことは間違いありません。

 その数年後、人口知能開発の一分野である画像認識技術等で重要なブレークスル―がありました。ディープラーニングと言われるAI機械学習の技術です。この基本的な技術は、その後もあらゆる分野で発展が続けられ、昨年、2023年が、Chat GPTの本格的なデビューの年になったことは、皆様のご存じのとおりです。数年前まで、想像に過ぎなかったシンギュラリティーが、本当に現実のものとなって迫っている実感が湧いてきます。

 このような技術革新の進展に、遅ればせながらも、日本の法制度の整備も進んでいます。私個人としても、これら技術の目覚ましい進歩に追いつきながら、それらに対応する法制度のフォローをしていきたいと思っています。
 今回、当事務所に参加される寺島英輔弁護士(日本加除出版「法律事務所のための Chat GPT 活用ガイドブック」の著者)とともに、今年から、上記関連の法律相談を開始することになりました。ご連絡いただければ、できる限り幅広く対応させていただきます。

全国の中小企業を狙うM&A詐欺集団

 昨年あたりから、全国の中小企業を狙った詐欺集団の被害の相談が多数、私のもとへ来ております。

 その共通した手口は、M&A会社で会社買収を手掛けるN、多数の中小企業を傘下に収めるホールディング会社と称するL社、及びその代表者HとKという3人組が、中小企業の経営者に、極めて良い条件での会社買収をもちかけるものです。全株式を高値で買い取り、株式買取時に高額な慰労退職金等を旧経営者に支払う、その後の経営は旧経営者に委ね、利益の半分を旧経営者などに支払うなどと、いかにも経営者が喜びそうな好条件を約束して会社を乗っ取るというものです。
 彼らは、一旦、株式譲渡を実行すると、Kが、その足で法務局に行って、会社の株主として会社の登記を変更し、変更した会社登記を利用して次の詐欺の道具とします。一旦、会社登記が変更されると、もう彼らのやりたい放題で、その会社は倒産を免れません。もちろん、当初の約束が果たされることは、ありません。

 彼らの出身は東北の方面らしいですが、その被害は、地元山形・福島等だけでなく、東京は勿論、横浜、名古屋、富山等々全国に広がっています。

 私としては、被害にあった会社の事態収拾の相談に乗るとともに、これ以上の被害の拡大を防ぐため、警視庁捜査二課の捜査に協力しながら、彼らのこれ以上の活動を押さえるよう模索しています。

ゆうちょ貯金・権利消滅でも、あきらめないで

 昔、郵便局に預けた貯金について、時効により払い戻しの権利は消滅したと、払い出しを拒否された方も、多いと思います。
 その理由は、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構が、日本郵政公社から承継した郵政民営化前に預け入れられた定期性の郵便貯金は、なおその効力を有するものとされる郵便貯金法(昭和22年法律第144号)第29条の規定により、預金者の権利が消滅したとすることにあります。
 しかしながら、預金者の権利を一方的に奪うことは、憲法で定められた国民の人権である財産権(憲法29条1項)を侵害するもので、そのような人権制限をせざるを得ない場合には、その必要性や、人権制限が許容できるような合理性が必要とされています。従って、たとえ、旧郵便貯金法29条自体が違憲無効な法律ではなかったとしても、その運用において、憲法に反しない慎重な運用(法律を適用するにあたって、当該事実関係において、法律適用の必要性と合理性を慎重に確認したうえでの対応)が求められている、すなわち、法律の「限定解釈」による「適用違憲にならない限度での運用」が必要と考えます。
 そのような意見も踏まえ、昨日、総務省は、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構(理事長 白山 昭彦)に対し、郵政民営化前に預け入れられた定期性の郵便貯金の払戻しに関する運用について、預金者に一層寄り添う観点から、見直しを検討するよう要請しました。

 https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu16_02000066.html

 このような監督官庁からの要請もあることから、お手持ちの「定額郵便貯金証書」等に、既に「権利消滅取消請求不承認」の赤いハンコを押されてしまった方でも、 再度の郵便貯金証書払請求をしてみる価値は十分にあると思います。ご相談をご希望の方は、ご連絡ください。

AT1債の説明(その2)

  既に、この件に関しては多数のご相談を受けていますが、債券の内容も含めて、その対処方法も難しい問題点も含んでいますので、改めて、現状を説明しておきたいと思います。

 まず、今回のAT1債の損害の原因を理解しておく必要があります。なぜいきなり大きな損失となったのか?という原因ですが、ごく簡単に説明すれば、AT1債の本質的な(金融機関が発行する目的そのものに関係する)発行条件として、特別な公的支援(extraordinary government support)を受けたときは、その支援が株主の利益を保護するものであっても、他銀行からの救済買収を容易にするために、AT1債の債権者が犠牲となる、つまり、AT1債の元本が削減(writedown)される条項があったということです。今回、クレディスイスの危機が顕在化し、同銀を救済するために、スイス政府が救済に動いたことが、この条項による破綻トリガーを弾いたようです。その結果、AT1債は、債権にもかかわらず、株価がゼロになる前に、債権価値がゼロになってしまうという、通常の金融商品の知識では考えられない結果となってしまいました。

 報道では、日本でも額面で1000億円以上、そして個人投資家にまで、販売されていたようです。販売した金融機関は、果たして、上記に記載した元本削減リスクを説明して販売し、投資家はそれを十分に理解して購入したのでしょうか?
 上記のような条項は、いわゆる目論見書(Information Memorandum)に、もちろん正確に記載されており、機関投資家であれば、それをチェックできたはずですし、チェックすべきとも言えます。この目論見書は150ページ近くあり、機関投資家といえども、すべてチェックするのは大変かもしれない一方で、この目論見書でのAT1債の正式名称が「Perpetual Tier 1 Contingent Write-down Capital Notes」とされていることから、Contingent(突然)に、Write-down(元本削減)される債権であるという認識は、機関投資家でこの目論見書を交付された投資家であれば、十分に認識できたとされるかもしれません。)。

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 このような予想外の損失に対し、どのような対処方法があり得るのでしょうか? 今回の場合、ある法律事務所は、海外の専門ローハウスと提携して、日本とスイスの経済連携協定(EPA)制度を利用した投資家対国家間紛争解決制度(ISDS)に基づく、スイス政府との協議を始めるとのことです。私にとっては目新しく、チャレンジィングな試みなので、今後の推移を見守っていきたいと思っています(ただ、スイス政府の責任根拠が、公平待遇(EPA86条1項)や資産の収用禁止(同91条1項)など、一般規定に頼らざるを得ないようであれば、難航も予想されるところです。)

 もちろん、このような大掛かりな対応以前に、そもそも日本でAT1債を販売した金融機関が、上記のような元本削減リスクをきちんと説明した上で販売したのか、また、購入した投資家は、そのような特別なリスクを十分に理解することができるような投資家だったのか。。。個別の販売状況や投資家の属性などに問題があれば、日本の裁判所で、販売金融機関の責任を問題にすることができますし、また、その方が、解決が早いともいえるかもしれません。

クレディ・スイスAT1債の相談を受け付けます

 元銀行員・外資系金融機関出身者としては、さすがに、今回のAT1債を、機関投資家以外に販売するのは無理があり、法的にも問題だと思っています。
 
 購入された方で、ご相談をご希望の方は、弊事務所(東京フィールド法律事務所)弁護士鈴木まで電話でお問い合わせください。

1年前のmaneoに対する勝訴判決がやっと掲載

 金融・商事判例2023年05月15日号No.1666に、ソーシャルレンディング業者であるmaneoマーケットらへの勝訴判決文を、ようやく掲載していただきました。

 1 ソーシャルレンディングにおけるウェブサイト上の募集画面中の資金使途について、金融商品取引業等に関する内閣府令117条1項2号所定の虚偽表示等があったとされた事例
 2 ソーシャルレンディングに係る募集を行う第二種金融商品取引業者が、投資者との関係で、資金需要者において出資金の分別管理が行われていることを確認すべき注意義務を負い、その違反に基づき不法行為責任を負うとされた事例
(東京地判令和4・7・22)

 複雑な事案で大部の判決書なので、編集者も大変だったと思います。

 それにしても、長かった。掲載までの期間もそうですが、そもそも裁判が始まったのが(令和に改元直前)の平成31年3月(2019年)、それから3年以上かけて判決、その判決も完全勝訴でなかったため、現在、東京高裁で、これまた時間をかけて(普通の控訴棄却であれば、高裁はそんなに時間をかけない)審理中です。その間に、複数の被告らのうち、被告の会社や経営者が破産手続きに移行したこともあり、それらの裁判は分離されて中断、そして破産管財人への債権確定訴訟に移行したり、経営者の免責不許可決定(破産しても借金はチャラにしない裁判所の決定)を受けての裁判の再開(破産手続きで免責されれば、損害賠償請求の訴訟は、訴えの利益がなくなり終了するが、免責されなかれば、勝訴判決により破産者でも取り立てられる!)等、訴訟提起時には一つの裁判も、三つ四つに分解されてしまいました。時間がかかるだけでなく、複雑極まりない状況になってしまいました。

 もちろん、ご依頼者様からの受任に際しては「時間はかかる」「数年はかかる」ことは説明していました。そのため、今でも「先生、時間がかかってもとことんやってください」と励ましていただける依頼者の方も多いのですが、中には「こんなに時間がかかるとは思わなかった」と嘆かれる方も少なくありません。そのお気持ちは痛いほど分かります。
 そうは言っても、ここまで来た以上、最後まで、それこそトコトンやり抜く以外ありません。これからも、依頼者の方々と力を合わせて、やり抜いていこうと思っています。

春がきた

 暖かさに誘われて、自宅の近所をぶらぶら歩いていたら、そこらかしこに春の到来を告げる花々が❣

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 最初に目に映えたのがハク木蓮。
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 その横で、昔から春の訪れを教えてくれるとされている三椏(ミツマタ)、そうお札にも使われている高級和紙の原材料です。 
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 春されば まず三枝(サキクサ)の幸くあれば 後にも逢はむ な恋ひそ吾妹
(万葉集10巻ー1895番)

 このサキクサが三椏(ミツマタ)のことらしいのですが、昔の人は、とってもロマンテックでしたね

 でも、現代でも、そして何度も春を迎えた年齢を重ねる人でも、何か新しいことにドキドキ、ワクワクする季節です 

 

Z世代

 Z世代と言われる1990年代後半以降に生まれた若者たちがいる。

 「どんな時、そんな気持ちの変化になりましたか?」
 16歳の少年に対する裁判官のねちっこい質問が続く(成人の形式的な刑事裁判とは異なり、少年の実質的な更生を目指す手続きだから、裁判官は30分、40分、少年との対話を行う。)。その少年は、公園に仲間の後輩を呼び出して殴った暴行事件で、警察に逮捕された。その後、約1か月にわたる少年鑑別所での生活を経て、今日の少年審判となった。
 「鑑別所で、いろいろ考えて。。。」
 「両親をはじめ、みんなが心配してくれているのに。。。」
 「自分の勝手な考えだけで。。。」
 「鑑別所でも、皆さんが親切にしてくれて、年末のクリスマスにも、ケーキを差し入れてくれるボランテアの人がいて。。。自分のために、こんなことをしてくれるなんて。。。」
 少年のとぎれとぎれで、つたない言葉、しかし、それだからこそ、少年が自分の頭で一生懸命に考えてきた様子が、裁判官にも伝わるのだろう。
 私も、逮捕時からずっと、警察署や鑑別所で少年と話しをしてきた。最初は「十分な理由があって、あの程度殴っただけで、なんで逮捕までされるのか?」「退屈だから、早く出たい」などと言っていた少年だが、友達のこと、家族のこと、将来のこと、いろいろ話を続けるうちに、少年が会うたびに、変わっていくのを実感できた。それは、大人からのお説教の結果ではなく、少年自らがいろいろ考えて変化していく過程だった。少年と会ったときから、彼が素直な性格で柔軟な気持ちをもっており、悪い仲間たちだけでなく、周囲の大人たちからも、いろいろ吸収していく能力のある少年であるとは思っていた。しかし、毎回会うごとに、これほど自分で考え、成長していくとは、うれしい驚きだった。

 「もし興味あるんだったら、今度までに、これ解いてみて」
 私が、24歳という若い修習生に、出した演習問題は、一定の収益率と標準偏差を持ついくつかの資産を組み合わせた(ポートフォリオを組んだ)場合の、ポートフォリオ全体の収益率や標準偏差(つまり、リスク・リターン)を、一定の相関係数を前提に求めるものだった。
 研修所で、裁判官の任官へのリクルートを受けていたその修習生は、直接、法律とは関係しない私のチャレンジを喜んで受け入れてくれた。そして、そのレポートは完璧だった。
 現在、裁判所には多くの裁判官がいるが、本当に基礎の基礎にすぎないこの問題を解けるどころか、この演習の意味を理解できる裁判官はほとんどいないだろう。それどころか、興味すら持ってくれないと思う。だから、金融に関する裁判において、私が、いくら、ファイナンス理論に基づく主張をあれやこれや準備書面で提出しても、結局、「原告は縷々述べているが、畢竟、原告の自己責任というべきである」で終わってしまう。自分の身の程をわきまえないことは十分承知のうえで、本当に、せめて一週間ぐらいの裁判官研修で、現役裁判官を相手に、このような演習に集中的に取り組んでもらえるような機会があればとさえ思ってしまう。
 だから、今回の研修生のような若い裁判官候補が、ファイナンスの基礎理論を、砂漠が水をしみこませるように、どんどん吸収していってくれることは、本当にうれしく頼もしい。

 上記の両君ともに、いわゆるZ世代だ。一般に、生まれたときからネット環境のある、デジタルネイティブ、スマホネイティブ、SNSネイティブ世代だ。彼ら、彼女らは、X,Y世代の私から見ると、若さゆえの羨ましいほどの柔軟性と成長性があることは勿論な一方で、意外に堅実な一面も併せ持っているように思える。恥ずかしながら、私は、若い時から、将来の経済的不安等はあまり真剣に考えたことはなかった。決して、家が裕福というわけではなく、私に限らず、X、Y世代の多くが感じていた、社会や経済は発展するもの。。。という根拠のない漠然として思い込みのせいだったと思う。それに対し、Z世代は、シビア―だ。X、Y世代の年寄りから見れば、若いうちから、そこまで将来の経済的要素を悲観的に考えなくても良いのにと思ってしまう。しかし、それはバブル世代の能天気に過ぎないのかもしれない。

いい時もあれば、悪い時もある

 「(相場は)いい時もあれば、悪い時もあるから。。。」
 かつて、私の先輩がなにげなく言った言葉が、今でも強く残っている。
 その先輩は、私が新入行員だったころ、ロンドン支店の為替ディ―ラーとして名をあげ、外資系金融機関に引き抜かれてからも、トレーディングで実績を重ねて、ニューヨーク本社のボードメンバーにもなっていた。私が、その外資系に移ってから、いろいろお世話になった、仕事上も人生上も、尊敬する先輩だ。
 その時の話は、相場がいい時は、価値のあるリスクを大胆にとって儲けることもできるが、相場が悪い時には、価値のない(チープ・リスク)を慎重に避け、早めの損切りの勇気が必要みたいなアドバイスをいただいたような思い出がある。

 その後、人生を重ねるうちに、よくこの言葉を思い出すようになった。
 人間だから、上手くいっている時には、有頂天になって、何もかもできそうな気がして、しかもそれが永遠に続くような錯覚に陥る。しかし、それは長くは続かないのが人生だ。「(人生)いい時もあれば、悪い時もある。」
 一旦、悪いことが続いてしまうと、何をやってもうまくいかず、やる気をなくし、絶望すらしてしまう。しかし、努力していれば、そのうち「(人生)悪い時もあれば、いいときもある。」。人生、捨てたものじゃないと思える時も来る。

 成功するトレダーや投資家は、損をしないことではなく、損を経験としながら、利益を最大化できる人
 いい人生とは、成功だらけの人生ではなく、失敗から学び、次のステップへ前向きに進める人生だと思う。
 

JCサービス管財人に意見書を提出

 現在、ネット上で大々的にファンドを募集していたグリーンインフラレンディング社のソーシャルレンディングによる貸付先であるJCサービスの破産手続き(令和3年(フ)第6085号)が行われています。
 ところが、現在までの債権者集会での報告を聞く限り、管財人による処理が十分ではないように思われます。
 そこで、今回、私の依頼者である65名の債権者の代理人として、当該管財人に対し、65枚の「要望書」とともに、「①破産者が全国の出資者から集めた総額150億円を超える資金の流出先の徹底追及、及び②それら資金が破産者を通じて元経営者に流出した諸事実を構成要件とする刑事罰・行政罰に関する告訴・告発を求める。」との意見書を管財人及び裁判所に提出しました。

 もし、この動きに同調していただける債権者代理人弁護士の先生等いらっしゃいましたら、下記にご連絡いただければ、上記意見書の写しを提供いたします。

 東京フィールド法律事務所 弁護士 鈴木英司

「詐欺的」金融取引の被害者「バイアス」と弁護士の葛藤

 今回の記事は、複雑な内容を含む長文のため、一読しただけでは分かりにくいかもしれません。場合によっては、作成者が絶対に避けてほしいと願う誤解を招いてしまう危険を恐れます。そこで、論旨を理解し易くするために、大げさな章番号を付して整理し、また、一般的な使用方法とは異なる特別な意味を持たせたい用語を使う場合には、「 」付きで表示することにします。みなさんが、誤解ないように読んでいただけることを期待します。

 第1章 事件の始まり~被害者「バイアス」その1
 「社長! なぜ、そんな軽率なことをしたんですか!?」長年にわたってお世話になっているにもかかわらず、私は、反射的に強い口調で社長を責めた。顧問先の社長が相談に来て、会社の実印が押印された白紙委任状と、それに関連する重要な書類を易々と、新規取引先に渡してしまったと聞いたときだ。社長の経緯説明は断片的なものであったが、「そんな取引はまともな取引ではありません!『詐欺です』!」と断定的に述べざるを得ない内容で、「すぐに対応しましょう」と強引に言わなくてはいけない切迫した状況と判断した。
 ところが、社長の返事は意外なものだった。「先生、ちょっと待ってください。ここで先生に騒がれては、せっかくの取引がダメになってしまいます。相手は、とても紳士的な方です。『もう少し待ってくれ、なんとかする』とお願いされている以上、もうしばらく待ってみます。」
 そんな悠長な状況ではないことを、いくつかの例を挙げて、すぐに対応が必要なことを社長に強い口調で説明した。しかし、社長は、その一つ一つに、まるで加害者である詐欺師たちを代弁するかのように、詐欺師の言い訳論理で、迷うことなく反論してきた。
 なぜ長年付き合ってきた弁護士よりも新たな仕事相手を信頼できるのか、私としては理解できなかったが、それが今回の記事でいう「詐欺的」金融取引の被害者「バイアス」その1だ。いずれにしても、「依頼者の意向に沿って動く」のが弁護士だ。「分かりました。しばらく様子を見ましょう。」一旦は、そう言って帰ってもらうしかなかった。あまり強引に説得すると、このような長い付き合いの社長にすら「この弁護士は、報酬のため事件を作り出そうとしているのでは?」等のとんでもない不信感を与える危険性すらあり、一層の事態悪化を招いてしまうからだ。
 第2章 事件の認識~被害者「バイアス」その2
 実は、「依頼者の意向に沿って動く」と言いながら、これも社長を騙したことになるかもしれないと思いつつ、社長が帰ってからすぐに、様々な調査を開始した。1時間ほどの調査を進めれば進めるほど、「詐欺」であることの確信が深まった。そこで、迷わず、社長から聞いた新規取引の関係者に連絡を取り始めた。私が社長に言った「しばらく」とは、ほんの1,2時間を意味していたから、私も社長を騙していたこになるかもしれない。
 しかし、事件の深刻さを考えれば、顧問弁護士として、やるべき時にやるべきことをやっておかなければならいのは当然だ。その日のうちに、何人もの関係者から事情を確認し、間に合う限りにおいて、状況を示す客観的証拠を集め続けた。たぶん、東京の弁護士から連絡のあった関係者から、詐欺師たちに連絡がいって、詐欺師たちから社長のもとへ、強いクレームが入っているころだろう。そんなことを気にしている余裕はない。
 翌朝早く、私は、社長の携帯に連絡を入れた。案の定、普段は穏やかな社長が憤慨していた 「先生、あれほどお願いしていたのに、なんてことをしてくれたんですか!!」。それに対し、昨日とは違って、私は冷静に、しかし粘り強く、現在社長がおかれている客観的状況の一つ一つを説明していった。そして、被害者「バイアス」その1にかかっている社長の反論一つ一つに答えていった。そのような説明する事項は10以上あったが、その一つ一つを説明し続けた、5つ目か6つ目ぐらいに、突然、社長の方から「これは『詐欺だ!』」と言い始めた。被害者「バイアス」その1の呪縛から解き放されたい一瞬だ。
 ようやく事態を理解してくれたかとほっとしたとたん、社長に被害者「バイアス」その2がかかり始める。「さっそく、対処方針を決めて対処を始めましょう」という私に、「そんな必要はない。警察に行って詐欺犯人たちを捕まえてもらえば、すべて解決でしょ!?」と。社長の心理を察するに、「自分は被害であり、何も悪いことをしていないのだから慌てる必要もないし、自然に、何もなかった以前に戻る」と素朴に信じているかのようだ。しかし、「現実はそんなに甘くはない」。そんな私の説明にも、社長は納得いかないようだった。
 第3章 事件の終結~被害者「バイアス」その3
 「先生、私は何も悪いことをしていないのに、なんで、こんなに譲歩した和解をしなければならないのですか?」「絶対に納得がいきません」・・・被害者「バイアス」その3だ。事件の発覚から半年後、心配していた様々な状況が顕在化し、思わぬところから思わぬ訴訟も提起されてしまったのだ。「しかし、今の法制度では、こういう結果は仕方ありません。」「社長が『詐欺』の被害者であることはみんな認めていますが、これが現実なのです。」。詐欺の被害者である社長をなんとか助けるために一生懸命に頑張ってきたが、後味の悪い事件終結なっては、弁護士としてやるせない。なんとか、社長の納得いく解決にしないと。でもそれも限界があるから、後は、社長と徹底的に話し合うしかない。
 第4章 弁護士の葛藤その1~依頼者との関係
 以上のような事件の経緯を読んで頂いた本ブログの読者の方々には、すんなり納得しながらすーっと読めた方々がいらっしゃる一方で、何かしらの違和感を持たれた方々も少なからずいらっしゃると思います。冒頭で「本ブログの複雑な内容」と言いましたが、第1章から第3章にいたる内容には、実は、私にも解決しきっていない、様々な問題点を含んでいるからです。
 その一つは、弁護士と依頼者との関係です。もう一つは、弁護士の社会的な役割との関係です。
 本記事は、被害者「バイアス」との表現を用いました。そして、現に、この「バイアス」が、被害者の現状認識を歪ませ、その適切な対応を誤らせる事実を述べました。その事実から導きだせる弁護士と依頼者の関係は、弁護士は、これら被害者の「バイアス」を第三者である専門家の目で矯正することにあるともいえそうですし、現に、この事件では、正に私の役割はそこにあったと今でも確信しています。
 それにもかかわらず、「後味の悪い事件終結」なる危険性があったのはなぜでしょうか?
 それは、「被害者になってみないと分からない被害者としての立場や感情」を、私がどこまで共有しながら、依頼者に寄り添った弁護士活動になっていなかった危険性があったからだと思っています。
  第5章 弁護士の葛藤その2~社会的役割
 本ブログで昔から表明しているとおり、私の弁護士としてのライフワークは、「詐欺的」金融取引の被害に対する最高裁を頂点とする司法の無理解を少しでも矯正することです。このような司法の無理解を前提に、「詐欺的」金融取引の被害者の方の法の無知を矯正することでは、絶対にありません。今回の事件は、対等な立場の当事者間での「詐欺的」金融取引でした。私が、一番問題と思う「詐欺的」金融取引は、巨大金融機関対個人投資家という対等でない当事者間の事件ですが、でも、いずれにしても最高裁を頂点とする司法の無理解が存在することは明らかです。
 その意味で、私が実際に行っている弁護士の活動は、裁判所や検察に向かっては「被害者の立場になれば、その論理はオカシイ」と主張する一方で、同時に、依頼者に対しては「そのような司法制度である現実を直視して、できるだけ被害を少なくする解決方法を選択することがベストです」と言わざるを得ないという、すっきりしないものになっています。従って、このような状況を知る読者とっては、本ブログに違和感を覚えるのも仕方ないかもしれません。
 しかし、このような活動を地道に継続する以外に、依頼者の利益擁護と投資家保護の司法促進を両立させていく方法はないと思っています。

正解のない投資

 投資に関係した事件のご依頼を、長年受けていますと、ご依頼人から質問を受けることもあります。
「今回の失敗を教訓に、改めて、投資方法を見直そうと思います。アドバイスをお願いします。」とか。また、ご依頼人でなくとも、年齢や男女に関係なく、「投資」にご興味のある方は非常に多く、皆さん、いろいろ考えておられるようです。今は弁護士をしている私も、金融マンをやっていた時期も長く、失敗も数多く経験しました。だから、弁護士としてのアドバイスというよりも、私の個人的経験と弁護士としてかかわってきた多数の事例から、私なりに考えている最善の投資判断や方法について述べてみます。

 この問題で、最初に言えることは、「最善の投資方法」とか「最もお勧めの投資」等、具体的な投資に正解はありません。しかし、「間違った投資」、「絶対に失敗する投資」は、存在するということです。
 結果的にせよ投資に成功するためには、①投資商品の選択、②投資のタイミングの選択の二つの要素をクリアーする必要があります。

 まず①投資商品の選択を誤ると、②に関係なく必ず、失敗します。
 間違った①投資商品の選択とは、例えば、宝くじやパチンコ、公営ギャンブルなど、全体として胴元が必ず儲かり残りを顧客で分け合うようなマイナス・サムの投資商品は、必ず失敗します。もちろん、たった一度だけ挑戦し、その一回限りで勝てば、必ず負けるとは言えないように気もします。また、競馬のオッズ決定の不合理をつくソフトも開発可能かもしれません。しかし、それは投資ではありません。投資は、継続的・長期的に資産を増やしていくことを目的にするものです。ギャンブルとの違いは、やはり投資先とのウィン・ウィン関係を目指すプラス・サムの経済活動ということにあります。だからこそ、政府も「貯蓄から投資へ」と堂々と政策にできるのです。
 一見、まともな商品に見える金融商品にもマイナス・サムの投資商品は多数紛れています。大手銀行・大手証券の取扱う投資信託や仕組債などはその好例です。マイナス・サムになってしまう理由は、販売金融機関の手数料を含む商品設計や販売コストがあまりにも大きくなると、市場(プラス・サムの世界)でのリスク・リターンの均衡から大きく離れて、投資家に極端に不利な条件になってしまうからです。このブログでも何回もとりあげているソーシャルレンディングも、「詐欺的」という中身は、ウィン・ウィン関係を目指すプラス・サムの金融商品ではなく、投資家の一方的な犠牲に必然的な理由が最初からある商品なのです。
 では、まともな金融商品とそうでない金融商品とをどう見分ければ良いのでしょうか。答えは、意外と簡単です。一つは、営業マンが一生懸命売込みを図る商品は、必ず、買ってはならない金融商品です。まともな、またそれ以上良い商品は、営業マンが一生懸命売込みを図る必要はありません。かえって、顧客が金融会社に積極的に働きかけて交渉しなければ手に入らないものです(好況期のIPO銘柄のように)。良い不動産案件を探し出すには、大変苦労がいることを考えてみれば想像がつくと思います。悪い不動産案件だから、営業電話が必要なのです(かぼちゃの馬車等、事例はいくらでもあります。)。善良な投資家が気をつけなくてならないのは、営業マンは、会社が儲けたいから、自分の成績をあげたいから、熱心に過ぎないにもかかわらず、「顧客のことを考える良い担当者」と誤解してしまうケースが多くみられることです。いざ裁判になれば、営業マンは手のひらを返します。裁判官も「善良な顧客と悪い担当者」との図式を理解してくれることはありません。
 もう一つは、やはり、「一見、好条件」です。好配当はもちろん、キャッシュバックや優待等、いかにも販売したくてたまらないからこそ、投資家に露骨にぶら下げるエサ(業界では、「スウィートナー」と呼ばれる甘いワナ)がある商品です。理由は、営業マンの熱心な勧誘と同様、金融機関にとって儲けが大きいから売りたいけれどなかなか売れない商品だからです。

 次に、まともな①投資商品の選択を前提にして、②投資のタイミングは、投資結果を180度変える投資の本質になります。まともな投資は、このタイミングこそがすべてです。
 ここを詳しく述べると長くなり過ぎますので、結論だけ簡潔に述べます。
 まず、投資の成功例等として、雑誌やネットで紹介されるようになってからでは遅すぎるケースがほとんどです。投資に失敗する典型的なパターンが、書店で、「投資成功事例」を見てそれを真似するケースです。また、自分の投資商品が、「将来有望」等新聞や雑誌で紹介されると気分が良くなって買い増したリ、逆に、悪いコメントがあると不安になって売却したり、失敗事例に暇はありません。もっとも、この②投資のタイミングは、サイクリカルに繰り返します。外国為替相場や石油相場等、何十年単位で波があります。不動産相場もそうです。周回遅れで成功するパターン、何十年×何回という超長期投資で最終的な利益を得るのが、一番良いのかもしれません。安いときに買って高いときに売ると、結果だけ見れば簡単な投資は、これほど難しいものはありません。

 私の育ってきた昭和・平成・令和の現在までで、結果だけをみれば、日本人にとって一番良かった投資は、日本の高度成長期の不動産投資であり、その後の低成長期には米国株式をじっと持ち続けることでした。その理由は、いろいろ解説できます。しかし、それは結果論に過ぎません。なにが、これからのベストの投資なのか、その正解はありません。
 このような経験から、私個人の投資方針は、「お金に稼いでもらう投資」をほどほどに、「自分自身が稼ぐための知識やスキルへの投資、自分や家族の充実した生活のための投資」を中心に、です。

 
 

 

ペンギンの憂鬱

 ある弁護士のツイッターが目に留まった。 (;'∀')
 
「消費者事件、特に投資被害なんかは、訴状の段階では裁判官の、ああん?こんな無理筋受けて訴訟提起しやがって…、という冷たい視線をヒシヒシと感じる…。
 その土俵際から押し返していくのです。」

 私は、この分野を弁護士としてのライフワークにしているから、そんなことを気にしている余裕もないけれど、ある時期を境に、多くの、というか、ほとんどの弁護士が感じていることだろう。
 ある時期とは、平成25年の最高裁判例からだと思っている。

 そのころは、すでに説明義務違反などの訴訟提起も活発で、私も、先輩弁護士や研究している学者の方々に交じって、いろいろ勉強させていただいていた。ところが、その後、この種の事件の裁判所での風向きがどうも、アゲンストばかりと感じさせられる機会が多くなるにつれ、この種の事件を扱う弁護士の方々も少なくなっていった。

 もっとも、根っからの楽観主義の私としては、頑張って、あらゆる機会をとらえて、従来の考えた方に疑問を呈するような論稿を掲載してもらったり、裁判で具体的に主張していけば、いつかは、この流れ、投資家に冷たい裁判所にも変化がでてくるだろうと信じている。

 今回も、とても優秀でこの種の事件に理解のある裁判官に恵まれて、内容のある判決をいただくことができた。騙された投資家の方々にとっては、当たり前とも思える判決に見えるかもしれないが、私にとってだけでなく、これからの司法や金融業界にとっても大切な判決だ。

英語が苦手 ~ 60の手習い

 昔から英語が苦手だった。
 外資系の金融機関で働いていたこともあったにもかかわらず。

 自衛隊の米国教官による訓練風景
 米国教官が自衛官にイライラしながら言う「Turn the heat off!」(1分40秒あたり)
 自衛官はとまどいながら「ON ?」
 米国教官が叫ぶ「NO!O!F ! F! OFF!」

 ジェット戦闘機のパイロットとは比較にならないプライベートパイロット訓練生でもある私も、面白いけど、全く笑えない 
 自衛隊の戸惑いは痛いほど分かるし、キレた米国教官も目に浮かぶ。
 趣味でお金を出しての訓練なら、管制塔(ATC)から何と思われようとも、「Say again!」を繰り返せばすむし、安全のために繰り返さなくてはならない。
 第二次世界大戦が終わり、日本の航空会社が、初めて定期便の乗り入れを開始したとき、米国管制空域に入った日本人機長が、「何度言ったら分かるんだ! 英語が分からない奴は、さっさと日本に帰れ!」と怒鳴られた話も本で読んだことがある。

 英語は苦手ではあるが、BBCのニュースやNational Geographicの解説などは、比較的聞き取れる。
 問題は、米国ドラマや映画の一般会話だ。
 何度聞き返しても、私には「アーユーリポーティング... ?」としか聞き取れない。
 しかし、実際は「On your report...」と言っている。それは、その後に「card where...」と続くからそう聞き取るべきなのだ。なんとか単語ごとに正確に聞き取ろうとしても無理なのだ。BBCニュースは、単語ごとに正確に発音してくれるから、なんとか聞き取れるが、重要でない子音や冠詞、そして前置詞などをすっとばす一般会話に、到底ついていけない。

 でも、無理と諦めるのは、嫌だ。
 コロナで無期延期となっていた米国出張にも、行きたい。
 最近は、手軽な英会話アプリもたくさんあるから、空いた時間で少しづつでも挑戦できる。
 それはそれで、楽しいレッスンだ。

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ひたすら明るく、ひたすら前向きに、がモットーの元金融マン弁護士です。

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