このブログのメインテーマの一つに、証券会社の販売した仕組み債と銀行の販売したデリバティブがあります。
 お陰様で、このブログを通してを含めて、全国からたくさんのご相談を頂いき、そのうちの多くの事件で、相手方との交渉、ADR申し立て、そして訴訟提起を始めています。
 
 この中で強く感じるのは、とんでもない仕組み債を、「ほとんど騙す」ような形で「投資家」に「販売した」証券会社も悪質なのですが、それ以上に、とんでもないデリバティブを「とんでもない方法」で「顧客」に「押しつけた」銀行の方が、もっと悪質ではないかということです。

 というのも、証券会社の紛争は、銀行の紛争に比べれば、その内容は単純です。
 ほとんどの場合、証券会社は、いい投資を求める「投資家」に、リスクの高い仕組み債を、あたかもリスクが顕在化する危険性は極めて小さく、またリスクが発生してもその影響は限定的であるかのように「ほんとんど騙」して販売しているのです。
 もともと、投資家は投資対象を探していたこと、また、当該仕組み債は客観的にリスクの高いものであったこと等は、その程度は争われることもありますが、やはり、一番の争点は、証券会社がちゃんとそのリスクを説明していたのか、投資家はそれを理解して購入したのかにあります。
 (もちろん、不招請勧誘にあたらないとも言えませんし、その他の適合性原則や助言義務など多種複雑な違法も関係してくるは当然です。)
 このような証券会社も悪質には違いないのですが、銀行と比べれば、陽性な?悪質さです。

 一方、それに比べて、銀行は、陰性な?悪質さに見えてきます。
 デリバティブのデの字も知らなかった会社に、昔から付き合いのある銀行の若い銀行員が、ある日突然、「御社は、為替リスクを負っています。この商品は、そのリスクをヘッジするものです。」と言って、何やら複雑な商品の説明をし始めるのです。
 よく分からないからと断っても、銀行とのお付き合い上、毎月、顔を合わせないわけにもいかず、その度に、しつこく話を持ち出し、怪しげなチャートを見せながら(これは証券会社も同じですね)、円安にいったらどうの、円高になってもこうの、と勧誘し続けます。
 根負けした担当者が、社長や会長しか決められないというと、さっそく、支社長や支店長が押しかけてきて、何も分からない社長さんや会長さんに「天下の○○銀行が、そこまで安全だというのであれば・・・」「長いお付き合いがあるのだから・・・」と強引に納得させてしまうのです。

 その結果、その会社は、そのデリバティブのお陰で、倒産の瀬戸際まで追い込まれてしまうのです。
 会社を倒産の瀬戸際まで追い込むような商品が、「ヘッジ」のための商品なのでしょうか?
 「ヘッジ」になると説明しておいて、顧客も「リスクを納得していた」と銀行は反論できるのでしょうか?
 「古くからお世話になってきた信用のある銀行さんの言うことだから」と、それだけで銀行の要求するデリバティブ商品の購入を決めた中小企業の社長さん会長さんに、銀行は恥ずかしくないのでしょうか?

 実は、私自身、正にこのようなデリバティブ商品を開発・販売してきた銀行員だった(1980年代~1990年代にかけてでした)わけですが、その当時の顧客は、上場企業等の大企業だけでした。
 いつのころから、このような日本全国の中小企業にまで、危険なデリバティブ販売が蔓延してしまったのでしょうか?
 その汚染力に、驚くばかりです。

 本当に、知れば知るほど、このような銀行のやり方に仰天・憤慨する今日この頃です。