写会人日記

2018年07月23日

枝野の大演説「七つの大罪」後半

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書籍化されアマゾンで1位になった「2時間43分即興演説 立憲・枝野代表の「安倍内閣不信任決議案」演説 後半(2018年7月20日)


書き起こしは犬飼淳 / Jun Inukaiさんです。



不信任理由6「行き詰まる外交、混乱する安全保障政策」
(2:18:14〜2:31:45)
枝野代表:
大きな6番目の不信任の理由として、行き詰まる外交と混乱する安全保障政策について申し上げたいと思います。

安倍総理は日露関係に力を注ぎ、プーチン大統領と何度も会談を重ね、友好関係を強調しておられます。下関での首脳会談もありました。
しかし、それ以降、共同経済活動で何か目立った活動はあったでしょうか?
北方領土問題は前向きな進展があったでしょうか?
繰り返しますが、安倍政権が発足して5年半です。
どうもロシアだけは日露関係の進展によって色々いいことがあるようですが、我が国にとって重要な北方領土問題の進展は全く見られず、行き詰まっていると指摘をせざるを得ません。

朝鮮半島をめぐる問題はさらに深刻です。安倍総理や河野外務大臣は「最大限の圧力」のみを唱え続けている。「北朝鮮との国交断絶」を他国に求める発言まで河野外務大臣はなさいました。
ところが南北首脳会談、米朝首脳会談が実現をしました。もちろん、北朝鮮のこれまでの経緯を考えれば、このまま平和に向かって着実に進んでいくかどうかということは、わたくしも一概に言える問題ではないというふうに思います。再び緊張する可能性も十分に高いと思っています。しかしながら、まさにここまでに至る経緯は、日本外交に主体的な姿勢はまったく見られず、北朝鮮とそしてトランプ大統領の動きに振り回されているとしか言えません。加えて、安倍総理がある意味、一丁目一番地で力を込めてこられた。私はこのことにこだわり続ける安倍総理の姿勢。最優先のこととして頑張ろうとする姿勢そのものは高く評価をしますが、その拉致問題について何か進展があったんでしょうか?
5年半経っています。

北朝鮮情勢が大きく変化をしている中、1基1000億円とも言われるイージス・アショアの配備。本当に続けていくのでありましょうか。防衛予算は6年連続の増大で過去最大で5兆1911億円にのぼっています。その中には安全性にさらに疑問が高まっているオスプレイの配備も含まれています。米国の対外有償軍事援助、いわゆるFMS。これに基づく購入額が増えていますが、これは圧倒的にアメリカ優位の契約内容になっていると言われている。防衛装備の調達について、我が国の安全保障上の必要性よりもアメリカが売りたいものを「言い値」で買っているという見られ方をしても仕方のない状況であります。少なくとも北朝鮮情勢がいま大きく変動している中、「完全に白紙撤回しろ」とまでは言いません。少なくとも米朝の今後の進展を見ながら慎重に物事を進めていくぐらいのことはしてもいいんじゃないでしょうか?

安全保障だけではなく、なし崩し的な日米FTAへの流れが加速していると危惧さざるを得ません。一方で米国の復帰の見通しなきTPP11を強引に進めている。総理は日米FTAについて「念頭にない」とおっしゃっている。当然のことだと思います。現状で2国間FTAを進めていけば、我が国にとっては到底のむことができない、我が国の一次産業なり、場合によっては第二次産業も含めて、我が国が受け入れがたい条件をアメリカに飲まされかねない。そういう状況だということは理解をしています。
したがって「念頭にない」という考え方は支持するところでありますが、4月18日の日米首脳会談では日米2国間での新たな協議の創設で合意をさせられました。2国間FTAに向けた協議や米国産農産物の輸入拡大への圧力を受ける等、なし崩し的に追い込まれつつあるという危機感は杞憂でしょうか?

他方でTPP協定について安倍総理は「米国抜きでは意味がない」とおっしゃっておられます。
米国復帰の見込みのないまま、TPP11を推進しているのは何なんでしょうか?
TPP11協定ではセーフガード基準や輸入額などについて、米国の参加を前提に設定されたオリジナルのTPPの数字について、何ら調整することなく、そのまま維持されています。わたくしどもは、そもそもTPPのオリジナルの水準についても交渉の敗北だと思っておりますが、そのオリジナルのTPPよりもさらに深刻な影響を米国の復帰がない中で国内農業が被ることになる。これを放置して推進をしているという状況は、まったく支離滅裂の状況にあります。

外交安全保障について、さらに危惧をしなければならないのはシビリアンコントロールの空洞化であります。言うまでもなく、イラクや南スーダンでの「無い」とされていた日報を始め、不存在とされていた自衛隊、防衛省の文書が相次いで発見されていますが、その経緯や原因は未だに明らかになっていません。組織的な隠ぺいを言葉では否定しているものの、客観的な経緯からすれば組織的な隠ぺいが無ければこんなことできない。そんなプロセスになっていますが、そうではないことについての合理的な説明は全くなされていません。
大臣や国会に適切な情報が提示をされなければ、文民統制は成り立ちません。実は財務省の改ざん以上に、まさに自衛隊という組織の文民統制に関わる問題でありますので深刻であるとも言えます。

多くの皆さんが、いわゆる大本営発表が第二次世界大戦に至るプロセスの中で、あるいは世界大戦を通じて結果的にいかに日本の国益を損なったのかということについては、これは立場を越えて共有して頂けると思うんですが。まさに大本営発表という大きな過ちをした我が国は、そうしたことに陥らないようにしっかりとした情報の管理と公開を進めていかなければならない。そのことを通じて文民統制を機能させなければならないことは当然のことであります。そして、大本営発表という苦い経験を過去にしている中であるからこそ、自衛隊や防衛省こそこうした問題に敏感でなければならないと思っています。

加えて、現職の幹部自衛官が参議院議員に向かって「お前は国民の敵だ」との暴言を吐きました。懲戒に至らない訓告処分であります。一般の国民の皆さんから色々なご批判を受けることについては、与野党を越えて我々の役割、仕事としてしっかりと真摯に受け止める必要があると思いますが、現職の幹部自衛官がそのことを表明しながら国会議員に対して「国民の敵だ」との暴言を吐いた。これは、文民統制の観点から許されることではありません。意見が異なったとしても、自衛隊という実力組織のましてや幹部の方から国民の代表である国会議員に対して「国民の敵」とレッテル貼りする姿勢は許されない。こんなことでは文民統制が成り立つはずがありません。

文民統制に関連して言えば、沖縄県の米軍ヘリコプター不時着に関して、当時の松本文明 内閣副大臣は「それで何人死んだんだ」と野次を飛ばし、それで事実上の更迭をされました。先ほどの小野寺防衛大臣の赤坂自民亭問題での右往左往する言い訳。稲田 前防衛大臣が事実上の更迭に追い込まれたことなど。
範を示すべき政治がいい加減な状況では、自衛隊という実力組織の統治が十分になし得ないのも必然であります。

我が国ではシビリアンコントロールを「文民統制」と訳してしまいました。その結果として、残念ながら「シビリアンコントロールは背広組が制服組をコントロールすることだ」と大きな間違いをしてらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。
違います。シビリアンコントロールは、むしろ本当に正しい日本語に近い意味にするならば、「民主的統制」であります。実力組織については、まずは内閣。そして議院内閣制である、この議会がしっかりとコントロールする。それこそが本来のシビリアンコントロールであります。その本質をわきまえているならば、国会議員に向かって現職自衛官が「国民の敵」と暴言を浴びせることはありえないし、そんなことがあったら厳しい懲戒処分がなされるのは当たり前であるし、そして国会などに対し日報等を隠し誤魔化すなどということがあったら厳しい処分がなされ、全貌解明をしなければならない。シビリアンコントロールを全く理解してない体制の中でこれ以上、自衛隊に対する指揮権を持たせるわけにはいかないと考えます。

そもそも安倍総理は、この自衛隊に対してこんな国会答弁をされています。
「自衛隊員たちに『君たちは憲法違反かもしれないが何かあれば命を張ってくれ』と言うのは、あまりに無責任だ」
こういう国会答弁であります。
集団的自衛権の行使については議論があります。しかし、自衛隊の存在が憲法違反でないことは既に明確であり、定着をしています。
安倍総理は「憲法違反かもしれない」と思いながら、自衛隊を指揮してらっしゃるんですか?
「憲法違反かもしれない」と思いながら、予算を計上しているんですか?
わたくしも含め、自衛隊予算を含む予算に賛成したことある者は「自衛隊は合憲である」との前提に立たなければ、論理矛盾になります。
確かに私が子供の頃は「自衛隊は憲法違反である」との意見も少なからず存在していたことを知っていますが、そしてある時期までは国会における野党第1党が自衛隊違憲論に立っていたのも知っていますが、念のため申し上げますが、野党第1党である立憲民主党は「自衛隊は合憲である」という明確な立場に立っております。
安倍総理の頭の中は・・・

(野次がひどくなり、枝野氏、10秒ほど黙り込む)

大島議長:
ご静粛に。

枝野代表:
安倍総理の頭の中は、20年以上時間が止まっておられるんだと心配をせざるを得ません。

不信任理由7「官僚システムの崩壊」
(2:31:46〜2:37:38)
枝野代表:
7つ目の問題点を申し上げます。それは、官僚システムの崩壊です。

「日本は政治は二流とか三流」とか揶揄されても「官僚システムが優秀だからしっかりしてるんだ」ということが言われていた時期がありましたが、安倍内閣はこの官僚システムを破壊しています。森友・加計問題や自衛隊日報の改ざんや隠ぺいの問題。厚生労働省の働き方データの捏造問題など。既に述べてきた官僚の皆さんの不祥事は言うに及びませんが、こういうところに使う言葉ではありませんが、本当に省庁横断的に様々な役所で考えられないような不祥事が相次いでおります。

福田 財務事務次官は女性記者にセクハラ発言をしたと想像され、音声を公表されました。しかし、次官はセクハラを認めないまま辞任をされました。財務省の対応も被害者に二次被害を生じさせかねない不適切なものでありました。

セクハラということでは厚生労働省 局長による厚生労働省女性職員に対するセクハラと疑われるようなメールを複数回送付していた問題もありました。

厚生労働省という点では、わたくしはこれが深刻な問題だと思っていますが、東京労働局長が記者会見の場で取材記者に対して、「皆さんの会社に行って是正勧告をしてもいいんだけど」と発言し、12日後に局長職は更迭されましたが、軽い処分に済んでいます。ま、報道機関の皆さんの労働条件の実態も各種労働法制を守って頂きたい。厳しい状況にあることも知らないわけではありませんが、公権力が恣意的な運用を公言したんです。考えれれない不祥事です。
労働行政において是正勧告をするというのは相当強い公権力の行使ではありませんか?
税務署が例えば「財務省の言うことを聞かなければ税務調査に入るぞ」と公言したら、どうなりますか?
警察が「言うこと聞かないんだったら逮捕するぞ」と言ったら?
犯罪を犯してもいないのに「家宅捜査に入るぞ」と言われたら、どうなりますか?
これに匹敵するうような公権力の行使を恣意的に使うぞということを記者に向かって公言をする。
わたくしは、公務員失格であり辞めて頂かなければならない、それくらいに匹敵する処分をすべき問題であると思います。

外務省では先ほど申しましたが、公表されているのは「国家公務員として信用を損なう行為があった」ということで停職9ヶ月の処分をされた職員がいらっしゃいます。セクハラ疑惑が報道されていますが、詳細は未公表のままです。セクハラについては二次被害の防止というのが大変重要であり、被害者保護の見地から詳細を公表できないことがあること私は理解は致しております。とは言いながら、公文書を組織的とも言える形で改ざんした佐川 前理財局長は停職3ヶ月。その3倍の停職9ヶ月。よっぽど酷いセクハラをしたんでしょうね。セクハラじゃないなら、よっぽど酷い信用を損なう行為について、一定の説明があって然るべきではないですか?

会期末になって文部科学省の局長が裏口入学という受託収賄容疑で逮捕されました。
森友・加計問題も学校にまつわる問題です。学校用地を裏口で安く取得しようとした問題であり、設置認可を裏口で受けようとした問題でありますので、「魚は頭から腐る」という言葉もあるように、総理を見習って裏口入学をしようとしたのかなと疑わざるを得ません。数多いる国家公務委員の中に、残念ながら不祥事を起こす者がいるからといって、内閣の政治責任を問う者ではありません。確かに、たくさんいる公務員の中にある不祥事に対して、いちいち政治責任をとろうとしていたら、どの内閣も1週間も持たないかもしれません。
今回はそういう問題ではありません。安倍内閣発足から5年半。内閣人事局制度を悪用し、官僚人事を占有し、官の世界には安倍一強体制を築いてきた中での相次ぐ不祥事であります。

そもそも、モリカケや自衛隊の改ざん、隠ぺいは幹部公務員による組織的ともいえる大規模な不祥事。そして、いま申し上げた一例を並べるだけでも、末端の公務員の中に不届きな人間がいたという案件ではありません。内閣人事局制度に基づく一元管理下のもとに置かれるような幹部だけでも、これだけの相次ぐ問題を生じさせているのであります。まさに、「魚は頭から腐る」という話の中で官僚システムが崩壊をしているのではないか。そうした状況を1日も早く止めなければならない。官僚の皆さんが官邸を忖度するのではなくて、国民の皆さんの思いを忖度する。それが本来の公務員の皆さんの仕事、役割であり、官邸や与党を忖度せざるをえないような今の政治状況を変える。その中で官僚の皆さんが入省時に思ったであろう「国家・国民のために働きたい」という本来の思いを実現できるような官僚システムを実現するために一刻も早く安倍内閣には退陣して頂きたいと思っています。
結びの言葉
(2:37:39〜2:43:00)
枝野代表:
以上、7項目を挙げました。
まだまだ不信任の理由は数え切れないほどあります。
いずれにしても、この国会は民主主義と立憲主義の見地から・・・

(ざわつく野次に対して)
大丈夫です。さすがに売り言葉に買い言葉はやりませんので。

この国会は民主主義と立憲主義の見地から、憲政史上最悪の国会になってしまったと言わざるを得ません。
それでも、災害対応の見地から不信任の提出にはためらいがあったことを冒頭の話ましたが、災害よりもギャンブル解禁、災害よりも党利党略の定数6増を優先する内閣を信任して災害対応をさせるよりも、そしてウソと誤魔化しと開き直りを重ねる内閣を信任して災害対応をさせるよりも、よりマシな内閣のもとで再出発して災害対応にあたる方が適切であると考えます。

民主主義の本質を理解されない皆さんには、「なんとかに念仏」かもしれませんが、最後に申し上げたいと思います。今のような姿勢で政権運営を続けることは・・・・、今のような姿勢で政権運営を続けることは、もし政治が与党対野党のような戦いであるならば、目先の野党との戦いという意味では成功をしてきたと。これからも一定期間は成功をするかもしれません。そして、政治に権力闘争という側面があり、与党が野党との戦いに勝とうとする。そういう思いを持つことは否定しません。わたくしも権力闘争という側面が政治にあることは否定しないし、そうした側面から与党に勝つために全力を挙げて参りましたし、さらに全力を挙げて参りたいと考えています。

しかし、それは一側面でしかありません。政治の本質は与党と野党の戦いではありません。それは目的ではなく、あくまでも手段であります。権力闘争に勝つという目的のために社会のモラルや秩序を壊してしまう。本来、民主主義の前提として成されなければならない、国会でウソをつかない、国会には正しい文書を出す、情報を隠し誤魔化しはしない。そうしたことを壊してしまったのでは、本来、国民生活のより豊かな暮らし・生活をつくり上げていくという本来の目的に反することになってしまいます。
これ以上、目先の権力闘争ばかりを重視して、国民生活の将来に禍根を残し、ウソや誤魔化しや開き直りを蔓延させて、モラルハザードを生じさせれば、必ずや歴史に断罪されるとわたくしは確信をしております。

第二次世界大戦、日中、日米戦争に至る経緯の中でも、目先の権力闘争には勝ったけれども、結果的に我が国を破滅的な状況に追い込んだ政治リーダーが、残念ながら少なからずいらっしゃいます。
このまま安倍政権の横暴を許していけば、残念ながらそうした道に入り込んでしまい、後戻りが出来なくなってしまうのではないかということを強く危惧をいたしております。
安倍総理もせっかく5年半も総理をやられたんですから、後の歴史に断罪されることがないように一刻も早く身を退かれることをおすすめ致します。

良識ある議員の皆さんが次の内閣改造で
「大臣になれるか」
「副大臣になれるか」
「政務官になれるか」
「次の選挙で公認されるか」
とか、そういうことを頭から取っ払って、自らの信念と歴史への謙虚な姿勢。その歴史というのは未来の歴史に対する謙虚な姿勢であり、保守を称するならば、我が国の過去の失敗の歴史も含めた、我が国の長い歴史に謙虚に向かい合い、この内閣不信任決議案に賛同されることをお願いを申し上げ、提案理由の説明とさせて頂きます。
ありがとうございました。

(枝野氏、すべての演説を終え、前を向いて一礼。後ろの議長席を振り返り、一礼。野党席を中心に万雷の拍手の中、壇上から降りる)