写会人日記

2021年09月05日

ゴクミの助手席

後藤久美子_全日空H03
後藤久美子_車09

わたしの3大トチリ(遅刻)は先に紹介した益川敏英先生撮影、東京での野村萬斎撮影、そしてこの後藤久美子撮影だ。
 28年前の京都…。
 京都全日空ホテルに着いたのは約束の40分遅れ。それまでのわたしの焦り方は尋常ではなく大阪からの道中何度か吐きそうになった。なんせ撮影相手は当代きっての美少女後藤久美子=ゴクミ(19)だ。それになかなか難しい性格と聞いていて、これは撮影は諦めないといけないかもしれない。婦人公論のモノクログラフ5Pどうするのだ。平身低頭でロビーに着いたわたし。出迎えるかのようにゴクミとマネージャーが立っていた。とりあえず謝ろ。「ほんまにほんまにすみません」するとゴクミは優しい声で「どうしたんですか」えっ、怒ってない。こ、これは菩薩にちがいない。拝むような気持ちで、いや実際拝んでいたかもしれない。返した言葉が「お、遅れました!」そんなんわかっとるわというツッコミもなく、寒い思いをしていたわたしに「時間がないので撮影しましょう」とマネージャーの声。そうだこのあと東映京都撮影所で日本テレビ年末時代劇「鶴姫伝奇」('93)の制作発表の会見があったのだ。ホテルの裏庭に回ってフィルムを2本撮ったところで、「一緒に車で行きましょう」とマネージャー。ホテル前に停めてあったプレジデントの助手席のドアを開けて座らされる。運転席には、え、え、え、え、ゴクミ!。後ろの席からマネージャーが「後藤は運転免許とったばかりで、助手席に座るのもあなたが初めて。撮影したいでしょ」したいとかしたくないとか、したいですよそんなもん。まったく。君らなんてええ人なん。ゴクミの運転はうまいもので三条通の狭い道をスイスイ走る。さすがジャン・アレジ、とは思わなくて、それはそう、彼女がジャン・アレジと知り合う2年前のことだ。しばらく「ジャン・アレジより先にゴクミの助手席に座った」と意味わからん自慢話をしてました。
 撮影所手前で運転をマネージャーと交代して、森繁久彌、西郷輝彦、三浦友和らお歴々の待つ会見場に。この日いろんなパターンがいっぱい撮れて、穴開けるどころか編集も大喜びの結果となった。この出来事はわたしをして生涯後藤久美子の大ファンになることを決意させるに十分なものだった。2年後アレジにさらわれるんですが、なんの、この間の『男はつらいよ お帰り寅さん』(2019)までね、ずっと。


psharuky at 01:42 │