2016年06月26日

手作り教材:買い物カード(買い物練習)

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ちょっと算数ネタが続きます。

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娘は、数字だけのプリントよりも、具体物や絵カードを使った算数の方が好きみたいだ。

くもんでも、幼児教材で生き物や果物を数えていた頃は楽しくやっていたが、急に数字だけの無味乾燥な足し算プリントになったとたん、拒否したという経歴があり(笑)数字だけのプリントに取り組めるようになるまでには別途長〜い助走が必要だった。

でも、最終的に娘にやらせたいのはプリント上だけの算数ではない。
その先には、お買い物など実生活で使える算数になってほしいという願いがある。

・・・というわけで、我が家で「お買い物足し算」と呼んでいる活動をときどきやるのだが、娘はやることリストの中から真っ先にやりたがる。
(家庭学習ではリストから好きなものを選んでやっていいことになっている)

<お買い物足し算>


これは、要するにお買い物ごっこをやるのである。

お買い物ごっこに使うのは、写真つき絵カード。
ネットで拾った食べ物の写真に値段をつけただけのもので、ほっと○っと、ガス○、コ○ス、駄菓子の4種類のメニューカードがある。
menu一応調べてだいたい実際本当の値段に近くなっている。ほっと○っとの値段はそのままである。


最初ほっと○っとにしたのは、消費税込みで切りのいい値段だから。(親子丼400円とか和風幕の内500円とか。娘の支援学校でほっと○っとに買い物学習に行くのもその辺に理由があるのかもしれない)

ほっと○っと・ガス○は400円とか800円とかの切りのいい3ケタの値段に設定してある。
駄菓子は30円とか60円とかの2ケタの値段。
コ○スは380円とか420円とかの3ケタの値段。(1の位はなし)
menu4ガス○メニュー。

menu5コ○スメニュー。


活動には3種類ある。

(1)3桁同士、または2桁同士の足し算


お買い物カードからメニューを2つ選んで合計金額を出す活動。
ほっと○っとまたはガス○から2枚メニューを選んで式をたて、合計金額を暗算で出す。
(400+200=とかいう計算になる)
kaimonotashizanこんな感じ。


または駄菓子カードから2枚選んで式をたて、合計金額を暗算で出す。
(50+30=とかいう計算になる)

(2)3桁と2桁の足し算


お弁当またはレストランカードと駄菓子カードの組み合わせで合計金額を出す活動。

最初に暗算でやったときは案の定、ひっかかって300+20=500 とかやっていたので(笑)
hissanこのようなシートを用意。

これで間違えることなく、さっさと答えを出すようになった。
これはそのうち(1)のように暗算に移行する予定。

(3)4つの足し算


4つのメニューを選んでお金そろばんと電卓で合計金額を出してお金を払う活動。
IMG_2314家にはこんなグッズがある。
レジ型計算機、おままごと用買い物かご。


ここで使うのは、難しい方のコ○スのメニューカードだ。
買い物かごに選んだカードを4枚入れ、レジにもってくる。
合計金額をそろばんで出す。
答えを書いてもらう。

そろばんは、ただ操作を覚えているのでできる部分が大きい。
繰り上がるときは「ぴっぽっぱっ」と掛け声をかけている(爆)
(そのときテキトーに思いついたもの^^;)
「ぴ」で次の位の1を入れ、「ぽ」で5の玉を払い、「ぱ」で下の1の玉5つを払う。
これで次の位の1を入れ忘れるのを防ぐことができるのだ^^;

「じゃあ合ってるか確かめてみよう」といって電卓を入れてもらう。
電卓は大好きである。
合計金額が合っていることを確かめ、時間があるときはその金額を払ってもらって終了。

ゆくゆくは店員さんの役になってもらって、電卓でおつりを計算してその金額を渡してもらうのをやりたいと思っている。(いつになるか・・・)

<20+30や200+300の暗算への道>


ところで、3+5=8が暗算でできるから30+50=80や300+500=800が暗算でできるのではないかと思ったのだが、それは大人の考え方であった。(笑)
zero3いつもやっているなじみのプリントにゼロがjひとつついただけで、娘にはまったく知らない、難しそうな足し算に映ってしまい、わからなくなってしまう。


zero2>
そこで、これまでの足し算プリントに、目の前で手書きでゼロをつけていった。
(これはマウスで書いたものだが)


つまり、元の足し算プリントに、ゼロがついただけですよというのがわかるようにである。
手書きでゼロを書いてやればわかるのに、印刷してあるとわからなくなる。
(前にやったこととつながらなくなってしまう)
こんなちょっとの違いで、できるできないが分かれる娘なのであった。

あたまの数字を足して、ゼロの数を最後につけたすことで、その暗算ができるようになった。

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まあ、電卓があるから、そんなに計算力をつける必要はないとは思っているのだ。
ただおおよその数(金額)のイメージはもたせたい。
(それが難しいんだけど・・・)
たとえばお店で200いくらの商品と300いくらの商品を買ったら、合計がだいたい500いくらで、1000円あれば足りるなとか、そのくらいのことが暗算でぱっとわかるようになったら便利だろうと思う。

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2016年06月20日

繰り上がりの足し算・うちのやり方

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答えが10までの足し算の暗算ができるようになったのは二年生の秋。

三年生の春、ようやく繰り上がりの足し算が(道具なしで)自力で解けるようになった。
ひとりひとり、その子に合った方法は違うと思うが、こんなやり方もありますということで我が家の場合をご紹介する。

<具体物で操作していた頃>


繰り上がりについては、これまでいろいろな具体物を使ってたくさん操作してきた。

娘お気に入りの、11ぴきのねこバス。
kuri108+3。
バスに猫を8匹乗せてもらう。「にゃ」とか効果音をつけたり、マグネットがひっくり返ったら「前が見えな〜い」とか言うと大喜び。(笑)
そこに「のせてのせて〜」と猫が3ひきやってきました。

kuri112匹乗って10匹になったらしゅっぱーつ。10のおへやへ。
「まって〜!」乗れなかった1匹がいるから、11。


お金そろばんや位取りバーを使っての、お金と両替えの概念を使っての操作。


kuriagari08

位取りバー。
8+6なら、8に一枚ずつ足していって、
10枚になったら10円玉と両替え。
残りを足していって、14。

他にもブロックや自分の手などを使ってやってきた。

概念を教えるために道具を使ったが、このままだとその道具がなければ計算できないので、紙の上でできる方法を考えた。(ひとつのやり方だけでそれを一般化するのは難しい娘なのだ)
繰り上がりの計算はできなくてもいいと思っていたのだが、お買い物カードで暗算で合計金額を出していると選んだカードによっては繰り上がることがよくあり(笑)できた方がいいなと思っていたのである。

<さくらんぼ算より簡単で、数え足しより高度な方法は・・・>


sakuranbo以前も書いたが、現在小学校で教えている繰り上がり足し算のやり方は、さくらんぼ算というものだ。
5を7の補数と残りの数に分解し、10と2を足して12というやり方である。
(私たちが小学校の頃はこういうやり方はしなかった)


これは、計算する途中に引き算(の暗算)が入っているので、娘には難しいと考えた。

もうひとつ、数え足しという方法がある。
kazoetashi7+5だったら、小さい方の○を書き、ひたすら「8.9,10,11,12」と数えていくやり方である。
これなら、数さえ数えられれば答えは出せる。(これなら、去年からできてはいた)


しかし、「繰り上がり」という概念は、「10になったよ」ということを意識させるやり方である。
数を順番だけではなく、数量として考えるとき、10のまとまりで考えることができるようにしたい(実生活で使えるようにするためには)と思ったので、上のふたつのやり方の中間のやり方でこんなふうにしてみた。

jikoryuうちのやり方。
7にあといくつ足せば10になるのかを考え、それを丸でかこって10のまとまりを作る。残りは2個だから10+2=12。
これだとぱっと見て数字がわかるので、答えが早く出せるメリットもある。

まあ、結果的にさくらんぼとやってることは同じような感じだ。
でも引き算をしなくても「見て答えがわかる」というメリットがある。

これで、繰り上がりの計算がさっさとできるようになった。
10までの足し算のときも、最終的にはドットが(娘には)一番わかりやすかったのだが、そのうちドットを書かなくても頭の中で数え、やがては答えを覚えてしまって暗算に至った。
これもそのうち、繰り返すうちに答えを覚えてしまうのではないかと思う。

もちろんこのやり方でできるようになるまでにはスモールステップの道筋があった。

<繰り上がり計算までの道>


(1)あといくつ足せば10?
hosuuこれは以前、10の補数パズルというのをやって、補数を暗記した。

そして7+3=10などの計算は、暗算でできる。
ただ・・・それができるからといって、「7にあといくつ足せば10?」がわかるかというと、それは別物なのだ。(笑)
パターンだけで暗記している娘であるから。
質問の仕方が変わるとわからなくなってしまうのだ。

kuriagari02そこで、こんなプリントを作った。
正しい数字を選ぶ。


(プリントはクリアファイルに挟んで、ホワイトボードペンで上から書き、同じプリントを何度もできるようにする)
何度かやると、「ああ、補数パズルでやったあれか」というのがつながった。
つながると、すぐに選べるようになった。

(2)10のかたまりを作ろう
ちゃんと選べるようになったら、次はこんなプリント。
kuriagari0310のかたまりをつくる練習だ。
数字と、●の数を合わせて10にする練習をする。
これも何度もやっていくうちにできるようになってきた。


(3)10と(   )でいくつ?
次は、10と●●●で13、とかいうのがすぐできるようにならないといけない。

kuriagari04こんなプリントで10+の足し算をおさらい。


(4)ドットつきの問題を解いてみよう
kuriagari05はじめからドットがついているプリントを用意。


9といくつで10、というのを思い返し、丸をつけて、残りの数を足す。
娘は不器用で、丸をつけるのも大変なので、問題と問題の間をあける。
A4プリントに6問くらいがちょうどよい。

(5)ドットを自分で書いて解く

kuriagari06今度は自分でドットを書いて解く練習。
やはり不器用なので、A4プリントに6問くらいにしてスペースをあける。


kuriagari07慣れてきて、くもんのプリント(A5サイズ(A4の半分)に11問という狭いスペースでも、できるようになってきた。


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娘はけっこうドットの方が合っているようだ。
でもやっぱりプリントばかりやっていると、機械的なパターンばかり覚えてしまい、たとえば引き算をやると

machigaiこんな間違いをしてしまったりしたこともあった。
(確かに両方似ている。○を消して残りが2だから、12とやってしまったり)

最初に3つを囲った意味を忘れてしまったのである。
だからときどき、猫バスに戻ったり、ブロックに戻ったりして、具体物の操作と紙の上を行ったりきたりして、このふたつがつながるようにしている。

娘の(そしておそらく多くの知的障害のある子の)算数の特徴は、ひとつひとつの知識が断片的にとどまっていて、実生活への一般化・応用が難しいことだと思う。

たとえば時計の読みプリントの答えはかけても実際の時計を見て動けなかったり。
紙の上(プリント)でやったことと実生活での場面が別物になってしまう。(つながらない)

特別支援学校・学級で生活単元の学習が多いのは、学習が紙の上にとどまって実生活に応用できないと困るからなのだと思う。
うちは掛け算割り算はやる予定はない
(たぶん娘にとっては微分積分のようなもので、やったところで使えない)

足し算は、使えると思うからやっているので、やるからには使えるレベルまでもっていきたい

そして時計とお金の他には、長さや重さや量をはかることをやりたいと思っている。
料理をするとき、カップ何杯とか、1500mlとか、そういうのが出てくるので、わかるようにしたいのである。

お買い物カードについては、また。

pumpkin1205 at 06:07|PermalinkComments(4)TrackBack(0)││算数 

2016年06月15日

発音練習の成果(動画)

発音向上のために目次はこちら


これまで出せなかったタ行の音(「た」と「て」)がきれいに出せるようになりました。
(当社比)



https://youtu.be/iuFM_4kAbwk

「と」は口をすぼめる音のため少し難しいので、ただいま練習中です。

「てぃ(ti)」と「とぅ(tu)」の音は日本語にはなく、「ち」と「つ」はまた出し方が違うので、「た」「て」「と」の次はカ行の練習に入ろうかと思っています。

本人も、こうやって出すとちゃんとした音が出せることがわかったようで、
日常会話の中でも「あけて」「てつだって」「ありがとう」などというとき、タ行のところにくると練習した通りの口の形で発音しようと努力している姿が見えます。

これが関係しているかどうかはわかりませんが、最近の娘はしゃべることに自信がついてきたようです。

タ行の発音練習について過去記事はこちら。
発音練習についてその2
タ行の発音練習その後〜(ちょっと)できるように!〜
舌先を動かす訓練ツールの使い方


2016年06月11日

手作り教材:時系列四コマ絵カード(お話づくり)

国語 目次はこちら

手作り教材・おもちゃ目次はこちら

自作絵カード置き場 目次準備中

前々から作りたいと思っていた時系列四コマ絵カードを作ってみた。

今回は高1の姉ちゃんが絵を描いてくれました。(^^)
(クリックで拡大)

asanoshitaku01asanoshitaku02

asanoshitaku03asanoshitaku04


ringojamu01ringojamu02

ringojamu03ringojamu04


論理的に考え、ストーリーを組み立て、ことばで表現する練習だ。

娘にさっそくやらせてみた。
絵カードを、ストーリーの順番に並べてもらう。
jikeiretsuこんな紙を作って、順番にカードを置いてもらった。

時系列にカードを並べるのは、娘にはとても難しい様子だった。
ヒントを出しまくりながらようやく並べた。
これは何度もやると順番を覚えてしまうので、同じのは忘れたころにやるとして、また違うカードで練習したい。

そして、絵を見てお話を作ってもらうのだが、娘にとって口頭でしゃべるのはハードルが高いので、文を書くという形にした。
sakubunあいかわらずの字だが。(笑)


娘の作った文。↓
「あさおきる。」「かおをあらう。」「ふくをきる。」「がっこうに行く。」
「木にりんごがなっている。」「りんごをとる。」「りんごのかわをむく。」「いちごジャムができました。」


最後の一文でずっこけた。(笑)
いちごジャム!?やっぱりストーリーがわかってないな。
ドラえもんの漫画をよく読んでいるけど、ストーリー理解できているのかな?^^;

こちらはまだやってないもの。
tulip01tulip02

tulip03tulip04

チューリップの芽はこういう形じゃないですね・・これは下書きをした母の調査不足です(^_^;

ensoku01ensoku02

ensoku03ensoku04


市販品もあるようだ。
(私は買ってないけど)
こぐま会 おはなしづくりカード
http://www.kogumanet.com/shopdetail/008004000002/

この時系列カードを作ろうと思ったきっかけは、もう何年も前に読んだ『数字と踊るエリ』(矢幡洋著)という自閉症のある娘を育てた父親の療育記録に載っていたからだ。


賛否両論ある本のようだが、中に載っていた療育方法はいろいろと参考になった。(我が家でもやったものもある。たとえばおやつをあちこちに隠しておいて、おやつさがしゲームをしたり。
「いすの下にあるよ」「上から3番目の引き出しにあるよ」とかヒントを出して、ヒントを頼りに見つける、など)

*            *              *

高校一年になった姉ちゃんは、難しい年頃を抜けてきたのか。以前より会話をするようになった。

hikaku(上)こういうの描いて、とお願いすると
(下)こういうのになって返ってくる。(笑)


姉ちゃん、ありがとね。(また続編があったらアップします)

2016年06月09日

ダウン症の認知機能向上に緑茶!?(長文)

ダウン症関連論文目次はこちら

【追記】元論文のリンクを貼り直しました。(笑)
【追記2】情報を追記・修正しました。有料記事の内容が別記事6)で確認できたので計算しなおしました。


Yahoo!ニュースで見かけたこの記事。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160607-00000019-jij_afp-int

ネタにしよう!と思い(笑)、さっそく元論文をあたってみた。

↓これが元論文。(論文A)(全文は有料)
http://www.thelancet.com/journals/laneur/article/PIIS1474-4422(16)30034-5/fulltext

↓こちらは同グループが発表したひとつ前の論文(論文B)。全文が無料でネット上で読める。
http://www.sindromedown.net/wp-content/uploads/2016/01/2014_Epigallocatechin-3-gallate-a-DYRK1A-inhibitor-rescues.pdf

論文Aの概要は以下の通り。
84名のダウン症者(16歳〜34歳)を2グループに分け、Aグループにはカフェインを抜いた緑茶サプリ(EGCG(今回のターゲットサプリ)が45%含まれる)を飲んでもらいつつ知能訓練を12か月間行い、Bグループには同サプリと同じ見かけの偽薬を飲んでもらいつつ同じ知能訓練を12か月間行った。
3か月後、6か月後、12か月後に知能検査を行った。
その結果、ほとんどのカテゴリーでは知的能力の向上が見られなかったが、図形の形を覚えるテスト、語想起テスト(動物なら動物の名前をできるだけたくさん言って(書いて)もらうなど)、適応行動、の分野ではA群の方がB群よりも高かった。期間中両群に有害な事象の報告はなかった。また、回を追うごとに成績はよくなっていた。


<はじめは興味薄だったが・・・>


以前のダウン症治療薬の話でも出てきたように、少しばかり記憶力を向上させるだけの効果なら、個人的にはあまり興味がない。

娘は比較的記憶力のよい方だし、自閉症の子にはかなり記憶力がいい子、いや、よすぎる子がたくさんいる。

しかしそれが彼らの幸せに必ずしも結びついていない
嫌なことがあってもそれを忘れることができない。
フラッシュバックといって、過去に終わったはずの出来事が今目の前で起こっているかのようにリアルによみがえってきて苦しむこともあるのだ。

忘却というのは人間にとって恵みにもなるのである。

しかし調べていくうち、これは記憶力を少し向上するとかいう話だけではなく、ダウン症のある人たちの将来のquality of lifeにかかわる話だな、と感じるようになり、急に興味が沸いてきた。
それは、この論文のテーマからは外れるが、アルツハイマー予防につながる話だということがわかってきたからだ。

調べてわかったことを書いてみたい。

<アルツハイマー研究から浮上してきたある物質>


アルツハイマーはダウン症があってもなくても人が晩年なりやすい認知症のタイプである。
ただダウン症のある人の方が、年齢的に早くスタートしやすい。

アルツハイマーの原因がわかれば治療法も見つかる。というわけで、アルツハイマー患者と同じくらいの年齢の健常者の脳とを比較した研究などが、盛んに行われている。

その中で浮上してきたのが、DYRK1A(二重特異性チロシンリン酸化調節キナーゼ1A)という物質だ。(酵素である)

日本で行われた研究では1)、374名のアルツハイマー患者と375人のそうでない人(対照群)の脳を比較した。
すると、アルツハイマー患者の脳、特に記憶力をつかさどる脳の海馬と呼ばれる部分にはDYRK1Aという物質が非常に多くなっていることがわかったのである。このDYRK1Aが増えるとアルツハイマーの原因とされているタウタンパク質のリン酸化を招くこともわかったのだった。

要は、DYRK1Aは、アルツハイマーの原因物質(のひとつ)かもしれないということ。
(いくつか説があるので。)
ただし、DYRK1Aも本来は必要な物質で、脳の成長を制御する働きをもち、この発現が足りないと脳のサイズが小さく生まれたり(小頭症)、知的障害、言語障害を起こしたりもするそうだ。(1b)多すぎても少なすぎても知的障害って・・・難しいものである。

そして残念なことに、このDYRK1Aを発現する遺伝子は、21番染色体上にあるのだ。^^;
そこでダウン症のある人の脳を調べてみると、 DYRK1Aの発現量が通常の1.5倍になっていた。2)
ダウン症の人って、いろいろなものが1.5倍になっているのよね・・・(´・ω・`)

(追記:ちなみにアルツハイマーの原因物質とされるものにはアミロイドβたんぱくもあり、その前段階の物質、アミロイド前駆体タンパクを作る命令を出す遺伝子がこれまた21番染色体にある。(´・ω・`))

しかし不思議なことに、ダウン症のある人のほとんどが40歳までにこうしたアルツハイマー型認知症によく似た脳の状態になるけれども、認知症を発症する人は一部なのである。(脳がそのような状態になっても認知症を発症しない人たちもいる
その謎はまだ解明されていないようだ。
発症の手前で止めるようなメカニズムがあるようなのでそれがわかると予防につながりそうだ。

ともあれ、上のように、 DYRK1Aが増えるとタウタンパク質のリン酸化が進み、脳神経線維を変質させるので、だからダウン症のある人はアルツハイマーになる年齢が早まるのでは、と考えられるのだ。3)

<DYRK1Aの働きを抑える物質とは?>


3本ある染色体を2本にできない以上、DYRK1Aの発現量を減らすことはできない。
だったらその働きを抑えれば、結果としては同じことになる。

そこで、DYRK1Aの働きを抑える物質の解明が進んでいて、候補がいろいろあがっているようだ。
そのひとつがハルミンという物質である。4)
自然界に多く存在しているらしい。

そして、今回の、緑茶に含まれるEGCG(没食子酸エピガロカテキン)もそのひとつである。

<何を、どのくらい摂ればいい?>


さて、EGCGであるが、論文にあるくらいの効果を得るには何をどのくらい摂ったらいいのだろうか。

上記論文では、EGCGの平均摂取量は一日9mg/kg、つまり体重1kgにつき9mgということになる。
体重50圓凌佑覆薜貽450mgだ。
お子さんの体重で計算すれば摂取量がわかる。

ただしこれはEGCGの摂取量であって、カテキン全体の摂取量ではない。
(カテキンにもいろいろあり、カテキン量イコールEGCG量ではないのだ)
EGCGは全カテキンの約60%だそうだ。
ということは、計算すると、100:60=x:450 x=750mg で、EGCGを450mg摂るにはカテキン自体は750mg摂取する必要があるということだ。

http://www.oralstudio.net/stepup/column/col002_007.php
こちらのサイトから算出すると一日に必要な量は

お〜いお茶なら500mlペットボトル1本にカテキン180mgだから4.16本。(笑)
伊右衛門も同じ。
生茶  500mlペットボトル3本。
「お〜いお茶濃い味」 500mlペットボトル1.6本
「伊右衛門濃いめ」500mlペットボトル2.08本
「ヘルシア緑茶」350mlペットボトルを1.38本


・・・となる。

ちなみにこのサイトによると、
・自分でいれるお茶は時間とともにEGCGが化学変化を起こして含有量が減っていくのでいれたてを飲む
・抽出時間が長いほどカテキンが出るので3分くらい抽出する
・ペットボトルのお茶は成分を安定させるためのものが入っており、時間がたってもカテキン含有量が変化しない

・・だそうなので、ペットボトルがいいのかもしれない。
だが、まあ娘がこんなに飲むのは無理である。(笑)
特に緑茶は苦みがあり、カテキン含有量がダントツに多いヘルシアなどは、私は飲んだことないけどかなり苦いものらしいし。
そんなに飲めないならサプリということになる。

あと、上記論文Bには、3か月間サプリをとって、サプリ摂取を中止したらまた効果がもとに戻ったと書いてあった。
飲んでいる間だけの効果なので、一生飲み続けないといけないわけだ。
(何か月か飲んだら、やめても認知機能が上がったまま、とかいうことはない)
また、成分を濃縮したサプリは副作用が心配である。

<緑茶カテキンの副作用>


濃縮した緑茶サプリの副作用報告の論文はいくつもある。5)
もちろん、普通にお茶を飲んでいる分には特に害はないわけだが、それだと効果も見られないわけで(笑)、成分を濃縮したサプリとなると効果が大きい分弊害も大きくなる。

最大量を摂取すると軽度から中度の毒性(消化器官、神経、心血管系)が見られたという。
大量摂取による肝障害(急性肝炎から急性肝不全まで)の報告も多い。
2008年米国薬局方協会の栄養補助食品専門委員会は緑茶サプリによる肝障害の34件の報告のうち27件は「サプリが原因かもしれない」7件については「おそらくサプリが原因」としていて、緑茶サプリが肝毒性がある可能性を示唆している

肝臓障害のリスクのほかに、今飲んでいる薬の効果を減らす危険、
他の薬草などと併用すると害が出てくるリスクなどが書かれている。

そういえば子供の頃、薬を飲むとき、お茶で飲んじゃいけないってよく言われたものだ。
お茶が薬の効き目を変えることがあるからということだった。(お茶に含まれるタンニンの効果)

また主な副作用はカフェインの過剰摂取によるもののようだ。
それならカフェイン抜きの緑茶飲料を作ればいいのではと思われるかもしれないが、どうも緑茶効果にはカフェイン成分も必要らしい。
ひとつの成分だけを抽出した濃縮サプリよりも緑茶の他の成分も一緒になった方が効果があるようなのである。
(追記:論文Aはカフェインを抜いたサプリでも効果が見られたようだ。)

また、EGCGは摂取したとしても体の中で利用される率が低い。ゲニステイン(大豆などに含まれる)がEGCGの身体での利用効率を高めるとも書いてあったが、このふたつを併用するとガンを促進する作用もあるらしいし。(笑)
また緑茶は鉄の吸収を悪くするので貧血の人は注意である。

・・・というわけで、なかなかうまくいかないものだ。(^_^;

上記論文Bにはひとり脱落者がいて、興奮性が増したためサプリを中止したそうだ。
他は副作用はなかったが三か月だけの話なので長期の摂取となるとわからない。
(論文Aは12か月摂取しており、副作用は出なかったようだが)

ただ上に書いたようにEGCGの効果は一時的なものなので、副作用が出た場合もいずれも服用を中止したら回復したということだ。
だから服用しながら肝機能や貧血検査なども定期的に行い、数値が悪化したらとめる、ということでもいいのかもしれない。

また、論文Bには被験者は調査期間中、葉酸と生野菜を避けるように指示されていたということで、これはどういうことなのかと思いネットで調べてみたが、どうやらEGCG単独の効果をはかるためということらしく、特に葉酸と生野菜がEGCGの効果を邪魔するとかいうことはないみたいだ。

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論文Bでは、EGCGサプリを飲むグループと、それとそっくりな見た目のプラセボ(偽薬)を飲むグループとに分け、ダウン症者本人および親には自分がどちらのグループに振り分けられたかは内緒にしていたのだが、3か月の試験後に親をインタビューしたところ、ほぼ全員が、自分がどちらのグループに分けられたのか正しく言い当てられたそうだ。
つまりそれほど、カテキンの効果は大きかったのである。

効果が大きければ副作用のリスクも大きくなる。
効果が果たして副作用のリスクをおかすだけの価値があるものなのか、またその効果がなければどうしても本人が生きにくくなってしまうのか、その辺の判断ということになるだろう。
(じゃあ一日一杯緑茶を飲ませるようにしよう、くらいでは効果がないので)

最初に書いたように、記憶力向上くらいでは個人的には娘には試さないと思う。
しかしアルツハイマー予防となると、どうかな。
少なくとも娘が大きくなって、脳機能が低下してきた!?と思われるようになったら、このときの記事を覚えておいて、医師と相談してサプリなど試してみるかもしれないと思う。

ともあれそんなわけで、もしサプリを飲ませるのであれば一日量を超えないように(子供の体重で計算)、そして一度にとるのではなく一日に何度か分散して摂取し、血中濃度が急にあがらないようにするのがいいのかもしれない。
(間は4〜6時間あける。一日500mg以上とらない。(大人の場合。子どもはもっと上限は低い)

<注>


1)Kimura R, et al. The DYRK1A gene, encoded in chromosome 21 Down syndrome critical region, bridges between β-amyloid production and tau phosphorylation in Alzheimer disease. Hum Mol Genet. 2007 Jan 1;16(1):15-23. Epub 2006 Nov 29.
http://hmg.oxfordjournals.org/content/16/1/15.long
(全文が無料で読めます)

1b)Jianling Ji, et al. DYRK1A haploinsufficiency causes a new recognizable syndrome with microcephaly, intellectual disability, speech impairment, and distinct facies. European Journal of Human Genetics 23, 1473-1481 (October 2015) | doi:10.1038/ejhg.2015.71
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25944381

2) Dowjat WK, et al. Trisomy-driven overexpression of DYRK1A kinase in the brain of subjects with Down syndrome. Neurosci Lett. 2007 Feb 8;413(1):77-81. Epub 2006 Dec 4.

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0304394006012304

3)Ryoo SR, et al. DYRK1A-mediated hyperphosphorylation of Tau. A functional link between Down syndrome and Alzheimer disease. J Biol Chem. 2007 Nov 30;282(48):34850-7. Epub 2007 Sep 28.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17906291

4)Bain J, et al. The specificities of protein kinase inhibitors: an update. Biochem J. 2003 Apr 1;371(Pt 1):199-204.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12534346

5)Schonthal AH1, et al. Adverse effects of concentrated green tea extracts. Mol Nutr Food Res. 2011 Jun;55(6):874-85. doi: 10.1002/mnfr.201000644. Epub 2011 Apr 29.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21538851

記事が有料で全文が読めなかったので、この論文内容を紹介した別記事を参照しました。

http://cms.herbalgram.org/herbclip/457/061237-457.html?ts=1465339631&signature=0305a35813775c831a6acc1cc243ce34&ts=1465398853&signature=8a23a5185d72145b8773e152ad5815cd

6)英国のThe Telegraph Newsより。
http://www.telegraph.co.uk/news/2016/06/06/downs-syndrome-can-be-treated-with-green-tea/