2016年05月16日

ST(言語療法)の先生にお願いしたいこと

発音向上のために目次はこちら


発音向上とは直接関係ないですが、番外編ということで。

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我が子のことばについては、ママ仲間みんな関心が高い。
会ってランチしたりすると、「STどう?」とかいう話にもなる。

そして、愚痴で盛り上がったりもする。^^;
中には、「行っても意味ないからやめたよ」という人も少なくない。

仕事を調整して休んで、子供も保育園や学校を休ませて、お金を払って受けるST。
(うちは一回1600円)
誰しもなんらかの収穫を得て帰りたいと願うものだ。

それが・・「これってやって意味あんの?」と思うようになったら。
でも、すっぱりやめるのも心配で(そうなると、我が子のことばの面を見てくれる人は誰もいなくなるのだと思うと)結局もんもんとしながらも通い続けることになる。

これまでの自分の体験や他のママからのお話を合わせて、STの先生にお願いしたいことを書いてみたいと思う。
もちろん、すべてちゃんとやってくださっている先生もたくさんいるだろう。
もしかしたら、図々しいお願いも混じっているかもしれない。

だがもし、たまたまここを見てくれている人がいて、どれかひとつでもあてはまることがあって一考していただけたなら、書いた甲斐があるというものだ。

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(1)準備してきてほしい


何人かのママと「そうだそうだ」と意気投合したこと。

私はこれまでいろいろ教える仕事をしてきたが、学生時代のバイトの家庭教師も含め、事前の準備なしで臨んだことは一度もない。
必ず、「この時間でこれは身に着けてほしい」という思いをもって臨んでいるのだ。
だいたい、教える仕事の時給が高いのは、事前準備も含まれているからである。
常に、「どうやって教えようか」と考えていなければならないし。
そこが、私の今の時間給の仕事との違いである。(笑)
(ふらっと出かけてその時間だけがんばればあとはまったく仕事のことを考えなくてもよい)

しかし、先生がやってきて、「えーと、今日は何をやろうかな〜」といって、「ちょっとまってて」といって、教材をそろえにまた部屋を出て行く。(すでに開始からだいぶ時間がたっている)

そして途中また、「そうだ」と言ってまた教材を取りに行く。

教えるのに、テンポって大事だと思うのだ。
その間が空くことで集中が途切れ、また間延びしてしまう。

事前にそろえてきてほしい、と思ってしまう。
たまたまならば仕方がないと思うけれど。
それにもちろん、その場でその子の様子を見ていて、ちょっと内容を変更しよう、とかそういうのは全然アリなんだけど。

全然準備してきていない、というのはどうなんだろうと思うのである。

(2)長期の計画を立ててほしい


(1)にも関係したことなんだけど、毎回行き当たりばったりというのは困るのである。

支援学校でも支援学級でも、支援計画というものが存在する。
長期的に、ここまでのことができてほしいという目標があって、そのためには今の時期こういうことが必要なので、だから今日はこれをやっています、というのが、STにもあってほしいのである。

親の、STにかける期待は大きい。
この時間だけなんとかやり過ごすのではなく、未来の目標につながる今日であってほしいのである。

(3)親に説明を。


(2)にも関係しているんだけど、「これやって何になるの?」というママはけっこういるし私も思うことがある。
しかし親は素人だから、STの先生は専門知識に基づいて、今これが必要だからやっているのかもしれない。
だったら、それを親に説明してほしいのである。

今や薬だって、医者が処方したものを「さあ飲め」という時代ではない。
この薬はこういう効き目があって処方しているんですということを説明することになっている。
どんな商品だって、消費者が納得して買うように説明書きがある。

長期計画に基づいて、○○くん(ちゃん)はこういう力を伸ばす必要があります、そのためには今こういう力が必要なので、そのためにこれをやっているんです、という説明がほしい。

それがないから、親が「やって意味あんの?」と思ってしまうのである。

支援学校では、個別学習の内容について、私は疑問があれば連絡ノートに書いている。
(その日にやった内容を毎回持ち帰らせてもらっている)
その返事で、「なるほど」と思い納得することは何度もあるし、また書いたことによって内容の方向を変えてくれたこともある。
本当はSTの先生にもその場で聞けばいいのだが、聞けない親の方が多いだろうと思う。
(連絡ノートなどがあれば別だけど・・・)
だから先生方には、意識して、親に説明をしていただきたいのである。

(4)記録してほしい


私は教員のとき、授業が終わったら、そのクラスがどこまでやったか、ちゃんと書いておいた。
次回、だぶって同じところを2回やらないためである。
まあやってない先生はいないと思うけど。(笑)

しかし、STの先生が毎回毎回延々と同じことをしている、という愚痴はよく聞くし私も心あたりがある。
もちろん、できてないからできるまでやる、ということなら話はわかるのである。
完璧にできているのに、またそれ?みたいな。(笑)
(しかもなんのためにやるのかわからないという・・・)

いや、素人の親から見てできていても、何か先生の目から見てもっと求めるべきものがあるのかも。
(完成するまでの速さとか。あるいは、簡単にできる課題を混ぜておいてほめられてモチベーションアップ!とか。)
だったら、(3)に戻るが、それを説明してほしい

いや、実際は、今日はこれとこれをやって、これができていました、これはあと一歩です。だから、次回はこれをやります、というのをメモってないだけなんじゃないの?と疑ってしまうのだが・・・。

(5)個別に合わせた内容を


一対一のセッションなのだから、当然、内容はひとりひとり違うはずである。
その子に合わせた内容であるべき。

でも、全然その子を見ていない、ということが時々起こりうる。
数年前にできていたことを延々とやっていますが、本当にこの子を見てますか?みたいな・・・。

これも、その都度セッションの記録をつけていただいていれば防げると思うのである。

(6)発音に関することをやってほしい


これは、ダウン症の子をもつ親の、切なる願いなのである。
なにかひとつでもいい、せっかくSTに来たんだから毎回、発音に関することを盛り込んでほしいと思っているのだ。

でも、「今日も絵カードとりか〜」(もうとっくに全部とれてる絵カード、今日もやるの?)みたいな。(笑)

文字とか、数字とか、パズルとか、図形遊びとか、そういうのをやってくれるところは他にいくらでもある。
何より学校でやってくれるし、なんならくもんとかに通えばいい。

STに親が望んでいるのは勉強でも知育でもない、「ことば」なのだ。
そして学校もくもんもできない、言語療法でしかできないのが、「発音」分野なのだ。
それをやらなくてなんのためのSTぞ。

風船ふくらますでもティッシュをストローで吹くでもお水ぶくぶくでもなんでもいい。
(もちろん、何のためにやっているかの説明はお願いしたいが)
「発音につながる何かをやった」という満足感を得て帰りたいと思うのである。

(5)宿題を出してほしい


全員ではないかもしれないが、家で取り組めることがあればしたいと思っている親もいる。
一か月に一回STに通ったからって劇的な発音の向上が望めるわけでもないことくらいはみんな承知していると思う。

STの先生に、全体を見据えたその子用の長期的な計画を立てていただき、今やるべきことを割り出して、これを次回まで家で取り組んできてくださいと言われれば、喜んでやる家庭もあるだろうと思う。

少なくとも、宿題がほしいかどうか聞いていただければいいのだが。

*            *              *

障害のある子の親は、我が子のことについて取り組まなければならないことがいろいろある。
STの先生に、ことばの面・発音面だけでも丸投げできたら、親の負担が大きく減ることになる。
(丸投げといっても、家で何もしないという意味ではない。頼りにしたい、引っ張ってほしいという意味で)

・・・以上がSTの先生にお願いしたいことである。
(娘のこれまでのSTの先生や見聞きした先生のことを全部合わせて書いてます。念のため、(笑)

2016年05月15日

自主通学への道その4:電話での会話練習

思春期・将来目次はこちら


自主通学への道シリーズです。

毎週一回、路線バスを利用して登校しているが、様子についてはまた。
今回は、電話練習のことを書こうと思う。

やはり何かあったときのことを考えると、ひとりで行動するには携帯の使用が不可欠だと思う。

そこで、電話での会話が全くできない娘に電話での会話練習を行った。最初はまったくダメだったが、練習するにつれ、できるようになってきた。

うちの場合何かを習得させようとするときの方法はふたつだけ。
(1)スモールステップで
(2)はじめは補助付きで、できるようになったら徐々に補助を減らしていく

勉強でもなんでも、基本このやり方である。

<なぜ娘は電話での会話が苦手なのか>


同じダウン症のあるお友達でも、ごくごく小さいころから電話で会話したり、おしゃべりとはいかなくても聞こえてくるお父さんとかの声にうんうんとうなずいたりしている子はたくさんいる。

一方娘は小さいころから電話遊びということをしたことがない(できない)。
(小さいころしまじろうには電話ごっこができるおもちゃがついてきたが、ひたすら繰り返し繰り返し再生するだけでしまじろうからの質問はガン無視、笑)

発達検査などでは、社会性(対人関係)の欄に「電話ごっこをする」という項目があり、これができれば2歳〜2歳3か月程度の社会性があることになっている。

もうすぐ9歳という時点でも、娘はここがずっと×のままだった。

これも自閉ゆえなのか?と思い調べてみると、やはり自閉症の子は電話での会話が苦手という記事がいろいろ出てきた。

電話というのは、相手の姿が見えない。
そこで、電話の向こうには人がいる、ということを理解するには想像力が必要になってくる。
見えない相手の姿を思い浮かべ、音声だけを頼りに会話をしなければならないというのは、視覚優位の自閉症の子の苦手分野なのだろう。

しかしどうやら、自閉症の子も練習すれば電話での会話ができるようになってくるらしいので(でも練習しないといつまでたっても難しい)、希望がもてた。

STなどでは電話練習などはしないが、本当はした方がいいみたいだ。
電話は生きていくのには大事なスキルなので、支援計画に含めて系統的に練習した方がいいと書かれていた。
特に自閉症の子は、繰り返し繰り返し練習する必要があり習得に時間がかかるため、8歳〜9歳ごろから電話練習をスタートした方がいいらしい。
今の娘の時期がちょうどそのときである。

<娘の電話練習方法>


まずは、家の中で、ほしいものを電話で注文してもらうことにした。
(モチベーションをあげるため)

旦那が台所にいる私に携帯電話をかけてから娘に手渡し、娘が携帯電話に向かってほしいものを注文するのである。

最初はまったくダメだった。^^;
電話に向かって決して声を出そうとはしないのである。

旦那と共に原因を考えてみた。
(1)携帯から私の声が聞こえてきても、今リアルタイムに自分が話しかけられていることがピンとこないのでは(音の出るおもちゃやYoutubeで聞こえてくる声と同じようにとらえているのかも?)
(2)そこにいない相手を想像して会話をするのは娘には高等わざ。(ごっこ遊びが苦手な娘なので)
(3)何を言ったらいいのかわからない


●目の前から少しずつ距離を離す
そこで、リアルタイムに実際に話しかけられていることが理解できるよう、娘の目の前に立って携帯からしゃべってみた。
すると、目の前に私がいるので「ヨーグルトください」などと普段のように要求できた。
すぐにほしいものを出す。
これを何日も続け、私が娘から少しずつ遠ざかって電話でしゃべり、部屋から体半分見えた状態でしゃべり、しまいには部屋から姿が見えなくなった状態でも注文できるようになった。

●会話の台本を用意する
上と並行して、何を言ったらいいのかわからないことの解決法として、電話での会話の台本を用意してみた。
ネットで調べたところ、自閉症の子に電話スキルを教えるには台本を用意するケースがほとんどのようだったからだ。
(娘は、会話は苦手だが、書かれていることを読むのは自信をもってできる)

「もしもし」に始まり、書かれていることを読み上げれば会話が成り立つようにするのである。
台本は電話のそばに貼っておき、いつでも見られるようにしておくのが大事のようだ。

さらに、娘のように聴覚過敏で電話の呼び出し音が苦手な子のために、電話の呼び出し音を小さくしておく方がよいとのこと。

紙に次の台本を書いた。
「もしもし。
○○○です。(本人の名前)。お母さんですか?

○○○ください。
バイバイ。」


これだけである。

最初は助けがいるので、交代して私がプロンプト(補助)を出す側に回り、旦那に電話をかけることにした。
旦那の携帯にかけ、私がそばで台本を手に持ち、娘に見せながら読むべきところを指でさしてやる。

私には携帯の旦那の声が聞こえないので、まだ旦那がしゃべっているのに「バイバイ」と言わせてしまったが。(笑)

練習を積むうち、そばで指さしてやらなくても自分で紙をもってきて言うようになり、やがて紙がなくても注文できるようになった。

今はまだこの段階。

夏にキッズケータイを買ったら、児童デイに行く日にもたせ、スタッフの人に補助してもらって「お母さん迎えにきて」の電話の練習をさせてもらおうと思っている。
(児童デイの人には支援会議のときに計画を話してあり、協力してもらえそう)

まあ、実際問題、電話で娘の言っていることを聞き取るのは非常に難しいので、最終的にはメールを使う練習をさせなければと思うけれど・・・。^^;

2016年05月08日

9歳のお誕生日インタビュー

成長記録目次はこちら


先日のメーデーは、娘の9歳のお誕生日だった。

が、日曜日だけど私の仕事が入ってしまったので、お誕生日会は二日後に延期。
とりあえず、夕飯は娘の好きなものにして、インタビューを行った。


https://youtu.be/8widLq5FbZE
寂しい拍手は、旦那です。(笑)
ギリギリ音がするのは、娘の歯ぎしり。(たまにやる)

これを去年の、8歳のお誕生日インタビューと比較してみる。



https://youtu.be/yM6RPdhVHBQ

去年よりは、声が出てきた感じがしないだろうか。(*´∀`*)

支援学校の先生にも、児童デイの先生にも、以前より声が出るようになってきたと言われている。
まあ私も普段、声が小さいと聞こえないふりしたりとか、ひどい母なんだけど(笑)成長して身体がしっかりしてきたかな。

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今年のお誕生日プレゼントは、本人のリクエストにより、これ。
(思いつく限りのものをこちらから言ってみて、うんと言ったのがこれ)

それと食べ物。

対象年齢は就学前のお子さんくらいかな?
でもようやく、娘も人形遊びができるようになってきたのだ。

小さいころは家にあるぽぽちゃんが恐くて、隠しておかなければならなかったし。
(たぶん人形の髪の毛が怖かった)

ごっこ遊びができないので、シルバニアも(姉ちゃんのときに買ってあったものを買い足した)ひたすら私がしゃべって私が人形を動かしてそれを娘が見ているだけなので疲れる疲れる(笑)

IMG_2239でも、これは自分で遊べた。
食べさせて、飲ませて、寝かせて、髪の毛とかして、服を脱がせて(架空の)お風呂に入れて、体洗ってあげて、頭洗ってあげて、オムツ替えて、服着せて(これは私が手伝うけど)、ガラガラ振って・・・のエンドレス。


飽きずに何度もやっている。(無言だけど)

メルちゃんは、学校で覚えてきたのだ。
お友達がyoutubeでメルちゃん動画を見ていたのを一緒に見ていたのがきっかけだった。
最近は、同年代の女の子たちがリゾート地で遊んだりおもちゃで遊んだりする動画を好んで見ている。
見ていて遊び方がわかったのだろうか。

今のおもちゃはなかなかよくできている。
もちろんいくら飲んでもまた出てくる哺乳瓶もだし(笑)ハンバーグやピラフにスプーンを突っ込むと一口分がとれて口につけて食べさせるとなくなる。

娘は最初ただ飲ませていたが、空になった哺乳瓶にまたミルクが戻ることに気づくと大喜びで「ふしぎ、ふしぎ」と言っていた。

ぽぽちゃんと違ってお風呂にも入れられるようなので、今度入れてみようかな。

入門セットなので洋服が一枚しかない。
靴や他の服が欲しくなっちゃうな。(母が)

姉ちゃんのときは(母が)ぽぽちゃんに夢中になり、服や小物をたくさん作ってしまった。
凝り性なので、ちょうどソーイングにはまっていたこともあり、姉ちゃんのパジャマやワンピース、サロペットパンツなどを縫ったあまり布でぽぽちゃんにおそろいを縫ったりしていた。

ネットで調べると、ぽぽちゃんの方がメルちゃんより若干大きいので、ぽぽちゃんの服はメルちゃんに着せられるらしい。

どこかにまだあるかな?^^;(その後2回引っ越したので行方がわからない・・・)

pumpkin1205 at 00:07|PermalinkComments(4)TrackBack(0)││成長記録 

2016年05月05日

ダウン症児の堕胎を禁止ーアメリカの中絶事情(長文)

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デリケートな話題なので、この手の話が苦手な方はスルーしてくださいませ。^^;

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最近、Youtubeで「Last Week Tonight」というアメリカの番組をよく見ている。
この中に、アメリカの性教育事情や中絶事情を扱った回があった。1)

感想としては、アメリカという国は思ったより保守的なんだなということである。
ある意味日本よりも。

おそらくはキリスト教が背景にあるためだろう。
映画などを見るに、あっちでは男女が出会うとすぐにベッドへ、みたいな性に奔放なイメージがあるが(笑)、それはマスコミに作られたイメージで、実際は「結婚までは純潔を守ること」「浮気はよくないこと」と考えている人が多数派らしい。(タイム誌による)
もちろんその逆にものすごく開放的な人たちもおり、両極端な層が同居している感じだ。

中絶に関してもそうで、やはり「絶対反対」「絶対賛成」の両極端の間にスペクトラムがある。
これは2015年のGallup調査だが、
いかなる中絶も禁止すべき・・19%
いくつかの例外は認めるべき・・・36% (性的暴行による妊娠や母体の命の危険など)
ほとんどの中絶を合法とすべき・・・13%
いかなる中絶も合法とすべき・・・29%

基本反対の上ふたつが55%、と基本賛成の下ふたつで42%と真っ二つに分かれている。

ちなみに2005年、内閣府の意識調査の国際比較では、「妊娠した以上生むべき」と答えたアメリカ人が29.4%なのに対し、日本では13.5%となっている。
日本の方が堕胎に関する意識はゆるいと言えるだろう。

しかし一方でアメリカは「中絶は女性の権利として認められるべき」と考える人も日本人より多く、やはり両極端な層が厚いことがうかがえる。

<ダウン症児の中絶を禁止>


上の番組から興味をもってちょっと調べてみたら、ダウン症児など染色体の異常を理由にした中絶を禁止している法案を通した州がふたつあった。

2013年にノースダコタ州が、2016年3月にはインディアナ州が。

そして今現在、「胎児差別禁止法」(The Prenatal Discrimination Act)を可決させようという動きがあり、米国下院まで進んでいるようである。(2016年4月現在)

なぜこのような動きが出てきたかをたどると、そこには移民の影響があるようだ。

中国やインドでは、お腹の子が女の子だとわかると堕胎する人が多く、社会問題になっているらしい。
中国は一人っ子政策があるから、一人しか産めないなら男の子じゃなきゃ困る、という家が多いらしいし、インドもよく知らないが持参金の問題とかで、女の子が生まれると殺してしまう習慣があるのだとか。(もちろん一部だろうが^^;)

そして中国やインドからアメリカに移住してきた人たちは、やはり生むなら男子がいい、女子なら中絶するという人が多いのだそうだ。
性別を理由にした中絶が増加したことを憂えて、性別を理由にした中絶を禁止する法案が作られたのだが、そのときに、合わせて障害を理由にした中絶も禁止する法案を作った、ということのようだ。

ちなみに性別による中絶を禁止している州は上記以外にアリゾナ州、イリノイ州、オクラホマ州、ペンシルベニア州がある。

「女の子であるというだけでお腹の中で殺される危険にさらされている子たちがいる。性の選別による中絶は女性への暴力だ」というわけである。

この論法で行くと、遺伝子異常による中絶もまた、「障害があるというだけでお腹の中で殺される危険にさらされるということは、障害のある人々の命の尊厳を傷つけるものだ」ということになり、そうした流れでダウン症を含む遺伝子異常を理由にした中絶を禁止したものらしい。

この法案を支持する人々は、「成熟した社会では、生まれてからもお腹の中にいる間でも、人を性別や障害によって差別することをしないものだ」というのである。

そうした法案を推し進めているのは、もちろんキリスト教色の強い保守主義の共和党である。

<次々と閉鎖する中絶施設>


ところでyoutubeで見た上の番組では、アメリカでは次々に中絶施設が閉鎖に追い込まれ、今やひとつの州にひとつしか中絶施設がないところも出てきているという話をしていた。
(ノースダコタ州、ミズーリ州、ミシシッピ州、サウスダコタ州の4州)

それは2010年ごろ起きたある事件がきっかけになっているようだ。
その事件とは、あるひとりの中絶施設の医師が8件の殺人により逮捕され、終身刑になったことだ。

アメリカでは24週の赤ちゃんまで堕胎が可能だが(日本は21週まで)、20週を過ぎると母体のリスクも大きいため堕胎手術を断る医師も多いという。
断られた妊婦がこの施設に来ていたということだが、24週を過ぎた違法な後期堕胎も、より高額な報酬を請求して引き受けていたということだ。
また、生きて生まれてきた赤ちゃんの首の後ろをハサミで切って殺していたこともわかった。
施設内には堕胎された赤ちゃんを入れたバッグや瓶が散乱していたということで、この施設には17年間も立ち入り検査がなかったという。

この事件に影響を受けて、2010年以降いくつかの州で中絶施設の安全性を強化する法案を作り、それによって基準に達せずに閉鎖に追い込まれた施設が続出したのだった。

(またこの事件の影響か、堕胎、流産した赤ちゃんの遺体は人間らしい方法で(火葬もしくは埋葬で)処理されるべきという内容も2016年のインディアナ州の法案には含まれている)

アメリカでは、中絶に関する厳しい法案が作られようとしつつあり、また同時に中絶が可能であってもしてくれる施設が減っている、という現状があるのだった。

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こういう、中絶に関する議論が熱いのはアメリカならではという感じがするが、それでも中身を見ると、日本なんてとっくに性別や障害を理由にした堕胎を禁止しているのだから、それに比べるとまだまだアメリカの方がゆるい感じがする。
(日本の方が法律でははっきりと規定している)

また、いくら法律が変わったところで、法律が形骸化するのだろうという気もする。
日本だって障害を理由にした堕胎は禁じられているが実際は「経済的事情で・・・」ということで片付けられているのだから。
(何も本心を話す必要はないので。また医師には通報する義務もない)

実際、アメリカの中絶施設は、「これまでも性別や障害を理由にした堕胎はありませんでしたから今後も何も変わりません」と言っていたりするそうだ。
実際問題として「あなたは性別が(障害が)理由で堕胎するのですか?」なんて聞くわけではないのだから、なんとでも言えるわけだ。

しかしこの法案を作った人たちはかなり本気なので、実際性別や障害を理由に堕胎しようとしている患者がいたら、医者が通報するというような義務が生じ、患者と医師の信頼関係が崩れるのでは、という懸念を示している人たちもいるようだ。

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さて、私個人の感想であるが。

私が常々思っていることは、自分が「これは悪いことだと思うからしない」と決めているからといって、他者にも同じことを要求することはできないということである。
善悪の規範は個人により異なって当然だと思うからだ。

中絶は、私自身はしたくないと思っている。
中絶反対派の人たちの意見は、個人的には賛同できる。
つまり、かつては奴隷を殺しても罪にはならなかった時代があった。
小さい子供に労働をさせて学校に行かせなくてもよい時代もあった。
(今でもそういう地域はあるけど)
女性が人間かどうか、真面目に議論していた時代があった。
黒人は、白人より劣っているという通念が常識だった時代があった。

人間の人権感覚は、大枠で言えば時代とともに少しずつ向上していると思う。
人権感覚が鋭いほど、社会としては成熟していると言えるのではないかと思う。

であれば、お腹から出る前の人間も、人間なのかどうかという議論があったことが、笑い話になる時代も遠い将来に来るのかもしれない。
人権感覚は、足りないよりも行き過ぎの方が害が少ないと思うのである。

なので、どちらかの性別だったらいらないとか、障害のある子だったらいらない(育てられない)と思うのであれば、個人的にははじめから子供を作らないこと一択である。

が、そうは思わない人も世の中にはたくさん存在する。
だから、中絶施設というのは、私は必要悪だと思うのである。

そういうところがなければ、かつてと同じように闇で行われるだけで、そうすると妊婦さんの命が危険にさらされることになる。

もし、中絶によって亡くなる赤ちゃんたちを救いたいと思うのであれば、養子縁組をさらに活発にすること(アメリカは日本に比べ断然活発だと思うが)、また育てられない赤ちゃんをひきとる施設を充実させることだと思う。
中絶自体を取り締まるという方向では無理なような気がするのだ。

にもかかわらず、こういう議論が出ることは、世の中には、生まれる前の赤ちゃんが人間だと考えている人たちも大勢いることを知ることにもなり、自分の考えを決める参考になるのではないかと思う。

個人の考えは、周りにある社会の影響と無関係ではないからだ。

「出生前診断でお腹の赤ちゃんがダウン症と判明した女性の9割が中絶をしている」という報道の仕方がまずいと私が思うのは、そういう報道自体が、新たな世論を作っていくかもしれないと思うからである。(または、個人の考えに影響を与える)

報道というのはトリッキーなことがあるもので(笑)印象が操作されることもある。
9割という数字はインパクトがあるが、分母は妊婦全体の中でも特殊な集団である。
どんな障害でも産もうと考えている人は出生前診断を受けない人も多いだろう。
またカウンセリングを行っている医師の話(講演)によると、カウンセリングを受けたことで受けないことに決めて帰っていく人もいて、カウンセリングは一定の成果をあげていると思う、とのことだった。

となれば、実際に受けるところまで行く人は、障害があったら絶対に生みたくないという決意を固く決めている人がほとんどということになる。(または逆に、少数派だろうが産むと決めている人か)
その中の9割というのは妥当な数字だろう。

しかしこの9割という数字が報道されることでさらに、産むと決めた人の肩身が狭くなったり、障害があったら産まなくて当然なんだ、という新しい常識(?)が世の中に広まったりすることになるのではないかと思う。

中絶の法整備というのは本当に難しい問題だと思うが、アメリカは今後どうなるのだろう。今後こうした州が広がっていくのか、または法案が撤回されていくのか、興味深い。

<注>


1)Last Week Tonightの動画。
落ちる一方のリスニング力を鍛えるために最近見始めました。^^;
アメリカの性教育事情(21分)
https://youtu.be/L0jQz6jqQS0

アメリカの中絶事情(16分)
https://youtu.be/DRauXXz6t0Y

pumpkin1205 at 00:17|PermalinkComments(0)TrackBack(0)││出生前診断 

2016年04月30日

手作り教材:使役動詞(〜させる)を教える絵カード

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手作り教材・おもちゃ目次はこちら

自作絵カード置き場 目次準備中

娘の書いた文を見ると、たとえば「(池で)こいにえさを食べました」という文を作ったり、ぶたくんがノンタンに掃除をさせているイラストを見て「ぶたくんがノンタンがそうじをしました」みたいな文を作ったりしている。

使役表現(〜させる)が使えていないな、と思ったので、それを教えるカードを作ってみた。
(我が家の使い方は後述)

<使役表現を教えるカード>


※画像はクリックで拡大します。

「たべる」と「たべさせる」
taberu2tabesaseru

「飲む」と「飲ませる」
nomu2anomaseru

「走る」と「走らせる」
hashiru2hashiraseru

「たたむ」と「たたませる」
tatamu2tatamaseru

「すてる」と「すてさせる」
suteru2sutesaseru

「練習する」と「練習させる」
renshu2renshusaseru

「立つ」と「立たせる」
tatu2tataseru

「けす」と「けさせる」
yameru2yamesaseru

「やめる」と「やめさせる」
yameru4yamesaseru3


・・・「やめる」「やめさせる」のカードを作りたくて、テレビを消すカードを作ってみたが、「テレビをやめる」って言わないな〜と思い、たばこも作ってみた。
が、身内で煙草を吸う人は誰もいないため、娘にはピンと来ないかも・・・。
おしゃぶりも使わなかったし、何がいいかなあ。

<我が家の使い方>


我が家の使い方をご紹介する。
ラベル屋さんHOMEでイラストを配置する。
shieki字のあるもの(表用)と字のないもの(裏用)を作る。
印刷して、無地のはがき(100円ショップで50枚入り100円)の裏表に貼りつける。


最初は字のついている方を表にして、「食べる」「食べさせる」を2枚並べ、読む。
裏返して、「食べるはどっち?」「食べさせるはどっち?」と言って選ばせる。
それを何日かやったのち、
今度は裏の、イラストのみ(字なし)の方を上にして並べ、「ごはんを・・・」「赤ちゃんにごはんを・・・」の続きを言ってもらう。