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世の中には、学校では教えてくれなかったけれど大事なことがたくさんある。

たとえば、冠婚葬祭のマナーとか。
年金のこととか、青色申告のこととか、年末調整のこととか。
遺産相続のこととか、土地の売買のこととか。
お金がまったくなく明日から食べる物がなくても、役所に相談に行けば死ななくてすむとか。
ファッションのこととか、化粧のこととか。
(私はいまだにわかりませんが。^^;勉強するだけの興味に欠けていたから・・・)

消費者教育もそのひとつだが、私たちの頃にはなかったものが、今は「消費者教育の推進に関する法律」というのができて(平成24年)、新学習指導要領のもと、学校で教えるようになっているのである。
(ただ、現実には、時間がとれずあまり実施できていない実態がある)

折しも、2022年、今の中学2年生が高校3年生になる頃には、18歳から成人とみなされるようになる

これは、18歳の誕生日を迎えたら、高校3年生でも選挙権も持つし、親の承諾なしでローン契約もできるし、クレジットカード利用もOKになるということである。
卒業する前に社会人としての法的責任を持つようになるのだ。
これでは、高校に入ってから教育するのでは、間に合わない!ということらしい。



●消費者教育とは?


世の中はどんどん複雑になり、ネットでも物が買えるようになり、物を売りたい人の手口も巧妙になっている。
多少騙してでも私たちの心理を操作し、物を売ろうとする人たちがわれわれの財布を虎視眈々と狙っているのである。(笑)
そんな今、賢い消費者になるということは非常に重要である。

賢い消費者というのは、
ーらすすんでよく考えて買うものを決められること(自主的・合理的)
∈い辰燭海箸あったら我慢していないで行動できる
(4超保護とか著作権保護などにも配慮できる)

ということのようだ。

社会はものを売る人だけで成り立っているのではない。
ものを買う人もまた、社会を作っている一員なのである。

欠陥商品があったら、または騙されたら、泣き寝入りしないでちゃんとしかるべきところに相談すること。
そうすることで、悪徳業者は廃れ(または改善され)、良心的な商売をしている企業が生き残るのである。

警察が乗り出して企業に改善を求める社会よりも、市民が出て行って権利行使をする社会の方がいい。

有名な話だが、アメリカでは猫を洗って電子レンジで乾かそうとした人が(もちろん火傷して死んでしまった)、取説に猫を電子レンジにかけてはいけないという記載がなかったことで裁判を起こし、勝ったということがあるそうだ。
また、たばこを吸って肺がんになった人がタバコ会社を訴え(当時健康を害すると箱に書かれていなかったため)、訴訟に勝ったということもあった。

日本人的感覚するとそれは自己責任だろう!と首をかしげるような事例かもしれないが、アメリカはそれだけ消費者が積極的に行動する社会であるということだ。それによって企業は消費者に益するよう改善するし、その結果消費者全体が利益を受ける
日本人の自己責任論が強すぎると、泣き寝入りする人が多くなる社会になる。

(たとえば、某大手携帯会社窓口でいろいろと煙に巻かれて腹ただしい気持ちになった人は多いと思うしよくわからないままにたくさんのオプションをつけられてしまうことがあるが、それは日本だから通用することで、アメリカではきっとすぐに訴訟になってNGになると思う。通用させてしまっているのは、日本人が大人しいからかもしれない)

●知的障害児に対する消費者教育は?


「消費者教育」は「買い物学習」とは違う。

知的障害のある子どもの場合、まず10円とか100円とか1000円とかの貨幣の価値を理解するというハードルがある。
そして決められた金額内で買い物をするというハードルもある。
(学校ではマイ財布を持って行って折りに触れ買い物学習をしていいるが)
それらをクリアしなければなかなか単独での買い物というのは難しいだろう。

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そしてそれらのハードルをクリアできるのは、比較的軽度の知的障害をもつお子さんだと思うが、将来消費トラブルに巻き込まれやすいのは、その軽度の方々であると聞いた。

つまり、自分の名前や住所が書ければ契約が結べるということだ。
将来的には、契約を結ぶのに名前や住所を書ける必要すらなくなるだろう。

ものを売る人もいろんな心理作戦を使ってくるので、高齢者だけでなく20代30代の健常者も騙される。
相手はプロなので、自分は絶対に騙されない!と思っている人が一番危ないそうである。ましてや知的障害のある人など、ターゲットになればひとたまりもない。

その場合、障がいのあるなしにかかわらず、小さい頃から、大きい買い物をするときは誰かに相談するという習慣をつけることが大事なのだそうだ。

(たとえば1万円以上とか、金額を決めてね。)

●消費者教育のポータルサイト


消費者教育のポータルサイトというのがあるらしく、それがとても参考になる。
https://www.kportal.caa.go.jp/index.php#search-imagemap

そのサイトの消費者教育の体系イメージマップというのを見ると、幼児〜高校生、さらには大人の消費者教育の項目が書かれており、知的障害のあるお子さんの場合、幼児〜小学生くらいの項目が参考になる気がする。

つまり、幼児ならば
・おつかいや買い物に関心をもとう
・身の回りにあるものを大切にしよう
・協力することの大切さを知ろう
・くらしの中の危険や、ものの安全な使い方に気づこう
・困ったことがあったら身近な人に伝えよう
・約束やきまりを守ろう
・欲しいものがあったときはよく考え、時には我慢することを覚えよう
・身の回りのさまざまな情報に気づこう
・自分や家族を大事にしよう
・身の回りの情報から「なぜ」「どうして」を考えよう


小学生になると
・おこづかいを考えて使おう
などが加わるが、あとはちょっと難しい項目が多い。
(「消費に関する情報の集め方や活用の仕方を知ろう」とか・・)
おそらく小学校高学年向きなのだろう。

映像教材や冊子・イラストなどもこのポータルサイトでは配布しているようだ。
(うちの娘にはちょっと難しそうだけど・・・)
https://www.kportal.caa.go.jp/search/user1.html

●いらないのに、高額なものを買ってしまったら・・・


【ケース1】子どもが親のクレジットカードから番号を盗んでゲームの課金をして、50万円になってしまった


・・・というような場合。
まずは消費者ホットラインに相談する
「188番」(いやや)だそうだ。
土日祝日もつながる。守秘義務もあるし、相談は無料である。

このケースは、「未成年者取消し」というのが使える可能性がある。

これは、判断力が未熟な20歳未満の(2022年からは18歳未満の)契約は、取り消しをすると契約時にさかのぼってはじめから無効なものにできるという法律だ。
代金の返還の請求もできるし、食品でも残りを返還できる。

だから悪徳業者は、後で未成年者取り消しをされないため、相手の年齢を確認することがあるそうだ。

【ケース2】ネットで高価な服を買ったが、サイズが合わなくて着られない。

通信販売はクーリング・オフの規定がないため、できない。
ただし送料は自費だが、返品はできる可能性がある。
「可能性」というのは、ウェブサイト上に返品できるかどうか、できる場合の条件が書かれている場合である。

やはり困った場合は188に相談する。
ネットで買い物をする場合は返品の利用規約を必ず確認すること。

【ケース3】知的障害のある成人が高価なアクセサリーをローンを組んで次々に買ってきてしまう。

さきほどの「未成年者取消し」と同様、「制限行為能力制度」(いわゆる後見人制度)が適応でき、家裁で本人の判断能力に応じて「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」とみなされると、契約をなかったことにできる。
(日常的な買い物については、これは適用されない。本人の決定権の尊重のためにも)

(注:制限行為能力者となると、弁護士や医師、薬剤師、社会福祉士、教員などになることはできなくなる。まあ関係ないけど、笑)

上記のようなクイズにチャレンジして、いろんなルールがわかる冊子が消費者庁から無料配布されている。
(高校生対象)

http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/public_awareness/teaching_material/material_010/

●マーケティングの心理作戦


ここはもう、知的障害者関係なく、私たちも簡単に購買に誘導されるものがたくさんある。
たとえばよくあるのが
・アンカリング効果
1万3千円の品が、9800円!とか(希望小売価格をつり上げて安く見せる)
最初に10万円ふっかけておいて、あとで7万円に下げるとか、
(はじめから7万円と言っていたら買わなかったものを、3万円安くされたことで買ってしまう)

・フレーミング効果
本日限り!とか、限定30個限り!とか。

20個入り1万円
40個入り1万9千円
と並んでいると「40個入りの方がお得!買っとこう」と思わせたりとか。
(最初買うつもりじゃなかったものでも)

紫外線を5%通します、と書かれていると買わないけど、紫外線95%カット!と書かれていると買ってしまうとか。

ジャパネットた〇たなどはこうした心理作戦のオンパレードである。
最初に高い値段を言ってあとから安い値段を言う。
おまけをあとからどんどんつけてお得感を出す、など・・・。

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・無料商法
初回や一定期間だけ無料にして、解約手続きをこちらがとらないと自動的に引き落とされる。
・マルチ商法
知人・友人を介して商品を売ってくる。
知人だから断りにくい・・・という心理を逆手にとった商法。

まだまだ手口はたくさんある。

●人生ゲームをさせよう


以上のネタは、教員免許更新講習で得たものを元に書いている。
(明日も一日行ってきます・・・)
その講習の終わりの方で、グループワークとして人生ゲームをやった。
これは元案は東京学芸大学の大竹美登利先生が考案したもので、非常に面白かった。

市販のルーレットを回してやる人生ゲームより、もっと生活設計を考えたものだ。
いろいろな世帯を想定して自分たちで家計の予算をたて、そのあとトランプを引いて、その出た目に相当する出来事(怪我とか失業とか出産とかいろいろ、笑)に対応していく。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhee/49/0/49_0_34/_article/-char/ja/

もちろんこれは娘には難しいが、もっと簡単なバージョンなら作れると思う。
ルーレットではなくトランプを使うというところが、内容だけ考えれば特に道具はいらないところが面白い。
おもちゃのお金を使って、電卓があれば、支援学級や支援学校でもできると思う。

生活設計は、単身として、収入も将来予想できるくらいの額にして、家賃(光熱費含む)、食費、雑費、交通費、(携帯代)、おこずかい、くらいの単純な分け方にして、わかりやすい金額を設定する。

私も子供の頃、人生ゲームをよくやって、株がなんだかわからないけど「かぶのぼうらく」で大損をしたり(笑)、借金は返済しないといけないとか、保険は高いけどかけておくといざというとき出費が少なくて助かるとか、給料日は嬉しいとか(笑)、そういうのを知らず知らずのうちに学んだ気がする。

簡易バージョンで中学生くらいになったらこのゲームで人生のシミュレーションをさせて、どんなことで毎月お金が出ていくのか、どんな突発的な出費や収入が起こりうるのかなど、知的障害のある子に大雑把なお金の流れを学ばせるにはいいゲームだなと思う。
(たとえば全部〇万円に統一するとか単純化すれば、計算ももっと楽になるし)
トランプではなく絵カードを作って、順番にめくっていくのだともっと楽しいかも。
(作りたくなってしまった・・・時間ないかもだけど)

●雑感


まあ、私は断りにくい性格なので、新聞の勧誘等訪問販売には本当に弱い。
こちらの押しの弱さを見抜いてぐいぐい押してくる。
訪問販売は違法にしてほしい!と思うくらいである。(笑)
(本当に欲しい商品ならこちらから買いに行きますから、家に来ないで!という感じ)

そんなときは旦那がいれば交代しますけどね。
(↑背筋も凍る断り方をしてくれます^^;)

マルチ商法に誘ってくれたママ友は、それまでちょくちょく行き来していたのに、なんとかその場でがんばって断って以来、一切連絡が来なくなった。
友人ではなくカモだったのかな・・・なんて思ったり。
(友達を巻き込む商売は、友達を失くすよね・・・)

安くてよい品を選ぶのは難しい。

うちの娘は、それ以前に物欲がないので(笑)、支援学校や支援学級の物販展のようなところに連れていって「欲しいものを買っていいよ」といっても何も買わない
可愛い手作りティッシュケースを4つほど並べて「どれがいい?」と聞くと端っこのひとつを指さすけど、同じものをシャッフルしてまた「どれがいい?」と聞くと毎回同じ場所を指さすだけ。
どれでもいいんかい!(興味ないのか。)

少しずつ、誕生日プレゼントなどで欲しいものが言えるようになってきたけれど、買った日しか使わなかったりと、あまり考えて選んでいる気がしない。
ありすぎても困るけど、少しくらいの物欲は働く意欲になるのにな。
(100円ショップで買い物して幸せになれる私程度の物欲があってほしい。食欲はあるけど、それだけだと体重管理の面からも厳しい・・・。)

消費者教育はその先にあるもので、娘にはまだまだかな。
でも大きい買い物(いくら以上と値段を決めておこう)をするときは必ずお母さんに相談してね、ということを日ごろから言っておくことはできる。

自由には責任と判断の必要性が伴うものだ。
私がめんどくさいので「娘が〇〇食べたいと言う→私が冷蔵庫から出してくる」という流れをやめ、自分で出してこさせるようにしたのだが、そうしたら冷蔵庫のプリンやヨーグルトを無断で食べるようになったし(笑)、牛乳も勝手に何杯も飲むようになった。
スープ春雨も勝手に熱湯注いでタイマーで時間をはかって作って食べるようになった。
「おかわり」もめんどくさいから自分でご飯を盛らせるようにしたら多めに盛ってくるようにもなった。(爆)

そうなったら、「適量」とか「一日どのくらいまで」(食べ過ぎると太るよ、とか)も教えないといけない。

同様に、自分でお買い物ができるようになり、自由になるお金を使うようになったら、またその先を教えていかないと、と思う。

人間はときに必要だからではなく、楽しいからという理由で買い物をする生き物だ。
その行為は必ずしも合理的とは言えない。

うちの義母が100円安いセールのつゆの素を買いに、往復200円のバス代を使って遠方のスーパーまで出かけるのも合理的とは言い難いが(笑)、近くで正規の値段の商品を買うよりも「お得感」で快感を味わえるからだろう。

買い物は楽しい。
まずは決められた範囲内、相応の金額内で、買い物を楽しむことのできる人になってもらうことかな。