はじめに・サイトマップはこちら
「母の気持ち」目次はこちら

無料シェア教材等一覧はこちら


【追記】終わりの方に追記しました。

年末の現実逃避に、書きかけで放置していた記事をアップしておきます。

ヘビーな内容ですみませんが、根気のある人はお読みください。^^;

*          *        *

過去記事に、投薬について学校側と親との間に温度差があるという話を書いた。

つまり、飲ませたい学校側と、飲ませたくない親との温度差である。

投薬についての、私の個人的な意見を書きたいと思う。



●精神医療への恐怖をあおる記事


ニュースなどで、「精神病院で薬漬けにされて亡くなった」みたいな報道がされると、みなさん「精神科って怖いところだ」「行ったら最後だ」といった誤解というか偏見をもたれるのではないかと思う。

そのような精神医療への恐怖をあおるような一方的な報道の仕方には疑問を感じる。

ネットを検索すれば、精神科の薬について怖いことがいろいろ書かれている。
そういう記事を読んで怖くなって子供の投薬をやめてしまう母親や、投薬に踏み切れない母親もいると思う。

親として非常に気持ちはわかる。
もし本当に精神科の薬がが怖いものなら、子どもには決して与えたくはないものだ。
それが親心というもの。

しかしここは冷静になる必要がある。

本当に恐怖をあおるような記事は信ぴょう性があるのか。
そんな事例があるとしても、それだけを取り上げて全体を否定するような論調はいかがなものか

本当に精神医療を必要とする子供たちの親を、通院から遠ざけてしまわないだろうか。

子どもへの精神科の投薬批判をしている本を何冊か読んでみたが、その感想は・・・
「なーんだ、反ワクチンレベルだな」
である。

あまりに煽りすぎ、科学リテラシー不足気味の書き方に、却って「やっぱり大丈夫なんだな」と安心するくらいだった。

ネットを検索しても、不安を煽るような記事がゴロゴロ出てくる。
ひどい記事や本の特徴は、木を見て森を見ず、のことだ。

病院にかかって悪くなった最悪のケースを取り上げ、病院にかからずに自然に治ったケースのふたつを単純にとりあげて比較しているということだ。
その他の、病院にかかったおかげで社会生活が送れるようになった多くのケースとか、自然にまかせておいて精神医療につなげられないまま悪化した多くのケースなどはとりあげられていない。

これは、全然公平な判断材料にはならない。
ストーリーとしては価値があるだろうけど、医療全体を信用できるかどうかの判断には使えないと思う。
薬の有効性と安全性にはデータがあるのだ。
要は、精神薬すべてが害悪かどうか(全か無か)、ではなく、その薬が合っているか、その用量が合っているかの問題だと思う。

私が思うに、第一に必要なのは、信頼できる精神科のお医者さんにかかることだ。

癌になってひどい主治医にあたったと思ったらセカンドオピニオンを求めて違う病院に行くのと同じことだ。
それで病院自体に通うことをやめてしまって民間療法に走ってもろくなことはない。

だからもし信頼できないと感じたら、セカンドオピニオン、サードオピニオンを求めて、信頼できる医者を探せばよいと思う。

自己判断で勝手に薬をやめたり、医療にかかることそのものをやめることは、しない方がいいと思う。
(薬によっては急にやめると危険なものもあるし)

また、第二に、投薬した場合としなかった場合のメリットとデメリットの両方を天秤にかけて、どう考えても投薬した方がメリットが大きい、しなかった場合のデメリットが大きすぎる、と思った場合に投薬をすればいいのだと思う。
(特に発達障害の場合)

●メリットとデメリットの兼ね合い―身内の場合


私の兄は、精神障害者である。

20代で発症し、大学はほとんど行かずに中退し、それから50過ぎるまで一度も一般就労したことがなく、このまま時給100円の作業所で一生を終えるものと思っていた。

しかし、新薬のエビリファイが出るというニュースを見て兄は希望を持ち、「自分に新薬を試してください」と自ら医者に頼み込んだのである。

薬の調整には時間がかかったが、結果、この新薬は兄によく合っていて、兄の症状は安定し、50を過ぎてから初めて一般就労できるようになった。
(フルタイムではないけど)

今も一般就労で一日6時間、週5日働いており、障害年金と合わせてなんとか自活できている。
この薬がなかったら、父の亡き後兄は経済的にも生活においても自立は無理だっただろう。

脳にきく薬というのは、必ず副作用もある。
副作用が大きい人もいれば、小さい人もいる。
個人差があるので、飲んでみなければわからない部分もある。
だから医者は慎重に試していく。

だからこそ、メリットとデメリットの兼ね合いなのである。

兄の場合、副作用はほとんどなかった。
そして、飲まないことのデメリットの方がはるかに大きかったのである。
それは社会的生活が送れないこと、就労できないこと、生きていて毎日つらく苦しいこと、だったからである。
だから兄は精神医療によって救われたひとりであると言えるだろう。

●メリットとデメリットの兼ね合い―身内の場合


また、うちの上の子たちはふたりとも、精神科のお世話になったことがある(ひとりは今も通っている)。

うちの長女が不登校になったとき、不登校の親の会に参加した。

親御さんたちは口をそろえて「病院(精神科)なんかにいっちゃダメ。薬漬けにされて一生飲み続けないといけなくなるよ」と言った。
最初、私はそういうものなのか、と思ってしまったのだが、今はそうではないと思っている

確かに、会の親御さんたちのお子さんが若かった時代は、まだいい薬が開発されていなかったかもしれない。
しかし医学は日々進歩している。

精神科に行く=精神病、ではない。
ましてや、精神病=頭のおかしい人、でもない。


心の風邪をひいて、苦しい思いをしている人たちが駆け込む場所は十代の私の場合は通っていた教会(神様)だったが、上の子たちの場合は精神科だった。
(今どきはメンタルクリニックとか、ちょっと敷居を低くする名称になっていますが)

思春期の頃は誰でも心が不安定で揺れ動く。
人生の中で一番つらく苦しい時期である。
(私もそうだった)

そのつらく苦しい時期を、ちょっと弱い薬の助けを借りて乗り越えることも、全然ありではないかと思うのだ。

だって、そうでなければ、自ら死を選んでしまうかもしれないのだ。
私の母だって、精神科にかかってちゃんと治療を受け、薬を飲んでいれば、死なずに済んだかもしれない。

日本のティーンエイジャーから若者の死因の第一位は自殺である。
(まあ病気で死なない年代だからだけど)
日本人の自殺の人数は全体としては減少傾向にあるが、10代の自殺だけは増加している。

死んでしまったら、薬の副作用どころの話じゃないのである。
だいたい、薬を飲んでみて合わなかったら、それを主治医に伝えて、調整してもらえばよい。
主治医だって、一番弱い薬の、一番少ない用量からスタートするはずである。

ああいった報道が恐怖心をあおり、本当に必要な子どもたちを精神医療から遠ざけてしまうことが心配だ。

*       *         *

受験生の長男は、一浪としたとき鬱々として勉強が手につかない時期があった。
精神科に連れてってくれと本人に頼まれたとき、私は、受験生が薬なんて飲んでいいものなのだろうかと心配になりいろいろネットで調べた。
(先入観から、薬を飲めばぼーっとして脳の活動全般が低下するイメージがあったからだ)

すると、受験生が飲んでもいい薬があることがわかった。

実際、精神科に連れていくと、先生はとても丁寧に長男の話を聞いてくれた。
すでに最悪な精神状態のピークは過ぎており、勉強が手につかないという状況は脱していたため、
「まだ薬が必要な段階ではない」と判断していただいた。
長男はその一回きりの通院を機に、見違えるように元気になった

薬を処方されなかったのに、なぜ元気になれたのか。

ひとつは、精神科というところへ一度行ってみて、いい先生に出会ったことで、精神科によいイメージをもち、敷居が低くなったことがあるだろう。
もしも死にそうにつらくなったら、我慢している必要はない。
ここに相談に来ればいいんだ、という場所を得たということ。

そして、「つらくて勉強が手につかなくなったら、集中できるようになる薬もあります。副作用も少なめのいい薬が今は出ていますから」と教えていただいたこともある。

実際は飲むことはなかったのだが、その安心感がお守りになったようだ。
将来、たとえば会社に入ったりしていろいろつらいことがあって鬱になったとしても(笑)、駆け込む先があると知れたことで、人生について前向きになれたようだ。

*          *             *

長男の経験があったので、私自身も、「あそこにはいいお医者さんがいる」という情報をもてた。

不登校だった長女には、「もしつらかったら、お医者さんに行って、お薬の力を借りて乗り切るのも全然ありだよ。
今はいい薬が出ているし、よくなったらだんだん薬を減らしてもらえばいいんだから」と言うことができた。

長女のつらさがピークになって自ら病院に連れていってくれと言ったとき、もしも「精神科なんて行ったらこの子は終わりだ」と私が思い込んでいたら、説得して連れていけなかったかもしれない。
私はそのとき、長男のときの経験もあって、長女が自分からヘルプが出せたことがよかったと思い、連れていくことができた。

長女の方は診察の結果診断がついて、とても弱い薬の、最低用量を出していただいているが、それ以来気持ちは安定している。
通信制高校だけど学校にも通えており、課題も順調に出している。
4割しか卒業できないと言われる通信制高校だが、その4割に入れる可能性は十分にある。
(あともう一年かかるけどね)

漢検も受けた。
高卒認定試験も受けた。
簿記検定も受けた。
すべて自分から希望してチャレンジした。

さらにこの年末年始には、神社のようなところでバイトをすることも決めてきた。
(面接にも行って合格した)

親の私はキリスト教徒だけど、全然オッケー!(笑)
みんな神様は一緒だから。
むしろそういう神様のおひざ元で働いた方が、怒鳴りつけるような柄の悪いスタッフはいないかも!?
(それはわからないけど、優しくしてやってください・・・)
忙しさは相当なものだろうけどね。

一日中布団の中にいたあの頃から比べれば、長女はよくなっており、前向きになっているのだ。

そして、安定しているので来月から薬を減らしてみましょうかと言われている。

そうやって、うまく10代の危機を乗り越えて社会に出て行くこともありなのではないかと思う。

そして私も、あんなにつらかった10代に、今のような薬があれば、もう少し生きやすかったかもしれないと思う。

私たちの年代の親は、精神科に行って薬を飲んだら、よだれをたらして両手をだらんと垂らすような、廃人になるようなイメージがあるのだろうと思う。^^;

また、そんなイメージを植え付けられるような本や報道もある。

●発達障害と投薬ー先生にお願いしたいこと


学校現場でも、投薬しているお子さんとしていないお子さんで、明暗が分かれている気がする。

(小学生でも、精神科の薬を飲んでいるお子さんはけっこういると思います)

本当に荒れて暴れて教室を飛び出して学習どころではなかったお子さんが、落ち着いて普通に授業を受けられるようになったりする例はたくさんある。

親として薬を飲ませたくないという気持ちは非常にわかるのだが、やはりこれもメリットとデメリットとのバランスだと思う。

学習障害は病気ではないから投薬は不要、ということなら、投薬しなくても子供たちが学習できるような環境がまずないといけない。

今現在、そのような環境は学校にはない。
そのようなお子さんにも特化した学校もない。

その結果、知的障害がないのに小学校卒業までに学習レベルが1・2年生のまま止まってしまっているお子さん方がいるのが現状だと思う。
あるいは一日の大半を無駄に過ごしているか。
本人もつらく、自己肯定感が下がる。

先のことを考えると、副作用と将来の生活のデメリットを比べた場合、後者があまりに大きすぎるケースがある。
このまま学力もつかず、高校にも行けず、就職もできないことのデメリットである。

ともあれ大事なのは、信頼できる主治医を見つけ、相談することではないかと思う。
薬が怖いなら、また強すぎると感じるなら、その思いをそのまま伝えればよいのではないか。
そして、納得いくまで、説明してもらえばよい。
患者側の不安を受け止めてくれない、説明してくれないような医者は、信頼関係が築けないから変えればいいのだと思う。

しかし同時に、学校の先生方には、親の気持ちもわかってほしいと思う。

学校の先生方は、今学校に全然適応できていない、目の前の学校生活のことしか目に入っていない。
親は子どもの一生のことを考えている。
だからこそ怖いのである。
だから本を読んだりネットで検索したりしていろいろ調べる。
そんなとき、過激なことばかり書いた本やネットの扇情的な文章ばかりが目に飛び込んできたら・・・。

だから、最終的に決断するのは親御さんと本人なのはもちろん大前提だし、その決断について責める思いを抱かないで欲しいと思う。

お子さんのことを思う気持ちは、教師も親も変わらないからである。

薬の効き方は個人差があるし、あるお子さんにとってよかった薬が別のお子さんに効くという保証は何もない。
(試してみなければわからない。)

報道も、発達障害のあるお子さんの精神医療へのアクセスをふさぐような記事を書くなら、どんな環境があればそのお子さんたちが薬なしでやっていけるのか、またそのような学習環境を用意するような働きかけを国や自治体にするような記事を書いてほしいものだと思う。

●【追記】親が投薬管理を


あと、お子さんが小さいうちは、親御さんが薬の管理をした方がいいと思います。
しっかりしているように見えても、です。
親も入ることで飲み忘れを防ぐこともできるし、お子さんの中には飲み忘れちゃったから今日は倍飲んじゃおう、とかいう恐ろしいことをするケースもあります。^^;(小学生とか)
必ず親御さんの管理下で、飲み忘れと飲みすぎが起きないようにするのがおすすめです。
残りの薬の錠数も数えていてください。
飲み忘れていて病状が悪化して、飲み忘れたことを言わないと、お医者さんは薬の効き目が弱いと思うので量を増やされてしまいます。
しかし往々にして、薬の管理のできないご家庭だったりするのだけど・・・