1億円集めた大Project!!(最終額は 130,302,525円)から1年の期間を経て完成したOVERDRIVEの最終作「MUSICUS!」をクリアしました
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キラ☆キラが2007年11月22日発売なので12年、OVERDRIVEのデビュー作であるエーデルワイス(2006年12月15日)から13年を経て、最後の作品とのことでCFも盛り上がりましたが、その作品もまたOVERDRIVEらしい作品であったといえると思います

バンドに焦点を当てたストーリーとなるため、各地のライブハウスやCFのコースにより命名された実在バンド名を含めた多数のバンドが登場し、ボーカル入り楽曲も全部で19曲が収録(過去作の曲も含まれているかな?)されていたのは圧巻と言うほかないですね

物語は、全日制からある事情により定時制に通う主人公対馬馨が、所謂一般的な進学、就職により親と同じように医者になるという未来に疑問をいだいていた
そんな10代特有の人生に対する悩みを抱えながら日々を暮らしていた時に出会うバンド「花鳥風月」と花井是清、その出会いにより音楽に魅せられた馨が、音楽やバンド活動を通して自分を探していく物語と言う感じ

内容的なネタバレは後でとして、全体的には物語の舞台に併せたバンド・楽曲に関してとても力が入っている作品、この辺はキラ☆キラプレイ済みの人には当たり前すぎるほどなんだと思います
ちなみに私はキラ☆キラは完全にクリアしてないけど、椎野きらりがヒロインだったこととか、物語序盤で馨と花井是清を引き合わせたスター・レコードの八木原が前作でも出ていたことぐらいは知っているって感じでした

テキスト表示は最近はあまり見ない全画面表示タイプで、下にテキストウィンドウがあるものではないので、馨の主観により物語が進行するとは言え、主人公視点を重視した立ち絵表示ではなく、エモート表示などもありません
その分か、会話のセリフが長めのものが多く、各人物の心情に関わる会話などではより詳細に語られることが多いです

シナリオはキラ☆キラの他、SWAN SONGやCARNIVALでもお馴染みの瀬戸口廉也さん、またこっちで瀬戸口さんの物語が読めると思ってなかったので嬉しいですね

本作はある程度各キャラ感想に触れていくとそのままネタバレになってしまう部分もあるので、後は各キャラ雑感(ネタバレ込み)で

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ここからは、ネタバレを含みます

さて、EDは全部で4つ、三日月、めぐる、弥子、澄の各ルート
分岐の流れとしては、花井是清の死後、音楽の道へ進むために学校をやめるか否か
やめなければ、弥子ルート
学校をやめてDr.Flowerを結成してから、音楽性の選択がめぐると似ている、音楽は楽しむものだと選べばめぐるルート
音楽を通じで何かを掴むものだとすれば、三日月ルート
ただし、三日月に来たソロデビューの話に対して、彼女の才能を埋もれさせないために三日月を一人追いやると、澄ルートに分岐します

物語全体的なところで思うところでは、そもそも馨の音楽の才能って・・・?と言う点
ぶっちゃけて言えば、彼は音楽だけでなく色々な点について努力が苦にならない、努力の秀才と言うべき人物であって、天才ではない
音楽の神の存在を否定した是清の影響を受けた馨がその存在を信じたかどうかはともかく、もし音楽の神に愛されている存在が居るとすれば、三日月がそれにあたります

・・・一方で金田の世渡りの運の良さもある意味稀有な才能かとも思いましたが

努力の秀才の馨が、是清と「花鳥風月」のライブに感動し、その光に目を焼かれてしまった結果、三日月という人物を是清が最後に引き合わせてくれたことで、彼の才能でもスターダムに昇っていく車に同乗することは出来た
でも、彼一人でできることには限界があり、澄ルートでは音楽の魔性に囚われてしまう
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MUSICUSの物語により深くハマれるか否かに、音楽を自身でやっている方、特にインディーズバンド活動をしていた方などには、才能だけでは売れない馨の苦しみがより共感できたりするのかもしれませんが、私はどちらかと言えば医者の道を進み続けた馨と同じような人生経験しかないので、必ずしも理解しきれない部分はあったかもしれないです

登場人物達は天才であろうと秀才であろうと凡人であろうと、一風変わった人間が多く・・・・・・まぁ瀬戸口さんのシナリオって時点で普通のキャラが出てくるわけはないと思ってましたが、音楽業界の人間って皆こんな人たちばっかりなのか?とふと思ってしまいました

金田などは言うに及ばず、プテラノドンの篠崎とかアジア帝国の楡とか大体変人か社会的にはちょっとどうよ・・・・・・って方々が目白押し、比較的まともだと思っていた怜や京香は新しい人生に進んでしまうし、変人であることが音楽活動の継続要件なのか?とも思える

各ルートごとに物語の終わり方は異なってきますが、大きく見れば馨が是清と出会い、花鳥風月に魅せられたことで追い求めた音楽を見つけられるのか、その答えをどう得たのかに着目してみていくべきかと思いますので、各ルートヒロインごとの雑感とルートの感想を簡単に、なお以下私のクリア順で記載します

○澄ルート
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4つのルートの中で最も怖い、ある意味馨のたどり着く極地として位置づけられるのかもしれない澄のルート
三日月の可能性を活かすために、敢えてソロ活動へ送り出す馨、その後三日月を欠いたまま活動を続けるDr.Flowerは中々芽も出ないまま、風雅は体調を崩してしまうし、金田は無計画に子供つくっちゃうし、めぐるだけは相変わらず、というかめぐるはどのルートに進んでもマイペースで、食いっぱぐれがない
そんなDr.Flowerの解散を決め、馨はひたすらに作曲をしたり、駅前で一人で歌ってみたりと細々と活動を続けているところで、駅前で馨の歌を聴いてしまった澄、いけない!その男に近づいては!と心の中では思いましたよ・・・・・・ええ

最初にプレイした時はBAD ENDかよ・・・・・・と思ってしまいましたが、全ルート終わってから思うと、他の3ルートでは秀才の馨が、曲を作り音楽を手掛けていくことの意味を得ていきます、特に三日月のルートでは是清に応えるべき回答を彼なりに得ています
でも、澄のルートでは、逆に是清の残した呪いに囚われ、澄を失ったことで知りえた感情を音に変えること、曲を作り続けること、それだけが彼の全てになってしまう

霊安室から出た馨を迎えるのは是清の曲「ぐらぐら」、そして今は届かなくなった「月」が彼を見下ろす
でも馨が全てを変える曲は結局誰にも届くことはなかったのでしょう、だからED曲は「no title」だし、彼が澄に送った曲はExtraにすら残らない
でも、このように世界に出ることなく全てを音楽に捧げて、知られることなく消えていく、それもまた1つの真実なのかもしれませんね
そんなことを感じるルートでした

テーマ的にはこれ以上ない極地の終わりだと思いましたので納得できるんですが、それでも私は・・・・・・馨が音楽の全てに報われなくても、澄を傍らに曲を作り続ける、それでも生きてるんだ!って言えるような終わりも見たかったのも事実です

○弥子ルート
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学校をやめるなんて!という現実的な、まぁ一番一般的な選択をした場合の弥子ルート
「プテラノドン」でそれなりに名も売れて、自分のバンドを組めるぐらいに短期間で上達した馨がそれでも学業に集中するために、音楽活動を捨てたのに、捨てた先にある学校で結局は音楽に囚われる

とは言え、基本的には是清の残した音楽とは、という問いかけの答えを探す道ではないし、学園祭が終われば、是清から受け継いだギターを三日月へ送り、未来へ歩み出すというルート
他のルートとは違い学園の定時制のクラスがメインになるので、登場キャラが他のルートとは全然異なるし、他のルートの様な重苦しいテーマもなく、あと直前澄ルートからこのルートをプレイしたのもあり、ちょっと気楽にできたルートです
「NIGHT SCHOOLERS」の3曲も明るいポップな曲が多くて好きな曲が多いですね
あと、このルートのEDは他のEDより、セリフのシーンが入ったり、ED曲として流れる「幸谷学園校歌」の曲とも合う良いEDでした

○めぐるルート
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花鳥風月のベーシストとしてDr.Flowerに参加するめぐる、公式HPや序盤の花鳥風月のライブ同行の時からビジュアル的には一番好みのキャラだったので、全編通して一番好きなキャラかもしれないです

めぐるのルートへ入る前にプレイした澄ルートでは、三日月がソロ活動をメインとしてDr.Flowerを離れた後、中々売れない状態で風雅が倒れたりするシーンもあるなか、めぐるだけはそういった生活苦の様なものが全然見えてこない
元々花鳥風月のベーシストということで、メンバーでは(ソロ活動後の三日月を除いて)一番顔が広いので、あんまり困らないのか?とも思いつつも特に他のバンドに参加していない時期も含めて、余裕そうだったので、結構生活が謎に包まれています

実際にめぐるルートに入ると、元アイドルで業界の大物朝川周を師匠とする関係性などが出てきて、これ・・・・・・アレか、愛人でした的な?と思ってしまいました
実際めぐるのマンションとかかなりハイレベルなところに住んでいるし
でも、この辺は結局最後まで語られないので、実は色々あった実家筋が金持ちなのか、本当に愛人だった時期があるのか、などわからないままです

めぐるルートは、アイドル時代から自分の存在を失いかけていためぐるが朝川周と出会い、ベースを弾くことを覚えて、誰かのために弾くということを得た
そんな朝川周が病魔に侵されている、そんな朝川周とめぐるの関係を知った馨が、二人の関係を知り、そして今まで心の支えにしていた朝川周の最後を看取るまでの物語、その中でめぐるの過去を知り、一時的に支える馨、認知が危うくなってめぐるすらわからなくなってしまう朝川周に、最後にはDr.Flowerのライブを通じてめぐるを思い出させ、きちんと見送るまでの物語
めぐるルートで馨が得ることになる音楽とは?の答えは、ラストのめぐるの一言
「だってさあ、ステージで楽器を演奏するって、世界で一番楽しいんだよ」
めぐるとの出会いを経て、音楽の存在意義という呪いを、Liveする楽しみへ昇華できたある意味解放されるルートなのかもしれないですね

余談ですが、めぐるルートでのDr.Flowerの写真撮影のシーンで撮られるソファに座る4人の絵がとても素敵です、EDでも使われますが、壁紙とかにしたくなるほど惚れました
にしてもこのルートでは、ドラマーとして風雅でなく檜山が全般的に準メンバーとして参加していて、ルートの最後には正規メンバーになります
写真を撮るのはその前なのでそこには当然含まれていないのですが、EDのバンドメンバーが出るカット(CF用の化粧箱のイラスト)でのドラマーが風雅なのはちょっと残念な感じですね、まぁそこだけのために檜山での1枚絵を描くのかってとこなんでしょうけど
どうせならそこも拘ってほしかった

○三日月ルート
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最後にたどり着いたのは、人物関係から見ても最も是清の呪いの答えを探すルートになるだろうと思っていた三日月ルート

三日月へのソロオファーを断り、Dr.Flowerとしての活動を続けていく、めぐるルートや澄ルートへ至る流れと違うのは、「阿呆船」の閉店イベントがあり、閉店ライブとその前のクリスマスに単独ライブを行うこと
この単独ライブの動員数が形として見えたことで、カノープスとの契約という話が持ち上がり、スターダムを駆けあがるきっかけになっていく
カノープスで出会う作曲家澤村倫との出会いにより、馨よりも更に優れた作曲家としてのポジションが良く見えてくる、いずれにしてもこの後のDr.Flowerは順調に売れていき、澄ルートやめぐるルートでの立ち位置とは異なる認知されたバンドとしての物語になり、その中で馨は音楽に対しての答えを探していくことに

三日月は、歌うことしかできない、歌うことで人と繋がりたいと思っているわけだけど、そんな三日月の個人的な好意は、最も近くにいて好きな馨に伝わらない
馨も衆道の者でもなく、普通に性欲はあるとか言っていながら人の好意に鈍感で、というか直接好意を伝えられても、自分には関係ないかの様なふるまいが多く、この辺はエロゲ特有の鈍感主人公というより、恋愛のヒューズが切れている変人と言った方が良いのかもしれない
三日月の存在自体が、是清から託された音楽の天才で、自分では及ばない才能の宝石だと思っているため手が出せない、つまり恋愛よりも音楽についてのプライオリティが高いってことなんだろうけど、直接本人から好意を伝えられていて、相手は美人で性欲は普通にあるのに5年間手を出してないってのは、かなり変だと思う

とりあえず、二人が繋がって三日月を縛り付けていた何かが解き放たれ、紅白にも出場し順調かなと思ったら、アシッドアタックによる負傷とPTSDで歌えなくなってしまうという・・・・・・
ルートの後半はDr.Flowerが活動休止になってからの馨と三日月の物語となるわけど、この中で「STAR GENERATION」の一度きりの復活ライブの際の八木原を前にして、馨は答えを得るし、三日月も八木原との会話で歌うことの意味を問う
そして三日月が再び歌を取り戻し、馨とともに再びロックンロールを奏で始める

是清が見出して世に送り出した二人の物語が迎える大団円、締めとしてはこれ以上ない良い終わり方ですね

正直なところを言うと、ちょっと出来過ぎている部分はあると思いますが、別に現実的な可能性を突くことに意味はないだろうから、音楽と無縁だった馨が是清との出会いによって魅せられた音楽、是清の死によって託されてしまったものの答えを得る最後は、バンドや音楽をテーマとし続けたOVERDRIVE最終作の最後に相応しいものだったと思います


さて、各ルートについては以上のとおりですが、正直各ルート1回しかプレイしていないので、まだまだ細かい読み込みもできていないので、実際に馨が得た答えの解釈などはまた読み直さないといけないです

その他に全ルートの共通の印象的なこととして、やっぱり外せないのは金田の存在ですね
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物語の始めは、恰好だけはロックンローラー、中味はギターをまともに弾けない口だけの男
Dr.Flowerの活動が始まっても、バイトはしない、馨に興味があったという子に手を出して妊娠させると、本当に人としてどうかレベルの男
でも、どのルートでも後半にはその努力によって一定の技術とコミュニティを得る憎めない奴
正直、序盤は何故馨がこいつをDr.Flowerに入れているのか謎すぎたんですが、後半には金田が居ないとなんかつまらんみたいに思えてしまいます
瀬戸口さんのお気に入りの変人とはまた違うのかもしれませんが、制作陣・ライター・一般的なバンド経験者的にどう見えるのか気になる存在ですね

あと、これだけ収録曲が多いとそこにも触れておきたくなりますが、一番好きな曲は花鳥風月の「ぐらぐら」でした、ヤバい私は馨と違って呪いは受けてないと思いますがこの曲を初めて聴いた時はやっぱり衝撃でやられます
Dr.Flowerの曲では「はじまりのウタ」と「Masic Hour」それに「Calling」が好きかな、NIGHT SCHOOLERSの曲は3曲とも明るい曲調が好きなのでどれも甲乙つけがたいですね

また周回した時に気づいたことがあれば加筆するかもしれませんが、取りあえずMUSUCUS!の感想は以上となります
13年間のOVERDRIVEの活動お疲れさまでした、最終作として良い作品に出会えたことを嬉しかったです