3/26発売源平繚乱絵巻-GIKEI--」をプレイしました
Inre作品は物語が長いし、今回もかなりのボリュームがあるのかと思うので、ゆっくりプレイしていきたいところ
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とりあえず物語のSTARTを選択するとチャプター選択画面へ、見たところ3つのチャプターに分かれているようなので、1つごとに感想を書き足していきます

前作MIBUROでは、後半のシナリオ分岐が新撰組の隊士それぞれにスポットが当たっていたのもあり、ルートとしては結構多いイメージがありましたが、今作はタイトル画面の主張のとおり、御桶代 紫都香と叶納 楼子という2人がメインなのか、それとも主要な義経の郎党たちのルートまであるのか
その辺も楽しみなところですね

キャラ一覧のビジュアルを見たところでは、思ったより源氏側の豪族が少ない感じがしますが、物語が頼朝でなく義経中心だからってことでしょうか
公式HPでシークレットになってるキャラ達は正史ルートというより、後半のIf的な展開で出てくるのか、とか色々気になります

(3/31 追記)
オールクリアしました!
ネタバレなしで言えることと言えば・・・いつものInre作品の歴史を熱く!って部分はありました
Chusingura46+1、MIBUROと比較するとどちらかと言えばChusingura46+1寄りかな?
プレイ時間は大体30時間前後といったところです、源平合戦、源義経に纏わる色々な逸話も知れる物語

以降はネタバレも含めて各チャプターごとに感想を

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○源平合戦編
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Inre作品最初のルートは基本的に歴史上の流れに沿って進むので、このルートも恐らくそうだろうなと思っていましたが、基本的には伏線を色々と撒きながら歴史に抗えない流れでした

鞍馬寺に現代から転移した世志常、紫都香、楼子の3人がそれぞれ義経、静御前、廊御方としてなり、なんとか現代に戻るために平家に捕らえられた楼子を助けようとする、壇ノ浦までが前半、壇ノ浦の後で楼子が現代に帰還した後、鬼一法眼が消えたことで戻れなくなった世志常と紫都香が歴史の通りに非業の最後を迎える後半ですが、とりあえず流れぶった切って世志常を最後に殺した人物、テキストでは音声だけ・・・と思いきや、ボイス登録するとね・・・
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義久!お前かよ!w
ってもろにバレしてまうというね、まぁダメ絶対音感持ちが多い肥えたプレイヤーにはごめんなさいだけでも誰だかバレてしまうのかもしれませんが

義久は登場のときから、現代の同級生 水分さんに似ているとか、怪しげな伏線めいたものがあったのでそんなに不思議ではないのですが、最後の戦いで左腕を負傷しながらも死なず、世志常にトドメを刺しにきた理由、それは次のチャプター以降の謎なんでしょうけど、たまたまこのシーンでボイス登録ボタンを間違えて押してしまったためにエラいバレを食らった気分ですw
そして、この時の義久は口から血を流しています、直前で戦闘をしているので、その負傷と考えても不思議ではありませんが、屋島の戦いの後にも義久が口から血を流しているシーンがありました
このシーンでは他の兵と諍いがあったようなことを言っていますが、義久が血を流す理由・・・・・・何かありそうですね

さて、その他の伏線というな謎に関してですが

・紫都香の記憶と人格変化
・平泉で感じた嫌な空気
・鬼一法眼の目的
・時間の流れ方
辺りが物語全体に関わる伏線というところですかね

紫都香が静御前に変わってしまう理由については、スマホで「愛の夢」が流れると変化する様ですが、高熱で倒れたときに一瞬だけ静御前としてのうわ言が漏れたときはそれとは無関係だったようにも思います
この辺、本当にスマホが理由なのかも含めて、まだ気になるところですね
また、義経、静御前、廊御方とそれぞれの歴史上の人物のうち、紫都香は静御前の身体に紫都香が宿っているようですが、世志常と楼子の場合はどうなっているのか、現代に楼子が戻った後の本来の歴史上の廊御方は?という点も気になるところです
ただ、廊御方が3人の中では記録上一番実在が怪しそうなので、楼子が現代に戻った後、代わる人物が居なくてもまぁそれはそれで、ってところですが

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平泉で世志常が異様な空気を感じたのは、平泉に戻ってから2回
一度目は到着のときで、紫都香が平泉の人口の池を見て驚いたことを思い出したとき
二度目は藤原秀衡が病に倒れたとき、病が快方すれば戦ができる、と考えたとき

2つの共通点は何かと考えてみると、敢えて言うならどちらも世志常が考えていることが本来の歴史上では発生しないことを考えたとき?ぐらいですが、それだけなら他にもいくらでもありそうですね

鬼一法眼は3人が現代から平安時代にやってきたときに最初に接触する人物ですが、猫を使った術や、楼子を現代に戻したりと、話の根幹に関わっているのは間違いなさそうです
源平合戦編では楼子を現代に戻したあとは全く出てこなくなり、その目的などもわかりませんが、次チャプター以降でその辺が見えてくるのを楽しみにしたいところです

後は、3人の主観時間が早くなったり日常と同じ速度になったりするという時間の流れ方、物語的には平泉の6年などを全部詰めるわけにはいかないという舞台装置にも見えますが、これも何かしらの理由付けはされると思うのでそこもちょっと気になるところです

源平合戦編は、最初のチャプターということでまだまだ謎も多く、或いは見えていない謎もあるはずですが、とりあえず世志常、紫都香、楼子そして恐らく水分さんや見た目が兄そっくりな頼朝など、現代とどのような繋がりがあり、3人が平安時代に来てしまう必要性と併せて、風呂敷がいっぱい広がりました

次のチャプターでは、全く歴史に無い物語になるのか、或いはChusingura46+1の時の様に人物や角度を変えて物語を見ていくことになるのか、何れにしても楽しみです

○北行伝説編
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さて、Inre作品お馴染み(?)のループにより、壇ノ浦合戦の直後まで戻されてしまう世志常、2周目は想像できましたが、紫都香が現代へ帰還し、世志常と楼子が取り残されてしまう物語でした

世志常の記憶が最初は朧げではあるものの、ループによる記憶があることと、紫都香以上に史実に詳しい楼子の組み合わせということで、1周目以上に先のことを色々と考慮しながら、今度は実際の史実とは異なる行動をしてみよう!という中で、鬼一法眼の行方を探していたら、平家の落人村へ・・・
平家では一番キャラが立っていた教経がここで出てきて、2周目では味方になる展開は熱いですね

この二人が揃って平泉に行くことで戦上手を揃えた奥州軍と頼朝軍の戦いが見れるのかと思ったのですが、残念ながら両軍が激突することなく終わってしまうのが惜しい
1周目の源平合戦編でもそうでしたが、軍の行軍路を地図上で出してくれるのがありがたい一方で、合戦絵巻好きとしては、軍の配置図や兵力なんかが見てみたいと思ってしまうものの、この時代の記録はそこまで明確に残ってないのですかね

2周目のチャプタータイトルは北行伝説編ということで、義経が平泉から蝦夷ヶ島へ逃げ延びた逸話に則った展開で、義経の北行に纏わる地名とか色々なことを知ることができて面白いのですが、いざ蝦夷ヶ島へ渡ろうとしたときに物語が急展開してしまいます
2周目はここが個人的には惜しかった、鬼一法眼がラスボスよろしく色々仕掛けてくるのは途中でわかってきていましたが、その辺は蝦夷ヶ島へ渡った後になるのかと思ったら、直前に急ブレーキがかかってしまった感じで、しかも平泉に戻った瞬間に味方がほぼ全滅、現れた法眼と継信にあっさりと殺されて終わりという・・・
2周目自体の尺が壇ノ浦から始まっていることもあり、源平合戦編に比べて短めなのも相まって(それ自体は全然いいんだけど)、2周目の打ち切り感が凄かったです

この短さが3周目との繋ぎの関係で、敢えてこの構成なのか・・・続きをプレイしてみて、ですね
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さて、1周目で謎として挙げさせていただいた点も含めて、その後わかったことと言えば
・紫都香の人格
 ここに関しては、2周目は紫都香が現代に戻ってしまうので新しい情報は無いですね
・平泉で感じた嫌な空気
 これは2周目ラストでも出てきましたので、鬼一法眼の何かの術の影響ということみたいですが、名前は出てこなかった白髪の物の怪(女)や、継信(赤眼)が出てくるタイミングでは空気代わりっぱなしです、彼女らが出てくることと空気の変貌は必ずしもイコールではなさそうなので、鬼一法眼が術を使うとこうなるということでとりあえず考えておきたいところです
 周目に比べて2周目の方は、後述する鬼一法眼の目論見がより進んでいるようなので、その分、術の影響も大きいのかとそんな風に思いました
・鬼一法眼の目的
 2周目では、鬼一法眼が平家の妖刀(痣丸)と源頼政がかつて持っていた獅子王、頼朝が保有していた髭切の3刀を手に入れ、これにより約束の刻が来ると言っていました
 また、1周目もそうでしたが草薙剣の行方を気にしていて、こちらは手に入れるというより無くなっていることの確認にも感じましたが、ただ2周目では草薙剣は安徳天皇が保有している様で、といっても普通に刀を持っているのとは事情が異なりそうですが、ここはまだ明らかになっていません
 そうなるとChusingura46+1の最終章の様に、国を覆す様な大妖術を行うために3つの刀を手に入れようとしており、平泉襲撃の際に安徳天皇を「贄」と言っているので、それを含めた4つの要素による術ということになるのでしょうか
・時間の進み方
 この点については、2周目ではあまり触れられていなかったので、相変わらず謎のままでした

そして、2周目が終わって新しくわかったことと言えば、1周目の紫都香のアソコのそばにあった黒子、楼子がその逆側の同じ位置に同じように黒子がありましたね
ここから想像できるのは、紫都香と楼子は二人揃うことが必要になる展開が出てくるってことでしょう
そう考えると鬼一法眼が1周目、2周目とも二人のうち1人だけを現代へ帰してしまったということにも理由が付き、二人が揃っていると鬼一法眼にとって都合が悪そうな何かに繋がるのかな
でも、そもそも何故3人が平安時代に呼ばれたのか、という理由がわかっておらず、その理由が一人が現代に帰されながらも世志常ともう1人が残される理由なんでしょうか・・・?

また、2周目の義久と楼子の会話や行動の端々から、義久がこの時代の人間ではない、あるいは何等かの事情で現代の世志常たち3人を知っていることが伺えます
義久は敵か味方か、ここも楽しみなところです

あっさり打ち切り感とか書いておいてなんですが、物語の展開が早く、次が気になり続けているので、中断どころがなくて、睡眠不足になりそうですが、チャプター画面を見る限りは次のチャプターが最後となるのかと思われますので、これまでの伏線が回収を楽しみにいざ、チャプター3へ!
・・・Chusingura46+1の時みたいに最後は人外バケモノとの超常決戦になるんだろうか(汗


○偽経編
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やっぱり怪獣大決戦じゃないですかヤダーw
まぁ北行伝説編で明らかに妖の者が出てきてるから、そうなるんだろうと思ってたけど、想像以上にバケモノとの戦いへの比重が高かったですね

前2チャプターから鞍馬寺で片方だけ送り返されることを拒否し、鬼一法眼を取り逃してしまい、今度は安徳天皇を奪われてしまう
そこから平泉が襲撃されたところは悲惨極まる展開でしたねぇ・・・最終ルートまで来て秀衡の死に様が悲しすぎた
最後に正体が判明する興世王が平将門を名乗っていたので、源平繚乱絵巻は源氏と平氏の史実の戦いの物語から、平将門vs源為朝という超人血戦になってしまったのは、バトルものとしてはいいとして、何というか・・・前半出てきた史実のキャラ達の影が凄く・・・薄いです
世志常たちも大島での半月の修行で多少強くなっている描写はありますが、鎌倉のリベンジマッチでの優勢はどちらかと言うと金メッキした武具の力の方が目立っており、それも為朝の知恵のため、なんというか見せ場持って行かれた感がありましたね

本当の最終決戦は平泉での八岐大蛇との戦いなんでしょうけど、ここも世志常たち3人が飲みこまれたかと思ったら、十束剣でスパーンと切り裂いて終わってしまう
十束剣の力を発揮させる翡翠の装具は、最初の鞍馬寺で拾ったのがここでようやく役に立つってことですが、この装具を拾う理由や鞍馬寺の水を飲んで護法魔王尊の力を得るくだりは、ここで一気に判明します
個人的にはもうちょっと八岐大蛇が動き出すなり暴れて、もうどうしようもねぇ!って展開の後に来てもよかったかなぁ・・・ってのはありますね
興世王と呼び出された大妖怪たちが暴れすぎて尺が無くなったのかもしれませんが、その分八岐大蛇との決戦がRPGでいうところのイベントバトルの様で、アレ?っていうまに終わっちゃったのがホント惜しかった

とは言え、偽経編も全体でいうと結構な長さがありますので、読み応えはありました
八岐大蛇を倒して物語としてはエピローグを迎えますが、最後はいつものって感じでOKです

作品全体を通してみると、いつものInreらしい熱い展開や歴史の逸話に関する話、豊富なキャラクターと読み物としては面白いです
ただ、Chusingura46+1、MIBUROの前2作は、武士道の在り方や、明治維新を駆け抜けた維新の志士たちが心に抱く国の在り方のぶつかり合いといった、思想的な面がキャラクターに強くあり、それによって人の生き様や散り様があるところが、凄く魅力であったと思います
源平の戦いは、源氏・平氏という2つの大氏族同士の権力争いであり、物語の主人公となる義経はその政治的な陥穽の狭間で苦しみ、それでも忠臣たちと生き残りをかけて闘う、そんなところが物語の要点です
その違いからか、世志常には世界や歴史、そこで生きる者達の生き様に対する想いというのはあまり見えません、目的はあくまでも紫都香、楼子(最終的にはクマも含めて)と現代に戻ることが目的なので

その辺の違いが出てしまうか、今回はバトルが熱い!というところはあっても、泣ける要素が薄かったです
あと、ヒロインが紫都香と楼子に限定されていたため、他のキャラのお色気は総じて温泉シーンに集約されていましたが、もうちょっとだけラッキースケベ系のイベントが多かったらなぁ~とか思っちゃいましたw
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一方でヒロインキャラであっても歴史上の非業はしっかり描くという点が凄く評価できました
これを思ったのは、静御前の人格になった状態で鎌倉に連行された紫都香が世志常の子を産むも、頼朝に子を殺されてしまったところですね
幕間としては短いシーンですが、黒パケでもないとヒロインは何かと優遇されがちな展開をちょいちょい見ますので、歴史上のイベントとはいえ、このシーンは、そうよね、世志常と離れ離れなっちゃうとこうなるよねーって思いながら見てました
どうせなら山賊に襲われたシーンも、巴御前の救援なしでも!と思いましたが流石にそこまではなかったですね

色々思うところは多かったですが、これだけ長い物語なのに、中断するポイントが中々無くて恐ろしい時間泥棒でした
次回作は、MIBUROの最後に示唆された物語でしょうか、Inreの熱い物語に期待したいです

以上、源平繚乱絵巻 -GIKEI-の感想でした