
この番組は、キヌサヤフードプロデュースの提供でお送りしています。
最初から読む方は、こちら。前回、見逃した方は、こちら。
『ビーッ!ビーッ!ビーッ!』
緊急ブザーが鳴り響く。
秘書ロボット『タンタン』の声が、「オーブクローラー」の艦内に響く。
「高出力 エネルギー波ヲ 検出 シマシタ。
検出座標 22,13,15,10。
玉猫町 三丁目付近 デス。」
すでに、「オーブクローラー」の指揮台に陣取っていた虎ケン司令叫ぶ。
「ネズロンか?」
『タンタン』が即答する。
「ネズロン反応 認メラレマセン。
オーブ ノ 波動 ニ 酷似シテイマス ガ、当方ノ モノトハ 一致シマセン。
解析中デスガ 亜空間ヘノ 通信 ノ 様デス。」
「了解!
亜空間へ通信したとなると、ネズロンが絡んでいるかも知れんな。」
虎ケン司令は、少し考え、次の指示出す。
「戦闘状況 レベル3へ移行!オーブファイブ緊急召集!
玉猫町に直行せよ!
オーブクローラー、発進して玉猫町上空にて待機!」

「了解。
オーブクローラ、緊急発進準備。」
オーブクローラーが格納されている巨大な地下格納庫に、照明が灯り整備員が駆け出す。
発進の指示に続き、『タンタン』は、オーブファイブの召集を開始する。
「オーブファイブ 各員。コチラハ タンタンデス。
戦闘状況 レベル3。
玉猫町ニ 急行 シテクダサイ。
座標ハ 22,13,15,10。」
『タンタン』の召集に対して、次々と返事が返る。
『オーブレッド、ラジャー!』
『オーブブルー、ラジャー!』
『オーブピンク、ラジャー!』
『オーブイエロー、ラジャー!』
『・・・・・・・・・・』
パープルからの回答が無い。
『タンタン』が、もう一度呼びかける。
「オーブパープル。
指令ヲ 確認シタラ 返答願イマス。
コチラハ タンタン デス。」
『・・・・・・・・・・』
『タンタン』が、虎ケン司令を振り返る。
「オーブパープル カラ 応答 アリマセン。
パープルのオーブ反応モ 微弱デス。」
「オーブクローラ、発艦急げ!
イエローに指示し、パープルの所に・・・」
『もう、向かってるだよ!』
マルの声が飛び込んでくる。
「マル!反応があるので大丈夫だとは思うが、急いでくれ!
ネズロン反応の件もあるから、気をつけるんだぞ!!」
『ラジャー!』
マルに指示を出し終わると同時に、発進準備が出来た事を『タンタン』が伝える。
「外部ゲート、開放完了。
付近 ニ 障害物 ナシ。
発進 デキマス。」
「よしっ!オーブクローラー、発進!」
「オーブクローラー 発進。」
三度、亜空間に浮かぶ幻魔城内。
大広間に淑大僧正の怒号が響き渡っている。
「まだ、あのエネルギー波の正体は、解らんのか!!」
大広間の端に設置された奇怪な形の装置の前で、その装置を操作しているネズロン兵の一人が答える。
「ははっ!大僧正様。何かの通信らしい事はわかったのですが、内容までは・・・。」
「なに!通信じゃとぉ!ええい、早く調べるのじゃ!!」
そのとき、もう一人のネズロン兵が、淑大僧正に報告する。
「例のモノから通信が入っています!どう致しましょう?」
淑大僧正の顔色が曇る。
「ううむ、今はまずい。繋いではならんぞ。」
「はっ!・・・あ。しっしかし、強制的にこちらに割り込んで・・・
ああっ!繋がります!」
ネズロン兵の叫びと共に、大広間の大スクリーンに例のぼやけたシルエットが浮かび上がる。
「淑大僧正ヨ!ヨクモ我等ヲ 謀ッタナ!!」
「チッ!」
舌打ちする大僧正。しかし、素早くそ知らぬ素振りで返答する。
「何のことじゃな?」
だが、向こうは、もう何かを知っているようである。
「トボケルナ!先程、我ガ息子カラ 連絡ガアッタ!!」
「しまった。あれは小僧からの通信かっ。」
スクリーンに映らない方を向き、淑大僧正の顔が歪む。
「連絡ニ寄レバ、我ガ息子ハ 地球人ニ 助ケラレタ ト 言ッテオル。
コレハ ドウイウ事ダ!!」
「そっ、それが地球人の狡賢い所じゃ!話に乗ってはいけませんぞ!」
「トニカク、モウ貴様ニハ 手ヲ 借リン!
我々ガ 直接 地球人ト 話ヲスル!!
余計ナ 手ヲ 出スト、容赦ハ セヌ!解ッタナ!!」
そのまま、また、一方的に通信がきれる。
黙って俯いている淑大僧正。
しかし、その手が怒りで震えている。
そこに、別の恐ろしい声が轟く。
『淑大僧正!どうなっておるのだ?
小僧は手元に居る、心配ない・・・貴様、そう言ったのではなかったか!』
「申し訳、ございません!皇帝陛下!」
ひれ伏す淑大僧正。
「手違いがありまして、小僧に宇宙船を奪われ脱走されてしまいました。
が!しかし、もう、手は打ってございます。」
『・・・手、というのは?』
不気味なほど感情のない声で、邪魔皇帝が聞き返す。
「既に!」
大きな声を出し、真っ赤な顔をして淑大僧正は皇帝の声のする方に向き直って叫ぶ。
「サターンネズーが、小僧を捕らえに向かいました!
我らの手に戻るのは、時間の問題でございます!
それから、改めて『タマテクト』を要求しますれば、必ず!」
一瞬の間。
『しくじったら、もう後がないぞ・・・。
解っておろうな?ん? 淑大僧正・・・。』
再び、感情のない声が響く。
淑大僧正は、その声に恐ろしい響きがある事に気が付いていた。
そして、慌てて答える。
「もちろんでございます。けっして、皇帝陛下のご機嫌を損ねるようなことはございません!!」
『・・・。期待しておるぞ。淑大僧正・・・。』
「ははーっ!」
すぐに皇帝の気配が消える。
淑大僧正は、ネズロン兵に近づき、小声で伝える。
「サターンネズーに、すぐさま、小僧を連れて戻れ、と伝えよ!
暗号通信でな。急げ!!」
「チュチューッ!」
「あいててててて。」
ビーム放出の時に発生した衝撃波で、チオリは宇宙船から数メートル離れた地面に放り出されていた。
起き上がりながら周辺を見回すと、衝撃波で舞い上がった粉塵で霞んでいて、どうなっているのか良くわからない。
「つよちゃん?!ククール!?ユースケ?!みんな大丈夫?!」
「おう!大丈夫だ!」
すぐに返事が返ってきて、誰かが近づいてくる。
ユースケだった。
「チオリ、お前は大丈夫か?
あの時、お前の腕輪も凄い光を出していたぞ。」
「えっ!」
慌ててオーブブレスレッドを見る。
「あー、ダメかも・・・。」
オーブ自身には何のダメージも無さそうで、いつもの輝きを宿しているのであるが、ブレスレッドに接続されているオーブシーバーなどが動いていない。
はやり、凄いエネルギーが流れたようである。
「そうだ、ククールは大丈夫?」
はっと気が付いてチオリは聞いた。
「大丈夫だよ。今、宇宙船を調べている。」
そう言って振り返ると、薄れてきた粉塵の中、ククールが慌しく宇宙船の中を調べているのが見えた。
「ククール!大丈夫!」
チオリはククールに駆け寄った。
チオリの声に、ククールが宇宙船から顔を出す。
「宇宙船は、大丈夫なの?」
「くくー」
ククールは、大丈夫、と言うように頷いたが、ククールから送られてくるイメージは複雑である。
「どう言う事?」
そのククールの反応に、戸惑うチオリ。
「エネルギーがなくなっちゃったんだ!」
ツヨシが突然に叫ぶ。
その声に、頷くククール。
「ツヨちゃん、わかるの?!」
「解るよっ。機械は大丈夫そうだけど、エネルギーが無くなってる。
チオリ姉ちゃんの玉からでるエネルギーは、強すぎたみたいなんだ。
そうだよね?ククール。」
「くくーるぅ!」
頷くククール。
「凄い!ツヨちゃん。」
得意げなツヨシ。
「それで、家族に連絡は、うまく出来たのかしら?」
チオリの問いかけに、ククールは悲しそうな顔をして答える。
「くくくーる、くくー。」
「ここに居るよ、って知らせる事は出来たみたいなんだけど・・・。」
ツヨシがククールに変わって話し出す。
「届いたのかどうかは、解らないって。
その前に、機械が止まっちゃったし、そのときに、残っていたエネルギーも使っちゃったから、もう一度、オーブを繋いでもダメみたい・・・。」
「そうなんだぁ・・・。」
チオリはククールの方を見た。
ククールは、元気なく、ペタリと地面に座り込んでいる。
「元気出して。ククール。
きっと、通信は家族に届いたと思うよ。」
チオリは、そういうと、ククールに近づき、しゃがんでククールの手をぎゅっと握った。
さっきまで、ちょっと気味が悪いと思っていたその手の感触も、今は気にならない。
と、そのとき。
キュイン、キュイン・・・。
オーブのブレスレッドが、再び低い唸りを出しながら、鈍く輝いている。
ククールの胸の機械と、オーブがまた反応しているのだ。
ククールが胸の機械に手を伸ばし、何かを触ると、機械がパカッと開いた。
そこから、何かを慎重に取り出すククール。
それは、小さな玉だった。
どうやら、宇宙船に載せられていたひびの入った玉と同じ素材のようである。
チオリのオーブとは、また、違った色で輝いている。
「あ、綺麗・・・。」
チオリが呟いたとき。
「うわぁ!な、なんだ?」
トオルが声をあげた。
見ると、トオルのポケットも、ぼんやりと輝いている。
慌てて中から、トオルが取り出してみると、それは、例の「スーパーキヌサヤ限定」の『スペシャルクリスタル』のガシャポンのケースだった。
それを見ていたククールの顔が、パッと輝く。
「くぅ!くくーるうぅ!」
急に立ち上がって、チオリの手をひく。
「え?え?どうしたの?」
「一緒に来てって言っているよ。力を貸して欲しいみたい。」
ツヨシがククールに代わって言う。
「ちからって・・・でも、もう宇宙船の機械は・・・。」
「いいから、来てって!小屋の中に何かあるみたい。
みんなも来て欲しいって。」
ツヨシもククールと一緒に、チオリの手を引っ張る。
「よし、とりあえず、入ってみよう。」
ユースケの一言で、周りにいた子供たちも、小屋に戻っていった。
・・・その様子を、遠くの草叢からじっと見ている影があった。
「淑大僧正様!サターンネズーより連絡です。」
「よし、繋げ!!」

淑大僧正の声と共に、スクリーンにサターンネズーの姿が映し出された。
黒々とした体に、頭の周りと腰の回りに土星の輪を思わせる輪っかが回っている。
『淑大僧正様、子供を見つけました。空き地に潜んでおりました。』
「でかしたぞ!早速、捕まえてここへ!」
『それが、ちょっとまずいことに・・・。』
「どうしたというのだ!」
『オーブの小娘と一緒なのです。』
「なにっ!くそう!オーブファイブめ。どうしてわしの邪魔ばかり!
オーブの連中に知られておるのか!」
『いえ、それが一番小さい奴が一人だけ・・・。』
「うぬ?パープルだな?一人だけ・・・とな?」
『はい。近くで黄色い威勢のよい小娘も見かけたとの報告も入っておりますが、ここには居りませぬ。』
「ほほう、それは、妙だな・・・。」
少し、考え込む淑大僧正。
しかし、すぐににやりとして言った。
「それは、きっとオーブの連中は、あの小僧の事にまだ、気付いておらんようじゃな。
何かの理由で、パープルが、連絡を入れておらんのだ。
よし。丁度よい。サターンネズーよ!
小僧もろとも、オーブの小娘も捕まえてくるのだ!」
『ははっ!』
サターンネズーが答えると、スクリーンが消えた。
淑大僧正が呟く。
「これは、一気に運が向いてきたわい。
小僧を捕まえ、オーブの娘を手に入れれば、ぐふぐふぐふ。くっくっくっくっ。
わーっはっはっはっはっ!!」
幻魔城の大広間に、淑大僧正の笑い声が不気味に木霊した。
小屋の中央に、ククールの持っている小さい玉が置かれている。
そして、その周りに、みんなが集めた『スペシャルクリスタル』のガシャポンのケースが詰れている。
それぞれ、10個づつくらい持ってきたし、最初にツヨシ、ユースケ、トオルが買いだめしているので、全部で300個くらい有るだろうか?
更に、その周りを囲むようにみんなが手を繋いでいる。
チオリは、ククールの隣に居た。
チオリのオーブが薄く脈動するように点滅している。
それにあわせて、中央に置かれた玉も、ぼんやりと輝いている。
ククールが何か呟く。それをツヨシがみんなに伝える。
「これから、このケースを使って、あの小さな玉を育てるんだって。
だから、みんなの力を貸して欲しいんだって。」
「力を貸す、って、どうやるんだよ。」
トオルが聞いた。
「えっとね、みんなの心に、ククールが玉が大きくなる姿を送るから、一緒にそれを想像して欲しいんだって。」
「想像・・・するだけなの?」
「うん、みんなの力とチオリ姉ちゃんのオーブの力を借りれば、うまくいくってククールが言っているよ。」
「よし、やってみよう。」
ユースケの言葉を合図に、みんなは一心に玉を見つめ始めた。
そこに、ククールからのイメージが送り込まれる。
輝く玉のイメージ・・・。七色に輝いている・・・。
そのイメージが送られ始めると、チオリのオーブの輝きも増す。
同時に、中央の玉も、段々光を強めていく。
と、それに触発されたかのように、『スペシャルクリスタル』も発光を始める。
その輝きが、みんなの顔を照らしている。
『あ・・・暖かい・・・。』
チオリがそう思ったとき。
「う、動いた・・・。」
誰かが声をあげる。
そう、中央の小さな玉が、ふわっと浮き上がる。
微妙に揺れながら、どんどん高さを増してゆく。
そうして、丁度大人の背の高さ辺りで上昇をやめる。
と、今度は、ガラガラっと音がして、『スペシャルクリスタル』が、上昇を始めた。
そして、段々高くなるにつれて、くるくると中央の小さな玉の周りを、縦横無尽に回り始める。
まるで、でたらめに回っているのに、ケース同士がぶつかる事は無い。
「うわぁ・・・・。」
子供たちは、その様子に息を飲む。」
ククールがまた何が呟いた。
ツヨシがみんなに伝える。
「もう一息だから!みんな、何があっても手を離さないでって!」
「よ、よし!解った!みんな、絶対手を離すなよ!!」
ユースケがみんなに叫ぶ。
「わかった!」「任せて!」「どんとこい!」
みんなも口々に返す。
チオリは、何となくみんなの心が繋がっているのを感じた。
「いくよっ!」
ツヨシの声にあわせて、ククールが目を閉じる。
ククールから送られるイメージが更に強くなる。
七色に光る玉が・・・光ながら・・・だんだんと大きく・・・。
そのイメージの変化に合わせて、『スペシャルクリスタル』のケースの飛び回る速度が、どんどん速くなり、また、飛び回る範囲がどんどん小さくなる。
そして、中央の玉の輝きもどんどんと増してゆき、徐々に七色に輝き始める。
ククールから送られるイメージとそっくりに・・・。
チオリのオーブもそれに同調して輝きを増している。
しかし、今度はさっきのビームを発射したときの様な危険な感じはしない。
むしろ、光が増すに連れて暖かみが増している。が、それは決して「暑い」という感じではない。
やがて、飛び回る『スペシャルクリスタル』の速度がピークに達し、その飛び回る半径も、中央に密集してきた、次の瞬間!
シュバーッ!
中央の玉が、ものすごく眩い光に包まれた。
「うわっ!まぶしい!」
「きゃっ!」
みんなは、思わず手を離し、目を覆う。
次の瞬間、光が消えて辺りが元の明るさに戻る。
みんなの目が、明るさになれているので一瞬、何も見えなくなる。
「ど、どうなったの?」
「こわーい。」
「ライト!だれかライト!」
チオリが思わず叫ぶ。
「大丈夫です!みんな、もうすぐ目が慣れれば、、見えるようになります!落ち着いて!!」
その声にあわせるように、ぽっとオレンジの光が灯った。
「あ」
みんなの目が、一斉にそっちに向く。
ククールの手の上に、見違えるように大きくなった玉がのっており、暖かい光でみんなを照らしている。
「すっ、凄い・・・育ってる。」
ユースケが呟く。
「やったぁ!成功だ!」
ツヨシが叫ぶ。
その声を合図にしたかのように、みんながククールに駆け寄る。
「凄い!凄い!」
「暖かいねぇ。この光り。」
「頑張ったね、ククール!」
「くくー!くくー!」
ククールも嬉しそうである。
その様子を見ていたチオリは、なんだか胸が熱くなって、つい涙ぐんでしまった。
「なーに泣いてんだよ。」
うしろから、不意に声がした。
ユースケだ。
「な、なんでもないよぉ。」
慌てて、涙を拭くチオリ。
そんなチオリの様子を見て、ニッコリ笑ってユースケが言う。
「不思議な感じだよね。
まだ、ククールとであって2日しか経っていないのに、もうみんな、昔からの友達同士みたいだよ。」
チオリも頷きながら答える。
「ほんと。私なんて、今日会ったばかりなのに、ククールだけじゃなくて、ここに居る子、みんなとずっと友達だった見たい。」
「うん、そうだね。」
二人は、ククールとその周りで得意げに通訳をしているツヨシを見る。
「ツヨちゃんのおかげね。ツヨちゃんが、ククールを助けなかったら、こんなことは無かったね。」
「おい、おい、俺も頑張ったんだぞ?」
「あれぇ?ツヨちゃんを脅したんじゃなかったっけ?」
「エーッ、勘弁しろよぉ。あの時は、そうでもしなきゃ、ツヨシの奴、話しそうに無かったんだよぉ。」
二人がそう、言い合っていると、トオルの声がした。
「いつまでも、そこでいちゃついていてもいいけどさ、この玉、早いとこ、宇宙船にもっていって見ない?」
「ば、馬鹿!そんなんんじゃ、ねーよ!」
「そうよ!こんな奴・・・!」
そういいつつも、なぜか顔が火照ってしまうチオリ。
「ひゅーひゅー」
「えーっ、いつの間にぃ?」
周りも囃し立てる。
ちょっと真っ赤な顔になったユースケが、言い返そうとしたとき。
「まあまぁ、みんな、からかうのはそのくらいにして、早く行こう!」
トオルがそう言うと、玉を持って走り出した。
「ああっ!待ってよぉ!」
ツヨシが叫んで、トオルを追いかける。
「へへっ、お先ぃ!」
トオルは先にドアを開けると、外に飛び出した。
ククールや他のみんなも、トオルの後を追って走り出そうとしたそのとき!
チュイーン!
「うわーっ!!」
トオルの悲鳴が聞こえた!
「トオルっ!」
慌ててみんな、外に飛び出す。
そこには!
わき腹を押さえて、倒れているトオルの姿。
足元に、玉が薄ぼんやりとした光を湛えて落ちている。
外は、すっかりと日が落ちて暗くなっている。
月明かりだけが、空き地を照らしている。
空き地の少し小高くなったところに、何人かの人影が見える。
その真中に居る人影が、叫んだ。
「ご苦労だったわね。その玉も、その緑の小僧も、宇宙船も、全て貰い受けるわよ!」
チオリは、みんなの前に飛び出す。
「そうはさせないわッ!」
その影は、一歩前に出てくる。
「おや、あなたがオーブのお嬢ちゃんね。
あなたも一緒にきていただくわ。」
「あなたは誰ッ!」
「私は、ネズロン帝国のネズーモンスター、サターンネズー!
邪魔だてするものは、そこのボウヤみたいに痛い目を見るわよッ!」
その声と共に、ジャキッと音がして、サターンネズーの周りの人影、ネズロン兵が、銃を構えて、子供たちの方に狙いを定めた!
(4)につづく・・・
コメント
コメント一覧 (4)
我々帝国の居城でオーブの小娘をどう扱おうかのぅ〜〜〜まずは、牢屋でしばらく監禁じゃぃ!!!(ぉぃぉぃw)
おひさぁ!
大活躍だねぇ。^^
でも、気をつけないと、強敵が現れるらしいよぉ??^^
それにしても、ずる賢いのはどっちだってーの。
さて、俺も大僧正の活躍を書かねば。
「皇帝陛下様〜〜〜このワシ(俺)を見捨てないでくださいよ〜〜〜(涙)」と言ってみるw