82日の読売新聞夕刊は、その一面で「理研批判渦巻く学会」として、「検証無意味」、「科学否定」という分子生物学会理事の声明を紹介し、STAP問題で学会から異例の見解が相次いでいることを報じた。

 

 何人かの人から「STAP問題はもう取り扱わない方がよいのではないか」というご意見もいただいたが、分子生物学会や、NHKを含めたマスコミがこのような姿勢でいる限りは、この問題を看過するわけにはいかない。

 

 大隅理事長の「STAP 細胞再現実験の凍結」というコメントに関しては、712日付けの記事いくつかの質問に解答する」で、以下のように皆さんに問いかけた。

 

 「実態解明が先」と主張される方は、「両者の言い分が食い違って結論は出ず、また実験ノートからは十分なフォローができなかったので結局不明でした」という結論が出ても納得されるのだろうか?そして再現実験に同意するのか?

 

 これに関しては今まで誰も答えてくれていない。なぜ答えないのかと言えば、大隅理事長も含めて再現実験の凍結を唱える人にとっては、調査をすれば小保方さんは必ず有罪になると確信しているからだ。ここで何回か出てきている言葉を使えば「決めつけ」という事だ。

 

 この問題に関しては、82日の記事に対する「はと」さんの意見への「英検2級さん」の返答(コメント52)を見ていただきたいが、STAP幹細胞の作製に関与したのは、小保方さんと若山教授であり、もしES細胞を使った捏造ならば、論理的にはお二人に可能性があるのだ。勿論、若山教授はこの問題に真摯に答えようとしている事は事実だが、「予断は禁物」というの は捜査の鉄則だ。テレビドラマ的には、「捜査に協力している人こそが本当は真犯人」というのがよくあるストーリーだろう(勿論、私は若山教授は潔白だと信じている)。また、STAP幹細胞と同じ遺伝子を持ったマウスが、若山研究室で飼育されていたことは事実であり、誤って使用された可能性は現時点では否定されていない。若山教授が間違わなくとも、実験を行っていた元留学生がアクロシン-GFPマウスをCAG-GFPマウスだと誤って若山教授に引き継いだとしたら、STAP細胞そして幹細胞がアクロシン-GFPを持つことはありえることだ。両マウスともにB6129の交雑マウスなので、外見上は区別がつかないはずである。

 

 「はと」さんは、小保方さんを非難する人に共通する見方をされている。論理的可能性(捏造は小保方さんに限定されない)を言及すると、「どうやらここは無理やり小保方を擁護するカルト集団の巣窟になってしまった」とレッテルを貼る。11月までには決着がついて来年3月末までには懲戒処分されると推測されます。そのとき、またパフォーマンス会見を開いて、あーだーこーだと出来ない理由をつけてSTAPはそれでもありますと泣きながら発信するところが目に浮かびます」というコメントもそうだ。私は、「たとえ言い訳をしても期限内にOct4-GFPが光らなければ、改革委の岸委員長が言われていたように「STAP細胞はできていなかった」とみなして捏造認定」と712日のブログ記事で述べている。それと、「あーだーこーだと出来ない理由をつけてSTAPは それでもありますと泣きながら発信する」ということを言われるが、マスコミが相手にしなければそれで済む話なのだ。逆に言うと、理研や科学者コミュニティが行うべきことは、再現実験が失敗に終わった場合、小保方さんの言い訳をマスコミが相手にしないように働きかけることだろう。記者会見で、「科学的に追求できることはすべて行われたが、実験の再現ができないということは、当時もSTAP細胞が作製されていなかったと考えることが科学的そして論理的帰結であり、この結論は科学者ならば誰しもが納得すると確信している」と述べる状況を作ることだ。再現実験をさせていなければ、「再現実験をさせてもらえれば、STAP現象があることが証明できたのに残念でなりません」というコメントが発表されるだろう。このコメントと、「できない理由をつけてSTAPは それでもありますと泣きながら発信される」のと、どちらが良いかを考えれば結論は明白なのだが、「決めつけ派」は、有罪と確信する小保方さんに実験をされること自体が不愉快なので、再現実験の阻止に全力で動く。なぜ彼らは、マスコミが小保方さんの泣き言を取り上げないようにするための努力をしようとはしないのか?

 

 私が大隅理事長の声明に疑問を持つのは、彼女はその声明で「相澤-丹羽検証実験」についてまったく言及していないことだ。以前、コメント欄に書かれていたが、その実験は1,700万円(注:1,300万円が正しい)の予算を使っているという。私はこの実験は停止すべきだと626日の記事で訴えている。当然だろう。もし本当にSTAP現象があったとしても、世界中のトップ研究者が再現できなかった実験を丹羽先生ができるはずがない。大隅理事長は、小保方さんの実験を「税金という形で間接的に生命科学研究を支えて頂いている国民に対する背信行為」と述べているが、それよりももっと巨額な税金を使い、しかもほぼ絶対できないと思われる「相澤-丹羽検証実験」については反対しない、つまり「どうぞおやりください」という姿勢だ。大隅先生の「税金」という言葉の裏に、こういった矛盾が潜んでいることをなぜ理解できないのだろうか?

 

 大隅理事長が、小保方さんの再現実験への関与に反対する理由として、「論文不正に関わった著者」ということをあげているが、この論文不正(1つの改ざんと1つの捏造)の認定は本当に正しかったのだろうか?

 

 私は「非CDB実験系若手研究者さん」から「最初のSTAP問題の調査委員長だった石井先生はご自身の論文での切り貼りを批判されてお辞めになられた。研究者の目からみればその批判はまるで見当違いであるが、世間的にはなかなか理解されない。」というコメントをもらったこともあり、再度調査委員会の報告書を読み返してみた。

 

 まず「改ざん」とされたTCRの組換えを示した電気泳動の図(図1I)であるが、‟Lymphocytes″のレーンは、異なるゲル(研究論文の疑義に関する調査報告書(http://www3.riken.jp/stap/j/i2document2.pdf)ではゲル2と呼ばれている)の‟CD45+CD3+-cells″の分析レーンを、引き延ばしてゲル1に貼付け、それが「T 細胞受容体遺伝子再構成バンドを綺麗に見せる図を作成したいという目的性をもって行われたデータの加工であり、その手法が科学的な考察と手順を踏まないものであることは明白である。よって、改ざんに当たる研究不正と判断」とされた(報告書:http://www3.riken.jp/stap/j/f1document1.pdf)。また、これに関しては不服申し立て中に、この「貼付け」がScience誌に投稿された時に既に問題視されて指摘されていたことが判明し、「真正なデータの提示が求められていたことは認識していた」にもかかわらず、「貼付け」を放置したことが「意図的」と認定された。

 

 この発表の当時、私は、貼付けられた側のレーン(貼付けによって見えなくなったレーン)にはまったく注意を払っていなかったのだが、今回改めて見ると、そこは‟CD45+-cells″の分析レーンだった。そして、その結果は隣のSTAP細胞の解析レーンとまったく同じパターンで、TCRの組換えを示す移動度の速いバンドがあったのだ。‟CD45+-cells″はSTAP細胞を作製するのに使った元細胞なので、これこそが真性のポジティブコントロールであり、別のレーンのゲルを貼付ける必要性はまったくなかったのだ!

 

 それでは、なぜわざわざ「貼付け」を行ったのか?‟CD45+-cells″の分析レーンでは、非組換えバンド(隣の‟Fibroblasts″や、さらにその隣の‟ES cells″にみられる‟GL″と名付けられたバンド)が‟CD45+-cells″には少量見られるので、そのバンドがあると「組換えを起こした細胞のパターンを示すためのポジティブコントロールとしてはあまりよくない」と思ったのだろう。やや専門的な話になるが、‟CD45+-cells″では一部の細胞はTCRの組換えが起こっていないので、GLバンドが少し検出され、一方、‟CD45+CD3+-cells″は、CD45+の中に含まれるCD3+を持った細胞を選別しているので、‟CD45+CD3+-cells″はすべて組換えを起こしており、それゆえGLバンドは存在しない。

 

  つまり、小保方さんは「貼付け」という「メイキャップ」行う必要は何もなく、「スッピン」でよかったのだ。この「スッピンでよかった」ということを重視すれば、「小保方さんの実験は、適切にポジティブコントロールを隣のレーンで分析しており、改ざんする理由は見当たらない。よって改ざんに当たらない」となってもよいはずだ。

 

  さて、もう一つのテラトーマ画像の「捏造」であるが、博士論文におけるコピペ、仮原稿の国会図書館への提出等、今日までに明らかになった小保方さんの「ずさんさ」を考慮すれば、これもまた彼女のデータ整理の「ずさんさ」と「思い込みの強さ」から起こったと考える方が自然だろう。まだ確定はしていないが、彼女が本当に実験を捏造したと仮定しよう。その場合、博士論文の時に使用した画像をNatureの論文に使用するだろうか?もしあなたが捏造者なら使用しますか?もしかしたら誰かに博士論文の画像と同じとわかってしまう画像などは使わないだろう。ES細胞は持っているのだから、テラトーマを形成させて写真を撮影すれば、誰にも捏造はわからない。だから真の捏造者なら必ずそうするだろう。つまり、小保方さんが捏造者であったとすると、この画像は「捏造した図」ではなく、「そのずさんさから、捏造し忘れてしまった図」となるわけだ。

 

 調査委員会の結論は、あくまでも彼女は「普通の科学者」という「暗黙の前提」に基づいて出されたものであり、一方現実は、科学者どころか普通の人以下のずさんな人間だったのだ。

 

 最後に、「憲法をかじった者」さんへ

 

 「不祥事で懲戒免職になった警察官と一緒に捜査活動をしたことのある刑事は、それ以後被疑者を検挙してはいけない。そんな刑事は恥を知らない奴だ」とおっしゃりたいわけですね」は誤解である。私が言いたいことを例えると、「2名の麻薬取締官が麻薬ルートを解明して組織を撲滅しようとしていた。そしていろいろな調査を共同で行っていたのだが、実は一人の取締官は麻薬中毒、と言うより、(51論文という不正記録に近い数から考えると)麻薬密売の大元締めだった」ということだ。さて元締めは発見され処分されたが、間近でそれを見抜けなかった捜査官が、反省も総括もなしに次の任務に着くということがありえるのだろうかということだ。「憲法をかじった者」さんが上司なら任務に就かせますか?そして、あなたが「元締め」を見抜けなかった捜査官なら、捜査官を続けますかということだ。

 

 本日は早朝に以下の記事を掲載し、夕方差し換えた。

 

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