前回の記事で「2つのアンケートに対する見解を述べる」と書いたので、まずその事から記載する。アンケートは以下の通りであった。

 

(1)NHKスペシャル「STAP細胞 不正の深層」において、藤原記者が元留学生にインタビューを行った時に、元留学生が「直接渡していない」といった「小保方氏のフリーザーから見つかったケースに入っていたES細胞」を見せられて、そのES細胞からSTAP細胞やSTAP幹細胞が作られたと一瞬思った(あるいは今でも思っている)人は「yes」。そんなことはなく、あの映像は小保方氏が「黙ってES細胞を盗む」という、彼女の性癖を示すためだけのものだったと思う人は「No」。できれば理由も記載。 

 

(2) 理研元研究員の石川氏の告発「小保方晴子さんがSTAP細胞の捏造に使ったES細胞は、彼女が若山照彦さんの研究室から盗み出したものだと確信しています」という言葉、つまり「STAP細胞およびその関連細胞の内の少なくとも一つは、ntES BOX Li」細胞」を使って作製されたと信じている人はyes」。信じていない人は「No」。できれば理由も記載。

 

 (1)の質問をしたのは、NHKスペシャルのこの場面を一般の人はどのように捉えていたかということを知りたかったからだ。ストーリー展開からすれば、「元留学生の作製したES細胞からSTAP関連細胞が作製された」と思うことはごく自然なことである。123日の記事でも述べたが、STAP事件についてずっとブログ記事を書いているDORA氏ですらそのように理解していた。そう思わない人が一般の人にどのくらいいたのかということを私としては知りたかった。そして、そう思わなかった場合(つまりアンケートでは「No」という答え)には、元留学生が作製したES細胞と、それまでの番組のストーリー(大田博士の作製したAcrosinを持つES細胞の話)とがまったく関連がないと理解をしていたということになるので、そういう人にすれば、藤原記者と留学生との会話および、その細胞を若山氏が山梨大学へ持って行こうとしていたというナレーションは、小保方氏が「黙ってES細胞を盗む」ということを一義的に示唆していることになるので、「そんなことはなく、あの映像は小保方氏が「黙ってES細胞を盗む」という、彼女の性癖を示すためだけのものだったと思う人は「No」」と記載したのだが、そういったことにすら文句を付けて来る人がいるにはやや驚いた。「小保方氏捏造説」を「強固に主張する」人には、「人の揚げ足を取る」のが好きな人が多いのではないかと思う。NHKの藤原記者の「自家蛍光」記事はまさに「揚げ足取り」の典型であろう。

 

 (2)については、これはSTAP騒動の理解度を尋ねたものであるが、正解は「No」である。桂不正調査委員会の解析結果は以下の通りである。

名称

タイプ

GFP(作者記入)

確認されたGFP

性別

樹立日

由来元

FLS

STAP幹細胞

CAG-GFP

Acr/CAG

2012.1

FES

CTS

FI幹細胞

CAG-GFP

Acr/CAG

2012.5

FES1

GLS

STAP幹細胞

Oct4-GFP

Oct4

2012.1

GOF-ES

AC129

STAP幹細胞

CAG-GFP

CAG

2012.9

129B6F1

 

由来元ES細胞

名称

タイプ

樹立者

樹立日

備考

FES1

受精卵ES細胞

若山研究室在籍していた大田氏

2005.12

大田氏と小保方氏の在籍には重複無し

GOF-ES

核移植ES細胞

若山研メンバー

2011.5-10

小保方氏へ譲与

129B6F1

受精卵ES細胞

若山氏

2012.5

 


 以上のように、STAP関連細胞の由来はすべて決定(断定)されており、「ntES BOX Li」細胞」はSTAP関連細胞の作製には使われていない。それゆえ、石川氏の告発は、「STAP事件とはまったく関係ないES細胞が小保方氏のフリーザーにあったから、それを窃盗事件として扱ってSTAP事件を調べろ」ということになるのだ。これは「別件捜査をしろ」と言っているに等しい。127日に述べたように「小保方氏には「ntES BOX Li」細胞を窃盗する理由はない」。たとえ私の予測が誤っていて、「ntES BOX Li」細胞が「GOF-ES」細胞でなくてもだ。

 

 前にも述べたが、私がSTAP騒動において憤りを感じることは、「平等」ということが保たれていないことだ。

 

 小保方氏を追求する事自体はかまわないが、それならば同様の基準で他の問題も、そして何よりも自身を追求すべきであろう。例えば、東大の加藤茂明氏の研究不正問題は、ベテランの世界的研究者が起こした問題であり、研究費も数十億円が費やされているのでSTAP事件よりももっと深刻なはずである。しかしながら、マスコミはほとんど取り上げないし、また研究費返還の話もほとんど出てこない。

 

 昨年末に、「日本の科学を考える」というサイトの「捏造問題にもっと怒りを」において、匿名A氏によって多数の論文の疑わしい(類似)画像が指摘されたが、大阪大学は「実験ノートなどが残っておらず同一画像とも別画像とも断定できなかった」19報の論文について「いずれも論文の結論に影響を与えず、データも残っていないため、本調査などは行わない」(http://jp.wsj.com/articles/JJ10860657009158284637618838252003398485054)との決定を行ったが、「真正データを示すことができなければ捏造と認定可能」ではなかったのか。NHKスペシャルに出演してSTAP論文を事細かなに批判した大阪大学の3教授(うち2名は分子生物学会理事として、小保方氏の関与する検証実験停止の声明を発表)は、大学のこのような決定に対してなぜ異議を唱えないのか?少なくとも、「データが残されていたものについてはオリジナルデータを示し、データが残されていなかった論文がどの論文であったかは公表すべき」と大学に求めるべきであろう。九州大学で研究不正問題に厳しくコメントしてきた教授も、自らの2つの論文において指摘を受けた。一つの論文については訂正を雑誌に発表しているが、もう一つについては、「7報のうちの4報に画像の取違いがあり、他の3報は実験データが処分されていた」との事なのでデータが残っていなかったのかもしれない(http://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_toshiken/article/156802)。実験ノートの確認や再現実験により、科学的な正当性が確認できた」と報道されているが、それが本当なら、データが残っていない時に「再現実験」を認めてもらったということではないのか。他の人に対して厳しくコメントしてきたわけであるから、自らが疑惑を受けた時は、自身のHPでオリジナルデータを示すべきであろうし、オリジナルデータが処分されていればその旨を発表すべきであろう。

 

 理研の遠藤氏はSTAP幹細胞がトリソミーであることを示し、この細胞がES細胞由来であることを強く示唆することで事件の解明に大きく貢献した。しかしその一方で、桂調査委員会の解析が一部誤っている事を知りながら、それについては情報公開していないようだ。Tani氏とのTwitter上の会話で「報告書は一部間違っています。理研が公開したデータを解析すれば誰でもGLS以外の細胞にもトリソミーがあったことが分かります。例えばGOF-ESは全ての細胞ではありませんが8番染色体にトリソミーを持ちます」と述べているhttps://twitter.com/TaniYoko/status/573754523375693824)。若山氏もNHKや週刊誌に自分の正当性に関する情報は積極的に出すが、不利な情報は出さないし、小保方氏に疑いが向けられる件に対しては、疑いを晴らすことができるかも知れない情報を公開しない。例えば、ntES BOX Li」細胞は何の細胞だったのか、その細胞ケースが紛失した時になぜ捜そうとしなかったのか、また、なぜ理研側に細胞の紛失を届け出なかったのか、ということについては説明すべきであろう。

 

 NHKも小保方氏に「疑問に答えて欲しい」と放送するならば、私を含めた人の疑問にも答えるべきだろう。「有志の会」では公開質問状を出している(http://blog.livedoor.jp/obokata_file-stap/archives/1023340333.html)。他者からの質問に答える気がないのなら、小保方氏に「疑問に答えて欲しい」などとは言えないはずだ。


 私が求めたいことは「平等」ということである。他人に情報の公開を求めるならば、自分にも求めるべきである。「平等」に情報を公開すれば、自分が支持する人にとって、あるいは自分とってマイナスとなることもあるだろう。しかしながら、この原則を守る自覚と意思を持たなければ、日本社会の成熟はありえない。今回のような騒動はまた繰返されるであろうし、「魔女狩り」が起こるであろう。


 つい最近も述べたが、私がこのブログに対するコメントを制限しないのは、私とブログ読者は「平等」という考えに基づいている。このことは理解していただきたい。


追記:もし小保方氏がES細胞を使ってSTAP現象を捏造したと主張するのならば、その代わりに、石井委員会で「捏造」と認定されたArticle論文の図2e下段のテラトーマ画像は「悪意のない間違い」だったと認定すべきであろう。ES細胞を使っていれば、簡単にテラトーマは作製できるのだから(前にこういった意見を書いたら、「ES細胞を使っていい画像が取れなかったので、博士論文の図を転用した」と述べた人がいたが、そこまで邪推すると何も議論できない)。また、改ざんと認定されたTCRの組換え(図1iレーン3)についても、貼付けた画像の下に「真正画像」はあったわけであるから、「極めて不適切」ではあるが「不正」とまでは言えず、図の差し換えで済んだ可能性もあり得る。そうなると、前回の記事のコメント欄で英検2級氏が、今にして思えば、理研がSTAP細胞の存在を信じていたなら、どんなに非難を浴びよとも不正認定をせずに、小保方さんが主張するよに悪意の無い切り貼り、悪意のない画像の取り間違えで事を済ましたのち、論文の差し替えなり撤回なりを勧めるとい選択もあったのではないかと思います。」という意見もそれなりに的を得ている。ただし私が委員長なら、とりあえず論文を撤回させ、テラトーマ画像については再現実験を求めてその結果で「捏造」の有無を認定したことだろう。しかしながら、理研は特定国立研究開発法人等の政治的理由でそういった時間を与える余裕がなかった。STAP事件が、「世界三大研究不正事件」に該当するとは私は思わないが、研究不正に対して、研究機関がこれほどまでにひどい対応をした例は世界で群を抜き、未来永劫に「研究不正解明失敗世界一大事件」として残るだろう。