昨年の922日、127日、今年の110日の記事で、研究不正告発をした岡山大学・森山、榎本両教授への処罰が、報復行為の疑いが極めて強いことを述べた。その事件がまた新たな局面を迎えている。

 

 現在、両氏は仮処分および本裁判で解雇無効を訴えている。「今、岡山大学では何が起きているのか?」(http://seesaawiki.jp/rebirth_okayama/)によると仮処分の最初の尋問は33日に行われたらしい。本裁判の期日は16日とのことであるが、森田学長は裁判によって両氏が勝訴したとしても、所属研究室に戻れなくするために両名の後任教授の募集を始めている。公募情報を掲載するJRECINhttps://jrecin.jst.go.jp/seek/SeekJorDetail?fn=1&id=D116021201&ln_jor=0https://jrecin.jst.go.jp/seek/SeekJorDetail?fn=1&id=D116021196&ln_jor=0)によると、応募条件として「コンプライアンスを含め教授として相応しいこと」との事。人権侵害行為を行っている人間が統括する大学が「コンプライアンス」を求めるという事はブラックジョークとしか思えない。もっとも私の経験によると、自らコンプライアンスのない人間ほど、上に立った時に下の人間にコンプライアンスを求める傾向があるような気がする。

 

 森田学長は、人を罰し、排除するための知恵は立派に持っておられるようであるが、2000年度以降の科研費獲得額からするとその研究業績は医学部教授としてはそれほど高くはない。

 

  2011年度~2012年度 基盤研究C脳梗塞における脱分極領域拡大のメカニズム解明と治療」総額468万円

  2008年度~2010年度 基盤研究C虚血性神経細胞障害のミトコンドリア治療」総額455万円

  2004年度~2006年度 基盤研究B「ミトコンドリアのエネルギー動態からみた脳虚血の治療法」総額1,210万円

  2002年度~2003年度 基盤研究C「マグネシムが脳虚血後のミトコンドリア機能に及ぼす保護効果」総額330万円

総額2,463万円  他1

 

一方、森山氏は以下のように極めて多額の研究費を獲得されている。

  2013年度~2015年度 基盤研究A「シナプス伝達におけるグルタミン酸充填量制御メカニズムの構造生物学的解明とその応用」総額4,420万円

  2009年度~2011年度 基盤研究Aプリン性化学伝達の出力装置の構造・機能と生理的意義」総額3,705万円

  2006年度~2007年度 基盤研究B「代謝制御機構としての小胞型グルタミン酸トランスポーターの作動原理と分子構築」総額1,706万円

  2003年度~2005年度 基盤研究B「グルタミン酸とGABAによる膵ランゲルハンス氏島の血糖調節制御の分子機構」総額1,350万円

  2000年度~2002年度 基盤研究B「メラトニン出力系の分子的基盤と概日リズム制御」総額480万円

総額11,161万円 他15

 

 森田氏のように学問的に優れていない人が中堅の国立大学の学長となれてしまうところに、我が国の後進性がよく表れている。岡山大学の中では医学部の教員数が学部の中では最も多いので、当然、学長を出す学部としては最有力となるのは当然である。しかしながら、問題は、学問的に立派で尊敬できる人がトップに立たない(立てない)ことだ。それよりも、調整型の人や有力教授にこびへつらうのがうまい人が学部長になり易いのだろう。今回の場合は、論文告発を受けたのが有力教授であったために、それらの教授の代弁者としての報復も入っているのかもしれない。

 

 このような暴挙が行われている岡山大学に関して3つのことを呼びかけたい。

 

受験生へ:既に前期日程は終わってしまったが、後期日程の受験を考えている人は再検討した方がいいだろう。また来年度以降に受験する高校生は受験を考え直した方がいい。入学しても、自分の所属大学に誇りは持てないだろうし、周りの人からも「あの例の事件のあった大学ね」と言われてしまうだろう。

 

教授職を求めている人へ:後任の教授となった場合、研究室に残っている教員や院生が貴方をどのような目で見るかを想像してみよう。自分の研究者人生に汚点を残すだけになるかもしれない。定年で退職する時、花束をもらいながら、ふと後ろめたさが心をよぎるだろう。応募するのはよく考えてからにしよう。

 

薬学部教授会へ:外部から見ると、公募が出されたということは、教授会が学長の側に立ったことを意味する。それで良いのですか?「今、岡山大学では何が起きているのか?」ブログによると、森山・榎本両氏は薬学部教員の圧倒的支持を受けて学部長・研究科長、副研究科長に再選されたとの事。両氏の告発が妥当だったかどうかの議論は置いておけば、9ヶ月の懲戒処分後も、明確な理由もなく半年以上の自宅謹慎を命じられ、あげくの果てに解雇では、誰が考えても人権侵害行為である。このままでは「岡山大学教授会は、人権侵害行為は気にしない人たちの集まり」ということになってしまうだろう。薬学部教授陣、特に田中智之氏に奮起を期待したい。同氏は「研究倫理について」(http://www.pharm.okayama-u.ac.jp/lab/meneki/research_misconduct/)や「誠実な生命科学研究のために」(https://sites.google.com/site/integrity0lifesciences/)を立ち上げたおられる。このままでは「一般論では議論するが、個別論では逃げてしまう人」と言われてしまうだろう。

 

37日追記 :森山及び榎本両氏は、大学法人の監事である吉川昌宏氏(常勤監事)および青井賢平氏(非常勤監事)に監査を請求するか、あるいは既に任務不履行があったとして訴えるべきであろう。国立大学法人法には以下の規程がある。

 

11条の2  監事は、役員(監事を除く。)が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又はこの法律若しくは他の法令に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を学長に報告するとともに、文部科学大臣に報告しなければならない。

 

 何度も繰返すが、これは「研究不正問題」の域を超えて、「労働者の人権問題」となっている。「半年以上の理由なき自宅待機命令と明確な理由のない解雇」が人権を無視した行為であることは、中学生にでもわかる話だ(ただし、森田学長とその周りの理事にはわからない)。

 

 国立大学法人等監事協議会(https://www.kanji-kyougikai.jp/about/history.html)も在るので、ここへ通報するのも一手段と思われる。