加計学園の獣医学部設置に関して「行政がゆがめられた」という前川前文科省次官の告発について、慶應大学の岸博幸氏、徳島文理大の八幡和郎氏、嘉悦大学の高橋洋一氏といった官僚OBたちが強く批判をしている。岸氏は「加計学園問題は改革つぶし」「前川は官僚のクズ」と酷評し(http://www.sankei.com/politics/news/170612/plt1706120032-n1.html)、八幡氏は前川氏を「岩盤規制の権化」と評して、元文部官僚の寺脇氏とネット上で激論している(http://agora-web.jp/archives/2026875.html)。高橋氏は「前川発言」は規制緩和に抵抗して負けた文科省の遠吠えと評している(http://diamond.jp/articles/-/130140)。

 

 正直言って、こんな文系人たちが官僚をやっている(やっていた)から日本は駄目なのだと思う。今、問題となっているのは「岩盤規制」ではなく、加計学園が「依怙贔屓」されたかどうかである。この人たちには「規制緩和」と「依怙贔屓」の区別がついていない。

 

 このような指摘は、多くの人が行っている当たり前の批判なので、「規制緩和」とは何かというもっと根本から考えてみよう。
 

 私からすれば、「獣医学部の認可」という議論の段階で既に「規制緩和」の本質からずれてしまっている。この場合の「真の規制緩和」とは「産業動物獣医や公務員獣医が現在行っている仕事を獣医で無い人が行えるようにする」ということである。

 

 2013年の私立獣医科大学協会の資料によると、日本には牛が450万頭、ブタはその倍の970万頭しかいないのに公務員獣医師は7,717人もいるという(http://plaza.umin.ac.jp/~vetedu/files/2013kyouryoku10-04-2.pdf)。一方、米国は牛は日本の21倍の9,500万頭、6倍の6,000万頭もいるのに、公務員獣医師は2,689人しかいない。ヨーロッパ諸国も公務員獣医師は少なく、最も多いドイツですら2,254人である。そのドイツでは、牛もブタも日本の3倍飼育されている。


 遠藤まめた氏がこんなツイートをしていた。


 やりがいという意味では、他の国では獣医師がやらなくて済む仕事に多くが配属されている。屠畜検査は全部獣医師がやらなきゃいけないとか。他の国なら屠畜検査員のスーパーバイズを獣医師がやる。BSEELISA検査の全行程を獣医がやる意味もよくわからない。そんなわけで獣医師たりない。


 BSEとはいわゆる「狂牛病」で、牛肉を食べた人が感染したということで、日本でも一時期大騒ぎになったので覚えている人もいるだろう。ELISAというのは狂牛病の検査の方法であるが、ELISAは生命科学の実験の経験がある人なら誰にでもできる実験である。その全行程を獣医にやらせていたという。これでは公務員獣医がたくさん必要になるわけだ。

 

 「規制緩和」と念仏のように唱えるのではなく、何が規制なのかを官僚の人にも、官僚から大学へ天下った人にも理解して欲しいものだ。