1.再現実験の費用について

 第一段階の実験(Oct4-GFPが光るかどうか)は1回当り数千円、多くても1万円くらいだ。近藤滋先生が1年間に使っている研究費の3,000分の1程度で1回の実験が可能である。何回行うかは不明だが、「11月末以前でも実験総括責任者(この人に問題があるのは認める)の判断で終了」なので、常識的に考えれば5回程度か。

 

 「ネッシーの捜索」などと、数百万円もかかるようなイメージを与えるのは一般の人をミスリードする。

 

2.過去における不正に関する再実験の有無

 「ミケロット」さんから指摘(79日ブログのコメント)されたように東大工学部(http://www.u-tokyo.ac.jp/public/pdf/180330_01.pdf)、また筑波大学生命環境系(http://www.tsukuba.ac.jp/news/n201403311515.html)などでも再現実験が行われている。

 

 再現実験は、本来は不正調査の一貫として行われるべきことだ。特定国立研究開発法人の指定のために早く結論を出そうとした理研が、調査項目を論文の図のみに絞ったことがそもそもの問題なのだ。

 

3.再現性について

 理研の説明によるとhttp://www.riken.jp/pr/topics/2014/20140704_1/Oct4-GFPが光った場合、そのプロトコールを使って複数のCDBスタッフが独立に再現実験。STAP現象が確認できれば、国内外の研究グループに検証を依頼とのこと。

 

4.再現できなかった時の小保方さん、CDB、理研の言い訳について

 「絶対に言い訳をする」と確信している人が多いが、たとえ言い訳をしても期限内にOct4-GFPが光らなければ、改革委の岸委員長が言われていたように「STAP細胞はできていなかった」とみなして捏造認定。その時に、サンプルの解析結果はそれを裏打ちする証拠として使える。理研を離れた小保方さんが一生をかけてSTAP現象を追求するのは本人の自由。

 

 「再現できたら不正してもよいとなるのは問題」という意見があったが、そもそも再現できるのなら捏造をする理由はない。実験が再現されれば、不正調査委員会に「改ざん」と「捏造」と認定された論文の図は、「図の不適切な処理」と「驚くべき軽卒なミス」と考えるべきだろう。前者に関連してだが、科学雑誌編集者が、「こういった図の改ざんはEMBO JJ Cell Biolといったバイオトップ誌の論文の約20%に認められている」と述べている(http://www.nature.com/news/research-integrity-cell-induced-stress-1.15507)。「不適切」ではあるが、その動機は「図をより「きれい」に、有益に示したいというnaiveな動機」と編集者は指摘している。つまり「悪意」ではない。

 

5.「再現実験」は「公開処刑」という意見について

 不正が認定されれば、小保方さんは少なくとも日本のアカデミアから抹殺されることになる。「再現実験をさせない」ということは、彼女の最後の弁明を聞かずに処刑するという事と同等。

 

6.「はと」さんの「若山研のESじゃないとの発表があったから皆さん小保方が捏造したと思っていたのですか?初耳」について

 「inhibitor実験」とは、関西学院大学の関先生が書かれていた話のことと推測するが、「inhibitor実験」などという詳細な実験の話を一般の人が理解できるわけがない。科学者であっても認識している人は少ないのではないかと思う。

 

7.「阪大岡部教授から若山研究室に譲渡したものだと特定されたという発表は一切なされていませんよ」について 

 ご指摘のとおりなので、一旦、「「小保方さんが使ったとされるES細胞が若山研にあった可能性」が意味すること」に変更する。ただし、片瀬さんのブログ(http://d.hatena.ne.jp/warbler/20140710/1404987809)で若山教授が以下のように答えている。

 

論文撤回理由書がnatureから出される直前になって、FLSにはCAG-GFPだけではなく、15番染色体上に存在する遺伝子のプロモーターにGFPをつないだものが合わせて導入されている可能性が示唆されました」

 

 Acrosin15番染色体上の遺伝子なので、若山教授のこの説明は「医学系」さんの情報と合致する。

 

8.「再現実験を停止して、論文作成において生じた研究不正の実態解明を最初にすべき」という主張について

 「言うは易し、行うは難し」。実態解明を主張する人はその難しさを理解しているのだろうか?若山教授の記者発表で、小保方さんの捏造の疑いはほぼ確定したかの印象を与えたが、新事実が見つかればすぐに解釈は変わってくる。また、私の印象では、「捏造」だけでは説明できないことが多すぎる。例えば、「はと」さんは「トリソミー」を指摘していたが、2030%程度と言われるES細胞のトリソミーがなぜ100%起こっているのか?若山研究室のES細胞(CAG-GFP18番染色体に入っている細胞)を持っていたはずだから、「真面目に捏造」する気持ちがあれば、それを使ってSTAP細胞やSTAP幹細胞に見せかければよかったはずだ。なぜ「捏造」を発覚しやすくするように、15番染色体にGFPが入っているES細胞(ただし、おそらく本当はAcrosin-GFP3番染色体に存在)をわざわざ使ったのか?AC129-1-2は、ホモ(129系統)と思われていたのに、なぜヘテロ(129/B6)になってしまったのか?これはマウスを交配させないとできないのではないか。小保方さんが交配実験を行ってES細胞を調製した可能性は極めて低いし、そもそも捏造のためにそんなことをする必要もない。(細胞の種類については、昨日(711日)のブログの表の「STAP細胞」参照)

 

 聞き取りでは、小保方さんは、「若山先生にもらったマウスを使ってSTAP細胞を作りました」と主張するだろうし、若山教授は「私があげたマウスとは違う細胞が戻ってきた」と主張するだろう。このブログの議論を見てもわかるが、小保方さんが捏造したと最初から思っている人は、どのような話があってもまったく耳を貸そうともしないし、その逆も真だろう。互いの「変えない主張」をぶつけ合っているだけだ。STAP騒動の逸話を養老先生が書いたら、200冊くらい「バカの壁」が書けるのではないか。

 

 「実態解明が先」と主張される方は、「両者の言い分が食い違って結論は出ず、また実験ノートからは十分なフォローができなかったので結局不明でした」という結論が出ても納得されるのだろうか?そして再現実験に同意するのか?

 

 CDBや理研がフェアな行動をするかどうかは私にも一抹の不安はあるが、再調査となればずっと騒動は続く。そしてこのままの状態で裁判になれば「小保方さん無罪」もあり得ると私は思っている。「ル・マッシュ・マッシュ」さんは、「裁判になれば、理研は選りすぐりの弁護士団を組み、法廷尋問のスペシャリストを繰り出すだろう」と述べているが、それは理研を買いかぶり過ぎだ。以前あった類似の不正事件に関連し、「不正」と認定された副研究員の裁判が起こしている。11jigen氏のブログにその顛末があるが、形は「和解」だが、実質理研は負けたhttp://stapcells.blogspot.jp/2014/04/blog-post_18.html)。

 

 再現実験とサンプル解析を並行して進めることが現実的な道だ。どうせ小保方さんの本格実験は9月からだし、また、体調が戻ってくれば、実験中に聞き取りに応じる可能性もあり得る。今、実験を中止し、再度調査を開始するとなれば、三木弁護士は徹底抗戦するだろう。その場合、調査に入る前に長い時間が費やされる。「実態解明が先」と主張される方の行動は、結果的にはこの騒動を延ばすために行っていることになる。騒動を延ばしてもよいと考えて、その主張をされているのだろうか?