がんなどの患者の痛みを和らげたり、精神的なケアにも携わる緩和医療の専門医を認定する制度が4月、スタートする。緩和医療の重要性は医療関係者の間でも十分認識されておらず、専門医が不足しているとして、NPO法人日本緩和医療学会(理事長・江口研二帝京大教授、会員約9000人、事務局・大阪市西区)が選定し、10年間で1000人程度の認定を目指す。若い医師を育て専門医が増えれば患者や家族の希望に沿った質の高い緩和医療の普及につながると期待される。【戸上文恵】

 同学会によると、緩和医療を実践するホスピス発祥の地、英国には専門医制度があり、大学でも緩和医療が広く教えられている。一方、国内で専門病棟を持つ医療機関は約200施設しかなく、がんの痛みを取り除くモルヒネなどの医療用麻薬の消費量も欧米に比べ少ないという。

 国が07年6月に策定したがん対策推進基本計画では、治療の初期段階からの緩和医療の実施とともに、専門知識を持つ医師を育成する必要性が明記された。そこで、同学会は同年9月、専門医認定制度準備委員会を設立した。

 専門医の申請条件は、5年以上の緩和医療の臨床経験▽学会認定施設での2年以上の臨床研修▽自ら緩和医療を担当した20例の症例報告--など。第1回の試験は申請者56人のうち、書類審査で19人に絞り、昨年11月に筆記試験、口頭試問を実施。最終的に12人が合格し、初の認定医となる。

 同学会専門医認定制度委員会委員長の恒藤暁(つねとうさとる)・大阪大大学院教授は「質の高い緩和医療を提供するために、厳格に審査した。来年、再来年はもっと合格者が増えるだろう」と説明する。

 同学会はまた、医師不足解消に向けて臨床研修医のカリキュラムでの緩和医療の必修化などを提言する。恒藤教授は「専門医イコール教育者と考えている。若い人が研修の時に専門医から緩和医療について教わって、地域で活躍していくようになれば」と話す。

 【ことば】▽NPO法人日本緩和医療学会▽ 医療、福祉の各専門分野を包括した緩和医療を確立するため、96年に設立された。会員の約半数は医師で、他は歯科医師、看護師、薬剤師など。教育セミナーの開催や診療ガイドラインの作成などに取り組んでいる。

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