2019年01月11日

1.Alpair12P 36L ZWBR方式ダブルバスレフエンクロージャーの構造
0gaikan
Markaudioの18cmフルレンジユニットAlpair12PのZWBR方式の36リットルのエンクロージャーの最適ダクト条件における特性を計測しました。

2.周波数特性
周波数特性はスピーカーユニットの30㎝前方にOmniMicを置いて測定した結果は以下のグラフです。
1fchar

3.ダクトの共振周波数特性
スピーカーユニットの軸上(黒線)と第2ダクト開口部(赤線)に近接させてOmniMic測定した結果は以下のグラフです。
2duct
上のグラフから、第1ダクトの共振周波数は112.6Hz、第2ダクトの共振周波数は34.4Hzになっております。

4.インピーダンス特性
インピーダンス特性をAnalog Discovery とFRAplusで測定した結果は以下のグラフです。
3imp
スピーカーユニット単体でのフリーエアーでのf0は48Hzですがエンクロージャー内でのf0は67Hzになっています。電気的な共振周波数は第1ダクトが109Hz、第2ダクトが36.5Hzと音響的な共振周波数とずれがあります。

5.歪率特性
周波数特性と同じアンプレベルでスピーカーユニットの軸上で近接させて測定した歪特性の測定結果は以下のグラフです。
4dist

6.詳細情報
 Alpair12P 36L ZWBRのダクトチューニングの詳細に関しては、以下のURLをご参照ください。

7.再生音
 YouTubeにこのチューニング条件で録音した再生音をアップしました。以下のURLで視聴できます。


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qcreate at 18:08コメント(0)ダブルバスレフ計測技術 
1.Alpair12P 36L ZWBR方式ダブルバスレフエンクロージャーの構造
0gaikan
Markaudioの18cmフルレンジユニットAlpair12PのZWBR方式の36リットルのエンクロージャーのダクトチューニングを検討しました。上の写真は実験用Boxにユニットを取り付けた外観です。外形寸法は561mmX246mmX419mm(HWD)で、使用板材はMDFの18mm厚です。斜めの仕切板により、第1室(17.8L)と第2室(21.4L)に仕切られ、第1室のバスレフダクトを第1ダクト、第2室のバスレフダクトを第2ダクトと言います。ダクトチューニングは、第1ダクト3水準、第2ダクト3水準、開口部3水準の制御因子をL9直交表に割り付けてOmniMicを使用して周波数特性を測定して最適化実験を行いました。

2.制御因子の設定表
1suijun
第1ダクトは56Φの塩ビパイプの長さを20,40,60mmの3水準に、第2ダクトは30×174のスリットダクトの長さを50,100,150㎜の3水準に、開口部面積は3000,2000,1000mm平方の3水準とする3つのパラメータについて、水準表のように3水準でL9の直交表による直交実験を行いチューニングを行いました。実験の割り付けはL9の直交表に基づき以下の表のように割り付けました。

3.L9直交表への割り付けと実験結果
2waritsuke
L9直交表によるダクトと開口部の9通りの実験条件ごとに、OmniMicで周波数特性を測定したデータは以下の通りです。
3omnidata
周波数特性データから32Hz~160Hzの帯域の音圧特性の平坦度を品質工学の0望目特性のSN比で表し、SN比の値が大きければ大きいほどフラットな特性になります。32Hz~160Hzの帯域と200Hz~1KHzの帯域の音圧の比率を感度として表しています。この感度の値が大きいほど32Hz~160Hzの帯域の音圧が大きいことを示して居ます。上の表の右側のSN比と感度が今回の実験の結果です。最適の条件は以下の散布図から実験2の条件になりました。

4.SN比と感度の散布図
4sanpuzu
SN比と感度を上の図のようなX軸が感度、Y軸がSN比の散布図にプロットする、L9直交表の9通りの実験結果が青いひし形のプロットで、最適条件は丸印でSN比と感度のバランスが確認できます。

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qcreate at 17:39コメント(0)ダブルバスレフQE(品質工学) & EQ 

2018年11月09日

1.20L ZWBR方式ダブルバスレフエンクロージャーの構造
1gaikan
 MarkAudioの10cmフルレンジユニットAlpair7MSのZWBR方式の20リットルのエンクロージャーのダクトチューニングを検討しました。上の写真は実験用Boxにユニットを取り付けた外観です。
 ダクトチューニングの結果として第1ダクトは、内径44φ、長さ40㎜の塩化ビニールパイプを使用し、第2ダクトは30mmx180mmx170mm(HWD)で開口部は1380mm平方です。
2.再生周波数特性
 ユニット軸上のバッフルから30㎝の周波数特性をOmniMicで計測した結果は以下のグラフのような特性です。
2fchar
 第2ダクト開口部とユニット近接の音圧特性は以下のようになっております。 このグラフから、第1ダクトの共振周波数は116Hz、第2ダクトの共振周波数は36Hzになっております。
3duct
3. 歪率特性
 スピーカーユニット軸上1㎝、スピーカーへの入力レベルは周波数特性測定の時と同じアンプボリュームで測定しております。下のグラフで青線は2~5次の歪を塁積した特性を示し赤線は2次歪、紫線は3次歪を示しています。
4dist

4. インピーダンス特性
5imp
 赤い線はスピーカーのフリーエアーでのインピーダンス特性でf0は68Hzです。黒い線が20L ZWBRに入れた状態のインピーダンス特性でf0は78Hz、f1が115Hz、f2が42HZで音響的な共振周波数からずれています。
5. 再生音
 以下のURLで再生音を聞くことができます。



qcreate at 09:21コメント(0)スピーカーダブルバスレフ 

2018年10月01日

1.14L ZWBR方式ダブルバスレフエンクロージャーの構造
1gaikan
 CORALの10cmフルレンジスピーカーユニット4A-70用に設計したZWBR方式の14リットルのエンクロージャーを検討しました。上の写真は実験用Boxにユニットを取り付けた外観とZWBRの横断面図です。外形寸法は392mm×210mm×320mm (HWD)で、使用板材はMDFの15mm厚です。斜めの仕切板により、第1室(7.0L)と第2室(7.7L)に仕切られ、第1室のバスレフダクトを第1ダクト、第2室のバスレフダクトを第2ダクトと言います。斜めの仕切板を使用したのは、エンクロージャー内面の平行面を少なくして発生する定在波を減少させるためです。ZWBR方式の特徴は、ダブルバスレフにより低音域の増強を図りながら、第2ダクトの開口部を絞ってダンピングをかけています。
 ダクトチューニングの結果として第1ダクトは、内径44φ、長さ20㎜の塩化ビニールパイプを使用し、第2ダクトは30mmx90mmx100mm(HWD)で開口部は20mmx75mm(HW)です。

2.L9直交表実験によるダクトのチューニング
2suijun
 ダクトの最適化は、第1ダクト、第2ダクト、開口部面積の3つのパラメータについて、上の水準表のように3水準でL9の直交表による直交実験を以下の割り付け表にしたがって行いチューニングを行いました。
3warituke

 上の表で、SN比は36Hz~200Hzの帯域の音圧特性の平坦度を表していて、SN比の値が大きければ大きいほどフラットな特性になります。感度は、36Hz~200Hzの帯域と200Hz~1KHzの帯域の音圧の比率を表しています。この感度の値が大きいほど36Hz~200Hzの帯域の音圧が大きいことを示して居ます。L9の直交実験の結果は以下の散布図から実験2の条件が最適実験条件になりました。
 L9の直交実験の組み合わせのうちどの組み合わせがSN比と感度がともに大きくなるかを見るために下のような散布図にSN比(縦軸)と感度(横軸)をプロットしてみました。
 その結果、最適条件(赤丸印)が良い条件になりました。
4sanpuzu

3.最適条件における各特性
 以下の各特性については以下のURLで参照できます。
 ・ユニット軸上のバッフルから30㎝の周波数特性
 ・第2ダクト開口部とユニット近接の音圧特性
 ・歪率特性
 ・インピーダンス特性

4. 再生音
 以下のURLからこの条件の再生音を試聴できます。


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qcreate at 17:24コメント(0)ダブルバスレフQE(品質工学) & EQ 
1.概要
1gaikan
CORALの10cmフルレンジスピーカーユニット4A-70用ZWBR方式の外形が 392mm×210mm×320mm(HWD)の14リットルのエンクロージャーを検討しました。ダクトチューニングの結果として第1ダクトは、内径44φ、長さ20㎜の塩化ビニールパイプを使用し、第2ダクトは30mmx90mmx100mm(HWD)で開口部は20mmx75mm(HW)です。

2.再生周波数特性
 ユニット軸上のバッフルから30㎝の周波数特性をOmniMicで計測した結果は以下のグラフのような特性です。
2fchar
 14LのZWBRでダクトチューニングした場合では約41Hzまで素直な特性で再生できるユニットです。
 第2ダクト開口部とユニット近接の音圧特性は以下のようになっております。
3duct
 このグラフから、第1ダクトの共振周波数は163Hz、第2ダクトの共振周波数は46Hzになっております。

3. 歪率特性
 ユニットに近接した位置で周波数特性測定時と同じアンプ出力で測定した歪率測定結果です。
 下のグラフで青線は2~5次の歪を塁積した特性を示し赤線は2次歪、紫線は3次歪を示しています。
4dist

4. インピーダンス特性
5imp
 インピーダンス特性を見るとスピーカーユニット単体の共振周波数が105Hz(実測値)ですが、14L ZWBRに入れると113HzになりZWBRの第1ダクトの共振周波数が161Hz第2ダクトの共振周波数が52Hzになっており、音響的な共振周波数とはずれた特性を示しています。

5. 再生音
 以下のURLからこの条件の再生音を試聴できます。


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qcreate at 16:24コメント(0)ダブルバスレフQE(品質工学) & EQ 

2018年07月28日

1.概要
1gaikan
 Markaudio/Stereo誌(ONTOMO MOOK)の8cmフルレンジスピーカーユニットOM-MF5用ZWBR方式の外形が 306x184x230mm(HWD)の7リットルのエンクロージャーを検討しました。ダクトチューニングの結果として第1ダクトは、内径31φ、長さ20㎜の塩化ビニールパイプを使用し、第2ダクトは30mmx40mmx105mm(HWD)で開口部は20mmx40mm(HW)です。

2.再生周波数特性
 ユニット軸上のバッフルから30㎝の周波数特性をOmniMicで計測した結果は以下のグラフのような特性です。
 7LのZWBRでダクトチューニングした場合では約42Hzまで素直な特性で再生できるユニットです。
2fchar

 第2ダクト開口部とユニット近接の音圧特性は以下のようになっております。
3duct
 このグラフから、第1ダクトの共振周波数は170Hz、第2ダクトの共振周波数は48Hzになっております。

3. 歪率特性
4dist
 ユニットに近接した位置で周波数特性測定時と同じアンプ出力で測定した歪率測定結果です。
 下のグラフで青線は2~5次の歪を塁積した特性を示し赤線は2次歪、紫線は3次歪を示しています。

4. インピーダンス特性
5imp
 インピーダンス特性を見るとスピーカーユニット単体の共振周波数が109Hz(実測値)ですが、7L ZWBRに入れると112.5HzになりZWBRの第1ダクトの共振周波数が166Hz第2ダクトの共振周波数が56Hzになっており、音響的な共振周波数とはずれた特性を示しています。

5. 再生音
 以下のURLからこの条件の再生音を試聴できます。



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qcreate at 21:00コメント(0)スピーカーダブルバスレフ 

2018年07月22日

1.概要
1gaikan
 Markaudio/Stereo誌(ONTOMO MOOK)の8cmフルレンジスピーカーユニットOM-MF5用ZWBR方式の外形が 392mm×210mm×320mm(HWD)の14リットルのエンクロージャーを検討しました。ダクトチューニングの結果として第1ダクトは、内径44φ、長さ20㎜の塩化ビニールパイプを使用し、第2ダクトは30mmx90mmx150mm(HWD)で開口部は25mmx75mm(HW)です。

2.再生周波数特性
 ユニット軸上のバッフルから30㎝の周波数特性をOmniMicで計測した結果は以下のグラフのような特性です。
 14LのZWBRでダクトチューニングした場合では約40Hzまで素直な特性で再生できるユニットです。
2fchar

 第2ダクト開口部とユニット近接の音圧特性は以下のようになっております。
3duct
 このグラフから、第1ダクトの共振周波数は161Hz、第2ダクトの共振周波数は43Hzになっております。

3. 歪率特性
4dist
 ユニットに近接した位置で周波数特性測定時と同じアンプ出力で測定した歪率測定結果です。
 下のグラフで青線は2~5次の歪を塁積した特性を示し赤線は2次歪、紫線は3次歪を示しています。

4. インピーダンス特性
5imp
 インピーダンス特性を見るとスピーカーユニット単体の共振周波数が109Hz(実測値)ですが、14L ZWBRに入れると110HzになりZWBRの第1ダクトの共振周波数が158Hz第2ダクトの共振周波数が49Hzになっており、音響的な共振周波数とはずれた特性を示しています。

5. 再生音
 以下のURLからこの条件の再生音を試聴できます。


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qcreate at 18:20コメント(0)スピーカーダブルバスレフ 

2018年07月18日

1.概要
1gaikan
 Markaudio/Stereo誌(ONTOMO MOOK)の8cmフルレンジスピーカーユニットOM-MF5用ZWBR方式の外形が279mm×135mm×205mm(HWD)の4リットルのエンクロージャーを検討しました。ダクトチューニングの結果として第1ダクトは、内径20φ、長さ20㎜の塩化ビニールパイプを使用し、第2ダクトは25mmx33mmx90mm(HWD)で開口部は22mmx29mm(HW)です。

2.再生周波数特性
 ユニット軸上のバッフルから30㎝の周波数特性をOmniMicで計測した結果は以下のグラフのような特性です。
 4LのZWBRでダクトチューニングした場合では約45Hzまで素直な特性で再生できるユニットです。
2fchar

 第2ダクト開口部とユニット近接の音圧特性は以下のようになっております。
3duct

 このグラフから、第1ダクトの共振周波数は161Hz、第2ダクトの共振周波数は51Hzになっております。

3. 歪率特性
 ユニットに近接した位置で周波数特性測定時と同じアンプ出力で測定した歪率測定結果です。
 下のグラフで青線は2~5次の歪を塁積した特性を示し赤線は2次歪、紫線は3次歪を示しています。
4dist

4. インピーダンス特性
5imp
 インピーダンス特性を見るとスピーカーユニット単体の共振周波数が109Hz(実測値)ですが、4L ZWBRに入れると116HzになりZWBRの第1ダクトの共振周波数が160Hz第2ダクトの共振周波数が61Hzになっており、音響的な共振周波数とはずれた特性を示しています。

5. 再生音
 以下のURLからこの条件の再生音を試聴できます。


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qcreate at 07:40コメント(0)スピーカーダブルバスレフ 

2018年07月14日

English edition : https://blogs.yahoo.co.jp/shioshio_46/40200192.html

1.はじめに
 スピーカーは可聴周波数帯域電気信号を音響エネルギーに変換する変換機として使用される。
 スピーカーとは電気エネルギーを音響エネルギーに変換するスピーカーユニット(ユニットと略称)とユニットを入れるスピーカーエンクロージャー(エンクロージャーと略称)とで構成される。
 エンクロージャーに要求される機能は機械的にユニットを保護することと電気エネルギーを音響エネルギーに変換する際の音響特性を改善して聞きやすい音にすることである。
 本資料はスピーカーエンクロージャーの特性改善手法として品質工学のパラメータ設計手法の適用事例について説明する。

2. ZWBRエンクロージャーの概要
2.1 スピーカーの音質について
 良い音とか悪い音とかは聞く人の好みや心理的な状況および試聴環境に大きく左右される。
 絶対的に良いスピーカーというのは存在しない。
 多くの人が相対的に良いと感じる音を出すスピーカーが良いと言われている。
 相対的に良い音と感じるスピーカーについては,NHKの放送技術研究所などでヒアリング評価から次のように言われている。
「周波数特性の山谷が少なく,広い周波数帯域にわたって特性が平坦に近いものがもっとも好まれている」(*1)と言われている。
 このように相対的な官能評価によってスピーカーの良い悪いが論じられていることから,オーディオ評論家による評価を参考に,一般使用者がスピーカーの選定と購入を行うことになる。
 その結果1万円未満から数千万円の幅でスピーカーが販売されているが,嗜好の領域でもあり必ずしも高価なものが絶対的に良い音であるとは言えない状況である。
2.2 スピーカーのDIYについて
 前述の2.1で述べた状況に対して、自分の好みの音をいろいろな工夫を取り入れてスピーカーを自作することを趣味とする人がいる。
 筆者もその一人である。スピーカーの自作を趣味とする人たちが集まり,各々の作品の評価をし合ったり,ノウハウ情報を交換し合ったりする同好の志が集まりスピーカーコンテストや作品発表会を開催している。
 エンクロージャーを自作している人は試行錯誤によって好みの音になるようにしている人が多い。
 筆者はスピーカーの自作に品質工学を活用してこのようなスピーカーコンテストでどこまで良い評価が得られるか挑戦をしてみた。
2.3 自作対象について
 スピーカーの自作といってもユニットからエンクロージャーまで幅広い領域がある。
 筆者はエンクロージャーの構造の最適化を主な自作対象としている。
 物の特性は大きく見ると「材料」「加工」「構造」の3つの領域に関連している。
 この3つの領域のどの領域が特性に影響するかは対象とするシステムによって千差万別である。
 趣味の世界ではどの対象領域にするかは個人の自由である。
 「構造」の領域は大掛かりな設備がなくとも各種の工夫や最適化が行える領域であることから,この領域を対象として自作を行うことにした。
2.4 ZWBRエンクロージャーの構造
 エンクロージャーには種々の構造のエンクロージャーが提案され実用に供されている。
 代表的なものとして 平面バッフル方式,密閉方式,バスレフ方式,ダブルバスレフ方式,フロントロードホーン方式,バックロードホーン方式,トランスミッションライン,タイムドメイン方式などなど各種の方式のものがある。
 どの方式を選ぶのかは自作する人の自由である。
 筆者が選んだのはダブルバスレフ方式の改良型として独自に考案した図1のZWBR方式である。
 図1においてエンクロージャーは斜めの仕切板により第1室と第2室に仕切られ第1室のバスレフダクトを第1ダクト,第2室のバスレフダクトを第2ダクトと言う。
 ダブルバスレフは第1室の空気の弾性と第1ダクトの空気質量を錘とみなした機械的な第1の共振系と,第1室と第2室の空気容積の合算した空気の弾性と第2ダクトの空気質量を錘とした機械的な第2の共振系により,ユニットの背面から放射される音響エネルギーを2つの共振系で共振させて第2ダクトの開口部から外部へ音圧を放射する構造である。
 ZWBRの特徴は開口部面積を絞って音響的な負荷を与えることで開口部からの音響輻射エネルギーをコントロールしている。
1struct

(図1 ZWBRの構造)
 これにより聴感上の効果は締りのある低音再生音が得られることである。
 斜めの仕切板を使用したのは,エンクロージャー内面の平行面を少なくして発生する定在波を減少させるためである。
 斜めに配置され仕切版の横断面がアルファベットのZのように見えるところから,ZWBR(Z Double Bass Reflex)と名づけた。
 ダブルバスレフの近似的な共振周波数および再生周波数特性のシミュレータがいくつかある。
 しかし開口部を絞った状態を考慮したシミュレーションモデルを用いていないのでシミュレーション結果と実測では大きなずれが生じる。
 ダブルバスレフについて確立された設計理論がない(*2)状況である。

3. エンクロージャーのパラメータ設計例(FOSTEX FX120 20L ZWBR)
3.1 目的機能(良い音のエンクロージャー)
 スピーカーの周波数帯域は人間の聴覚の範囲として20Hz~20KHz以上をカバーすることが要求される。
 単独のスピーカーユニットでこの周波数帯域をフラットに再生させることは困難である。
 このパラメータ設計によるダクトチューニングはエンクロージャーの低音域の最適化を目的としているのでエンクロージャーが主に制御できる周波数帯域を最適化の対象とした。
 エンクロージャーに取り付けた状態のスピーカーユニットの最低再生可能周波数以下では急激に音圧が低下して計測環境の暗騒音に埋もれてしまうため最低再生可能周波数範囲は30~50Hzとした。
 相対的に良い音と感じる音響特性は再生帯域においてフラットな周波数特性が好まれることから比較の基準領域として200~1KHzの音響レベルの平均値を基準レベルとした。
 最低再生可能周波数(30~50Hz)から200Hzの範囲で基準レベルに対して偏差の少ないことが良い音として定義した。
 図2にこの関係を示す。 
2ev_target

(図2 目的機能と評価対象領域)

3.2 計測システム
 スピーカーに試験信号を入力し再生音をユニットの軸上50cmの位置で計測マイクを使用して20Hz~20KHzの範囲でスピーカーからの出力音圧を計測した。
 USB Micから取り込んだデータをPCにインストールした計測ソフトでUSB Micの特性を校正して基準値 20×10-6 [Pa]に対する音圧レベル (Sound pressure level)をデシベル[dB]単位で計測する。
 図3に計測システムを示す。
3measurement
 
(図3 周波数特性計測システム)

3.3 誤差因子
 低音域の再生特性を評価するために計測周波数ポイントを誤差因子とした。
誤差因子の水準は最低再生可能周波数(30~50Hz)から200Hzの間の58水準である。
 各計測ポイントにおいて基準レベルからの偏差が0であることが理想特性となるのでSN比は0望目特性で評価し,各計測ポイントの計測値の平均値を感度とした。
 感度は大きいほど低音再生能力が高いことを示している。
3.4 制御因子
 制御因子の候補としてはエンクロージャーの全容積,第1室と第2室の容積比,各バスレフダクトの面積などがある。
 これらのパラメータのおおよその水準をシミュレーションで当たりをつけておいてから実験で水準を容易に変えることが出来る次の制御因子に絞って実験を行った。
 実験に使用した制御因子は第1ダクトの長さ,第2ダクトの長さ,第2ダクトの開口部面積として,各々3水準を表1のような水準でL9の直交表に割り付けた。
4contorollable_table
(表1 制御因子の水準表)

3.5 実験結果
 計測データの一部とSN比と感度を表2に示す。
5SN_ratio
(表2 実測データの一部およびSN比と感度)
 
 実験1のSN比は以下の様に算出した。
6calculation
 感度は、実測値の平均値である。
 実験の結果のSN比と感度の要因効果図を図4,図5に示す。
7SN_effect
 
8sensitvity_effect
(図5 感度の要因効果図)
 感度をX軸,SN比をY軸にした散布図を図6に示す。
 図4のSN比の要因効果図から,第1ダクトと第2ダクト間の交互作用が大きく出ているので,この要因効果図から最適条件の推定を行っても再現性は保証されない。
 少しでも良い条件を見つけるために,L9の組み合わせの中から良いものを見つけようと,SN比と感度の散布図からSN比が高く出来るだけ感度の高い組み合わせを選定した結果,実験2の条件である第1ダクト:60mm,第2ダクト:135mm,開口面積:1500mm平方を選定した。
9scatter
(図6 SN比と感度の散布図)

4. スピーカーコンテストにおけるヒアリング評価結果
 スピーカーの評価は音に対する好みが人により異なることから多くの人に聞いてもらって評価をいただくことが客観性のある評価の一つの方法であると考えて自作スピーカーコンテストに出品をした。
 コンテストはオーディオクラブ『ミューズの方舟』主催自作スピーカーコンテストで2012年12月9日と翌年の12月8日に出品した。
 両コンテストでの評価は音質が良いという評価の「音質賞」を受賞することが出来た。
 コンテスト参加者からのコメントでは低音域の再生音が良いことと低音域と中高音のバランスが良いとのコメントが多かった。
 このコメントがZWBR方式のエンクロージャーの狙いでもあった。


参考文献

*1) 中島 平太郎:ハイファイスピーカ,日本放送出版協会,P28(1968)
*2) 長岡 鉄男:世界でただひとつの自分だけの手作りスピーカーをつくる,講談社,P280(2004)


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qcreate at 21:23コメント(0)スピーカーQE(品質工学) & EQ 

2018年07月07日

1.概要
1gaikan
 8cmフルレンジスピーカーユニットFOSTEX OMF800Pの新規に設計したZWBR方式の4リットルのエンクロージャーを検討しました。第1ダクトは、内径20φ、長さ20㎜の塩化ビニールパイプを使用し、第2ダクトは25mmx33mmx90mm(HWD)で開口部は22mmx29mm(HW)です。

2.再生周波数特性
 ユニット軸上のバッフルから30㎝の周波数特性をOmniMicで計測した結果は以下のグラフのような特性です。
2fchar
 4LのZWBRでダクトチューニングした場合では約50Hzまで再生できるユニットです。
 第2ダクト開口部とユニット近接の音圧特性は以下のようになっております。
3duct
 このグラフから、第1ダクトの共振周波数は161Hz、第2ダクトの共振周波数は52Hzになっております。

3. 歪率特性
4dist
 ユニットに近接した位置で周波数特性測定時と同じアンプ出力で測定した歪率測定結果です。
 下のグラフで青線は2~5次の歪を塁積した特性を示し赤線は2次歪、紫線は3次歪を示しています。

4. インピーダンス特性
5imp
 インピーダンス特性を見るとスピーカーユニット単体の共振周波数が117Hz(公表値)ですが4L ZWBRに入れると116HzになりZWBRの第1ダクトの共振周波数が160Hz第2ダクトの共振周波数が64Hzになっており、音響的な共振周波数とはずれた特性を示しています。

5. 再生音
 以下のURLから試聴できます。



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qcreate at 19:49コメント(0)スピーカーダブルバスレフ 
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