プロローグ

December 30, 2006

オープニング〜タイトルの由来

母さんが両目を閉じて
握っていたオレの手を離したあのとき
オレの命の青い鳥はもう飛んでいってしまって
もう永遠に
戻ってこないんだと思った

でも
アルの暖かい両手をまた握ることができて
笑顔をまた見ることができて
オレは 青い空にまたあの青い鳥の影を見た気がしたんだ

これ以上は何も望まない
ただずっと、ずっとこうして暮らしていけるように
今のすべてが決して消えてしまわないように
あの青い鳥が もう
永遠にオレの手の届かない虚像ではないように


qingniao_no_xuxiang at 01:16コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!

エルリック兄弟の朝

(寝室にて)
アル:兄さん!
エド:ZZZ……
アル:兄さん、起きないと!
エド:ZZZ……
アル:兄さん、寝てちゃだめだよ。
エド:ZZZ……
アル:兄さん! もう朝だよ。早く起きて!
エド:いやだ、眠い……あと五分、五分でいいから。
アル:何があと五分だよ。それもう六回目だろ。もう起きなよ! 遅刻したいの?
エド:わっ。何すんだよ、アル! 遅刻がなんだってんだ。あんなトコ別に行きたかねえっての。
アル:でも兄さん、今日から大佐になるんだろ――ちょっとは大佐らしくしなきゃいけないんじゃないの。
エド:(別にそんなモン、なりたかねえし……)
アル:さあ、兄さん。グズグズしない! 朝ご飯できてるから、冷めないうちにね。
エド:わかったよ。今すぐ食っちまうから……
アル:待って、兄さん。
エド:あ?
アル:先に顔洗って歯磨き!
エド:わかったわかった。とりあえず放せって!(これが兄貴に対する態度か?)
アル:そういえば、やっぱり似合ってるね。そのパジャマ。
エド:……。そうか。
アル:さあ、急いで顔洗ってご飯にしよう。遅刻したら中将にしかられるんでしょ。
エド:ちぇ。なんであんな無能にブツブツ言われなきゃ……
アル:それは……どうだろうね。

(リビングにて)
アル:まったく兄さんってば。なんでまた牛乳残すんだよ。もう子供じゃないんだから、好き嫌いなんかだめだろ。
エド:好き嫌いがどうとかって問題じゃねえよ。牛のハラから搾り出した白濁色の液体なんぞ飲めるか!
アル:でも牛乳には栄養があるんだよ。それに、兄さんは好き嫌いしてるから大きくなれないんだよ。
エド:飲まねえったら飲まねえ! それに俺がこーなのは別に牛乳のせいじゃねえ。機械鎧が重いせいで……あ、いや、もうこんな時間か!
アル:……兄さん、前から聞きたかったんだけど。どうして僕の体が戻ったのに、兄さんは……
エド:くそ。めんどくせえ服だな!
アル:……。手伝うよ。

(軍服を着たエド)
アル:よし! 兄さん、大人だね。
エド:そうか? 大・人・物、の間違いだろ?
アル:そうだね。大人物だ。

(玄関前で)
アル:兄さん、僕……
エド:じゃあ行くぜ。でないとまたみんなに怒られるし。あんまり遅くならないで、晩メシには帰るよ。
アル:じゃあがんばってね。
エド:おう。待ってろよ!

(急に気分が悪くなるアルフォンス。体には錬成反応?)

アル:兄さん……うっ! う……。これは、いったい……

qingniao_no_xuxiang at 01:15コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!

出勤

(街中)
エド:はあ。……俺は、どうすればいい……
(クラクション)
エド:! あいつ……
ハボック:おっはよーございます、エドワード・エルリック大佐!
リザ:エルリック大佐、どうぞお乗り下さい。
エド:ホークアイ少佐、ハボック大尉。(躊躇する)
ロイ:なんだね、君は我々も一緒に遅刻させる気か? 親愛なる鋼の。
エド:……(怒)

(車内)
ハボック:……
エド:……
リザ:……
ロイ:どうしたというんだ? 昇進した初日から仏頂面か。大事な弟君とまたケンカでもしたのかね。
エド:ケンカなんかしねえよ。
ロイ:では大総統の決定に不満があるというわけだ。
エド:不満……だったらどうにかできるのかよ? 不満なら俺よりアンタのほうが多いと思うけどね。
ロイ:私か? それは当然だろう。より多くのものを得たいと思えば、より多くの代価を払わなければならない――それが君と私の知る『等価交換』じゃないか。
エド:等価交換……。……本当にそうか?

(司令部前)
衛兵:副総統閣下!
ロイ:どうした。下りたくないか? 鋼の。それともそこに日が暮れるまで座っていたいかね?
エド:てめ……! 副総統閣下、乗せていただきありがとうございました、お先に失礼します!
(エドが去る)

リザ:……中将、本当にこれでいいのですか?
ロイ:いいも何も……私に何ができる。


qingniao_no_xuxiang at 01:14コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!

朝のティータイム

(大総統執務室)
エド:カンベンしてくれよ……。このオレにこんな仕事させんのかよ!
(ノック)
大総統:入れ。
ロイ:大総統閣下!
エド:!
ロイ:南部の情報が届きました。報告はこちらです。
大総統:ごくろう。そうだ、私と茶でも一杯どうだね?
ロイ:お茶ですか。ではお言葉に甘えて。

(暗転)
軍人A:……ってことは、エルリック大佐って今年まだ17歳なのか!
軍人B:そうだよ。12歳で国家錬金術師の資格は取ったが、今年になって正式に中央司令部に所属したってわけだ。
軍人A:それじゃ、今度は史上最年少の大佐ってことじゃないか。
軍人B:はあ、天才ってのは違うよな。今じゃもう大総統の腹心だろ。
軍人A:でも、どこから見てもただの子供なんだがなあ…
軍人B:しっ、こっちに来るぞ!

(廊下にて)
エド:まったく……
リザ:エドワードく……いえ、エルリック大佐!
エド:ホークアイ少佐。
リザ:大佐、なぜティーセットを?
エド:くそ、全部あいつのせいだよ。これも大総統秘書官の仕事のうちとかなんとか言いやがって。
リザ:まさか中将が、大佐にお茶を淹れろと?
エド:あいつじゃなきゃ誰なんだよ! 大総統が中将に茶はどうだって。ほんとは電話で事務に持ってこさせりゃよかったんだ! それなのにあいつが、何か間違いがあってはいけませんから秘書官自ら取りに行ってもらいましょう、とかなんとか言い出して。大総統んとこの書類がどんだけ多いかって。二時間も整理して、まだ分類もメドがついてないってのに……
リザ:ちょっと待って、あなたの仕事は書類整理なの? あなたが秘書官になったのは……
エド:あっ、しまった。あんまり待たせちゃまずい。じゃあ行くな、また!
リザ:エドワ……じゃ、じゃあまた。

リザ:本当にただの秘書官なのかしら……

(執務室)
ロイ:そういえば、エルリック大佐の茶を飲むのは初めてですね。味は、想像していたほどひどくはないようですがね。
エド:残念ですけど、オレが淹れたわけじゃないんで! これは事務の人が……
ロイ:そうだろうな! 君にこんなにうまい茶を淹れられるわけがないのはわかっていたとも。
エド:そ、そうですか。(怒)
大総統:そういえば――エルリック大佐は以前ずっと君の下にいたのだったな。
ロイ:はい。
大総統:彼は以前どんな仕事をしていたのかね?
ロイ:彼ですか。通常は、各地に派遣して地方官吏の行政を調査させていました。お察しの通り、彼の子供のようななりはいい目くらましですからね。
エド:……(怒)
ロイ:官吏どもも彼の前では化けの皮が剥がれ、スキャンダルを根こそぎ暴かれてしまいましたよ。……まあ、確かに優秀な部下でした。大した人材です。

ロイ:では、何もなければこれで失礼いたします。
大総統:うむ、仕事の邪魔をしたな。
ロイ:失礼します。
(ロイ退室)

エド:(オレはいったい何しにきたんだ…)
大総統:マスタング中将は君を高く評価しているようだ。
エド:そうですか。
大総統:しかし、彼もまた得難い人材だ。三十歳そこそこで副総統か――あるいは、彼もまた天才というやつかもしれんな。
エド:そ、そうでしょうか。
大総統:例の件は、そろそろ決心がついたかね? ……すでに準備ができていなければならん頃だと思うが?
エド:はい……わかっています。
(エド退室)

大総統:どうやら――そう長く待つこともないな……


qingniao_no_xuxiang at 01:09コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!

昼食〜休憩室

(司令部廊下)
エド:ふう〜、やっと休める。ハラへって死にそうだ…こんなの、人間様がやる仕事じゃねえっての…
ハボック:よう、エルリック大佐! どうした? ハラへったか?
エド:ハボック大尉、大佐って呼ぶのやめてよ。そうだ、大尉も飯食いに行かないの?
ハボック:おい、俺とお前を一緒にしないでくれよ。そうそう、お前に客でな、ホークアイ少佐がお前を呼んでこいってよ。
エド:オレに客?

(休憩室)
ファルマン:では遠慮なく。どうもありがとう。
ブレダ:へえ、お前料理うまいじゃないか!
フュリー:アルフォンス君、君も動物好きだったよね?
エド:アル!? なんでここに?!
アル:あ、兄さん! クッキー焼いたんだけど、食べる?
エド:アル……まさかお前、クッキー届けるためだけに司令部に来たわけじゃねえだろうな?
アル:そんなわけないだろ。市場とかじゃないんだから、来たいからってホイホイ来れるもんじゃないよ。兄さん、朝でかける時に銀時計忘れていっただろ。だから僕が届けに来るしかないじゃないか。受付のところでホークアイ少佐に会えたからいいけど、じゃなかったら入れてももらえなかったんだよ!
エド:そりゃ……悪かったな。
アル:兄さんってばまったく……ほら、つけてあげるから。はい! でも、ホークアイ少佐たちにもだいぶ会ってなかったし。この機会に会っておこうと思ってさ。
ブレダ:(それにしても…アルフォンスのほうがエドワードより背が高いとはな)
フュリー:(二人は1才しか違わないんですよね?)
ファルマン:(ですが、アルフォンスの体は当時のまま成長が止まっているはずでは……)
エド:!
アル:……兄さん? どうしたの?
エド:……あ! オレ、まだ仕事があるんだった! アル、お前早く帰れよ。オレも遅くならないように帰るからな!
アル:兄さん? ……わかった。じゃあ帰るね。じゃ、さようなら!
エド:じゃあな!

エド:じゃ……オレも行くな!
フュリー:エドワード大佐、食べないんですか?
ブレダ:どうしたんだ?
ファルマン:我々が何か悪いことを言ったんでしょうか?

qingniao_no_xuxiang at 01:03コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!

昼食後〜大総統執務室

エド:……いったいどこで間違っちまったんだ。
大総統:どうした、エルリック大佐? 書類がどうかしたかね?
エド:い、いえ。
大総統:ならよろしい。そうだ、昼に弟が司令部に来たらしいが――彼の体は大丈夫かね?
エド:はい……大丈夫です。
大総統:よろしい――それなら君も安心だろう。
エド:……はい。
大総統:おお、そうだった! この書類をマスタング中将のところまで届けてもらえるかね。それから、この件は中将自ら処理するよう伝えてくれたまえ。
エド:わかりました。
(エド退室)

大総統:本当にわかっているのかな…

(副総統執務室)
ロイ:……入ってよろしい!
エド:マスタング中将。
ロイ:秘書官どのか――これは珍しい! 何か?
エド:大総統閣下がこれをお渡しするようにと。この件は中将自ら処理されるようにとのことです。
ロイ:了解した。これは……。……わざわざどうもありがとう。
エド:では問題なければ私は失礼します。
ロイ:待ちなさい。
エド:まだ何かご用ですか。
ロイ:少佐から聞いたが、アルフォンスが司令部に来たらしいな。彼は元気か?
エド:げ、元気です。ご心配には及びません! では――失礼します。
ロイ:……

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December 29, 2006

夕方〜大総統執務室

エド:ふう、ようやく一段落ついたぜ。(もう日が暮れるのか。そろそろ終わってもいいだろ……)
大総統:エルリック大佐。
エド:はっ!
大総統:そんなに堅苦しくしなくともよい。
エド:は……何かご用でしょうか。
大総統:今日はもうよろしい。
エド:……ということは……
大総統:帰ってよろしいと言った。もう日が暮れる。家に帰りなさい。
エド:は、はい。片付けたら帰ります!
大総統:そうだ、エルリック大佐。
エド:え?
大総統:例の件の準備はすでに整っている。いつから仕事を始められるのかね?
エド:まだ……ちょっと、やらなきゃならないことが……もう少し時間をいただけませんか。
大総統:かまわんよ。しっかり準備してくれたまえ。早く準備を整えて、仕事を始めてほしいものだ。さて、私も帰らなければな。時間があったら我が家にも来てもらえるかね。セリムが君に会いたがっていてね。
エド:は、はい。伺います。

qingniao_no_xuxiang at 16:54コメント(0)トラックバック(0) この記事をクリップ!

夕方〜司令部前

エド:帰るか。アルが待ってる…
ロイ:待て、鋼の!
エド:……副総統閣下。何かご用ですか?
ロイ:君はなぜそう私を敵視する。
エド:別に。オレはただ早く家に帰りたいから――アルが晩メシ作って待ってますから。
ロイ:私は君たちのことを尋ねることすらできないのか?
エド:……ご心配いただくことは何も。
ロイ:鋼の! 危険な真似はするなよ。
エド:……。俺たちは、二人で大丈夫です。失礼します。
ロイ:……

リザ:やはり、何も言おうとはしてくれませんか?
ロイ:私では役に立たないと思っているのかもしれないな。
リザ:中将に心配をかけたくないのかもしれません。
ロイ:かもしれない、だけだがな……
リザ:ええ……


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