このように、近代日本の歴史上、戦艦は繰り返し擬人(神)化されてきた。日本人は鎮遠や三笠などの戦艦を、護国の神か何かのように見なしてきたのである。思えば、江戸時代からの伝統である妖怪の類を除き、戦艦以外に擬人化された人工物が他にあっただろうか。戦艦は日本人にとって誇るべき護国の神であり、度重なる擬人化はその威徳を確かめるための行為であった。艦これの大和も「提督」たちも、この伝統の継承者であるにすぎない。

では、神たる戦艦大和はいったい何から日本を守っているのか。「提督」たる日本の若者たちは、国際情勢の激変のなかで海からの侵略に怯え、安逸な暮らしを守りたいと願っている。いつでもどこでもネットを通じほぼ無料でささやかなエロスを享受できる、そういう意味での<豊か>な暮らしである。大和以下の美少女女神たちが「提督」たちにかわってささやかな暴力を発動し、この日本を海から襲う敵と日々戦うことで、若者たちは日本人の誇りと心の平安を同時かつ容易に手に入れられる。だから艦これはウケているのだ。

ところで、艦これの世界の設定では、大和たちは現実の太平洋戦争で一度轟沈されたフネの魂が現代の日本に蘇り「提督」の指揮下に入ったものらしい。ここに決定的に欠けているものが一つある。それは彼女たちと一緒に沈んだはずの戦死者たちの魂だ。実は彼らも世界の中にいると私は思っている。それは深海棲艦だ。彼らは自分たちをきれいに忘れた末裔たちに怒って美少女の姿と敵米国製の大砲をまとい、この日本を何度でも襲うのだ。


妄想でもここまで書けるとすげーな。

人気記事ランキング

    全体23:20│